ソニー株式会社(以下、ソニー)は7月26日に、犬型ロボットの「aibo」(アイボ)が本物の犬と共生できるかの実験結果を発表しました。
実験の概要
実験は、哺乳類動物学者の今泉忠明氏の監修のもと実施され、犬種、年齢が異なる13匹の犬を対象に、2段階に分けて行われました。
第1段階「ファーストコンタクト」
第1段階の「ファーストコンタクト」では、犬と飼い主のいる部屋にaiboを投入し観察を始めてみると、aiboに反応する犬がたくさんいたようです。
犬13匹のうち9匹がaiboに近づき匂いを嗅ぎ、さらにそのうち6匹はお尻の匂いを嗅ぐ行動がみられました。警戒してaiboに近づかなかった犬は、13匹のうち4匹だったということです。このことから、aiboは犬がとても興味を示す存在であり、またお尻を嗅ぐ行為からaiboを同じ犬として認識し始めていることが伺えます。
第2段階「共同生活」
第2段階の実験で、aiboの匂いを嗅いだ犬とaiboの2週間にわたる共同生活を始めました。aiboに対する警戒や嫌がらせが無くなり、一緒に遊んだり、気遣う行動をするようになったそうです。
犬ロボットと犬の共生
aiboに対する犬の変化
一般的には、まず犬が自身以外の物体を認識した際、興味を示したり、警戒をするなど様々な感情を抱きます。その物体が生き物なのかを判断するために、ちょっかいを出したり匂いを嗅ぐなどの行動に出ることを知っていますか?
今回行われた実験では、aiboと犬が一緒に過ごすことで、「同じ姿勢をする」という行動が見られたのとのことです。これは、aiboを物ではなく、生き物として判断したうえで、仲間と認識している可能性があります。
このような行動に出た理由として、犬には「誤解発」といわれる犬以外の生き物を仲間として錯覚する習性に起因していることでしょう。またaiboのサイズが、恐怖を感じるほど大きくもなく、相手にしないほど小さくもないことも誤解発の要因だと考えられます。
犬とaiboが共同で生活する中で、犬のテリトリーにaiboが侵入しても怒らなくなったりなどの変化が生まれました。
aiboと犬の順位
犬の気持ちが変化した要因は、犬が自分よりもaiboを下と認識したことでしょう。犬は順位性の社会で生きており、自分より下の存在がいると安心感を持つ動物です。犬にとってaiboの存在は、かわいい部下や後輩と思ったのかもしれません。今回の実験では、一緒に遊んだり面倒を見るなどの、思いやりや優しさとも取れる行動をするようになったと結果が出ています。
aiboの存在が犬の精神的安定に
aiboは本物の犬と違い、性格、癖、相性などが無いため、犬にとって接しやすい存在だったのかもしれません。aiboが犬のそばにいて遊び相手などになることで、犬の精神的安定や安心、ストレス軽減に繋がる可能性が期待できるでしょう。
・画像提供:PRTIMES