犬の擦り傷におすすめの薬3選!傷口を舐める理由と正しい消毒処置法

犬 擦り傷 痛い

犬の擦り傷は、対処法を間違えると治りが遅くなる可能性があります。犬の擦り傷に使う薬にはどのようなものがあるのか、また擦り傷に効く人間用の薬は犬に使っても良いものなのかについても解説します。

犬が擦り傷を作る原因3つ

犬が擦り傷を作る原因は様々ですが、特に多く見られる原因を3つ紹介します。

異物を踏む

犬 脚

散歩中に、尖った石やガラスの破片などを踏んでしまうことが擦り傷になってしまう原因のひとつです。犬の体は全体的に体毛で覆われており、外傷から皮膚を守ってくれるのですが、足の裏は肉球や爪などがあるため毛量が少なくなっています。

歩いている最中に踏んだものが皮膚へダイレクトに触れるため、擦り傷のリスクも他の部位に比べると高くなると言えるでしょう。爪と皮膚の境目や、肉球などが擦れて切れることで、出血が見られる場合もあります。

猫にひっかかれる

猫 手

「猫パンチ」という言葉通り、猫は威嚇や攻撃をする際に鋭い爪を立てて手を挙げることがあります。そのため、猫とケンカした際に耳や顔などに擦り傷を負ってしまうと考えられます。

特に、耳介が立っている犬が耳を攻撃されると、細い猫の手が耳の奥まで届き、擦り傷だけではなく耳の機能を損傷させる危険性もあります。

事故

交通事故や落下事故などによる擦り傷は、軽度よりも重度のものが多いです。そのため、出血がひどかったり、なかには骨が見えてしまうほど深い傷になることもあります。

擦り傷が深いと、骨や筋肉などの様々な組織にもダメージを負っている可能性もあるため、早急に応急処置を行ない、病院に連れて行きましょう。

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擦り傷ができたときに犬が見せる行動3つ

出血が見られるほどの擦り傷であれば気づけますが、軽度で血が少しにじむ程度だと、擦り傷を負っていることに気づけないこともあるでしょう。

そこで、犬が擦り傷を負ったときに見せる行動を3つ紹介します。愛犬がこれらの行動をとっている場合、どこかに傷を負っている可能性が高いため、体をしっかりチェックしてあげましょう。

患部を舐める

犬 脚

傷口がじんじんと痛んだり、出血があったりすると、気になってペロペロと舐めてしまいます。また、唾液には消毒効果があると言われているため、舐めるのは傷を治そうとする動物の本能だとも考えられます。

甘え鳴きをする

飼い主に甘えたいときなどによく見られる甘え鳴きですが、ケガや体調不良の際にも同様の仕草が見られます。「私の異変に気付いてほしい」という愛犬からのサインなので、甘え鳴きをしていたらどこかに異変がないか見てあげましょう。

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患部を触ろうとすると怒る

痛みで苦しんでいる犬のなかには、気が立って神経質になっている子もいます。飼い主に触られることで痛みが増す危険性もあるため、触ろうとすると怒ったり、患部を引っ込めたりして自己防衛をします。

患部以外で怒らない場合は、敏感に反応する部分が傷口となっている可能性が高いといえるでしょう。

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犬が擦り傷を負ったときの対処法3つ

擦り傷を見つけたら、どんな対処をすれば良いのでしょうか。正しい対処法を3つ紹介します。

患部を水洗いする

水道 水

ひとまず消毒をしなければ、と消毒液を探し始める人もいるでしょう。しかし、それよりも最初に行なうべきは患部を水で洗うことです。犬のなかには、傷口が気になってペロペロと舐めてしまう子がたくさんいます。

注意
患部を洗っておかなければ、傷口に付着した汚れや細菌が口から体内に侵入し、感染症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

「早く消毒をしなければ余計に悪化するのでは」と思う人もいるかもしれませんが、唾液には殺菌効果があるため、傷口を舐めることで消毒効果も期待できます。焦って消毒をするのではなく、まずは患部を清潔にすることを最優先しましょう。

止血する

犬 包帯

少しにじむ程度の出血であればそのままでも良いのですが、ポタポタと滴り落ちるほどの出血が見られると止血する必要があります。それぞれの止血方法は下記のとおりです。

  • 圧迫止血
  • 傷口にガーゼやタオルを当て、強く抑えて止血する方法です。止血と言われるとこの方法を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

    もっともポピュラーな方法で、医療知識がない人でも行なうことができるのですが、注意しなければならないのが使うガーゼやタオルです。

    汚れているガーゼやタオルを使うと、傷口から細菌やウイルスが侵入し、傷を悪化させる可能性があります。止血で使用するものは、必ず清潔なものにしましょう。より清潔な状態を目指すのであれば、手袋やポリ袋を使うのがおすすめです。

    圧迫しているのに血が滲んでくる、という場合は止血場所が間違っている可能性があります。一度ガーゼやタオルをはずし、傷口を再度確認して圧迫してみましょう。

  • 緊縛止血
  • 傷口よりも心臓に近い部分を縛る止血法です。血液を循環させているのは心臓なので、傷口付近の血行を一時的に悪くすることで出血量が抑えられます。

    手足の止血で行なわれることが多く、事故などで出血量が多い場合は特に有効です。しかし、長時間緊縛状態にしていると、血が止まる代わりに縛った先の組織が壊死する可能性があります。

    あくまで応急処置向けの止血方法なので、長時間緊縛しないよう注意しましょう。

  • 指圧止血
  • 仕組みとしては緊縛止血と同じで、血行を悪くすることで止血をする方法です。緊縛止血は紐やタオルなどを使って縛りますが、指圧止血は心臓に近い血管を指で圧迫して血行を滞らせます。

    犬の血管は人間よりも見えづらいため、少々難易度が高い止血方法と言えるでしょう。

病院で診てもらう

動物病院 犬

出血がひどいと命の危険があります。なかには、輸血をしなければならないほど血液が不足している場合もあるため、応急処置をしたら急いで病院に連れて行きましょう。

ケガをして興奮気味な犬の場合、身近な人に噛みついてくる可能性があります。処置してもらう間、人に噛みつくことがないよう、紐やタオルで口輪をすることをおすすめします。

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犬の擦り傷にやってはいけない対処法2つ

消毒液

擦り傷の対処法として、多くの人が勘違いしている恐れのある方法が、ガーゼやタオルで傷口を押さえることと、消毒液を使うことです。

傷口を見て誰もが思い浮かべるであろう対処法の2つですが、なぜこれらが間違った方法なのでしょうか。その理由をそれぞれ解説します。

ガーゼやタオルで傷口を押さえる

圧迫止血をするために、ガーゼやタオルを傷口に当てることは間違っていないのですが、問題はその後です。止血ができた後も、ガーゼやタオルを傷口に当てたままにしているのが間違いです。

止血された傷口は、血とは違う液体が滲んでジクジクしてきます。これを見て化膿しているのでは、と勘違いする人もいますが、これは化膿ではなく傷を治すために体が必要な成分を分泌している結果です。

ガーゼやタオルを当てたままにしていると、治癒に必要な成分を吸い取ってしまい、傷がなかなかふさがらなくなります。

また、傷口が乾燥することで、傷を治そうと頑張っている細胞の働きを阻害してしまう可能性があるため、傷口はできるだけ湿っている方が治りが早くなりますよ。

消毒液を使う

消毒液を使ってはいけないというわけではなく、正しくは「使う必要がない」と解釈してください。そう断言されているのには2つの理由があり、なかには傷の手当に一切消毒液を使わないという動物病院もあります。

化膿するのでは、と不安に思っている人のために、消毒液が必要ないと言われる理由をお伝えします。

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消毒液で無菌化は不可能
皮膚には常に様々な菌が存在します。消毒液を使うことで、一時的に菌の数を減らすことは可能ですが、またすぐに繁殖して元の状態に戻ります。つまり、完全に無菌状態にすることは不可能なのです。そのため、消毒液を使う必要がありません。

生体細胞の破壊
ケガをすると、細胞はもとの状態に戻ろうと一生懸命活動します。しかし、消毒液を使うと細胞が破壊されてしまう可能性があるため、傷の治りが遅くなるだけではなく、場合によっては悪化してしまう恐れがあります。

参考:郡上八幡動物病院公式ページ

犬の擦り傷におすすめの薬3選!

重度で出血量も多い擦り傷の場合は、病院で適切な処置をしてもらうことが大切です。しかし、軽度で出血がほとんどないような擦り傷の場合、自宅でのセルフケアでも傷の回復が見込めます。その際に使用する犬用の薬でおすすめのものを3つ紹介します。

ヒビクス軟膏

抗炎症作用、止痒作用、抗真菌作用、抗細菌作用の4つの効果があり、擦り傷だけではなく、皮膚病の治療にも有効な軟膏です。犬用として販売されていますが、猫に使用しても大丈夫です。症状に応じて1~3回塗布します。

マイクロシンAH

洗浄、消毒、傷のケアがこの1本でできるアニマルヘルスケア製品です。様々な認証を得ていることから、多くの動物病院がこの商品を推奨しています。

主成分は、高い殺菌作用を持つ次亜塩素酸で、マイクロシンテクノロジーによって特別に生成されているため、より安全性が高いという特徴があります。

使い方は簡単で、患部に塗布するだけです。ヒリヒリしないよう作られているため、安心して傷口に塗ることができるでしょう。

BOZZI 100%天然 ペットバーム 軟膏

天然ハーブ専門家が開発したペットケア商品です。ココナッツオイルやハーブ類を配合しており、添加物を一切使用していないため、万が一犬が舐めても大丈夫です。

保湿効果が高いことから、傷のケアに留まらず虫刺されや乾燥などの肌トラブルの改善も期待できます。犬だけではなく、猫やうさぎなどの小動物にも使えるため、いろんな動物を飼っている人にとっては嬉しいですね。

犬の擦り傷に人間用の薬を使っても大丈夫?

擦り傷に効く人間用の薬を犬にも使っている人もいるのではないでしょうか。実際に犬に使っても大丈夫な薬もありますが、なかには犬に使わない方が良いものもあります。

誤って使ってしまうことで傷が悪化するのを防ぐため、使っても良い薬とそうでない薬を紹介します。

犬にも使える薬

犬に使っても大丈夫な薬には、次の2つが挙げられます。いろんな症状に効くことから、必ず家に常備している人もいるのではないでしょうか。しかし、使用する際には注意すべきこともあるため、それぞれの概要を説明します。

ワセリン

傷を治すためには、皮膚を保湿して細胞の働きを活発化させる必要があります。そのため、傷口に塗る軟膏には保湿成分を含んだものが多いのですが、ワセリンもそのひとつです。

擦り傷やヒビ、アカギレなどのケガはもちろんのこと、乾燥した肌や唇に潤いを与えることもできます。ワセリンは石油を精製して作られ、他の薬に比べて副作用が少ないことから安全性が高いと言われています。

他の薬に無干渉で生体反応も起こさせないため、医療用軟膏や化粧品などにもワセリンを混ぜるケースがあります。

例え、犬が舐めてしまっても大丈夫なのですが、たくさん塗りすぎるとべたつきが気になって傷口を触ろうとする子もいるため、塗りすぎには注意しましょう。

オロナイン

擦り傷だけではなく、ヤケドやかゆみなどにも効くオロナインは、犬も使用できる薬のひとつです。オロナインの主成分はクロルヘキシジングルコン酸塩と呼ばれる成分で、消毒効果を得ながら軟膏のカバー力で皮膚を保護することができます。

しかし、消毒成分は微量しか含まれていないため、皮膚の奥に入り込んでいる菌にまで効果が届きづらい傾向があります。そのため、表面上なんとなく回復傾向にあるように見えても、時間が経つと傷が余計に悪化してしまうことも珍しくはありません。

パッケージに効能がたくさん書いてあるため、ケガをしていればすぐにオロナインに頼ってしまう人もいるでしょう。もちろん、それで回復する子もいますが、使い方を間違えれば悪化する可能性があるため、過信するのは危険です。

公式サイトはコチラ

犬に使わない方が良い薬

人間が使って問題がなかったとしても、犬が使うことで悪影響を及ぼす薬もあります。使用することでどのような症状が見られるのかを解説します。

マキロン
傷口の消毒に使用されるマキロンは、人間にとっては非常に安全性が高い薬として知られています。そのため、生まれたばかりの赤ちゃんのおへそのケアなどにマキロンを使用する人も多いでしょう。

しかし、マキロンを犬に使用することで炎症が広がる可能性があります。ヒリヒリとした刺激でパニックを起こす子もいるため、使用しない方が無難だといえるでしょう。

また、マキロンの消毒作用によって再生細胞が破壊され、傷の治りが遅くなる可能性もあります。

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愛犬のケガを防ぐためには?飼い主ができる対策

愛犬にはできるだけケガのないよう安全に過ごしてほしいものですが、それには飼い主の力も必要です。どうすれば愛犬のケガを未然に防ぐことができるのか、可能な対策を3つ紹介します。

安全な道を歩かせる

普段の散歩コースを一度見直してみてください。細かいゴミが頻繁に落ちているような道や、尖った石が目立つような道は、散歩中に肉球を傷つける可能性があります。

歩くだけで痛みを感じるような道では、せっかくの散歩時間も楽しく過ごせません。できるだけ安全な道を歩かせることで、ケガのリスクが減らせるだけではなく、愛犬も安心して散歩を楽しむことができるでしょう。

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他の動物とケンカをしないようしつける

散歩中に他の犬とすれ違ってケンカをしたり、野良猫とケンカをして引っかかれたりなど、動物間のトラブルを減らすために、飼い主がしっかりしつけを行なうことが大切です。

他の動物とケンカをしないこと、威嚇をしたり、反撃したりなどの相手が嫌がることをしないことをしっかり教え、トラブルを未然に防ぎましょう。それがケガを避けることにもつながります。

犬用靴下を履かせる

毛で覆われていない足裏は擦り傷を作りやすいため、歩きながらケガをしないよう犬用の靴下を履かせてみてください。それだけでも擦り傷のリスクを大きく減らすことができます。

犬用靴下は様々なサイズがあり、なかには防水加工が施されているものもあるため、雨や雪の日の散歩でも安心です。

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犬の擦り傷には正しい処置をして安心させてあげよう

犬が擦り傷を作ってしまう原因は身近にたくさんあります。そのため、いつでも対処ができるよう犬用の薬を常備しておくと安心です。

また、犬は全身を体毛に覆われているため、軽度の擦り傷だと飼い主でも気づけない場合があります。もしも普段とは違う愛犬の様子が見られたら、それはどこかに傷を負っているサインかもしれません。

日頃から愛犬の様子を観察し、異変を感じたらすぐに見てあげるようにしましょう。

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