うさぎの寿命は、人間と比べるとはるかに短いものです。しかし、家族の一員として生活をしているのですから、少しでも長生きしてほしいですよね。そこで、今回はうさぎの寿命について紹介します。人間に例えるとどんな年の取り方をするのか、また長生きさせるには、飼い主がどう工夫をすれば良いかなど、具体的な方法もお伝えします。
目次
うさぎは飼育と野生で寿命が変わる
うさぎは、飼育下にあるか野生かで寿命が大きく変わります。野生のうさぎは、天敵動物が多いことから、常に気を張った生活を強いられます。そのため、ストレスをため込みやすく、寿命そのものが短い傾向があります。寿命をまっとうしても、大体4~5年程度でしょう。
一方、飼育下のうさぎの平均寿命は、およそ7~8年程度です。なかには、10年以上も長生きする子もいます。これは、ペットフードの質が向上したことや、医療が進歩したことなどが大きく影響していると考えられるでしょう。飼育環境が良くなったおかげで、たくさんの時間をうさぎと過ごすことができるようになりました。
うさぎの年齢とライフステージ2018年版
以前は、5~6年くらいがうさぎの寿命と考えられてきましたが、現代の飼育環境の向上により、平均寿命は延びてきています。そこで、2018年現在で、うさぎのライフステージはどういった構成となっているのかを紹介します。
参考書籍:うちのうさぎの老いじたく(p19)
成長期
生後約6~8週間で離乳し、性成熟を経て、1歳で成長期に入ります。ある程度体ができあがってくる頃ですが、まだ周りの環境から影響を受けやすく、体調が安定しない子もいます。うさぎの1歳は、人間で言うと20歳くらいなので、うさぎの年の取り方は非常に早いと言えるでしょう。
青年~壮年期
2歳になると、青年期を迎えます。完全に大人となるため、好奇心も旺盛で活発になります。しっかり環境を整えてあげなければ、不測の事故も起こりやすくなるので、気を付けましょう。そして、壮年期の4~5歳くらいになると、人間でいう40代に突入します。
中年期
6歳からは中年期となり、シニアの仲間入りをします。まだまだ元気な子も多いですが、人間でいう50代半ばくらいなので、筋力の低下や体調を崩しやすくなるなどの変化が見られることがあります。
老年期
8歳以降は老年期となります。平均寿命となるため、老年期に入った頃に亡くなってしまう子もいるかもしれません。体力の衰えが著しく、怪我や病気にかかりやすいため、今一度飼育環境の見直しをしましょう。
うさぎの年齢を人間に換算するとどうなる?うさぎの祝い年一覧
人間は、長寿のお祝いがたくさんありますよね。60歳の還暦から始まり、いくつかの祝い年を重ねながら長寿をお祝いします。では、それをうさぎに例えるとどうなるのでしょうか。人間における祝い年は、果たしてうさぎの何歳に該当するのかをまとめました。
還暦
長寿のお祝いで、一番最初に訪れるのが還暦です。人間は60歳が還暦となりますが、これはうさぎの7歳に該当します。まだまだ元気な子が多いため、還暦と言われても実感がわかないかもしれませんね。これから老いが進むことを考え、飼育環境や餌の見直しなど、老い支度を進めた方が良いでしょう。
古希
古希は、70歳の祝い年です。人生50年と考えられていた昔は、70年生きることは非常にまれでした。それを唐の詩人が曲江詩に記したことが、古稀(古希)という祝い年の由来になっていると言われています。人間の70歳は、うさぎの9歳くらいを指します。活発だった子も、年相応の穏やかさを身につけるようになるでしょう。
喜寿・傘寿
喜寿は77歳、傘寿は80歳の祝い年です。うさぎで言えば大体10歳くらいですね。うさぎの平均寿命を超えているだけでなく、10歳という区切りが良い年なので、盛大にお祝いしてあげましょう。
卒寿
90歳の卒寿は、うさぎで言えば13歳くらいです。平均寿命を5年近く上回っているため、十分長寿と言えるでしょう。
白寿
「百」から一を引くと「白」になるため、白寿と呼ばれます。99歳の祝い年で、うさぎは14歳くらいで白寿に値する年齢になると言われています。100歳も目前なので、盛大にお祝いをする準備をしてあげたいですね。
百寿
100歳の祝い年で、1世紀を丸々生きたことになるため、紀寿とも呼びます。うさぎは大体15歳くらいで人間の100歳以上になるため、15歳になったらお祝いしてあげましょう。
ギネス記録を持つ長寿うさぎは人間で言うと122歳!
うさぎの長寿記録を持つのは、フロプシーという名のうさぎです。その記録は、なんと18歳10ヶ月で、人間に換算すると122歳となります。人間でも120歳を超えることは難しいので、短命なうさぎにとっては大記録と言えるでしょう。
生活を見直してうさぎの寿命を延ばそう
うさぎの平均寿命は、他の動物に比べて決して長くはありません。しかし、飼育環境や餌など、飼い主が工夫を行なうことで、平均寿命よりはるかに長生きする子もたくさんいます。
できるだけうさぎと長い時間を過ごせるよう、具体的にどういった工夫を行なえば良いかを紹介します。「老いてきたなと思ってから取り組もう」ではなく、うさぎが若いうちから始めておくと、もっと寿命を延ばすことができるかもしれませんよ。
環境
飼育環境は、うさぎにとって非常に重要です。住みやすければ、ストレスを感じることなく、快適に生活ができるでしょう。
不測の事故を防ごう
基本的にケージの中で飼育をすることになりますが、気分転換や運動のためにケージ外に出すこともあるでしょう。その際、もっとも怖いのが事故です。犬や猫のように、ソファーやイスをジャンプして走り回ることはありませんが、活発な子であれば、家中を走り回って家具に足をぶつけたり、机の脚に頭をぶつけたりなどが考えられます。危うく飼い主がうさぎを踏みかける、ということもあるかもしれませんね。
骨折するような怪我ではなかったとしても、うさぎにとっては大きなストレスとなるため、事故をしないよう気をつけなければなりません。あまりものを置いていない場所で過ごさせてあげるか、すぐ対処できるよう近くにいてあげるなどし、不測の事故からうさぎを守りましょう。
ケージ内を清潔にしよう
うさぎはきれい好きなので、ケージ内が汚れているとストレスがたまります。そのため、ケージ内は小まめに掃除をし、快適に過ごせるよう清潔感を維持しましょう。
ストレスのない室温にしよう
自分で体温調整を行なうのが苦手なので、季節に合わせた室温管理を行なう必要があります。
- 梅雨
- 夏
- 冬
湿気を嫌うだけでなく、ジメジメとした環境はダニやカビを発生させる原因となります。そのせいで皮膚炎を発症する恐れがあるため、湿度管理をしっかり行なうことが大切です。梅雨の時期に限らず、湿度は40~60%を保てるようにしましょう。
全身がふわふわな毛で覆われているため、暑さにはめっぽう弱いようです。日が当たっていなくても、室内はどんどん温度が上昇するため、うさぎが熱中症になってしまうこともあります。クーラーや扇風機などを上手に使い、28℃以上にならないよう気を付けましょう。
少しでも涼しく過ごすために、水を入れて凍らせたペットボトルをタオルで包み、ケージの上に置くのがおすすめです。冷たい空気は下にたまる性質があるため、凍ったペットボトルの冷気が、ケージ内の温度を下げてくれるでしょう。
暖房で室温をキープさせ、15℃以下にならないようにするのが基本です。しかし、暖房の温風が苦手だという人も多いでしょう。そんなときは、ペットヒーターを利用することをおすすめします。うさぎの手が届かない場所に配置すれば、やけどのリスクも防げます。「ずっと暖房やヒーターを使うのは、電気代が心配」という人であれば、ケージに毛布をかけたり、湯たんぽを置くなどするのもおすすめです。
生活習慣
日々の生活習慣が、うさぎの健康状態を大きく左右します。寿命を延ばすためには、健康的な生活を送ることが大切なので、以下のようなことを見直してみましょう。
適度な運動をさせよう
筋力が低下すると、若い頃のように動くのが億劫になるだけでなく、筋肉が固まってうまく体が動かせず、怪我をする恐れがあります。筋肉の維持や関節の柔軟性は、長生きをするうえで必要なポイントとなるでしょう。そのため、できるだけ運動をすることを習慣化し、筋肉に刺激を与えることが大切です。
うさぎの体調が悪くなければ、積極的にケージの外に出し、たくさん動く機会を与えてください。のんびり屋でケージから出ようとしない子であれば、好物やおもちゃで誘ってみるのもひとつの手段です。飼い主が一緒に遊ぶことで、体を動かすことを楽しいと感じてくれるでしょう。
正しい食生活で肥満を防止しよう
うさぎの主食は、ペレットと牧草です。特に、牧草には食物繊維が豊富に含まれており、腸内の働きを活発にしてくれます。毛づくろいで飲み込んだ毛も、牧草が排出を手助けしてくれるでしょう。しかし、お腹に牧草がなくなると、胃腸の働きがストップし、最悪の場合死に至ることもあるようです。
栄養バランスが取れたペレットだけで十分、と考える人もいるかもしれませんが、むしろペレットより牧草を優先的に食べさせた方が、健康には良いと言えます。また、副食として野菜を与えることもありますが、うさぎにとっての野菜は嗜好品となるため、与えすぎないよう注意してください。
ストレスフリーな生活を目指そう
野生のうさぎは、体調不良や怪我などを敵に知られれば、それが命取りとなります。そのため、自分の弱さを周りに見せないようにするのが癖となっているようです。その名残が飼育うさぎにも見られ、飼い主に老いなどから来る不調を見せまいと、病気や怪我を隠そうとすることがあります。
これは、うさぎ自身にとってもストレスになるので、飼い主がいかに安心できるような存在になれるか、が重要なポイントとなります。ストレスフリーな環境を整えることも大切ですが、うさぎが「弱さを見せても大丈夫」と思えるような飼い主になることも大切です。
健康診断を受けさせよう
犬や猫のように鳴かない動物なので、飼い主が日常から異変に気付くのは難しい場合があります。そこで大切なのが、定期的に健康診断を受け、病気や怪我を早期発見することです。健康診断によって隠れた病が見つかる可能性があるだけでなく、早めに対処することで、うさぎに対する負担を最小限に、不調による不安を取り除いてあげることができます。
こんな様子が見られたら老化の合図!老後に備えて準備を進めよう
毎日一緒に過ごしていると、どんな様子が老化と言うのか分からない人も多いでしょう。そこで、老化によってうさぎに見られる変化を、いくつか紹介します。老後を快適に過ごすための準備を始める合図として、覚えておきましょう。
食の好みが変わる
牧草をメインに食べるうさぎですが、好みの変化によって、今まで通りに食べてくれなくなる可能性があります。牧草を残すようになったり、茎ではなく柔らかい葉ばかりを食べるようになったりなど、変化は様々です。食べ残しが目立つようであれば、餌を変えてみてください。
また、餌を食べたいけれど、食器が深すぎて食べらないから食が進まないという可能性もあります。そのため、餌の内容だけでなく、食器も食べやすいものかどうかを見直してあげてください。
動きが鈍くなる
動くのが億劫になり、常に同じ場所でのんびりしたり、ロフトなどに登らなくなったりします。耳が遠くなるなどの老化現象が進むため、活発に動くのが怖いのかもしれませんね。運動を無理強いすると、怪我をする恐れがあるため、ロフトやトンネルなどはケージからはずしてあげましょう。
毛のボリュームが減る
筋肉が衰えてくることで、若い頃より体が小さくなったような印象を受けます。毛のボリュームもなくなり、お尻も小さくなります。
甘えん坊になる
今まではマイペースに過ごしてきた子も、老化によって甘えん坊になる傾向があります。飼い主が撫でてくれるまで動こうとしなかったり、自分から歩み寄ってくる姿も多く見られるでしょう。なかには、涙もろくなったせいで、涙やけができることもあるようです。自分の老いに不安を感じているのかもしれませんね。甘えてくるときはたっぷり甘えさせてあげてください。
飼い方に気を付ければ平均寿命より長生きすることも可能
うさぎの寿命は7~8年くらいですが、飼育環境や餌などにより、10年以上長生きさせることも可能です。もちろん、そのためには飼い主の努力や工夫が必要です。「まだ若いから」と思っていると、あっという間にシニア期に入ってしまいます。
できるだけ早いうちから、老後に向けての準備を始め、快適に過ごせる環境を整えてあげることが大切です。ストレスフリーな生活を目指せば、20歳という新記録を達成させることも不可能ではないかもしれませんよ。