人間と同じで犬も睡眠はとても大事です。犬の睡眠時間の変化は、病気やストレスのサインである場合があります。また、個体差によって、睡眠時間の平均や年齢での違いがあります。愛犬が健康に過ごせるようにするためにも、犬の眠りを知ることは非常に重要です。
目次
犬の睡眠時間の平均
人間の場合は1日のうち約1/3を睡眠に充てていますが、犬の場合は1日の約半分は睡眠の時間に充てています。年齢によって異なる睡眠時間をそれぞれ見ていきましょう。
年齢での平均睡眠時間の違い
子犬…18〜19時間/日
子犬は成犬に比べてやや睡眠時間が長めです。子犬は成犬に比べ当然体力も少ないですが、成長のスピードが早く、好奇心旺盛で活発に動き回ることが多いので、エネルギーの消費もかなり多くなります。
そのため、しっかりと寝て体力を回復させる必要があります。可愛いからといって寝ている子犬を起こして遊ぶことは禁物です。体力を回復させる時間を意識してしっかりと作ってあげましょう!
成犬…12〜15時間/日
成犬の場合は、子犬や老犬に比べると睡眠時間が短くなることが多いようです。しかし、成犬のなかでも犬種や体のサイズでも違いはあり、ダックスフンドやチワワなどの小型犬は約10〜11時間と短めで、逆にゴールデンレトリバーなどの大型犬は睡眠が長めになる傾向があります。
老犬の場合…18〜19時間/日
老犬の場合も子犬と同じくらいの睡眠が必要といわれています。理由としては体力の衰えが一番に考えられるでしょう。ご飯やトイレ以外はほぼ寝て過ごすことも増えていきます。無理に動かすことは避けて、様子をみながら適度な運動時間を設けてましょう。
犬の睡眠時間が長い理由
【画像】:ポペットフレンズのハニーちゃん
犬はもともと狩りをする動物でした。狩り以外の時間は睡眠をとることで体力を温存していたのです。その名残りがいまも残っているといわれています。
しかし、犬は長く眠るといっても、1日のなかで深く長い睡眠をとるのではなく、浅く短い眠りを繰り返します。これは外敵から身を守るための本能であり、危険を察知してすぐに覚醒状態になる必要があったためと考えられます。
ちなみに睡眠には、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠のパターンがあります。
レム睡眠(浅い眠り)は体は休息状態ですが、脳は活動して覚醒状態にあります。夢をみるのはこのレム睡眠時となります。
逆にノンレム睡眠は脳が眠っています。ぐっすり深い眠りの状態ですので、物音や体が揺さぶられても起きません。ノンレム睡眠から強制的に起こされても脳はすぐに休止状態から覚醒することができず、次の行動に移るまでにしばらくの時間を必要とします。(寝ぼけ状態)
人間の場合はレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返し、睡眠の80%がノンレム睡眠(深い眠り)、残り20%がレム睡眠(浅い眠り)ですが、犬の場合は、ノンレム睡眠(深い眠り)は全体の20%もなく、睡眠時間の大変が眠りの浅いレム睡眠状態といわれています。
そのため犬は眠っていても常にちょっとした物音ですぐに目が覚めてしまいます。
睡眠中の痙攣や寝言
【画像】ポペットフレンズのステラちゃん
犬が寝ている最中に痙攣や体が動いたり、寝言をいうように唸ったりすることがあります。これは人と同じように夢をみている状態といわれています。
また子犬は成長の過程で睡眠中に痙攣することがあります。愛犬が睡眠中に痙攣していたり、唸っているときは無理に起こすとストレスになってしまうため、無理に起こさずそっと見守ってあげてください。
犬の睡眠と病気
睡眠から愛犬の異常を知る
犬にとって睡眠は大事なものです。上記でご説明した通り、人間とは違い1日のなかで頻繁に睡眠の時間をくり返し、トータルで長い睡眠時間をとります。
しかし、睡眠が短かかったり、逆にあまりにも長かったりする場合は愛犬の体に異変が起こっていることがあります。睡眠に関連する体の異変をいくつかご紹介します。
ストレス
愛犬があまり寝ていない場合、ストレスを抱えている恐れがあります。犬は環境の変化に敏感で、特に引越しなどで慣れていない生活環境に置かれた場合に、落ち着いて寝ないことがあります。
愛犬が安心して眠れる場所を早めに整えてあげることが必要です。また犬が自分の足をずっとなめていたり、自分の尻尾を追いかけ回すことなどの場合ストレスが溜まっていることがあります。
そんなときは一緒に遊んであげるなど、ストレスを発散させてあげる気配りが大事にもなります。
甲状腺機能低下症
甲状腺とは喉下の両脇にある甲状腺ホルモンを分泌する器官になります。5歳以上の成犬や老犬に多く発症する病気ですが、まれに若い犬でも発症することがあります。
甲状腺ホルモンは全身(脳、心臓、消化官、骨、筋肉、皮膚、その他)の新陳代謝を活発にする働きがあります。
精神神経や身体の活動の調整にも働くものですが、甲状腺機能低下症が発症し甲状腺ホルモンの働きが低下してしまうと、それに伴って代謝の機能が低下することで眠くなってしまいます。
水頭症
脳で分泌される脳脊髄液が以上に増えることで脳を圧迫してしまい、脳の周りにある神経などに影響を与えてしまう重い病気です。遺伝による先天性のものと、外傷などが原因の後天性のものがあります。
先天性の場合、チワワやダックスなどの小型種や短頭種に多くみられます。水頭症の犬は1日の大半が眠っていたり、ぼーっと過ごしたりします。
ナルコレプシー
ナルコレプシーとは場所や状況に関係なく突然強烈な眠気の発作が起きてしまう睡眠障害です。直前まで元気に遊んでいたのに急に倒れこみ眠ってしまいます。
ナルコレプシーはいまのところ完全に治すことはできませんが、薬や生活習慣の改善等である程度緩和した事例もあるようですので、このような症状がみられた場合は動物病院に相談してみてください。
糖尿病
犬も糖尿病になりますが、症状が悪化すると寝ていることが多くことがあるようです。
体の痛み
関節など体に痛みがあることで動くことができず結果的に1日を寝て過ごすこともあるようです。いつもより寝ていることが多くなったと感じられたときは体を痛めている恐れがあります。
愛犬の安心できる睡眠環境を整えてあげよう
【画像】:ポペットフレンズのロコちゃん
睡眠の質を高める
愛犬がストレスなく安心して眠れるようにするためには、愛犬専用の寝床を作ってあげることも重要です。犬は本能的に外敵から身を守ること考えながら行動しますので、安心して眠れる場所がないと常に気を張っておかなくてはならず、ゆっくりと眠ることができません。
そのような状態が続きますと、ストレスがたまり、結果的に命を縮めてしまうことにもなりかねません。それでは犬が安心して眠れる寝床をいくつかご紹介します。
寝床をゲージやサークルで囲う
基本的に広い場所よりも狭い場所で寝ることを好みます。これは広い場所だと外敵に狙われやすいと判断するためです。愛犬の体の大きさを考慮して適切なスペースを保つようにしましょう。
【画像】ポペットフレンズのステラちゃん
人間と同じように暑すぎても寒すぎてもゆっくりと眠ることができません。適度な涼しさと暖かさを保てる場所に寝床を作ってあげましょう。
また、犬は自分の過ごしやすい場所を自らみつけます。寝床とは別によく休んでいたり眠っていたりする場所があれば、そこに寝床を作ってあげるのもひとつの方法かもしれません。
愛犬の様子をみながら季節に応じて寝床を移動するなど工夫してみてください。
清潔な寝床にする
犬が安心して眠れるように適度な温度を保つことは重要ですが、そのために菌が繁殖しやすくなることにもなります。繁殖した菌が原因で皮膚病などの病気になってしまう恐れも十分に考えられますので、室内、室外にかかわらず常に寝床を清潔に保ってあげることが大事です。
また犬は排泄物の近くで眠る事は基本的に好みませんが、子犬やしつけがされていない犬は寝床とトイレを勘違いしている場合にトイレで寝てしまうこともあります。
そういった場合は清潔な寝床をやさしく教えてあげましょう。そうすることで病気を予防することにもなり、愛犬が快適な睡眠時間を確保することができ、健康で過ごすことができるようになります。
愛犬と長く過ごすためにも健康的な睡眠を!
犬が健康的に過ごすためにはしっかりと睡眠をとる必要があります。睡眠が不十分だとストレスも溜まりやすくなり、溜まったストレスが原因で免疫力が低下し、結果的に寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
愛犬との楽しい生活を長く続けるためにも、適した睡眠がとれるように愛犬への心配りが必要です。