長い毛を優雅に揺らす姿が印象的なペルシャは、昔から多くの交配が進められてきたため、現代では様々な種類が存在します。ふわふわな毛並みでカラーバリエーションも多く、優雅な印象があるため、飼ってみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。では、猫の王様の異名を持つペルシャはどんな性格の持ち主なのか、飼ううえでの注意点などとあわせて紹介します。
目次
ペルシャの性格をルーツから知ろう
実は、ペルシャのルーツは未だはっきり分かっていません。起源における説が乱立しており、ペルシャの祖先だと言われている猫も、文献上に2匹登場しているため、どれが本当なのかが定かではありません。
しかし、「ペルシャ」というのは昔のイランの国名であることから、イランに関わる説が多く残っています。
起源は明確になっていませんが、その後時代の流れとともに様々な国から輸入された長毛の猫と交配され、ペルシャの原型が作られたと言われています。
古くからキャットショーの常連だったペルシャは、より美しい色や毛並みを求めて様々な交配が行なわれてきました。その結果、いろんな血が混ざり、ペルシャとひとことに言っても様々な性格や特徴があることがうかがえます。
人々の注目を集めてきたことが由来しているのか、落ち着いていて堂々としている姿はまさに「猫の王様」と呼ぶにふさわしいと言えるのではないでしょうか。
ペルシャの基本的な3つの性格
おとなしい
温厚でおとなしい性格で、あまり大きな声をあげて鳴くことはありません。神経質になることも少ないため、他の動物がちょっかいを出してきても、気にせず悠然としていることが多いようです。
他者との適切な距離感を保つのが上手で、飼い主に依存することもありません。他の動物と一緒に飼われていても、良好な関係を築きやすい特徴があります。
おっとりとしているため、猫のなかでも比較的飼いやすい品種だと言えるでしょう。
甘えん坊
猫と言えば一匹狼のような印象を持つ人も多いのですが、ペルシャはその逆で人懐っこく愛情深い猫です。
「猫の王様」という異名から、飼い主に対してあまり興味がなく悠然と過ごしているのではという印象を受けますが、実際はそうでもありません。
甘えん坊なところもあるため、静かに飼い主に寄り添う姿もよく見られますよ。
天邪鬼
無邪気に甘えてくる品種とは違い、そっと寄り添うように甘えてくる可愛らしさがあるペルシャですが、長時間抱っこされたり、必要以上に構われるのを嫌う傾向があります。
自分から近づいてきたにもかかわらず、抱っこをした途端に逃げてしまう子もいるため、その天邪鬼な姿に戸惑う人もいるでしょう。
マイペースで自分の気の向くままに行動する姿は、確かに王様らしさを感じますね。
ペルシャの性格は種類別でも違う
基本的なペルシャの性格は先述しましたが、ペルシャは毛色や交配された猫によって様々な種類が存在します。
交配元となる猫の性格を受け継いでいる子もいるため、種類によっては性格に違いが見られることがあります。では、どんな違いが見られるのか、以下の3種類を例に挙げて紹介します。
シルバー&ゴールデン
一般的にチンチラと呼ばれる猫たちのことです。チンチラはペルシャ猫の一種で、以下の4つのカラーバリエーションがあります。
- シェーテッドゴールデン
- チンチラゴールデン
- シェーテッドシルバー
- チンチラシルバー
大きく分けてゴールドとシルバーの2種類になるため、部門としては「シルバー&ゴールデン」とまとめられています。
抱っこされたり構われたりするのを嫌うにもかかわらず、自分から寄ってくるというツンデレな姿が見られるため、そのギャップに心を掴まれてしまう人も多いようです。
そのなかでもゴールデンは、比較的穏やかでフレンドリーな性格だと言われています。人見知りで怖がりなところもありますが、優しく接してあげることで心を開いてくれるでしょう。
一方、シルバーはプライドが高く綺麗好きな傾向があります。見た目から優雅な印象がありますが、実は人間が大好きで活発な面も持ち合わせています。
おもちゃを持って遊びに誘うと、意外とスムーズに寄ってきてくれるかもしれませんね。
ヒマラヤン
ペルシャ猫とシャムの交配で生まれたヒマラヤンは、ペルシャの影響が強いせいか、穏やかでおとなしい性格の子が多い傾向があります。
一方で活発な面もあり、人間と遊ぶのも大好きです。他者との距離感の保ち方が上手で甘え方がしつこくなく、気づけばそばにいる、というようなさり気ない寄り添い方をしてきます。
若いうちは特に活発で、年齢を重ねていくにつれておとなしくなるところが、まるで人間の成長を見ているようで面白いですね。
初対面の人や、他の動物たちとも上手に付き合っていけるため、ペルシャのなかでも特に近寄りやすい品種だと言えそうです。
エキゾチックショートヘア
アメリカンショートヘアの血を受け継いでいるため、活発なところが多く見られます。運動をするよりのんびりしている方を好むペルシャと違い、ハンティングを好む傾向があるため、小動物を飼っている場合は要注意です。
甘えん坊で抱っこが大好きですが、飼い主に依存して後をついてまわったり、気を引こうといらずらをしたりすることはほとんどありません。そこは、ペルシャのおとなしい性格を受け継いでいるからかもしれませんね。
ペルシャはオスとメスで性格が違う?
おとなしく温厚な性格がペルシャの特徴ですが、性別によっても性格の違いがあります。それぞれどんな性格が見られるのでしょうか。
オスの場合
比較的やんちゃで活発な面があります。家の中を慌ただしく走り回るほどではありませんが、興味をそそられたものには自分から歩み寄って行ったり、おもちゃで遊んだりなどの姿が見られます。
なかには、外に出て冒険をしているうちに、迷子になってしまう子もいるかもしれません。甘えん坊で自分から飼い主に寄ってくる姿も見られるため、猫と遊びたい人はオスを飼うことをおすすめします。
メスの場合
自立心が強く、慎重派なのがメスです。甘えたいときには寄ってきますが、ツンデレな面があるため抱っこをするとすぐ逃げてしまうこともしばしばあるでしょう。
ミステリアスで感情が読み取りにくいことから、愛猫との接し方に悩む人も多いのですが、それと同じように猫自身も飼い主との接し方に悩んでいます。
どんな距離感を保って接すれば良いか分からず、ストレスをため込んでしまう子も多いようです。コミュニケーションをとるためには、愛猫の様子をしっかり観察してあげることが大切です。
マイペースなペルシャは飼うのが難しい?相性が良い人の特徴4つ
猫の王様と呼ばれるペルシャは本当にマイペースです。甘えてきたかと思えば逃げてしまうこともあり、頭を撫でようとしただけで機嫌を損ねてしまう子もいます。
そんな気分屋のペルシャと相性が良い人はどんな人なのでしょうか。飼いたいと思っている人は、以下の特徴に自分が当てはまるかを確認してみてくださいね。
猫の機嫌を見極められる人
先程も説明したように、ペルシャはとにかくマイペースです。飼い主の言葉に従順な性格ではないため、何を言っても聞いてくれないこともあるでしょう。
唯我独尊で我が道を行く品種なので、飼い主の思い通りにしようと思っても無駄です。
だからと言って、放置しているとお互いにコミュニケーションがとれず、猫がストレスをためてしまう可能性があるため、飼い主は機嫌を見極めながらコミュニケーションをとることを面白がれるようなタイプがいいかもしれせん。
猫が好きなように行動しているときは静かに見守り、飼い主の方に歩み寄ってきたときに相手をしてあげる程度の干渉がちょうど良いのかもしれませんね。
一緒にのんびりできる人
種類によっては活発な子もいますが、基本的にペルシャは運動を苦手とする品種です。そのため、歩くのもゆっくりで、家の中でゴロゴロとしている時間も長くなります。
このままでは肥満になるのでは、と危機感を抱いてしまう飼い主のなかには、無理矢理運動をさせようと考える人もいるでしょう。
しかし、無理強いをさせると猫の機嫌を損ねる一方なので、基本的には一緒にのんびりできる人の方が相性が良いと言えます。
優しい人
ペルシャのなかには、臆病で用心深い子もたくさんいます。そんな子に対して厳しい言葉を投げかけたり、怒鳴ったりすると飼い主に対して恐怖心を抱いてしまう可能性があります。
ペルシャは基本的におとなしい性格のため、頻繁にいたずらをするようなことはないと思いますが、万が一いたずらをした場合でも、優しく言い聞かせるように叱ることが大切です。
心に余裕を持ち、愛猫に優しく接することができる人であれば、ペルシャとの相性も良いでしょう。
几帳面な人
長い毛を持つペルシャは、綺麗好きな子が多い傾向があります。自身で行なう毛づくろいには限界があるため、シャンプーやブラッシングなどのケアを小まめに行なってあげる必要があります。
猫のケアをするのが好きな人や、几帳面な人と相性が良いと言えるでしょう。
ペルシャを飼ううえで気をつけたい4つのポイント
おとなしくあまり鳴かないため、飼いやすい品種ではありますが、ペルシャを飼いたいのであれば気を付けなければならないことがいくつかあります。
その内容を4つのポイントに分けて解説します。これから飼おうと思っている人も、すでに飼っているという人も参考にしてみてください。
適度に運動させよう
運動不足は肥満を招き、それによってケガや病気にかかるリスクを高める可能性があります。そのため、できるだけ体を動かして適正体重をキープさせることが大切です。
しかし、先程も説明したように、ペルシャは運動が苦手な品種です。無理に運動をさせようとすると機嫌を損ねてしまうため、ハードな運動でなくても、愛猫の気が向いたときにおもちゃで遊んであげる程度で大丈夫ですよ。
小まめにブラッシングをしよう
長く美しい毛を保つためには、小まめにブラッシングをしてあげることが大切です。特にペルシャの毛はダブルコートで毛が密集し、艶やかで柔らかさもあります。
この美しい毛並みがキャットショーの常連品種となる所以なのですが、この毛並みを維持させるのは簡単なことではありません。長くて毛量が多い分、絡まったり抜けたりすることも多いため、丁寧なグルーミングが必要です。
目や鼻のケアを小まめにしよう
ペルシャの顔は、他の品種とは違う特徴があります。それは目と鼻の距離が近く、そのうえ鼻自体も短いということです。これを、鼻が潰れたような見た目から「ピークフェイス」といいます。
ピークフェイスの猫は涙や目やにが出やすい傾向があるため、目の周りが頻繁に汚れることがあります。
ときには、涙管の変形や眼球の突出などの問題が見られることもあるため、顔のケアは小まめに行なってあげましょう。
また、鼻が短いことからペルシャはご飯を食べるのがあまり上手ではありません。キャットフードが鼻や目についてしまうことも日常茶飯事なので、食事の後は口周りだけでなく、鼻や目の辺りも綺麗に拭いてあげましょう。
室温の管理に気をつけよう
猫は人間のように汗をかいて体内の熱を発散させることができないため、自力で体温調節をするのが苦手です。
舌を出して呼吸をすることで熱を逃がしたり、冷たいフローリングなどに寝転がって体温を下げるなど、様々な工夫で暑い夏を乗り切ろうとします。
ペルシャは体毛が多いため、より体温調節を行なうのが大変です。ふさふさとした毛のせいで熱が逃げにくく、外部からの冷たさが届きにくいためです。
日本は年々暑さが厳しくなっている傾向があるため、暑さに弱いペルシャにとって夏はとても過ごしにくい季節となるでしょう。場合によっては夏バテや熱中症を起こす可能性があるため、室温を管理して過ごしやすい環境を整えてあげることが大切です。
ペルシャは可愛いけれど構いすぎにはご注意を!
のんびりと落ち着いているペルシャは、誰も寄せ付けないような気品漂う雰囲気を放ち、近寄りがたさを感じることもあるかもしれません。
しかし、そんな猫が甘えて近寄ってくる姿を見ると、思わず抱きしめてあげたくなりますね。
愛らしさ、飼いやすさ、優雅さの3拍子が揃ったペルシャは、数ある品種のなかでも人気が高く、毛色も豊富なため、飼うときには好みの子を選べるのが嬉しいですね。
ペルシャはマイペースでツンデレな性格の子が多いため、最初はコミュニケーションのとり方に手こずる人も多いでしょう。しかし、焦って距離を縮めようとする必要はありません。
愛猫のペースにあわせて接したり、小まめにグルーミングを行なったりすれば、自然とコミュニケーションをとることができるようになります。
最初はツンケンしていても、時間をかけて少しずつ愛情を育んでいけば、素直に甘えてくれるその姿に虜になってしまうかもしれませんね。