目次
マンチカンとは
マンチカンの誕生と歴史
マンチカンのはじまりは、1944年にイギリスのジョーンズ博士によって報告されました。その後、1953年にロシアで、1964年にはアメリカでも足が短い猫が発見されたという報告がありますが、それは突然変異によるものでした。
マンチカンとしての品種の繁殖を本格的に始めたルーツは、1983年にアメリカのルイジアナ州のトレーラーの下に暮らしていたブラックベリーという名前の猫がきっかけです。ブラックベリーは、保護された時にお腹に子どもがいて、出産したところその半分の子猫が短い足をしていました。その中のトゥールーズと名付けられたオスの子猫が引き取られて、短足猫の繁殖が始められました。はじめのころは近親交配による遺伝子疾患のリスクを考えて、短足猫以外の猫と掛け合わせていました。
短い足は研究対象となり、研究結果により短足なのは障害ではなく遺伝子の突然変異だったことが分かりました。その後、本格的な繁殖が始まって交配を重ねて、1995年に世界的権威のある血統書の登録期間であるTICA(ザ・インターナショナル・キャット・アソシエーション)に認定されました。この認定によって、足は疾患ではなく突然変異によるものであり、「短足」というのものは猫種の個性だということが認識されました。
しかし、マンチカンについては遺伝学者や愛好家の間でも見解の違いがあり、国際的な猫血統登録団体のCFA、GCCF、FIFeではいまだにマンチカンを猫の品種として認めていません。
足が短いのは障害のように言われていた時期があったのは事実ですが、現在は研究によってマンチカンの足の長さは、自然発生した遺伝子の染色体突然変異であることが分かっています。そして、身体の機能についても問題がないことが明らかにされています。
マンチカンの名前の由来
マンチカンの名前は、英語の小さい人「munchkin」(マンチキン)からきているといわれています。また、他には小人の一族が『オズの魔法使い』に登場する名前にちなんだという説もあります。
マンチカンの特徴
足が短い
マンチカンの最大の特徴は足の短さですが、実はマンチカンには普通の猫と同じくらい足が長い猫も多くいます。足の長さに関係なく、血統がマンチカンであれば「マンチカン」として登録されます。
また、マンチカンは足が短のですが、筋肉質で素早く走りますしジャンプも他の猫種と変わらずできます。木登りも得意という意外な面もあるので、足が長い猫と同じような動きができます。
体格の特徴
マンチカンは他の猫種と比べると少し小さめで、体重はオス猫で3~4キロ、メス猫は2~3キロです。身体は少し丸みを帯びていて、長い尻尾です。骨格はしっかりしていて、筋肉質で引き締まった身体をしています。丸顔で大きな耳を持っていて、愛くるしい雰囲気を持っています。
また、足が短いとバランスを取りやすく、身体を起こして後ろ足2本で立つことができます。足が短いマンチカンは足の長さは10センチほどしかありませんが、走るのは得意です。
毛色の特徴
マンチカンはペルシャ猫、アビシニアン、シャム猫などの多くの猫種との交配をしてきてた歴史があります。そのため、毛の長さや色柄がさまざまな種類がいます。毛色は、ホワイト、ブラック&ホワイト、レッド、ルーミンクなど、すべての毛色があります。
マンチカンの性格
穏やか
マンチカンは穏やかな性格の子が多く、飼い主だけでなく他の猫にも穏やかに接するので、多頭飼いにも向いている猫種です。性格は持って生まれたものの他に、産まれたときや飼育されたときの環境も影響を与えます。マンチカンがのびのび穏やかに過ごせるように、おおらかに育てると優しい性格の猫になるかもしれません。
好奇心旺盛
見た目では想像がつきにくいのですが、実はマンチカンは運動神経がよく活発な猫です。足が短いにも関わらず、走るスピードが速い特徴があります。好奇心旺盛で、気になるところには走っていき、あちこち探検しながら部屋の中を動き回ります。特に子猫のうちは遊ぶのが大好きなので、積極的におもちゃで遊んであげましょう。また、キャットタワーを用意し、十分に運動できる環境を整えてあげましょう。
人懐こい
マンチカンは人懐こく、甘えん坊な性格の子が多く、性別でいうとオスのほうが甘えん坊です。他の猫種と比べると、飼い主さんに甘える回数や時間が多いようです。ご飯をねだるときや、遊んでほしいときに足元にすり寄ってきたり、飼い主さんが出かけて帰ってくると玄関まで迎えに来て甘えてきます。
お留守番上手
マンチカンは好奇心旺盛で甘えん坊な面があるとともに、頭が良く聞き分けが良い性格をしています。その性格から、留守番が上手にできる猫といわれています。しかし、子猫のときは好奇心旺盛でいろいろなことに興味を持つので、誤飲やいたずらに注意が必要です。そのため、子猫のうちは外出するときはケージに入れておくと安心です。成猫になったら性格も落ち着いて、お留守番ができるようになります。
憶病
マンチカンは何にでも興味を持つ好奇心旺盛な性格ですが、その反面、憶病なところもあります。憶病な性格の猫に接するときは、急に大声を出したりせず怖がらせないように注意しましょう。
性別による性格の違い
オスの性格
マンチカンはオスのほうが穏やかで甘えん坊な性格をしています。飼い主が大好きで接しやすく飼いやすいため、猫を飼うのが初めての人におすすめです。
メスの性格
オスに比べて活発なのがメスの方です。遊ぶのが大好きなので、お気に入りのおもちゃでたくさん遊んであげましょう。
マンチカンの性格に合わせた飼育方法・しつけ
【画像】:ポペットフレンズのみつばちゃん
きつい叱り方をしない
マンチカンは憶病な性格をしているため、叱り方に注意が必要です。マンチカンに限らず、猫は大声できつく叱ると飼い主を怖がってしまい、それまでに築いてきた関係を壊してしまうことがあります。猫は犬と違って、飼い主のことをボスと認識していないので、犬のようなしつけ方はできません。しつけるときは根気よく優しく声をかけるようにしましょう。
また、叱る時には猫の名前を呼ぶのはやめましょう。自分の名前を呼ばれると怖いことがあると勘違いしてしまいます。いたずらをしたり危ないことをしたときは、「コラ」などと短い単語で叱りましょう。
部屋を清潔に保つ
猫はきれい好きな動物です。トイレが汚れていると、トイレを我慢してしまうことがあります。トイレを我慢すると膀胱炎になったり、尿関連の病気にかかってしまうことがあるので常にトイレを清潔にすることが大切です。
また、マンチカンは足が短いので部屋の中を片付けて、ケガをしないように注意してあげなければなりません。マンチカンの健康を守るためには飼い主の意識が大切です。
マンチカンと暮らすために注意すること
肥満に注意
マンチカンは足が短く、太りすぎると足に負担がかかってしまうので肥満に気をつけてあげる必要があります。また、活発で遊ぶことが好きなマンチカンは高タンパク質で高カロリーの食事が必要です。
しかし、食べさせすぎるも肥満になってしまいます。おやつをあげるときは、その分の食事を減らすようにして総カロリーが多くなりすぎないように注意しましょう。
コミュニケーションをしっかりとる
マンチカンは飼い主が大好きで、甘えん坊の性格をしているので普段からコミュニケーションをとるように心がけましょう。特にお留守番をさせたあとは、いつも以上に相手をしてあげましょう。コミュニケーションが足りないとストレスに感じてしまいます。
病気に注意
マンチカンは他の猫と比べると身体が小さいので、病気になってしまったときには抵抗力が弱いといえます。そのため、病気に注意が必要です。
- 椎間板ヘルニア
- 慢性腎不全
マンチカンは足が短く、足腰に体重がかかり負担となるため、椎間板ヘルニアになることがあります。椎間板ヘルニアになると、変な歩き方をするようになったり、失禁するようになるので、普段から注意して様子を観察しましょう。
マンチカンの寿命は平均で10~13歳です。10歳を過ぎると、高齢期に入り運動量が落ちていきます。寝ていることが多くなったり、肥満や糖尿病にかかりやすくなっていきます。猫は高齢になると慢性腎不全を起こしやすいため、定期検診を受けて病気を早めに発見することが重要です。腎不全にかかると、水を大量に飲むようになったり、おしっこの量が増えるという症状が見られます。
マンチカンに合った飼育環境を整える
マンチカンはとても活発で好奇心旺盛な猫です。遊ぶことが大好きなので、マンチカンが思う存分遊び回れるようにおもちゃやキャットタワーを用意してあげましょう。足が短いマンチカンでもジャンプはできますが、ケガがないように低めのキャットタワーを用意してあげるといいいでしょう。
マンチカンと楽しく暮らそう
マンチカンは飼いやすい猫種ですので、猫を初めて飼う人に向いています。子どもがいる家庭や多頭飼育の家庭にも向いています。
マンチカンに限らず、猫を飼うときは責任が伴います。生き物なので病気をすることがあるかもしれませんし、トイレや餌の世話は毎日必要です。猫が暮らしやすいように環境を整えることが大切ですし、子猫のときは長時間のお留守番はさせられません。それらのことをしっかり認識して猫を飼うようにしなければならないのです。
明るい性格のマンチカンは一緒に暮らすと、楽しくて飼い主もついつい笑顔になってしまうでしょう。マンチカンとの暮らしを楽しんでください。