甘くて美味しい生クリームは、人間だけでなく猫も大好きです。そのため、クリスマスや誕生日などにケーキを食べていると、興味津々で近寄ってくる子もいるでしょう。しかし、猫に生クリームを食べさせても良いのでしょうか。今回は、猫に生クリームを与える際に注意すべき点と、代用品となる食品について解説します。
目次
猫が生クリームを食べるのは大丈夫?
猫が生クリームを食べるのは、ダメというわけではありませんが、与えない方が良い食品です。一口舐めただけで命を落とすような危険なものであれば、与えてはいけないと断言できますが、生クリームにそこまでの危険性はありません。
ただ、与え方に気を付けなければ、死へとつながる病気を発症するリスクもあると考えた方が良いでしょう。では、なぜ猫は生クリームを食べない方が良いのか、その理由について解説します。
猫が生クリームを好む理由2つ
味覚は、舌にある味蕾の数によって変わると言われています。人間は、約9,000個の味蕾があるのに対し、猫は500~1,000個程度の味蕾しかありません。そのうえ、猫が感じるのは塩味、苦味、酸味の3つだけなので、甘味と旨味を感じることはありません。
では、なぜ甘くて美味しい生クリームを好むのでしょうか。それには以下の2つの理由が考えられます。
- 脂肪分のニオイが美味しそうだから
- 飼い主が美味しそうに食べるから
生クリームは、牛乳から乳脂肪分以外の成分を除外して作られたものです。そのため、植物性油脂にはない乳脂肪分の良い香りが、猫を誘惑しているのではないかと言われています。
生クリームだけでなく、チーズやバター、マーガリンなどの脂肪分が含まれているものにも興味を示す子が多いようです。
人間が食べる生クリームは、大抵砂糖が添加されていますよね。甘く滑らかな生クリームは、疲れを癒してくれるため、食べると幸せな気持ちになる人も多いのではないでしょうか。
そんな飼い主の表情を、猫はしっかりと見ています。「あんなに幸せそうな顔をするほど美味しいものなら、私も食べてみたい」と思っているのかもしれませんね。
猫に生クリームは与えない方が良い
もし、美味しい生クリームを愛猫と一緒に楽しめたら嬉しいですよね。クリスマスや誕生日に、わざわざペット用ケーキを用意する手間も省けるでしょう。しかし、猫は生クリームを与えない方が良いのが現実です。では、なぜ猫に生クリームが良くないのでしょうか。
- 乳糖不耐症を起こす可能性がある
- カロリーが高い
- 糖尿病や虫歯のリスクがある
乳糖不耐症とは、乳製品に含まれる「乳糖」が体内でうまく分解できず、下痢や腹痛などの不調を招くことです。「牛乳を飲みすぎるとお腹を壊す」と言われるのは、この乳糖不耐症のことを言っています。
基本的に生クリームは、乳脂肪分以外を除去されているため、乳糖もほとんどありません。しかし、猫は人間ほど乳糖に対する耐性がないため、ごくわずかな量でも体調を崩す可能性があります。
さらに、生クリームの脂肪分が胃腸に負担をかける恐れもあるため、生クリームは与えない方が良いと言われています。
生クリームは、脂肪分の塊と言っても過言ではないため、少量でもカロリーが高いです。そのため、毎日のように食べ続ければ、肥満になる可能性が高いと言えるでしょう。
肥満は様々な病気を発症させる原因となります。肥満を導くということは、死へのリスクを高める行為だと言っても過言ではありません。
生クリーム自体は砂糖が含まれていません。しかし、絞り袋に入れて販売されている生クリームや、市販のケーキに使用されている生クリームには、たっぷりの砂糖が含まれます。
それらを猫が口にすると、糖分過多によって糖尿病のリスクが高まります。また、生クリームを食べた後に冷たい水を飲むと、口内に残った生クリームの脂肪分が歯についたまま冷え固まります。そのまま放置することで虫歯になってしまうことも考えられるでしょう。
猫に生クリームを与える際の注意点
【画像】:ポペットフレンズのソラくん
猫に生クリームを与えるのは良くありませんが、欲しそうにしている愛猫の姿を見ると、どうしても与えたくなってしまうでしょう。そのため、猫が食べられるよう工夫して作られた猫用ケーキも数多く販売されています。
なかには、生クリームを使用している商品もあります。つまり、与え方に気を付ければ、食べさせても大丈夫なのです。では、どういったことに気を付ければ良いのか、そのポイントを紹介します。
人間用ではなく猫用クリームを作ってあげよう
人間用の生クリームは、砂糖がたっぷり入っています。しかし、前述したように、猫は味蕾の関係から甘味を感じないため、生クリームの中の砂糖は明らかに不要なものです。そこで、人間用とは別に猫専用のクリームを作ってあげましょう。
作り方は、市販されている生クリームをそのまま泡立てるだけです。人間用なら、泡立てながら砂糖を加えますが、猫用はそれを一切しません。甘みがないため、人間が食べると物足りなく感じると思いますが、猫にはこれだけで十分なのです。
使用するクリームごとに与え方を気をつける
【画像】ポペットフレンズのあめおくん
一般的に、生クリームと言われてイメージするのは以下の3種類でしょう。それぞれ成分が異なるため、猫に与える際は注意が必要です。
- 動物性生クリーム
- 植物性ホイップ
- 豆乳ホイップ
クリームとは、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で乳脂肪分18.0%以上と定められています。市販されている生クリームは、牛乳の乳脂肪から作られ、脂肪分は約30~40%程度です。
基準をクリアしているため、「生クリーム」という名前で販売されていますが、それだけ脂肪が多いということは一目瞭然です。与えるとしても、人差し指で軽くすくったくらいの少量と言われています。
植物性ホイップは、植物性油脂を乳化剤などで乳化させ、まるで生クリームのように加工したものです。動物性生クリームのように乳脂肪分で作られていないため、生クリームと名乗ることができず、大抵「ホイップ」や「フレッシュ」という名前で販売されています。
「植物性」という名前から、なんとなくヘルシーそうな印象を抱く人が多いですが、実際はそのようなことはありません。確かに、生クリームに比べるとカロリーは低めですが、油を使っていることに変わりはないため、カロリーは十分高いです。
比較的あっさりした味わいのため、つい食べ過ぎてしまうことも考えられます。猫に食べさせるとしても、与えすぎないよう注意しましょう。
クリームの泡立ちは、脂肪分が多ければ多いほど泡立ちやすい傾向があります。そのため、脂肪分が多い生クリームは簡単に泡立ちますが、脂肪分が少ない豆乳ホイップは、角が立つほどは泡立ちません。
そのため、ケーキのデコレーションというよりは、パンケーキに添えたり、コーヒーに浮かべたりするのが一般的です。あっさりしていて、カロリーも生クリームほどは高くないため、猫に与えやすいと言えるでしょう。
しかし、豆乳ホイップのなかには、香料や色素などが添加されているため、安易に与えるのはおすすめしません。また、大豆が主成分なので、大豆アレルギーを持つ子は注意が必要です。
愛猫に特製クリームを作ってあげよう!安心して与えられる生クリームの代用食品3つ
特別な日には生クリームを与えるとしても、日常的なおやつにまで生クリームを使用するのはNGです。しかし、一度生クリームの美味しさを知ってしまった猫は、その後もおねだりしてくることがあるかもしれませんね。
そんなときに役立つのが、生クリームの代用品です。生クリームほどカロリーがないものばかりなので、日常的に与えても安心です。ここでは、代用食品となる以下の3つを紹介します。
ヨーグルト
無糖ヨーグルトを使ったクリームです。水切りすると硬さが増し、より生クリームに近い状態になりますよ。ヨーグルトも乳製品のひとつなので、乳糖を心配する人もいるかもしれませんが、乳酸菌の働きによって乳糖の30~40%が分解されているため、心配はいりません。
しかし、与えすぎはやはり体調を崩す原因となるため、量には注意をしましょう。
豆腐
豆腐を水切りし、しっかりかき混ぜれば豆腐のクリームができます。より滑らかな口当たりにしたい場合は、木綿より絹を使用するのがおすすめです。豆腐のみであればカロリーも低いので、ダイエット中の猫でも安心して食べさせられますね。
しかし、主成分が大豆なので、アレルギーを持つ子は注意してください。
また、猫はもともと肉食動物なので、食べ過ぎると消化不良を起こす可能性があります。念のため、体調不良の子には、与えないようにしましょう。
じゃがいも
茹でたじゃがいもを潰し、水や無調整豆乳などでのばして硬さを調整すれば、じゃがいもクリームの完成です。じゃがいもの食物繊維は水溶性なので、消化にも良いですよ。
じゃがいも以外に、さつまいもやかぼちゃで作るのもおすすめです。使う食材によって仕上がりの色が変わるので、いろんなカラーを用意してあげると、目で見て楽しめるおやつができるでしょう。
愛猫に生クリームを与えるときは注意しよう
美味しい生クリームを食べさせてあげたい気持ちは分かりますが、残念ながら猫は人間と同じ味覚ではありません。甘みを感じないので、生クリームの甘さは伝わらないでしょう。
しかし、脂肪分の美味しそうなニオイから、生クリームを好む子も多いようです。与え方に気を付ければ、一緒に楽しいおやつタイムを堪能できるでしょう。
代用食品でクリームを作る方法もあるので、健康面から生クリームを与えたくないと思っている方や、愛猫がダイエット中だという方は、ぜひ特製クリームを作ってあげてください。きっと、美味しさとともに飼い主の愛情も伝わりますよ。