猫も人間のように歳をとると歯が弱くなったり体力が低下します。若いころに比べると寝て過ごす時間が多くなってくるのも老猫の特徴です。老猫になったらそれまで食べさせていたフードをそのままたべさせてもいいのでしょうか。猫のフードは年齢に合わせて変えていく必要があるのでしょうか。
目次
老猫になるとどうなるの?
老猫とは何歳からをいうの?
猫の老化はだいたい7歳頃から始まり、「老猫」と呼ばれる時期に入ります。現在では猫を飼育するときは室内で完全飼育する家庭が増えました。そのため、外で事故に遭ったり病気に感染する危険が減り、平均寿命は13~15歳くらいになったと言われています。。
老猫に起こる変化
免疫力の低下
猫が歳を取ると人間と同じようにいろいろな老化現象が見られるようになります。
そのひとつに、免疫力の低下があります。免疫力が低下すると、病気になりやすくなってしまうのでキャットフードを見直したり健康診断をこまめに受けさせるなどのケアが必要になってきます。
猫は病気や怪我を隠す動物なので、猫の様子をよく観察して普段と変わりがないか日頃から気にかけるようにしましょう。
運動量が減る
猫は人間と同じように歳を取るとあまり動かなくなって運動量が減ります。成猫期に比べると餌を食べる量も減ってくるので、餌は低カロリーで少しでもしっかり栄養が摂取できるような高タンパクなものを選ぶようにしましょう。
成猫のときと同じものを同じ量食べさせていたら肥満になる恐れがあります。
筋力や毛艶の衰え
人間は歳を取ると白髪になったり毛の艶がなくなっていきますが、猫も同じです。身体の色が白いと気付きにくいのですが、猫も白髪になるのです。
また、筋力が低下していき若い頃と比べると機敏に走り回ることが減っていきます。
老猫用のフードにするメリットとは
猫に食べさせるキャットフードは年齢に合わせたものが売られています。成猫が必要とするカロリーは体重1kgあたり70~90kcalですが、子猫のときに必要とするカロリーは体重1kgあたり約260kcalなので成猫の約3~4倍ものカロリーが必要です。
しかし、猫も歳を取ると運動量が減るので成猫のときと同じカロリーは必要なくなります。
老猫用のキャットフードは低脂肪で高タンパクになっているだけでなく、消化器官などをケアする成分や歯石予防にも効果が期待できるものです。老猫用のフードは免疫力をアップさせて病気予防に役立つ配慮がサれているものが多いので、年齢に合わせたフードを選ぶようにしましょう。
老猫に適したフードとは
動物性たんぱくが豊富
老猫期になってくると若い頃と比べると運動量が減るので、脂肪が多いフードを食べさせ続けると肥満になってしまう恐れがあります。そのため、低カロリーのキャットフードを選ぶようにしなければなりません。
また、猫に必要な栄養素は動物性たんぱく質ですが、たんぱく質は猫の身体づくりに欠かせない栄養素で健康な筋肉や美しい被毛を保ちます。老猫になると一度にたくさんのフードを食べられなくなってくるので、少しでもしっかり栄養素が摂取できるように良質なたんぱく質が主原料になっているキャットフードを選ぶようにしましょう。
適度な脂質がある
脂質は身体の中に入るとエネルギー源になる成分の中で最も燃焼しやすい成分です。老猫は今までよりも食事の量が少なくなるので、少量でもしっかり脂質を摂取できるキャットフードを選ぶようにしなければなりません。
ただし、脂肪が多すぎる肥満の原因になるので15%前後のものがいいでしょう。
穀物を避ける
キャットフードの原料は多く使われているものから順にパッケージに表記されています。
もし一番最初にトウモロコシなどの穀物が記載されていたら要注意です。猫は肉食の動物なので一番必要な栄養素はたんぱく質です。そして、猫の身体は穀物などの食物繊維を消化するのが苦手なので、身体に負担をかけてしまいます。
老猫にはできるだけ身体への負担をかけないように、穀物が多いキャットフードは避けるようにしましょう。
オメガ3系脂肪酸を含む
オメガ3系脂肪酸には抗酸化作用のほか、抗炎症作用や抗がん作用があるため、猫の健康に役立つ成分です。猫も歳をとると関節炎になるなどの病気にかかりやすくなってきます。オメガ3系脂肪酸で関節炎の予防しましょう。
タウリンを多く含む
必須アミノ酸の一種であるタウリンの働きは、目や心臓、肝臓など健康を維持するものです。このタウリンは猫に必要な成分ですが、多く摂りすぎても不要な分は尿と一緒に体外へ退出されるので安全です。老猫だけでなく、子猫や成猫の健康維持に重要な成分なので注意しましょう。
有害な添加物を避ける
老猫に限らず子猫や成猫すべての猫には着色料や香料、人工添加物などの有害な添加物が含まれているキャットフードは与えたくないですよね。
残念ながら市販されているキャットフードのなかには、粗悪なものを使って作っているものや添加物が多く含まれているものがあります。添加物が含まれていないキャットフードを選ぶのが一番安心なので、無添加物で肉や魚を主成分にしているものを選んであげるようにするといいでしょう。
老猫がかかりやすい病気
腎臓病
猫は尿路疾患にかかりやし動物です。歳を重ねるとともに身体の機能が衰えていき、慢性腎不全にかかる猫が多くなっていきます。腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な塩分を尿とともに体外に排出する働きをする臓器です。
腎臓の働きが悪くなると、尿が出にくくなり老廃物が体内に溜まってしまうため尿毒症になってしまいます。尿毒症になると、老廃物が全身にまわり命に関わる恐れがあります。
老猫の腎臓病を予防する方法
猫が腎臓病になったら食欲がなくなって体温が低下したり嘔吐するなどの症状が現れます。腎臓病の予防には基本的なことですが、塩分が濃い人間の食事を与えないことです。また、水分を摂らせるように水を部屋のあちこちに置くなども効果的です。
そして大切なのは健康診断を受けて腎臓の数値を調べてもらうことです。老猫期になったらこまめに健康診断を受けさせて早めに病気を発見することが重要になります。
腎臓病の老猫によいフード
猫はいったん腎臓病になってしまうと、腎臓の組織が壊れてしまい健康なときのようには戻れません。そのため、腎臓に負担をかけない食生活を心がける必要があります。
キャットフードはタンパク質が適切な量含まれていること、高すぎず低すぎないことが重要です。また、リンとナトリウムが低いものにしましょう。そして、腎臓病の猫に与えるキャットフードは獣医師の指導のもと選びましょう。
便秘
猫は老猫期になると運動量が減るため、腸の動きが悪くなります。そのため、慢性便秘になる子が多くなります。慢性便秘が続くと食欲がなくなり嘔吐することがあります。便秘が続きお腹が痛くなるとお腹を触られるのを嫌がります。
老猫の便秘を予防する方法
便秘をそのままにしておくと食欲が低下して栄養を摂取できなくなってしまいます。猫の便秘を予防するためには適度な運動をさせて胃腸の動きを活発にすることです。
また、水を飲ませることも大切です。猫は元々あまり水を飲まない動物なので、猫が歩く通り道に水が入った器を置くなどして移動ついでに水を飲むよう工夫しましょう。
便秘がちの老猫によいフード
便秘しているからといって食物繊維が多いキャットフードばかり与えると、かえって便秘を悪化させることもあるので注意が必要です。便秘の猫には適度な繊維質が含まれたフードを与えて腸を刺激するといいでしょう。この場合も獣医師に相談して愛猫に合ったものをすすめてもらうようにするといいですね。
また、普段ドライフードを与えている場合、1日のうち1回の食事をウエットフードに変えてみるのもいいでしょう。
老猫のフードにするときの注意点
老猫用フードへの切り替えはいつから?
成猫期から老猫期用のフードに切り替えるのは、7歳くらいになってからです。この頃になると運動量が落ちて寝ている時間が多くなります。そのため、必要とするカロリーも成猫の頃の約8割程度でよいとされます。
カロリー消費が減っているのに成猫のときと同じキャットフードを食べさせていると肥満になってしまう恐れがあるので、老猫用にカロリーや栄養素が配慮されたキャットフードに切り替えるようにしましょう。
食事の回数を増やす
老猫になると消化器官の吸収力が低下してくるので、その負担を考慮して1度の食事量を少なくして回数を増やすようにしましょう。そうすれば1日のトータルの食事量を極端に減らさずに少しずつ食べることができるので、胃腸への負担が抑えられます。
老猫の食欲が落ちたときにどうしたらいい?
小粒のフードを選ぶ
猫は老猫になると大粒のドライフードを食べにくくなります。歯肉炎や嚥下する力が弱くなるので、老猫のためのキャットフードを選ぶときは小粒のものを選ぶといいでしょう。また、小粒のドライフードを水やぬるま湯でふかしてあげると食べやすくなるのでおすすめです。
下痢や軟便になったり吐いたときは違うフードを試してみる
キャットフードを切り替えるときは、少しずつ切り替えるようにしましょう。最初は今まで食べていたフードを9割、新しいフードを1割にして与えます。次は今までのフード8割と新しいフード2割というように徐々に新しいフードの方を増やしていきます。
その際、猫の体調を注意深く観察することが必要です。フードを替えたとき、身体に合わなくてお腹が緩くなることがあります。また、吐いたりしたら新しいフードを一旦やめて今までのフードに戻しましょう。そして、猫の体調が戻ったらほかの老猫用のフードを試してみましょう。
フードを柔らかくして与えてみる
猫は若い頃にはドライフードを中心に与えるといいと言われています。ドライフードは歯に付きにくいので歯石がつきにくいのと、噛むことで顎の力が弱くなるのを予防します。
しかし、老猫期になると歯や顎の力が弱くなるのでドライフードが食べにくくなっていきます。愛猫がドライフードを食べにくい様子だったらドライフードにウエットフードを少し混ぜてあげることでドライフードがふやけて食べやすくなります。
また、ドライフードにぬるま湯をかけてあげると柔らかくなるとともに、ドライフードだけのときよりも香りが強くなるので嗅覚が衰えた老猫の食欲が増す場合があります。
流動食を試してみる
老猫になると身体が弱って食欲もだんだん細くなっていきます。ドライフードを噛む力が弱ったり餌を飲み込む力が弱くなっていくとウエットフードさえも飲み込むのが大変になって餌を食べなくなることがあります。
そうなると栄養が摂れず身体が弱ってしまいますので、どうしても餌を食べないときは流動食を与えるようにします。
老猫になったらフードを切り替えて様子を見よう
猫は人間より早いスピードで歳をとります。少しでも健康で長生きしてもらうためには、飼い主さんが普段から年齢に合ったキャットフードの選び方や与え方を知ることが重要です。老猫になると体力が落ちてくるため、運動量も減ってきます。だんだん食事量も減っていくなかで、この記事をどのようなフードを選べばいいのかの参考にしていただけたら幸いです。