犬の鼻水や鼻血、鼻づまりといった症状は病気のサインであることが考えられます。ここでは、犬の鼻水、鼻血、鼻づまり、鼻の乾燥といった4つの症状に関して、原因と対処法を詳しくご紹介します。愛犬のためにも鼻にまつわる病気などについて、詳しく把握しておきましょう。
目次
犬の鼻水は風邪のサイン?
人間の場合、多少鼻水が出るくらいでは「ちょっと風邪ひいた」と思って見過ごしてしまうことがあると思いますが、犬の場合は、どうなのでしょうか。犬が鼻水を出す原因は大きく分けて、環境によるものと病気によるものがあるので、詳しくみていきましょう。
犬の鼻水の原因
環境
環境によってでる鼻水は「生理的な鼻水」とされ、人間と同様に寒い日やほこりっぽい場所にいると鼻水が出てきます。
普段は鼻で呼吸する際に、直接肺に冷たい空気が入らないよう、鼻の奥で空気を温めるのですが、そうすることで細胞が活性化し鼻水の量が増えます。
また、ほこりが鼻の粘膜に付くと、それを排出するために鼻水の量が増えることがあります。
病気
病気による鼻水は、風邪やアレルギーによって鼻の粘膜が敏感になることで、鼻水の量が増えます。
危険な場合の鼻水の症状
これらの症状が見られる場合には、非常に危険な状態と言えるのですぐに動物病院で診察を受けるようにしてください。
- 突然鼻水が出て止まらない
- 呼吸が荒く、口を開けた状態で呼吸をしている
- 鼻水に血、膿が混ざっている
- 鼻水にピンク色のようなものが混ざっている
犬の鼻水を見分けるポイントとしては、鼻水の色が透明で、犬の状態に普段と変化が見られなければ、部屋の環境を整えて、温かくしてゆっくり休ませてあげるようにしてください。
しかし、いつもと様子が違ったり、鼻水がピンク色や血、膿が混ざっている様子が見られるようであれば病気の可能性もあります。楽観視せず、動物病院を受診してください。
犬は鼻血を出すこともあるので要注意!
犬は人間ほど頻繁に鼻血がでる生き物ではありません。そのため、突然鼻血を出すとビックリして慌ててしまいますよね。しかし、鼻血も原因や量、痛みの有無で対応が変わってきます。まずは、鼻血がでる原因を知っておきましょう。
鼻血が出る原因
ケガ
犬がケガをした際に、鼻血を出すことがあります。顔や頭を打撲・骨折したり、鼻骨を骨折すると、大量の鼻血が出ることがあります。
ケガをした場合には、傷みがあったり飼い主さんも確認できたりするので、すぐに動物病院を受診してケガの状態を確認するようにしてください。
病気
犬が鼻血を出す場合、病気のサインの可能性もあります。
- 鼻の中に傷ができて出血した場合
- 感染症により鼻血が出た場合
- ガンなどの病気で出血する場合
- 歯槽膿漏
鼻の中にできた傷から出血したり、粘膜を傷つけることで出血することがあります。傷が原因で鼻血が出る場合は、突然大量に出血します。
動かさずに、しばらく安静にするようにしてください。あまりにも大量に鼻血が出てしまった場合には、輸血を行う必要があります。
細菌やカビによる感染で鼻血が出ることもあります。感染症の場合は、ドロドロとした血で膿が混ざった状態の鼻血がでます。抗生物質を使っての治療を行うことで、治すことが可能です。
扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)や悪性リンパ腫、線維肉腫などの鼻の中にできた“できもの”が原因で鼻血が出ることがあります。この場合、どの病気も傷がないのに、少ない量の鼻血が長期間出ます。
老犬になると歯槽膿漏になりやすくなります。治療せず、症状が悪化していくと鼻にも炎症が広がり、鼻水と鼻血が止まらなくなってしまいます。
両方の鼻から鼻血が出ることもあれば、片側からもあるため、その場合は、一度口のなかもチェックしてみてください。
歯槽膿漏が原因でおこる鼻血は、普段から歯ブラシを欠かさず、硬いものを噛ませることで防ぐことができます。
鼻血が止まらない場合はすぐに病院で検査をしよう
鼻血の場合、症状が軽いと安静にしているだけで自然と止まることがあります。人間の場合、鼻にティッシュなどを丸めて詰め物をして鼻血を止めることがありますが、犬には決してしないように注意してください。
詰め物をすることで、より症状が悪化することも考えられます。鼻血が大量に出て止まらない場合には、すぐに動物病院で診察・検査をしてもらうようにしましょう。
犬の鼻づまりで分かる病気とその対処方法
犬の鼻づまりは、体調不良のサインです。原因は何なのか、軽いものもあれば深刻な病気の可能性もあるので、原因をしっかり確認し、適切な対応を行うようにしましょう。
鼻づまりがおこる原因
アレルギー
人間と同様で、犬もアレルギー性鼻炎を発症します。アレルゲンに関しては、動物病院で検査をすることもできますし、普段の食生活で推測することもできます。アレルゲンが特定できたら治療もしやすくなりますよ。
腫瘍
鼻の中に腫瘍ができることで、鼻づまりを起こすことがあります。腫瘍は鼻の穴を防いでしまうのですが、外からは見えにくいため特定しづらいこともあります。鼻づまりの他に、鼻水、鼻血も症状として現れることがあるでしょう。
歯周病
鼻づまりの原因に、歯周病もあります。歯周病が進行すると、鼻にまで炎症が広がり鼻づまりを起こします。口臭がある、虫歯が多い、歯ぐきが赤く炎症を起こしている、といった症状の場合には、特に気を付けてください。
鼻腔炎は、鼻の粘膜の炎症が副鼻腔に広がった状態で、ウイルスや細菌感染が原因です。副鼻腔炎は鼻づまりの他に鼻水の症状があり、それが黄色くドロッとしている場合には、かなり症状が悪化している状況です。
副鼻腔炎は悪化すると、鼻の周辺の骨を溶かしてしまうこともあります。治療は抗生剤や抗炎症剤を使用しますが、なにより早期発見が大切です。
鼻づまりをケアする方法
ここでは、家庭でもできる鼻づまりをケアする方法をご紹介します。
鼻水吸引器を使う
鼻水が原因で鼻づまりを起こしている場合には、鼻水吸引器を使いましょう。人間の赤ちゃん用の鼻水吸引器で代用できます。手動で行うものなら薬局などでも1,000円以下で購入することが可能です。
電動のものもありますが高価なうえ、音も大きく犬が嫌がったり、警戒することもあるためおすすめしません。手動のものでも嫌がる場合は無理をしないよう、動物病院に行って治療をしてもらうと良いでしょう。
加湿する
鼻づまりは、犬がいる環境を加湿することで改善することができます。大切なのは、部屋のなかを乾燥させないことです。加湿器を使うのもいいですし、濡れたタオルを干すだけでも効果が期待できます。
鼻の周りを温める
犬が熱すぎない程度の蒸しタオルを用意し、鼻や鼻のまわりを拭いてあげましょう。そうすることで、鼻づまりが少し解消します。
犬の鼻が乾いている4つの原因とは
基本的に犬の鼻はいつも湿っている状態です。これは、犬が下で鼻を舐めて濡らしているからで、鼻が湿っていることで嗅覚を研ぎ澄ますことができます。
鼻が湿っている状態が犬にとっては当たり前といえます。では反対に、鼻が乾いているのはなぜでしょうか。その原因を詳しくみていきます。
睡眠中もしくは寝起き
犬が寝ている間、起きたばかりの状態は鼻が乾いています。寝ている間は嗅覚を研ぎ澄ます必要がないですし、寝ているのに鼻を舐めることはしません。
日中は鼻が湿っているのが普通で望ましいですが、睡眠中は乾いているのも珍しいことではないため心配はいりません。
水分不足
水分不足の状態になっていると、鼻も乾きやすくなります。特に暑い夏は水分不足になってしまうことが考えられるため、いつでも好きなときに水分補給ができるよう常に水飲みボウルを用意しておくなど、環境を整えてあげることも大切です。
老化
年齢を重ねると、身体のさまざまな機能が衰えていきます。皮膚が乾燥したり、皮膚の保水力・弾力性が失われることもあります。ひどい場合には、鼻のや肉球のひび割れといった症状を引き起こすことがあります。
病気の可能性がある
日中、鼻が乾燥している状態の場合には、病気の可能性も考えられます。
アレルギー
ご飯を食べる時や地面の臭いを嗅ぐ時など、鼻が何かに触れた際、アレルギー反応を起こし、それにより鼻が乾燥することがあります。
プラスチックのエサ入れを使用していて、そのプラスチックに触れることでアレルギーを起こすこともありますので、食事や散歩の際に鼻が乾燥している様子が見られたら要注意です。
角化症
角化症は、角質が正常に作られない病気のことで、皮膚がカサカサになったり、ヒビ割れを起こしたりすることがあります。角化症の場合は、鼻先だけでなく皮膚にも症状がみられます。動物病院で診察を受けると、薬を処方してもらえるでしょう。
犬の鼻が乾いているときの2つの対処法
鼻が乾燥している場合は、まずは動物病院で診察を受けるようにしてください。それ以外で、家庭でできるケアをご紹介します。
水分補給をする
毎日水分補給を欠かさず行うようにしましょう。犬にとって1日に飲む量は1kgあたり40~60mlと言われ、8kgの犬の場合は320~480mlを目安とします。
水をなかなか飲まない場合には、リンゴなどの香りのいい果物を水飲みボウルに入れて匂いをつけてあげたり、好きな野菜などをカットして入れるのも水に口をつけるきっかけとなり効果が期待できますよ。
他には、いつでも水が飲めるよう水飲みボウルを用意して、定位置に置いておくのが一番ですね。
鼻の保湿をする
鼻が乾燥している場合は、保湿クリームも効果が期待できます。犬用のクリームも販売されていて、軽く濡らした鼻に塗るだけなので簡単です。ホホバオイルやヒアルロンサンなど、天然成分が含まれているものがおすすめです。
ただし、人間用のクリームは絶対に使用しないでください。犬にとっては有害となる成分が含まれていることもあるので、安易に代用しないよう注意しましょう。
犬の鼻は健康のバロメーター
犬にとって、鼻水や鼻づまり、鼻血、鼻の乾燥などは病気のサインとなることがあります。「たいしたことない」と軽く考えず、いつまでたっても治まらない場合などはすぐに動物病院で診察を受けてください。
「犬の鼻は健康のバロメーター」ということを念頭におき、日々の生活のなかで定期的にチェックしてみてください。そうした飼い主の習慣により、病気を防いだり、早期発見につながることがあるので、ぜひ愛犬の健康を守ってあげてくださいね。