猫も人間と同じようにくしゃみをしますが、くしゃみには心配しないでよいくしゃみと、気にかけなければならないくしゃみがあります。これも人間と同じですね。くしゃみが出るのはどのような場合なのか、病気だとしたらどんな症状が出るのかを知っていきましょう。
目次
2種類ある猫のくしゃみ
くしゃみは、鼻の中に異物が入り込んだときにそれを外に出すために起こります。人間と同じように、猫も鼻の中に異物が入った時にくしゃみをします。
こうした生理的なくしゃみとは異なり、病気が原因でくしゃみが出る場合があります。この場合は動物病院へ連れて行く必要がありますので猫がくしゃみをしている場合、そのくしゃみが心配がないものか、病気によるものなのかの適切な判断をしなければなりません。
心配ないくしゃみ
生理的なくしゃみで心配がいらないものは、鼻の中に入った異物を外に出そうとするときに起こる生理現象です。首を左右に振って、異物を外に出したい仕草をしをくしゃみしている場合は心配することはありません。1日に数回ほどの回数でしたら生理現象のくしゃみです。
病気が疑われるくしゃみ
猫がくしゃみをしたからといって、すぐに動物病院へ連れて行かなければならないと慌てることはありませんが、そのまま放っておいたら症状が悪化することがあります。くしゃみがどのようなものか、タイミングを見て病院へ連れて行かなければなりません。
病気を疑うくしゃみの特徴は、
- 何日もくしゃみが続く
- 激しいくしゃみを連続してする
- 黄色や白色の膿のような鼻水を伴う
- 鼻血が出ている
- 目やにが出ている
- 食欲がない
- 目や鼻に変形が見られる
です。このような症状が伴う場合は動物病院で受診しましょう。
猫のくしゃみで疑われる病気の原因
鼻炎
鼻炎を引き起こすものは、アレルギーやウイルス感染、空気の乾燥などですが、鼻炎になるとくしゃみとともに水っぽい鼻水が出てきます。ひどくなってくると、鼻水が膿のようにネバネバして、鼻水のせいでニオイに鈍感になるため食欲が落ちてきます。
軽い鼻炎の場合は自然に治ることもありますが、もし感染症だったときは悪化してしまうことがあるので早めに動物病院へ連れて行かなければなりません。
副鼻腔炎
副鼻腔炎は、鼻の奥の方にある副鼻腔が炎症を起こしてしまう病気です。その症状は、くしゃみの他に鼻水が出たり、鼻が詰まる、炎症によって鼻筋が持ち上がるなどです。
ウイルスなどが原因で鼻炎になった場合、副鼻腔にまで炎症が広がってしまうことがあってそれが副鼻腔炎になってしまいます。
アレルギー
くしゃみはアレルギーが原因で出ることがあります。人間と同じように猫もアレルギー性鼻炎になることがありますが、アレルギーの原因はさまざまです。埃や花粉が原因になることもありますし、食べ物が原因になることもあります。
アレルギーが原因でくしゃみが出る場合、鼻水を伴いますが、その鼻水は透明で粘り気はありません。鼻水の状態でアレルギーなのか風邪なのかを判断することも可能ですが、獣医師に正しい診断をしてもらって治療してもらうことが大切です。
猫ウィルス性鼻気管炎
猫インフルエンザと呼ばれるこの猫ウイルス性鼻気管炎は、猫ヘルペスウイルスによる感染症のことをいいます。くしゃみの他には鼻水、発熱、口内炎、咳、食欲不振、角膜炎や結膜炎などの症状が引き起こります。
くしゃみで鼻水やツバが飛び、他の猫の身体につき、そのウイルスを毛繕いしたときに口にしてしまうことで感染します。
また、飼い主が外で猫を触ってウイルスを持ち帰ってしまうことがあるので、むやみに触らないほうがいいでしょう。
免疫がついていない子猫や体力が落ちいているシニア猫が感染すると、肺炎を起こして命を落としてしまうことがありますので、感染させないように充分に注意しましょう。
ヘルペスウイルスは感染すると、感染した80%の猫がウイルスを保有するキャリアになってしまいます。ウイルスを保有している猫の体力が落ち、免疫が弱まると再発する恐れがあります。
猫カリシウィルス感染症
カリシウイルスが原因で起きる猫風邪のことです。症状は、くしゃみ、鼻水、発熱などがありますが、ひどくなると口内炎を伴って食欲が落ちてきます。
感染の経路は感染している猫との接触が主ですが、このカリシウイルスは感染力が大変強いので空気感染することもあります。そして、感染した猫に触った人の手を介して他の猫に感染させてしまうことがあるので、多頭飼いの家は充分な注意が必要です。
クリプトコッカス症
鳩のフンなどに存在しているクリプトコッカスというカビが猫の鼻の中に入り込んでしまい、住み着いてしまうことがありますが、これを「クリプトコッカス症」といいます。
猫がカビを吸い込んでしまうことで発症しますが、この病気になるとくしゃみや鼻水が出るようになります。はじめの頃はくしゃみと鼻水が出るくらいの症状ですが、悪化していくと鼻水に血が混じるようになります。
そして、鼻が変形したり肺炎や気管支炎を引き起こすことがあり、もっとひどくなると菌が脳を侵して神経にまで影響を及ぼしてしまいます。感染させないためには、猫を外に出さないことです。もしも感染してしまったら抗真菌薬で治療を行ないますが、投薬が長引くことがよくあるやっかいな病気です。
猫エイズウィルス感染症
猫を保護した場合、まずは病院へ連れて行ってノミ・ダニや病気に感染していないか検査してもらうことが重要です。もし、自宅に他の猫がいる場合、保護した猫が感染症にかかっていたら他の猫にも感染するので、必ず検査を受けさせましょう。
猫エイズウイルス感染症、通称猫エイズは病気に感染した猫の唾液を介して感染することが多いです。猫同士のケンカや交尾のときのネックグリップが感染経路だと考えられています。
また、母猫が猫エイズにかかっていた場合、胎盤を通じて子猫がウイルスに感染してしまうこともあります。ただ、感染力自体は強くないので食器の共有や毛繕いで感染することはなく、人間に感染することはありません。
猫エイズにかかると、急性期→無症状キャリア期→エイズ発症期の3段階の期間があり、それぞれの症状が異なります。急性期とエイズ発症期には風邪をひきやすくなり、そのときにくしゃみや鼻水が出ることが多くなります。無症状キャリア期のときには、猫エイズが治ったのではないかと思うほど、症状が出ない時期です。
残念ながら、感染してしまうと根治する薬がなく、症状を抑えるような対処療法をするしかありません。愛猫を猫ウイルスに感染させないためには、完全室内飼いを徹底することと多頭飼いをするときに新しくきた猫の検査を行うことです。
[3]猫のくしゃみ予防法予防接種
猫が病気にならないためには普段の健康管理はもちろん、完全に室内飼いにして不特定多数の猫に接することを避けることが重要です。そして、1年に1回の予防接種を受けさせることも大切です。
猫の予防接種には3種混合ワクチンや5種混合ワクチンがあります。どのワクチンを打ったらいいかは、獣医師と相談して決めます。また、ワクチンには副反応が出ることがありますので、獣医師に説明を受けて納得してから受けましょう。
アレルギー対策
猫は人間と同じように食べ物でアレルギーを発症することがあります。猫は本来、肉食動物ですので、与えるフードは肉が多く含まれているものを与えるのが理想的です。
キャットフードの成分表には一番最初に記載されている成分が、そのキャットフードに一番多く含まれているということなので、一番最初に肉が書かれているものを選ぶようにしましょう。安価なフードには猫が消化しにくい穀物が多く含まれているので、体調を崩したりアレルギー反応が出る猫もいます。
また、花粉症の症状が出る猫もいるので、花粉が舞う時期は花粉を部屋に入れないように気をつけてあげましょう。
異物の混入を防ぐ
猫の鼻の穴はとても小さいので、簡単にはものが入らないように見えますが、小さな虫や猫草の先の部分などが入らないように気をつけてあげましょう。
鼻への刺激を防ぐ
くしゃみの原因が目に見えない有機物質が原因で起こる場合があります。またホコリ等が舞って鼻を刺激することもありますので、鼻が敏感な猫を飼っているお宅では空気清浄機を置くなどして対策を練るといいでしょう。
猫のくしゃみが出たときの対処法
鼻の手入れをする
猫がくしゃみをしているときは、目やにや鼻水が一緒に出ていることが多いので、濡らしたコットンかペット用のウェットティッシュで目や鼻を拭いてあげましょう。
そして、猫の目や鼻を拭いたあとはしっかり手洗いをしましょう。手を洗わないで他の猫を触ると病気を移してしまうことがあります。
ご飯に香りをつける
猫は犬ほどではないにしろ、嗅覚がものすごく発達している動物です。餌を食べるときには味覚ではなくニオイで食べていると言われているほどです。
しかし、くしゃみや鼻水が出ていると鼻が効かなくなってしまうため、食欲が落ちてしまいます。病気で体力が落ちている時にご飯を食べないと回復しないので、ご飯を食べるように工夫して上げる必要があります。
いつもの餌に猫用の鰹節をふりかけるなどして、普段よりもニオイが強くなるようにしてあげるといいでしょう。
多頭飼いの場合は隔離する
多頭飼いの場合、病気にかかっていてくしゃみをする猫がいると他の猫に感染してしまうことがあります。病気の猫がくしゃみをすると菌が空気中に飛び散って感染し、感染力の強い病気だとあっという間に他の猫にうつってしまいます。
もしも体力が落ちている猫がいたら、短時間で悪化してしまいますので病気にかかっている猫は他の部屋で隔離しましょう。
猫のくしゃみの原因を探ってしっかり対処しよう
猫がくしゃみをしているときは、そのくしゃみが生理現象によるものなのか病気によるものなのかを見極めることが大切です。人間でも生理現象でくしゃみをすることがありますが、1日に数回程度です。風邪や病気の場合は1日に何度も何度もくしゃみが出て、鼻水が出たり元気がなくなるなどの他の症状を伴うことが多いのです。
ただ、病気ではないと思っても実は病気だったということもあるので、普段と違うくしゃみをするときは動物病院で診察を受けさせたほうがいいでしょう。早めに治療を始めるとそれだけ早く治る場合が多いので、猫を辛さから救うことになります。