愛猫と一緒に引っ越しをするときのポイントを紹介!環境の変化ストレスはどう対処すべき?

猫 引っ越し

猫にとって、引っ越しは大イベントです。そのため、普段は見せない様々な行動をとったり、引っ越し後に体調を崩したりする子が多く見られます。愛猫が安心して引っ越しができるよう、飼い主が配慮してあげる必要がありますが、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。今回は、猫が引っ越しでどういったストレスを感じるのか、その内容と対策について解説します。

猫が引っ越しで感じるストレスはどれくらい?

猫 引っ越し

新しい生活への期待が高まっていることから、引っ越し作業を楽しんでいる人も多いでしょう。しかし、猫にとって引っ越しは、とてもストレスがかかるものです。その原因と、ストレスの程度については以下のとおりです。

猫は繊細で臆病な性格の持ち主

猫は、もともと繊細で臆病な性格をしています。自分が気に入った場所でしか寝なかったり、飼い主以外の人を避けたりすることも多く、環境の変化に敏感です。

そのため、新居に慣れるまでに時間がかかり、その間ずっと安心して過ごせないので、猫にとってストレスとなってしまいます。

体調を崩してしまうほどのストレスを感じる

「いつも見ていた光景と違う」「自分のニオイが感じられない」など、環境が大きく変わったことで戸惑ってしまう子が多いようです。その不安や恐怖心に押しつぶされそうになり、体調を崩してしまうこともしばしばあります。

人間も、大きなストレスを感じると、食欲がなくなったり、眠れなかったりすることがありますよね。それと同じく猫もストレスを感じていると思うと、いかに引っ越しが猫にとって大変なものかが分かります。

環境の変化だけでなく移動のストレスもある

近距離の引っ越しであれば良いですが、長距離の場合、移動に時間がかかりますよね。普段乗り慣れていない乗り物に長時間乗ることで、環境とはまた別のストレスを感じているようです。

引っ越し前の準備

猫 引っ越し

引っ越し前の準備段階で、いつもと違う飼い主の様子に、猫がそわそわし始めます。いろんな準備があって大変かもしれませんが、できるだけ愛猫がストレスを感じないよう、工夫をしながら準備を進めていくことが大切です。

猫が引っ越し前にストレスを感じる理由

荷造りなどで家の中に変化があったとしても、まだ自分の見慣れた光景やニオイが残っています。そのため、そこまでストレスを感じないだろうと油断してしまう人もいるでしょう。

しかし、猫は以下のような理由で、引っ越し前からストレスを感じています。

  • 飼い主がかまってくれない
  • 引っ越しをすることになると、荷造りだけでなく、様々な手続きなどで忙しくなりますよね。そのため、いつもより愛猫をかまう時間が減ってしまう人も多いでしょう。

    その様子から異変を感じ取る子もいますし、遊んでもらえない寂しさがストレスとなってしまう子もいるようです。

  • 引っ越し業者の出入り
  • 引っ越しの見積もりや、運搬用ダンボールの準備など、引っ越し前から業者が家を出入りすることがありますよね。猫にとっては、他人が頻繁に自分の家を出入りすることになるため、常に警戒態勢でいなければなりません。

    リラックスする隙を与えてくれないストレスが、愛猫の精神を蝕んでいると言えるでしょう。

  • 縄張りが失われる恐怖
  • 猫は、昔から「家につく」と言われています。それほど縄張り意識が強い動物なので、引っ越しによって自分の居場所をなくすのでは、という恐怖心が大きいようです。

ストレスから来る猫の異変

引っ越し前からストレスを感じている子は、以下のような異変が見られます。

  • 唸る・威嚇する
  • 自分が慣れ親しんだ環境を守ろうと、様々な場面で威嚇をするようになります。引っ越し業者が来たときはもちろん、荷造りのために猫グッズに手を伸ばしたときも、低い唸り声をあげることがあるかもしれません。

  • 物陰に隠れる
  • 臆病な子の場合、静かに物陰に隠れてしまうことがあるかもしれません。気づかず荷物を移動させると、そばに隠れていた愛猫を怪我させる恐れもあるため、注意が必要です。

  • 家からいなくなる
  • 家から脱走し、行方不明になってしまうことがあります。そのまま帰ってこないケースも多いようなので、脱走しないよう対策を講じることも大切です。

愛猫のためにできるストレス対策

引っ越しの準備で何かと忙しいかもしれませんが、飼い主のちょっとした気配りが、愛猫のストレスを和らげることにつながります。なるべく負担をかけさせないようにするため、以下のような対策を行なってみてください。

  • かまってあげる時間を作ろう
  • 忙しい時間のなかでも、愛猫をかまってあげる時間を作ってください。ほんの数分であったとしても、かまってもらえるのともらえないのとでは違います。

    物陰に隠れていたとしても、飼い主が名前を呼んであげれば、素直に出てきてくれるでしょう。身の回りの変化に警戒心をむき出しにしている子は、普段使っているおもちゃで遊んであげると、安心してくれるかもしれませんね。

  • 猫グッズはギリギリまで片づけない
  • ケージやキャットタワーなどの猫グッズは、極力最後まで片づけないようにしてください。早々に片付けてしまいたい気持ちも分かりますが、猫にとっては、自分の居住スペースがなくなることで余計ストレスがたまります。

    荷造りは人間用のものだけにし、猫用グッズは、当日の引っ越し業者が来る手前で片づけましょう。愛猫の最後の砦を守ることも、飼い主の務めです。

  • 落ち着いて過ごせる隠れ家を作ってあげる
  • 引っ越し作業中、猫はずっと不安な気持ちと戦っています。そのため、できるだけ気持ちを落ち着かせることができるような逃げ場を作ってあげてください。

    ダンボールの中や、タオルで作った小さなトンネルでもかまいません。猫が好む暗く狭い場所を作ってあげれば、ストレスも和らげることができるでしょう。

引っ越し当日

引っ越し

引っ越し当日は、荷物の運び出しなどもあるため、引っ越し前より人の出入りが激しくなるでしょう。その間の猫の様子は以下のとおりです。

猫が引っ越し当日にストレスを感じる理由

引っ越し当日は、以下のような理由からストレスを感じやすくなります。

  • 自分のニオイが消えていく
  • ギリギリまで出されていた自分のケージやおもちゃも、当日になると荷造りされてしまいます。毎日を過ごしていた場所から自分のニオイが消えていくことは、猫にとってとても寂しいことなのでしょう。

  • 見慣れた光景でなくなる
  • 家具、インテリア雑貨など、今まで当たり前のように家の中にあったものがなくなります。そのため、いつもと違う光景にストレスを感じてしまうのでしょう。

    なかには、飼い主が家を出ていき、自分だけ置いていかれるのでは、と不安に思っている子もいるかもしれませんね。

  • 人がバタバタと動いていて落ち着かない
  • 荷物の運び出しで、引っ越し業者が何度も家を出入りします。業者に依頼しない人であれば、自分の車に荷物を運ぶために、バタバタと忙しく動き回ることになるでしょう。その忙しない様子が、猫にとってはストレスとなるようです。

ストレスから来る猫の異変

引っ越し前の準備と違い、当日は本格的に荷物の運び出しや、退居手続きなどでバタバタと動き回ることになるでしょう。そんなとき、猫には以下のような異変が見られます。

  • 怒る・暴れる
  • 当日は、引っ越し業者が何人も家を出入りして作業をします。知らない顔、知らないニオイ、忙しない様子・・・猫からすれば、すべてがストレスとなってしまいます。そのため、苛立ちを感じて怒り出す子も多いようです。

  • 大きな声で鳴く
  • 縄張りを守らなければ、という使命感でしょう。猫グッズを片付けようとしたり、業者が家に入ろうとしただけで大きな声で鳴き、威嚇する様子が見られます。

愛猫のためにできるストレス対策

引っ越し慣れしている子であれば、どんなに周りがバタバタと動き回っていても、平気な場合があります。しかし、慣れていない子は、状況についていくことが難しく、不安や怒りに身を任せて暴れまわることが考えられます。

それによって家を傷つけたり、引っ越し業者の人に怪我をさせたりする恐れがあるため、当日は以下のような対策を行ないましょう。

  • 別室に隔離する
  • 空っぽになった部屋や浴室など、引っ越しの邪魔にならない場所に愛猫を隔離しましょう。扉の前に「猫がいるので開けないでください」と貼り紙をしておけば、引っ越し業者がうっかり開けてしまうことも防げます。

    それでも心配であれば、ケージの中に入れた状態で隔離させると良いでしょう。中におもちゃや自分のニオイがするタオルなどを入れておけば、愛猫も少しは安心してくれるはずです。

  • ペットホテルに預ける
  • 忙しくて余裕がない場合は、ペットホテルに預けるのもひとつの手段です。引っ越しが無事に終わり、新居に入るタイミングで迎えに行ってあげれば、愛猫にとっても負担が少なくなるでしょう。

引っ越し後

猫 段ボール

忙しかった引っ越しも、荷物を運びこみ、手続きを済ませればひと段落です。あとは荷ほどきをすれば良いだけなので、引っ越し業者が出入りすることもなくなります。

しかし、引っ越し後もストレスを感じる子はたくさんいます。その理由や対策については、以下のとおりです。

猫が引っ越し後にストレスを感じる理由

引っ越し完了後、猫がストレスを感じる理由は以下の2つが考えられます。

  1. 知らない場所で安心できない
  2. 人間も、突然知らない場所に連れてこられ、「今日からここがお家だよ」と言われても、なかなか実感が湧きませんよね。猫にとっても同じで、知らない場所にいることで緊張状態になり、安心できなくなります。

    引っ越してから1ヶ月程度すれば、慣れてくれることが多いようですが、それまでは多少なりともストレスを感じていると言えるでしょう。

  3. 自分のニオイがしない
  4. 自分のニオイがする場所がないことから、愛猫は居場所がないと感じてしまうでしょう。自分の縄張りだと言える場所ができるまでは、精神的に不安定になりやすい傾向があります。

ストレスから来る猫の異変

知らない場所に来ると、早くもとの家に帰りたい気持ちから、脱走しようとする子が多く見られます。そのため、引っ越し前以上に脱走には注意が必要ですが、それだけ精神的に不安定な状態だということも理解してあげなければなりません。

脱走の他に、ストレスによって見られる異変は以下のようなものがあります。

  • 嘔吐をする
  • 精神的に不安定な状態になることから、気分が悪くなり嘔吐する場合があります。それが頻繁に起こると脱水症状を起こす恐れがあるため、注意して見てあげることが大切です。

  • うんちしない・粗相をする
  • 緊張から来るストレスにより、トイレができなくなる子がいます。トイレをするときは無防備な状態になるため、安心できない場所ではできない、というのが猫側の主張なのでしょう。逆に、猫によっては部屋のいたる場所で粗相をする子もいます。

  • 夜泣きをする
  • 不安な気持ちが強いのか、夜泣きをする子が多く見られます。特に、引っ越して間もない頃は、大きな声で何度も飼い主を呼ぶように鳴くことがあるでしょう。しかし、環境に慣れてくれば、少しずつ夜泣きも減っていきます。

  • 餌を食べない
  • 慣れない環境で緊張状態にあることから、食事が喉を通らない子が多いようです。しかし、大抵は2~3日もすれば空腹の方が勝り、少しずつ口をつけてくれるようになります。

    3日以上ご飯を食べてくれない場合は、ストレスだけでなく何らかの病気を発症している恐れもあるため、動物病院で診てもらいましょう。

愛猫のためにできるストレス対策

引っ越し後は、新生活に慣れるために飼い主側も大変ですよね。しかし、猫は繊細な動物なので、より精神面で気遣ってあげる必要があります。できるだけ早く新生活に慣れてくれれば、飼い主としても安心して過ごせるでしょう。

では、どうすれば愛猫のストレスを和らげることができるのか、その対策を紹介します。

ある程度荷ほどきができてから移動させる

新居に慣れてもらうためには、できるだけ猫のニオイがするものを置いてあげると良いでしょう。

そのため、猫グッズはもちろん、飼い主のニオイが分かるソファーやベッドなどの荷物を、ある程度配置し終えてから愛猫を新居に移動させてあげましょう。

知らない光景に戸惑うかもしれませんが、少しでも知っているニオイを感じることで、早く安心できるようになるはずです。

飼い主と一緒に新居に入る

引っ越し業者のなかには、ペットも一緒に運搬してくれるサービスがあります。しかし、知らない環境で飼い主もいないとなると、猫は大きなストレスを感じてしまいます。

そのため、新居に入るときは、必ず飼い主が一緒に入ってあげてください。飼い主が近くにいることが分かるだけで、多少は安心して新居に入ることができるでしょう。

そっとしておく

新居に着くと、部屋中をうろうろする子もいれば、部屋の隅で小さくなって震えている子もいます。そのため、荷ほどきが思うように進められなくて困る、という人もいるかもしれませんね。

しかし、猫が新しい環境に慣れるため、また自分の気持ちを落ち着かせるために必要な行為なので、決して邪魔をしてはなりません。どんな行動に出るかは猫によって様々ですが、新居に到着してからは、そっとしておいてあげましょう。

トイレの砂は旧居のものを使う

引っ越しを機に、新しいものに買い替える人もいるかもしれませんが、猫は自分のニオイがついているものを好むため、できるだけ旧居で使っていたものを新居でも使いましょう。

特に、トイレは慣れ親しんだものでなければ、愛猫がトイレを我慢するようになってしまう可能性があります。

長距離の引っ越しはどう移動する?それぞれの移動手段で気を付けたいポイント

猫 車

どんな移動手段であったとしても、長距離の移動は猫にとって大きなストレスとなります。そのため、できるだけ安全に移動させられるよう配慮しなければなりません。

具体的に、どういったことを気を付ければ良いのか、そのポイントを紹介します。

飛行機

長距離の移動も、比較的短時間でできるのが飛行機の魅力です。また、ペットを預かってもらうことができるため、客席で愛猫の鳴かないかと気にする必要がないのも嬉しいですね。

ここでは、飛行機移動を考えている方のために、2点のポイントを解説します。

  1. ハードタイプのキャリーケースを使う
  2. 客席にペットを持ち込むことができないため、必ずケージに入れて預けることになります。ケージの規定は、航空会社によって異なるようなので、事前に確認をしておきましょう。

    基本的に、ペットをより安全に搭乗させるため、ハードタイプのキャリーケースに入れるよう定めているところが多い傾向があります。布製のものは預かってもらえない可能性もあると覚えておきましょう。

  3. 自分のニオイがするものをケースに入れる
  4. 飼い主と離れ離れになることで、愛猫は不安に思っていることでしょう。そんな気持ちを少しでも和らげるため、自分のニオイがついたものをキャリーケース内に入れておくのがおすすめです。

    思い当たるものがなければ、飼い主のニオイがついた服などでも良いですよ。慣れ親しんだニオイが身近にあることで、移動中も少しは安心できるでしょう。

新幹線・電車

運行本数の多さなどから、新幹線や電車を利用する人もいるでしょう。その際は、以下のことに気をつけてあげてください。

  • キャリーケースなら持ち込みOK
  • 入り口がきちんと閉じられるキャリーケースであれば、手荷物として持ち込みが可能な場合が多いようです。スリングやトートバッグなどから頭を出している状態は、他の乗客の迷惑となるため、乗車不可となる場合があります。

    規定は鉄道会社によって異なるため、事前に乗車ルールを確認しておきましょう。

  • 小まめに様子を見てあげよう
  • 猫と一緒に乗車するとしても、猫用に席を確保することはできません。そのため、足元にキャリーケースを置くことになるでしょう。

    暖房や冷房の効きすぎ、揺れによる酔いなどで体調を崩す可能性があるので、小まめに様子を見てあげてください。飼い主の顔を見ることで、愛猫も安心できるでしょう。

バス

電車や飛行機などと比べ、交通費が安く済むと人気なのがバスです。できるだけお金をかけたくないと考える人であれば、移動手段のひとつとしてバスを選ぶ人もいるでしょう。

その際は、以下の2点を注意してください。

  1. 路面バスはキャリーケースに入れればOK
  2. キャリーケースに愛猫を入れた状態であれば、路面バスの乗車は可能です。しかし、バス会社によって規定が異なる可能性があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

    バスは道によって揺れが大きくなるので、できるだけ頑丈なキャリーケースに入れてあげてくださいね。

  3. 高速バスはペット同伴不可
  4. 路面バスはペット可のところがありますが、高速バスに関しては不可がほとんどです。

    「路面バスに乗ったとき、ペットOKと言われた」という理由で高速バスに乗ろうとすると、乗せてもらえない可能性があるため、注意してください。

車を持っている人であれば、長距離でも車で移動する人が多いでしょう。その際は、愛猫のために以下の3つを気をつけてください。

  1. 目隠しをして乗せる
  2. 猫は環境の変化に敏感なので、車中で外の景色を見ただけでもストレスがたまる可能性があります。できるだけ安心して乗れるよう、猫に目隠しをしてキャリーケースに入れましょう。

    視界をシャットアウトすることで、暴れるリスクも下げられます。

  3. 小まめに休憩をとる
  4. できるだけ早く目的地に着きたい気持ちから、つい長時間運転してしまう、という人もいるでしょう。しかし、ずっとキャリーケース内にいるのも猫にとってストレスとなるので、小まめに休憩をとってあげてください。

    外の空気を吸わせたり、水を飲ませたりすると、その後の運転中も気持ちが安定しやすくなります。

  5. 事前に車に慣れさせておく
  6. 慣れない車に長時間乗らされるのは、精神的に疲れるだけでなく、酔いで体調を崩しやすくなります。そのため、事前に車に慣らしておくことが大切です。近所をドライブするだけでも、酔いにくくなりますよ。

愛猫が安心して引っ越しできるよう配慮してあげよう

猫は、とても繊細で縄張り意識が強い動物なので、引っ越しの前後でストレスを感じる子も多いでしょう。なかには、ストレスによって体調を崩す子もたくさんいます。

そのため、言葉にしてつらさを伝えられない分、飼い主が愛猫の異変に気付いてあげることが大切です。頻繁に鳴いたり暴れたりするからと言って、決して怒鳴ってはなりません。少しでも安心できるよう、優しく呼びかけて、不安を払拭できるまで愛猫に付き合ってあげましょう。