猫と暮らしていると癒される…そう実感している人は多いのではないでしょうか。現に、愛情をもって猫を飼うと、癒し効果が得られことが最近の研究で証明されました。猫と触れ合うことで精神的に癒されたと感じるだけでなく、体内で幸せホルモンが分泌される・心血管疾患が防止できるなど、健康的な効果も期待されています。今回は、猫の癒し効果が人間の体や心にどう影響するかなど詳しく紹介します。
目次
猫とふれあうことで得られる身体への効果
ふわふわの毛並み、スリスリと体をくっつけてくれる可愛い仕草など、猫は触れ合うだけで穏やかな気持ちにさせてくれます。
猫ブームといわれている現在、猫に魅了される人はとても増えています。実は、猫の癒し効果には科学的な根拠があるそうです。猫の癒しパワーの医療的根拠を見ていきましょう!
なでると幸せホルモンが出てストレス軽減
「幸せホルモン」とも呼ばれ、マスコミで話題になっている「オキシトシン」というホルモンを知っていますか?
現代社会において、日々受けるストレスはとても大きなものです。オキシトシンは、ストレスを軽減し多幸感を与えてくれる素晴らしいホルモンです。
記憶力・協調性・脳の疲れにリンクしているといわれるオキシトシンは、触れ合うことで分泌されるホルモンになります。例えば、赤ちゃんとお母さんが交流することで、この物質が放出され母子の絆づくりに大きな影響を及ぼすのだそうです。
実は、飼い猫と人の絆にも、オキシトシンは大きな役割を担っています。猫と約15分間触れ合うことで、オキシトシンをはじめとした癒し系ホルモンが分泌されるといわれています。
猫と暮らすようになって幸せ感が増した・人付き合いが円滑にいくようになった・自律神経が整い、気持ちが安定した・といった効果を実感するのは、オキシトシンが分泌されているおかげかもしれません。ぜひ、猫とやさしい気持ちでふれあってオキシトシン分泌を促しましょう。
心筋梗塞など心血管疾患のリスク減少
ミネソタ大学心臓研究所のAdnanQureshi博士の報告によれば、猫を飼育している人は飼育していない人に比べ、心臓発作リスクが約30%低下すると示されています。
心臓疾患の場合、長期間にわたる精神的ストレスが血管に悪影響を及ぼし、リスクを高めるのだそうです。猫を飼って触れ合うことでストレスが軽減され、血管疾患を防止しているのではないか?と研究結果で報告されています。
猫は気まぐれと言われていますが、実際はとても甘えん坊であり、こちらの気持ちや様子を読んでくっついてきてくれる子がたくさんいます。
仕事や人間関係のストレスがあっても、飼い猫がスリスリと寄ってきてくれれば笑顔になれる、そんな人は多いのではないでしょうか。猫の癒し効果は気持ちのリラックスだけではなく、心臓や血管にも影響しているのです。
参考記事:心臓発作のリスクも30%減。猫や犬と一緒に暮らせば、いいこと尽くめ – まぐまぐニュース!
うつ病防止のセラピー効果の助長
猫は人間の様子や気持ちを読むのに長けた動物だと言われています。
スイス・チューリッヒ大学動物行動学研究所のデニス・ターナー博士が、うつ病患者と猫との交流について動物心理学誌「Animal Psychology」(電子版)の2015年4月27日号に発表しました。猫を連れて、うつ病患者の自宅を訪ねて1〜2時間猫とコミュニケーションを取ってもらうという実験です。
その結果、猫と過ごす前に比べて猫と過ごした後の方が、うつ症状に改善が見られたということです。
また、猫がうつ病患者の方とどう接するか?観察したところ、非常に患者の様子を感じ取って交流していたといいます。極度にうつ症状が重い患者には猫は寄り添って接し、比較的明るい症状の患者にはスリスリと甘える積極的な行動に出たという結果もあり、不思議です。
猫がもっている相手の様子を捉えてコミュニケーションする高度な能力が、うつ病のケアに良い効果をもたらすという結果が実験によって証明されています。
ただし、中には相性が悪く思うような結果が出なかったペアもいたそうです。飼い主の性格と相性がぴったりな猫を飼えるとは限らないため、治療目的で飼育するというのはよく考える必要がありますが、猫の癒しパワーは精神の安定にも影響することが分かります。
アニマルセラピーの中で犬や馬のセラピーは多くの事例があり、効果も実証されていますが、猫のセラピー効果は、猫の高いコミュニケーション能力に由来するもののようです。
猫のゴロゴロ音に隠される癒し効果とは?
猫を撫でていると、気持ちよさそうにしている時に聞こえる「ゴロゴロ音」、喉を鳴らしながら目を細めて甘えてくれる猫は可愛らしいですよね。このゴロゴロ音、実は人間にとっても癒し効果があるというから驚きです。
ゴロゴロ音は骨折の治りを早める!?
猫のゴロゴロ音がどこから出ているかは諸説あるようですが、一番信憑性のある説は喉頭の筋肉を使って出しているというものです。
しかし、喉頭の切開手術をした猫も横隔膜を使ってゴロゴロ音を出した例もあるそうで、まだ猫のゴロゴロ音のメカニズムについては解明されてない部分があります。実は、この猫のゴロゴロ音は骨折の治りを早める効果があるといいます。
ゴロゴロ音の周波数は、25~150Hz(ヘルツ)といわれています。1993年に、骨折したうさぎに猫のゴロゴロ音に近い周波数を当てる実験を行い、治りが早まったそうです。
猫自身も、骨折が治るのが早いことで知られています。そのため、猫のゴロゴロ音の周波数はスポーツ界を中心に超音波治療法として、注目されるようになりました。
元プロ野球選手の松井秀喜選手、元プロサッカー選手のデビット・ベッカム選手、プロサッカー選手のクリスチアーノ・ロナウド選手など、ビッグネームのプロスポーツ選手たちも超音波治療で治療期間の短縮を成功させました。
直接、猫のゴロゴロ音を聞いたからといってすぐに人間の骨折の治りが早まるわけではありませんが、猫のゴロゴロ音は素晴らしいパワーを秘めているのですね。
赤ちゃん返りの猫とふれあう幸せ
骨折のみならず、猫のゴロゴロ音はストレスを解消するセラピー効果があるそうです。免疫力をあげ「副作用のない薬」と呼ばれるあるようです。
この猫のゴロゴロ音はもともと、母猫が子猫に対して「安心だよ」と伝えるものであり、目が見えない子猫がお乳を探す時、この音を頼りに探すのだそうです。
子猫の方も、親猫にゴロゴロと喉を鳴らすことで安心感を伝えているそうです。人間と暮らすようになり、猫は人間との交流にこのゴロゴロ音を活用するようになったのですね。
つまり、猫は人間の前では赤ちゃん返りをして、人間に「安心だよ」と伝えているのでしょう。そして、母猫代わりの人間にまるで子猫が舐めてもらうのと同じように、優しくタッチしてもらいたいと伝えているのです。
猫のホテルなどで一時的に預かった猫でも、最初はドキドキして警戒をしている子が多いのですが、スタッフは安心な存在だと理解すると、このゴロゴロ音を出して甘えてくれる子が多いといいます。
相手を受け入れている合図としても表現されているゴロゴロ音、そんな子猫返りした猫とふれあうと、猫が「自分を必要としてくれている」と実感します。そんな幸せ感に包まれれば、ストレスやイライラも軽減されることが期待できますね。
また、このゴロゴロ音は体の緊張をほぐす効果があるといわれ、副交感神経を優位に立たせる効果があるとされます。猫のゴロゴロ音を聞くことで、現代社会のストレスを解消し、自律神経が整い免疫力がアップするだなんて、驚きの効果です。
猫は癒し効果抜群!…でも無計画に飼うのはNG
猫ブームといわれる今、猫と暮らしたい!という方は増えています。そして、ストレスを解消してくれて癒し効果絶大だと知ったら…今すぐにでも飼いたくなるのではないでしょうか。
しかし、衝動的に飼うのは絶対にやめましょう。猫を飼うということは癒しの側面だけでなく様々な責任が伴います。覚悟を決めずに飼い始めることで、癒しどころかストレスの原因になってしまったら残念ですよね。
それでは、猫を飼う場合の注意点を見ていきましょう。
かかる費用
猫と暮らすにはお金がかかります。エサ代やトイレの費用はもちろん、医療費を実費で支払う場合には人間の約3倍もかかります。
飼い猫が病気になれば、何万円という出費になることを想定しておく必要があります。また、ペットを飼育できる住宅は家賃が高めです。自分が旅行や実家に帰る時は、猫を世話してもらうシッターさんを雇う・ホテルに預けるといった費用も必要になります。
飼育してみて、予想以上にお金がかかって困った…なんてことにならないように、猫のための費用を事前に考えておきましょう!
鳴き声・抜け毛
猫は犬よりも鳴かないということで、マンションなどでも飼育しやすいイメージですが、中には甘えん坊の性格で、人間を絶えず呼ぶような性格の子もいます。
ペット飼育不可のマンションで猫をこっそり飼っていたが、鳴き声で苦情が来て困ってしまった!なんて事例もあるのです。
おとなしいイメージで飼い始めると、強い鳴き声にストレスを感じることもあるかもしれません。もちろん、たくさん遊んであげてコミュニケーションをすれば、過剰な鳴き声は収まることも多いです。
また、猫の抜け毛は衣類やソファーにくっつきやすく、コロコロクリーナーや吸引力のある掃除機での頻繁な掃除が欠かせません。アレルギー体質の方は特に注意が必要でしょう。神経質な方は、抜け毛がストレスになる可能性もあります。
引っ掻く猫・噛む猫
癒し系の猫ですが、おとなしい猫ばかりではありません。自分の身を守るために引っ掻く、噛むといった威嚇行動をすることもあります。猫との信頼関係を築けば、そういった行動も少なくはなりますが、遊んで欲しくて甘噛みをすることもありますし、初めて飼う方は戸惑うかもしれません。
猫じゃらしなどのおもちゃでたくさん遊んであげると、猫のストレス解消になりますので、困った行動も減少する傾向にあるということも覚えておきましょう。
また、ソファーや柱などで爪とぎをすることがあります。これは猫の本能ですので、完全に止めることは難しいのですが、猫が気にいる爪とぎを設置し、ソファーはカバーをつけるなど対策をすれば快適に共存ができます。
「これぐらいは仕方ないな」という妥協も、猫を飼育する上では大切なことかもしれません。猫がストレスをためやすい環境にならないように気をつけたいですね。そうすれば、猫は飼い主にとって癒しのパートナーになるのではないでしょうか。
猫の癒し効果をまずは体験してみる
猫と暮らしたことがない方は、猫の癒しパワーを実際に体験してみることをおすすめします。また、純血種の猫を購入したい方は、猫カフェ訪問やブログ・インスタグラムの投稿を閲覧することで、種類ごとの性格の傾向を知ることができます。
今は保護猫の譲渡活動をしている猫カフェもありますので、そういった里親を探している猫を引き取ることも視野にいれておくといいでしょう。
猫カフェで癒し体験!おすすめ猫カフェ
「てまりのおしろ」(東京・吉祥寺)
メルヘンな外観と内装はまるでジブリの世界に迷い込んだよう!そんな素敵な空間に猫たちが約20匹待っています。
おいしいカフェメニューを楽しみながら、お気に入りの猫とふれあいましょう。スコティッシュフォールドやエキゾチックショートヘアなど、SNSで話題の猫種もたくさんいます。
延長料金や時間制限がないので、ゆっくり猫の癒し体験をしたい方におすすめです。
保護猫カフェ「ミラクルキャット」(愛知・金山)
タレントの中川翔子さんの母・桂子さんがプロデュースする保護猫カフェ「ミラクルキャット」は、保護猫たちとふれあえる珍しい猫カフェです。
そして、気に入った猫を引き取ることも可能なのだそうです。事前にふれあうことで、どんな性格の猫ちゃんなのか?感じ取れるため、安心して家族に迎え入れることができます。
保護猫たちと里親さんが出会う場所を作りたい、という想いで生まれたカフェ、とても人懐っこい子が多く、猫の癒し効果を十分体験できそうです!
猫から癒しを求める場合は命の大切さを考えることも大切
猫の癒しパワーは、ストレス社会に生きる私たちの心を癒し、心身ともに良い影響を及ぼします。しかし、猫を飼育する際は、その猫の生涯に責任をもてるか、かかる費用など様々なことを想定して計画的に飼いましょう。
また、安易に衝動的にペットショップなどで購入する前に、処分されてしまう猫たちの命について考えてみるのもいいですね。猫は個々の性格があり、それを理解しながら接していく必要があります。猫が飼い主を信頼すれば、相互に癒し合う素晴らしいパートナーになることでしょう。