奄美大島で猫の無料不妊手術専門病院がオープン!ノネコを殺処分から救う!

あまみのさくらねこ病院

どうぶつ基金は猫の不妊治療、ノミダニ駆除、ワクチンを無料で行なうボランティア病院「あまみのさくらねこ病院」を開院し、ノネコの捕獲、殺処分ゼロを目指します。今回はどうぶつ基金がボランティア病院を開院するに至った経緯と、奄美大島のノネコ問題を見ていきましょう。

開院の経緯

奄美大島に生息するアマミノクロウサギなど、希少動物を猫が捕食する行為を防ぐために、環境省と地元行政が7月17日からノネコ3,000頭を駆除するノネコ管理計画を開始しました。

これを受けてどうぶつ基金は猫の不妊治療、ノミダニ駆除、ワクチンを無料で行なうボランティア病院「あまみのさくらねこ病院」を開院します。

不妊手術の対象はノラ猫10,000頭であり、ノネコの発生源であるノラ猫に不妊手術を行うことでノネコの捕獲、殺処分ゼロを目指します。
あまみのさくらねこ病院

ノネコ管理計画とは

概要

同計画では、1年で約300頭の駆除を10年間に渡って行うものであり、合計3,000頭のノネコを駆除するとしています。捕獲されたノネコは1週間以内に譲渡先が決まらない場合、殺処分されてしまいます。

・目的

ノネコ管理計画の目的は、アマミノクロウサギやアマミヤマギシをはじめとした、奄美大島にて生息または生育している多くの固有種や絶滅危惧種をノネコの捕殺から守ることです。

・体制

環境省、鹿児島県、奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町が役割を分担して捕獲や収容、一時飼育などを行います。

・捕獲とモニタリング

ノネコの生息状況をセンサーカメラなどでモニタリングし、特に希少種への影響が大きい地域から優先的に捕獲をしていきます。

・捕獲後の対応

捕獲したノネコは、鑑札やマイクロチップなどで飼い主が特定できるかを確認します。また、首輪を装着している場合は地元役場にて1週間の公示と飼い主の確認を行います。

飼い主の確認ができた場合は、捕獲した猫を飼い主へ引き渡し、飼い主が確認できなかった場合は県が引き取ります。

上記以外のノネコは引き取りの希望者を募り、引き取り希望がなければ安楽死をさせることになります。

・TNR事業

奄美大島5市町村では鹿児島県獣医師会と協力し、飼い猫には不妊手術を行い、ノラ猫にはTNR(Trap/捕獲し,Neuter/不妊去勢手術を行い,Return/元の場所に戻す)を実施することでノネコの発生を予防する活動もしています。

・参照元:奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画

奄美大島のノネコ問題

あまみのさくらねこ病院

ネコ生息状況

環境省那覇自然事務所のセンサーカメラを使用した調査によると、奄美大島には現在約600〜1200頭のノネコが生息しており、生息域は主に森林内です。

同事務所は、ノネコが森林内での繁殖・成長することや、周辺地域から森林内へ新たに流入してくることで個体数が増加することを懸念しています。

奄美大島の生態系とノネコによる影響

奄美大島には本来肉食性哺乳類が存在せず、ハブを頂点とした生態系が形成されていたようです。

1979年には、ハブとクマネズミ対策として持ち込まれたマングースが奄美大島の生態系に大打撃を与えました。これに対抗すべくマングース防除事業が立ち上がり、マングースの減少を目指しています。

この働きにより、奄美大島の希少種が回復している一方で、次はノネコの繁殖が進むという問題が発生したのです。ノネコは在来種にとって、新たな脅威となってきています。

・参照元:奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画

ノネコの生息数より駆除数が多い理由

奄美大島におけるノネコの生息数は約600〜1,200頭ですが、ノネコ管理計画での駆除数は合計3,000頭となり、現在の生息数より駆除数の方が多くなっています。

環境省はその理由を、人の生活圏に棲む10,000頭といわれるノラ猫が森に侵入し、ノネコになり増殖する合計が10年間で3000頭としています。

繁殖を止めることが重要

ノネコを増やさないようにするためには殺処分よりも繁殖を防ぐことが最も重要です。繁殖の元を断たなければ殺処分は限りなく続くことになります。

地元5市町村でもTNRにより不妊手術を行っていますが、今年度の不妊手術の対象は790頭に留まり、約10,000頭いるといわれているノラ猫の約8%に止まっています。

そこで、あまみさくらねこ病院では、ノラ猫すべてを無料にて不妊治療を実施することを発表しました。この活動は猫を殺すことなく、この問題の根源を断つ大きな役割を担ってくれている言えるでしょう。

寄付、ボランティアの募集

あまみさくらねこ病院では本活動に伴い、無料不妊治療を維持するための寄付と、ボランティアを募集しています。
この活動に賛同された方は、ぜひ行動に起こしてみてはいかがでしょうか?

あまみのさくらねこ病院

さくらねこ無料不妊手術のためのご寄付のお願い

活動を維持するための寄付を募っています。ぜひご協力ください。

公式サイトはコチラ

奄美ボランティア申請フォーム

ボランティアに参加希望の方は下記にて申し込みを受け付けています。

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あまみさくらねこ病院
お問い合わせ:0797-57-1215
住所:鹿児島県奄美市名瀬港町24-25

公益財団法人どうぶつ基金
事務局住所:兵庫県芦屋市奥池南町71-7

・画像提供:PRTIMES