犬がこんにゃくを食べたからと言って、すぐに健康被害が出るわけではありません。しかし、人間と同じ感覚で食べさせてしまうのは危険な行為です。今回はこんにゃくの成分をはじめ、犬とこんにゃくの関係性について詳しくご説明していきます。
目次
犬にこんにゃくをあげても大丈夫?
こんにゃくの主な成分
まずはこんにゃくの成分を見てみましょう。こんにゃくの96〜97%は水分です。残りの3〜4%の中には、炭水化物のひとつである食物繊維が一番多く含まれ、その他は、タンパク質、カリウム、カルシウムなどとなっています。
こんにゃくの成分が犬に与える効果・影響
犬にとってこんにゃくの成分は、一見危険性がないように感じるのではないでしょうか。
しかし、食物繊維を摂取するときは注意が必要です。下記では、こんにゃくに含まれる成分が犬に与える効果や影響を説明します。
炭水化物
食物繊維は、腸内を浄化しデトックス効果をもたらしてくれる成分で、水溶性と不溶性の2種類あります。こんにゃくの原料となるこんにゃく芋には、グルコマンナンという水溶性の食物繊維が含まれています。
しかし、こんにゃくを製造する過程で、水溶性の食物繊維が不溶性へと変化してしまうのです。
この水に溶けにくい不溶性の食物繊維は、排便を促したり有害物質を体外へ排出する手助けをしてくれたりなどメリットも豊富にあります。ただ、摂取しすぎると消化不良を起こして体調に支障をきたす恐れもあるので注意しましょう。
糖質は素早くエネルギーになるメリットもありますが、過剰な摂取は肥満の原因にもなります。特に、運動量が少ない老犬などは、糖質の摂取に注意してあげることが大事です。
なお、こんにゃくに含まれる糖質は100gあたり約0.1gとごく微量なので、糖質の制限のことだけを考えると犬にとっては良い食材ではあります。しかし、前述のとおり消化できない食物繊維も含まれるため、こんにゃく多く与えることは避けた方がよいでしょう。
タンパク質
犬にとってタンパク質は、とても重要な栄養素のひとつです。犬の筋肉、骨、毛、皮膚、内臓、血液、これらすべての材料となります。
特に、成長期の犬は成犬の4倍ものタンパク質が必要となり、体を作っていくうえで必要不可欠です。タンパク質が不足すると、体の全てに影響が出てきます。子犬は成長が不十分になり、成犬の場合は抜け毛が多くなったり、体全体の機能不全を引き起こします。また、免疫力も低下するため、病気になりやすくなるでしょう。
逆にタンパク質の過剰摂取は、エネルギーの消費が追いつかず余ってしまうため、太る恐れがあります。また、過剰なタンパク質を体外へ出そうとする働きが活発になり、腎臓や肝臓に負担がかかることで、内臓の病気リスクも高くなってしまいます。
カリウム
カリウムの主な働きは、体内で増え過ぎたナトリウムの調節や心臓や筋肉の働きを調節、また血圧や細胞のバランスを調整する役割があり、必要不可欠なミネラルです。体内のカリウムが不足すると、細胞が異常をきたし、元気がなくなったり、疲れやすくなり筋肉の痙攣を起こすなどの症状がでます。
しかし、逆に体内のカリウム濃度が高くなりすぎても、高カリウム血症になり筋力低下や不整脈、吐き気、痙攣などを引き起こしてしまいます。カリウムを含む食材を食べさせ過ぎることも良くありません。
なお、こんにゃく以外でカリウム が含まれる食材は、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、サニーレタスなどです。
カルシウム
カルシウムが骨を作るために必要な成分であることはよく知られていますが、骨だけではなく、筋肉の形成にもカルシウムが必要です。
ちなみに、犬は人間より寿命が短いため、成長のスピードも早く、人間の約14倍のカルシウムが必要とも言われています。
カルシウムが不足すると骨が脆くなり骨折しやすくなったり、筋肉の痙攣や痺れ、硬直を引き起こす原因にもなります。
しかし、逆にカルシウムの過剰摂取は骨の成長障害や形成以上になることがありますので、摂りすぎは禁物です。
ダイエット効果はあるのか?
人間にとってこんにゃくは、ダイエット食品として人気があります。理由は、成分のほとんどが水分で低カロリーなうえに、糖質がほぼゼロであり、食物繊維も含まれているためです。
犬にとってもその効果が見込めないわけではありませんが、与えすぎると消化不良を起こしてしまうこともあります。そのため、摂取量の調整が難しいとも言えるでしょう。
こんにゃくを使って犬のダイエットをするよりも、食事量を減らしたり運動をしたりと、健康的にダイエットをすることをおすすめします。
こんにゃくゼリーは食べてもいい?
こんにゃく自体は、与える量を注意すれば犬が食べても大丈夫です。しかし、こんにゃくゼリーは与えない方が賢明でしょう。
理由はのどに詰まりやすいこともありますが、人間用の食べ物なので砂糖など甘味料が含まれているためです。砂糖などの甘い刺激は、人間以上に犬にとっては強いため、癖なってしまったり、肥満の原因にもなるのでおすすめできません。
こんにゃくの食物繊維で便秘解消できる?
人間にとっては便秘解消の効果もあるこんにゃくですが、犬にとっては便秘解消よりも消化不良のリスクの方が心配です。
自己判断でこんにゃくを与えて便秘解消をはかるのではなく、愛犬の便秘が心配な場合はまず動物病院で検査してもらい、適切な方法を獣医さんに教えてもらいましょう。
犬にこんにゃくをあげる場合の注意点
こんにゃくをあげる量
犬にこんにゃくを与える場合は、ごくごく少量にしておきましょう。また、犬は食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまう習性があるので、喉に詰まったりしないように食べるサイズを細かくしておく必要があります。
消化不良・下痢・嘔吐
犬がこんにゃくに含まれる不溶性の食物繊維を取り込みすぎると、消化不良を起こしやすく、嘔吐したり、腸内への刺激が強すぎて下痢をすることもあります。
喉につまる
犬は食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまう習性があることは先程お伝えしました。よって、特にこんにゃくのような弾力のあるものを犬が噛み砕くことは不可能でしょう。
大きなサイズのこんにゃくを与えると、のどに詰まって窒息死する危険性もあります。こんにゃくを与える場合は噛まずとも飲み込めるくらいに細かく刻んでおくことが必要です。
アレルギー反応
こんにゃくでアレルギー反応がでることもあります。もし、こんにゃくを与える場合は少量かつ体調も考慮しましょう。以下は主なアレルギーの症状となります。
- 嘔吐や下痢
- 抜け毛やフケ
- 目の充血
- 毛が薄い部分が赤くなる
- 体をやたらと掻く
結石
こんにゃくにはシュウ酸という成分も含まれています。シュウ酸は体内のカルシウムや鉄と結合してしまい、カルシウム、鉄分の吸収を阻害してしまいます。
またカルシウムとの結合で結石を作ってしまい、尿路結石などを引き起こしてしまうことも大きなリスクです。
犬にこんにゃくを食べさせる場合
注意点を理解したうで、もし犬にこんにゃくを与える場合は適切な下準備をして与えるようにしましょう。
アク抜き
灰汁抜きは必須です。灰汁抜きをすることにより、こんにゃくに含まれるシュウ酸を少なくすることもできます。
少量にする
犬と人とでは体のサイズも違うため同じ量を与えることはNGです。
人間でも食べ過ぎると下痢などを引き起こしてしまうことがあります。先程もご説明したようにアレルギーが出る恐れもあるので、ごくごく少量にとどめておきましょう。
細かくする
犬は咀嚼せず飲み込む習性のある動物ですので、喉につまらないサイズに細かく切って与えてください。
犬にとってこんにゃくは特に必要ではない?
犬にこんにゃくを与える場合の注意点をみてきましたが、結論としては、あえて犬にはこんにゃくを与える必要はないといえるのではないでしょうか。
確かに低カロリーでダイエットなどの効果がないわけではありませんが、こんにゃくが犬に与えるリスクの方が大きいようにも感じます。
愛犬の健康維持やダイエットを行う場合は、こんにゃく以外の食材や方法をおすすめしますが、与えてみたいという方は、安全に食べられるよう注意点や下準備を必ずしてあげてくださいね。