犬が散歩中にリードを引っ張ろうとするのは、自由に移動できる状態で散歩をさせている飼い主に原因があります。犬は、人間に対して従順な性格の子が多いので、きちんとしつければ飼い主よりも前を歩いて引っ張るようなことはしなくなります。どのようなしつけをすれば良いのか、また、散歩の仕方で気を付けなければならないことを紹介します。
目次
なぜ散歩の仕方にしつけが必要なの?
ドッグランを走り回っている犬のように、散歩も自由にすれば良いと思っている人も多いのではないでしょうか。実際に、犬の散歩には明確なルールがあるわけではありません。
歩く場所や距離、時間などは、飼い主が犬の様子を見て決めれば良いことです。最低限のマナーさえ守れていれば、わざわざしつけをする必要がないと思うのも無理はないでしょう。
しかし、散歩のしつけをしておくことで、様々な危険から自身や犬を回避できます。どんな危険があるのかを見ていきましょう。
他の人や犬に迷惑をかける可能性がある
散歩中に、知らない人やいろんな犬とすれ違う可能性があります。犬は、見慣れない存在に敵意を向ける傾向があり、飼い主を守ろうと前に立ったり、飛びかかったりする本能をもっています。
また、フレンドリーな犬の場合は、いろんな人に構ってほしいのを理由に、積極的に距離を縮めようとすることもあるでしょう。どちらにしても、愛犬が他人や犬に飛びかかって驚かせたり、ケガをさせる恐れがあるので、きちんとしつけをしておくことが大切なのです。
事故やトラブルを招く可能性がある
犬は、人間のルールを理解しているわけではありません。盲導犬のように徹底したしつけをしていない限り、信号の色を見て判断したり、自転車や車を気にしながら歩いたりすることは難しいでしょう。
自由に散歩をさせてしまうと、周りのことを気にせず自分勝手に行動してしまいます。それが原因で事故にあったり、人に迷惑をかけてトラブルになったりする可能性があります。安全に散歩を楽しむためには、しつけは必要不可欠だと言えるでしょう。
飼い主を主人と認識しない
犬が主人に従って行動するのは、きちんとしつけられているからこそ見られる傾向です。ただ可愛がっているだけでは、犬も人間と同じようにわがままな性格に育ってしまい、自分の要求はなんでも聞いてもらえると勘違いする可能性があります。
犬が人間に飼われるのではなく、人間が犬に従ってしまう状態になると、散歩中だけではなく、他の場面でも自分の意思のままに行動してしまうので、飼い主としての威厳を保ちにくくなるでしょう。
リーダーは誰なのかをはっきりさせるために、しつけは必要不可欠です。
リードを引っ張るのは犬の体に負担がかかる
犬が引っ張ると、飼い主もそれに対して抵抗しようとするでしょう。そのため、犬はもっと引っ張ろうと必要以上に力を入れてしまいます。
リードは首輪やハーネスにつながれているため、引っ張ることで犬の体に大きな負担をかけることになります。
慢性的になると、首の障害や脳の障害を招く可能性があるので、できるだけ犬の体に負担をかけないようにするためにも、引っ張らないしつけをすることが大切です。
犬が散歩で引っ張ろうとする理由3つ
散歩で犬がリードを引っ張ろうとするのには、主に3つの理由が考えられます。引っ張り癖を直したいのであれば、まずはなぜ犬が引っ張ろうとするのかを理解してあげることが大切です。
好奇心旺盛な性格
もともと好奇心旺盛で活発な性格の犬の場合、いろんなところに興味を示して引っ張ってしまう傾向があります。
毎日通る道であれば、徐々に見慣れていくことで引っ張らなくなっていく可能性がありますが、今までに歩いたことがない道や、工事中などの普段とは違う変化が見られる場合は、好奇心からグイグイと引っ張り始める犬もいます。
距離が定まらない伸縮リード
スイッチひとつで長さを変えられる伸縮リードは、一見便利なようにも見えますが、実は犬にとっては不親切に感じられる場合があります。
基本的に犬は、飼い主の様子をうかがいながら散歩をしています。そのため、頻繁に飼い主の顔を見ようと振り返ったり、立ち止まったりする姿が見られることもあるでしょう。
「飼い主に散歩をしてもらっている」という認識を持っている犬の場合、きちんと主人について行かなければと考えて行動しています。
しかし、リードの長さが自由に変えられるものだと、犬はどの程度の距離感を持って歩けば良いのか分からなくなってしまいます。リードが長く、自由に行動させてもらえるときもあれば、短くて行動範囲を狭められてしまうこともあります。
長さは飼い主の都合で変えられるため、犬は正しい散歩の仕方が分からなくなり、混乱してしまうのです。自由に動けると思って勢いよく走ったら、実はリードが短かったということから、結果的にリードを引っ張る状態になることも考えられます。
飼い主と犬の距離が遠すぎる
飼い主と犬の距離が遠すぎると、犬は自由に動けると勘違いして引っ張ってしまいます。また、自分が散歩をしてもらっているのではなく、行きたいところに飼い主がついてきてくれると思ってしまうので、飼い主に叱られても引っ張ることをやめない場合があります。
犬は、常に飼い主の顔を見た状態で歩いているわけではありません。犬の視点からすれば、前を向くと飼い主の姿が見えないので、ある程度早く進んでも、当然飼い主はついてきてくれると思っています。
特に、飼い主との距離が遠くて歩いている気配を感じ取れないと、歩幅をあわせることもできないので、犬は自由気ままにどんどん前へと進もうとするでしょう。
常に飼い主の歩幅を確認でき、そばを歩いていることが分かるような距離感を保つことで、犬も安心しますし、安定した散歩ができます。
犬の引っ張り癖を直す方法
犬の引っ張り癖を直すことは、危機回避にもなり、散歩の時間を楽しくするためにも必要です。では、具体的にどのように直していけば良いのか、その手順を紹介します。
引っ張り癖を直すためのしつけのポイント
先程引っ張り癖を直す方法を紹介しましたが、それを行なう中で、いくつかのポイントがあります。このポイントを意識してしつけをすることで、より効果的に引っ張り癖を改善することが期待できるので、ぜひ参考にしてみてください。
リードの長さは1m
飼い主と犬との間隔は、1m程度が理想です。離れすぎていると、自分が好きな方向に自由に歩いてしまうため、口などで命令をしても、犬は聞く耳を持ってくれない可能性があります。
歩くのに支障がなく、さらに自由がききづらい1mという長さは、散歩をする上で最適な距離感です。この距離感を犬にも覚えてもらうために、常にリードの長さは一定にしましょう。
伸縮リードを使っている場合には、都合にあわせて長さを変えるのではなく、一定の長さで固定しておくことが大切です。
アイコンタクトで信頼関係を築く
犬が飼い主を自分よりも上の立場の存在だと認識すれば、飼い主よりも前を歩こうとしなくなる可能性があります。立場を理解させるためには、信頼関係を築いていくことが大切なので、積極的にアイコンタクトをとるようにしましょう。
犬は、散歩中に何度も飼い主の方を振り返ります。これは、犬にとってコミュニケーションのひとつなので、それを無視していると、犬は拒絶されたような気持になって飼い主との距離を縮めづらくなります。
犬が目を向けるたびに応じてあげることで、犬は飼い主の存在を再認識します。引っ張ったことに対する注意や号令など、飼い主の言葉を素直に聞き入れるようになることが期待できるでしょう。
何度も引っ張ったら次の手段
無意識に行なっている癖は、人間でも直すのに時間がかかります。それと同じように、犬にとっても、癖を直すのはそう簡単ではありません。
引っ張るのが癖になっている場合、何度言ってもなかなか聞かないことがあるでしょう。根気強くしつけていくことが大切ですが、ダメなことを見過ごすわけにはいかないので、あまりにも引っ張るのを繰り返すようであれば、次の手段を講じることも大切です。
具体的にどのようなことをすれば良いのか、効果的な方法を3つ紹介します。
決まった禁止ワードを使う
「ダメ」や「ノー」など、しつけの際に使っている禁止ワードがある場合には、それらを使います。犬が理解しやすい言葉で伝えてあげることで、やってはいけないことを認識できるようになるでしょう。
言葉に決まりがあるわけではなく、家庭に応じたそれぞれルールで構わないので、自分たちが分かる内容で決めてあげれば問題ありません。
立ち止まる
引っ張れば飼い主がついてきてくれると勘違いしている犬は、どんなにダメだと言っても引っ張ることをやめない場合があります。そんなときは、一度立ち止まってみましょう。
引っ張っても動いてくれない飼い主を見て、自分の思い通りにならないことを理解できるようになります。引っ張っても無駄だと理解し始めると、引っ張ることをやめるだけではなく、きちんと飼い主のそばまで戻ってくるようになる場合もあります。
無視する
犬にとって、飼い主に無視されるのはとてもつらい制裁です。目を合わせてもらえない、行きたい場所に連れて行ってもらえないなど、犬の意思を飼い主が無視することで、拒絶されたような気持になるからです。
無視されるつらさを味わいたくない犬は、飼い主の機嫌を損ねないよう引っ張るのをやめたり、飼い主の様子をうかがいながら歩くようになる場合があります。
命令に従ったら必ず褒める
しつけになると、つい厳しく叱ってしまう人もいるでしょう。しかし、怒られてばかりでは飼い主に恐怖心を持つようになってしまう可能性があります。
悪いことをしたら叱ることも大切ですが、命令に従ったときや、できなかったことができるようになったときなどは、一生懸命褒めてあげることもしつけの大切なポイントです。言うことを聞いたら褒めてもらえる、撫でてもらえるという喜びを覚えさせることで、飼い主の言うことを素直に聞けるようになるでしょう。
散歩時間を決めない
毎日決まった時間に散歩に行くのを習慣にしていると、犬は自分のために飼い主が散歩に連れて行ってくれると思ってしまいます。これでは、飼い主の立場が犬よりも低くなってしまい、犬が自分勝手に行動する可能性があります。
そこで効果的なのが、毎日の散歩時間を決めないということです。飼い主が時間を作ってくれるおかげで散歩に行ける、という考えを犬に持たせることで、散歩中も飼い主の言いつけを守ろうと従順な姿勢を見せてくれる可能性があります。
散歩のしつけでやってはいけないこと
しつけのやり方を間違えると、犬に恐怖心や不信感などを植え付けてしまう可能性があります。なかには、飼い主に怒られるたびに怯えるようになってしまう犬もいるでしょう。
そうならないようにするためには、正しいしつけの仕方を知るだけではなく、やってはいけないことも理解しておくことが大切です。
飼い主が引っ張る
犬は、飼い主がやることを「自分もやっても良いこと」と覚えてしまいます。引っ張り癖を直そうとしつけをしている中で、飼い主が犬を引っ張ってしまうと、やっても良いのだと勘違いしてしまいます。そのため、散歩中に飼い主が犬を引っ張らないように気を付けましょう。
命令に従ったのに褒めない
正しいことをしたら褒め、間違ったことをしたら叱るというメリハリが大切です。行ないを正したのに褒めてもらえないと、飼い主の言いつけを守らない犬になってしまう可能性があります。
ちょっとしたことでも、命令を守ったらしっかり褒めてあげるようにしましょう。
大きな声で怒鳴ったり叩いたりする
大声で怒鳴ったり、叩いたりするのは犬にトラウマを植え付けます。飼い主に対して怯えるようになり、手を振り上げる動作をしただけで身をかがめるなど、飼い主を信用できなくなってしまう可能性があるので、絶対にやってはいけないしつけのひとつです。
命令を聞かない愛犬に対してイライラしてしまう人もいますが、理解できるよう通常の声のトーンで話してあげること、無視や立ち止まるなどして、叩く以外の方法でしつけを行うことを心がけましょう。
犬の引っ張り癖改善に役立つおすすめグッズ3選!
引っ張り癖を直すためには、効果的なグッズを使うのもおすすめです。犬が引っ張りにくい作りになっているものや、引っ張っても体に負担をかけないものなどがあるので、おすすめのグッズを3つ紹介します。
Halti 大型犬用引っ張り防止ハーネスドッグトレーニングコントロール
このハーネスは、フロントコントロールをつけることで引っ張り防止を可能にしています。犬もフロントを意識するので、頭からではなく胸から前に進もうとします。
フロントコントロールを採用することで、飼い主も犬のコントロールしやすくなるでしょう。このフロントコントロールは、特許を取得しているので、Haltiならではの商品だと言えます。
プレミア社 ジェントルリーダー・ヘッドカラー
犬の習性や本能を考えて開発されたグッズです。首輪やハーネスとは違い、犬の口元につけるので、引っ張り防止になるだけではなく、飛びついたり吠えたりするのも防ぐことができる効果があります。力が弱い女性や子どもでも、簡単にトレーニングができるので安心です。
ASHU STEP ハーフチョーク
引っ張り防止のためのハーフチョークです。デザインが3種類あり、好みにあわせて選べます。また、ソフト素材で柔軟性があるので、犬の首に負担がかかりにくくなっています。
犬の引っ張り癖を正しくしつけて散歩を楽しもう!
引っ張り癖を放置していると、犬は飼い主を自分よりも下だと勘違いし、あらゆるしつけに悪影響を及ぼします。しかし、正しくしつけて飼い主が上だと認識させてあげれば、犬の引っ張り癖を改善できるでしょう。毎日の散歩を楽しくするために、正しい散歩の仕方を、犬も飼い主も理解することが大切です。