犬のしっぽの動きで気持ちや病気を知ることができる!それぞれの特徴を覚えておこう

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう

犬と人間は、なかなか意思疎通がとりにくいものです。しかし、少しでも犬の気持ちが知りたい、分かりたい、というときにはしっぽの動きを見ると感情を理解するのにとても役立ちます。警戒されているのに喜ばれていると思い撫でてしまったり、しっぽの病気を気づかずに放っておいてしまったり、後々になって後悔をしないよう、この記事を読んで愛犬と楽しい生活を送りましょう。

犬のしっぽの動きで感情が分かる!

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう

【画像】:ポペットフレンズのモカちゃん

人の表情と同じで、犬はしっぽで気持ちを表現しています。嬉しいとき、悲しいとき、怒っているときなど、その時々で変化をしています。家や身近な犬がどんな気持ちでいるのか、以下を見て探ってみましょう。

しっぽを大きく振っているのは嬉しいや好きを表しているとき

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう

【画像】:ポペットフレンズのモカちゃん

犬が大きくしっぽを振っているとき、基本的には喜びの感情であると考えていいでしょう。飼い主に、大好きな気持ちや、興奮していること、わくわくを伝えようとしっぽで表現しています。

その動きの中でも特に、しっぽをゆったり左右に振っている場合は、好奇心や信頼、信用などを表現しています。しっぽの振り具合は、激しくなればなるほど喜んでいる証拠といえるでしょう。

しっぽを振りながら吠えるのは興奮やおねだり、また警戒しているときも

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう

飼い主が帰宅した際や来客の際に、吠えながらしっぽを振っていることはありませんか?それは興奮している証拠です。興奮しているときのしっぽは早い動きなのが特徴です。

また、ごはんを欲しがっているときや散歩に連れて行ってほしいとき、おやつをおねだりしているときなどに欲求吠えをしている場合には、しっぽがゆっくりとした動きで揺れています。この際の気持ちは、リラックスしていると言えるでしょう。

しかし、しっぽを振っていても犬の表情が険しく、対象が飼い主や慣れた人ではない場合は注意が必要です。警戒心で吠えている可能性がありますので、そういう場合は飼い主が遠ざけてあげましょう。

しっぽが下がっているのは不安や怖がっているとき

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう

犬のしっぽが下がっているときは元気がないときや怯えているとき、不安を感じているときに多いと言われています。

病院に連れて行くときや飼い主が目の前からいなくなったとき、しっぽをまっすぐ下に垂らしていることはありませんか?それは不安や不快感、ストレスを表していると言えます。

また、不安や恐怖心が大きくなればなるほど、垂らしたしっぽは後ろ足の間に傾いていきます。飼い主に怒られたときや他の犬を怖がっているとき、雷などの音に怯えている際にもこのようなしっぽになるようです。

さらに強い恐怖を感じると、垂らしたしっぽを自分の後ろ足で挟み込むような形になります。これは肛門から出る自分の臭いを消そうとするしぐさと言われ、相手に対して服従の気持ちがあると言われています。

しっぽが上がっているときは優位性を示したり威嚇しているとき

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう

【画像】:ポペットフレンズのヒコ丸くん

しっぽが緊張し斜め上を向いている場合、近くにいる犬や人に自分の優位性を示していると考えられます。また、上げられたしっぽがやや背中側に曲がっている際も同じく優位性を示しています。

しっぽが高く上げられ、少し左右に揺れているときは威嚇や攻撃する気持ちがあると言えるでしょう。これは、ジャーマンシェパードなどのオオカミに近い犬種に多く見られます。

自分のしっぽを追いかけるのは精神的ストレスかも

精神的なストレスが溜まると、同じ行動を何度も繰り返すことがあり、これを「常同行動」と呼びます。ストレスを感じる内容は犬によって違いがありますが、小型犬の方が神経質でストレスと抱え込みやすいと言われています。

しっぽを追いかけるだけでなく、酷くなると自分のしっぽの毛をむしり取ったり、噛んで出血させてしまうこともあります。原因は運動不足であることが多いため、散歩に連れて行ってあげると改善されることが多いようです。

他の原因である場合は、しっぽを追いかける直前にいつも起きていることや、犬の周りで変化があったかなどを振り返ってみましょう。

しっぽを舐めたり噛んだりするときはノミがいる場合も

犬のしっぽの動きや状態で気持ちや病気を知ろう
しっぽを舐めたり噛んだりする場合、一番に考えられるのは精神的ストレスだと考えられますが、そのストレスの原因が見当たらない場合は、しっぽにノミがいるのかもしれません。

特にしっぽの付け根は、ノミが寄生する好発部位と言われています。犬に寄生するノミのほとんどは「ネコノミ」という種類で、暖かくなる時期にはより寄生虫も活発になるため、しっぽを舐めたり噛んだりというトラブルも起きやすくなるでしょう。

ノミは刺される痛み・痒みだけでなく、ノミアレルギー性皮膚炎(ノミ刺咬性過敏性皮膚炎)という皮膚炎も起こします。

この場合は赤く腫れて熱感を持ったり、湿疹が出る、ただれるなどの症状も出ます。駆除後も1ヵ月くらい皮膚炎はおさまらないため、早期発見・予防が必要です。

ノミは寄生している動物との接触によって感染します。一番の予防方法は、散歩時に草むらや藪の中に入らないことです。

もし入ってしまった場合の確認方法は、しっぽの付け根あたりの被毛の中を探ってみましょう。ノミがいる場合は、黒いゴマのようなノミのフンが見つかるでしょう。

ノミのフンらしきものが見つかった場合、それを水で湿らせたティッシュの上に乗せてみてください。ギュッとつぶしたときに、血が染み出してくるようならノミのフンです。

ノミの駆除・予防のは専用の薬剤が一番効果が期待できます。持病によって使えない成分もあるため、獣医師と相談の上で使用しましょう。

犬のしっぽから分かる病気とは?

動きからさまざまな気持ちを読み取ることができるしっぽですが、実は体のトラブルもしっぽから読み取れるものがあります。

病院に連れて行った方がいいのか迷うような、見た目的にはちょっとしたニキビのようなできものや、急を要する骨折や椎間板ヘルニア、悪性腫瘍まで、しっぽには色々な病気が隠されているかもしれません。

具体的にどのような症状なのでしょうか?以下で確認してみましょう。

しっぽが下がったままのときは骨に疾患があることも

犬のしっぽの骨(尾骨)は先端に行くほど細く小さくなっています。そのため、踏まれたり、時には強く握っただけで骨折をしてしまうことがあるのです。特に小型犬のしっぽは、骨折しやすいと言われています。

また、こちらも小型犬、特にミニチュア・ダックスフンドやコーギーのような胴長短足の犬種に多いと言われているのですが、椎間板ヘルニアでもしっぽが下がったままになることがあります。詳しく見てみましょう。

骨折

骨折にはさまざまな種類があります。疲労骨折・亀裂骨折・剥離骨折・圧迫骨折・開放骨折・成長板骨折などです。

  • 疲労骨折
  • 骨に繰り返し弱い力が加わることで起こる

  • 亀裂骨折
  • 骨にヒビが入った状態のこと

  • 剥離骨折
  • 骨に筋肉や靭帯が強い力で引っ張られたときに起こる

  • 圧迫骨折
  • 骨が強い力で押しつぶされた状態のこと

  • 開放骨折
  • 骨折部が体外に飛び出した状態のこと

  • 成長板骨折
  • 未成熟の犬に成長期起こる

骨折をしているときの症状は、しっぽが下がったままで動きが悪い・触ると痛がる・患部が変形する・歩き方がおかしい・散歩を嫌がる・粗相をするなどです。

骨折をしているかもしれないと感じたら、すぐに病院に連れて行ってあげましょう。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、首から腰にかけて走る背骨の一つひとつの骨の間にあるクッション材のような部分が、変性して突出してしまうことが原因で発症します。突出した椎間板が脊髄や神経を圧迫するため、痛みや麻痺などの症状が出てきます。

軽度の椎間板ヘルニアでは、痛がってしっぽが下がったままになっていたり、階段の上り下りをしたがらない、急にキャンと鳴くなどの症状が現れます。

酷くなると震え・動きたがらない・食欲がない、呼吸が荒い・排尿・排便をしないなどの症状も出てくる場合があります。

さらに悪化すると、部分麻痺で足を引きずったりふらつきなども起こることがあるでしょう。重度の場合は下半身が完全麻痺してしまい、後ろ足を引きずり、自分では排尿もできなくなります。

椎間板ヘルニアは早期発見・早期診療が大切です。初期症状が見られた時点で病院へかかりましょう。

腫瘍!?しっぽの付け根にしこりがある場合

犬のしこりには表皮嚢胞・老人性のイボ・腫瘍の3つがあります。表皮嚢胞とは、皮膚の下に袋状のできものができ、そこに皮脂などが溜まってくるものです。

腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、悪性かどうかの鑑別には細胞診という検査が行われます。細胞診とは、犬のしこりなどの病変部に細い針を刺し吸引した細胞を薬剤で染色して顕微鏡で検査します。

また、犬のしこりには肛門周囲腺腫と呼ばれる、肛門やしっぽの周辺にできる良性の腫瘍があります。肛門周囲腺腫は男性ホルモンが関係しているため、未去勢のオス犬に多く発生する病気です。

大部分は8歳以上の高齢犬の病気であると言われています。肛門周囲腺癌や肛門嚢アポクリン腺癌という悪性腫瘍と似ているため注意が必要です。肛門周囲腺腫の見た目は、黒っぽくてつるんとしたしこりです。

また、しこりは1ヶ所だけでなく肛門からしっぽまでの範囲で、同時に複数発生することがあります。

しっぽにニキビのようなできものがある場合

しこりではなく、皮膚病のできものである場合、色が白・ピンク・赤であれば、パピローマウイルスに感染している可能性があります。免疫力が下がっているときや、皮膚の水分量が少ないときなどに、他の感染犬から移ってしまうことが多いでしょう。

通常は数週間から数ヶ月で自然に取れます。色が黒・赤黒い場合、大きさや状態に関係なく悪性の腫瘍の可能性がありますので、早めに受診しましょう。

また、ほくろやマダニの可能性も考えられますので、病院で診断してもらいましょう。できものが徐々に大きくなる場合は悪性の可能性があるため、再診をおすすめします。

しっぽを巻いている場合

犬がしっぽを巻いているときは、痛がっている可能性があります。おしり付近をしきりに気にしている場合、肛門嚢炎という病気も考えらるので注意が必要です。

犬の肛門には肛門腺というにおいを出す腺があり、肛門嚢という袋があります。肛門から出る分泌液は、小型犬などは自分ですべて排出する力がないため、少しずつ溜まっていってしまうのです。

この肛門腺液が肛門嚢に溜まったまま出さないでいると、細菌感染が起こり炎症してしまい、これを肛門嚢炎と言います。初期では抗生剤で治療ができますが、進行してしまうと外科手術が必要になりますので、早期発見が必要です。

しっぽが振れなくなる馬尾症候群について

犬の馬尾症候群とは、脊髄の下端からしっぽに向かって伸びている馬尾(ばび)と呼ばれる神経の束に異常が生じた状態のことです。

馬尾症候群症状

  • しっぽの付け根を触ると痛がる
  • しっぽが動かず感覚がない
  • 自力でおしっこができない
  • 排便のコントロールができずに垂れ流してしまう
  • 後ろ足の動きがおかしい
  • 散歩などの運動を嫌がる

治療法は、先天的な奇形の場合、外科手術になるでしょう。先天的に起こりやすい品種は、ボーダーコリー・ジャーマンシェパード・ロットワイラー・ボクサーなどです。

犬のしっぽは感情や体調を知らせてくれるバロメーター

犬はしっぽでコミュニケーションを図ろうとしてくれています。人間のように明確に気持ちを言葉にして告げることはできなくても、気持ちや体調を飼い主に伝えようとしています。その繊細な機微を感じ取り理解し、それに答えてあげたいですね。

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