犬がキャットフードを食べるのはダメ!食べてはいけない4つ理由とは?

犬 猫

ドッグフードとキャットフードは、構成される内容が異なるため、対象の動物以外が口にするのはNGとされています。しかし、犬と猫を一緒に飼っている場合、目を離した隙に犬がキャットフードを食べてしまった、というハプニングに直面した人もいるでしょう。今回は、なぜ犬がキャットフードを食べてはいけないのか、食べないようにするにはどうすれば良いのかなどを紹介します。

キャットフードの特徴

見た目はキャットフードもドッグフードも似たようなものですが、その中身には大きな違いがあります。だからこそ、犬と猫とで餌を分ける必要があるのですが、キャットフードにはどのような特徴があるのでしょうか。

犬 猫

嗜好性が高い

猫は犬よりも嗅覚が弱いため、ほんのり美味しそうなニオイが漂ってくる程度では、食欲をそそられない可能性があります。そのため、猫に食べてもらえるようニオイを強めにして製造されています。

ドッグフードに比べて美味しそうなニオイが強く香ってくるため、犬がキャットフードに興味をそそられてしまうのも無理はありません。

また、犬の場合だとライフステージや犬種によって様々なドッグフードの構成があります。子犬期や成犬期は、成長のために豊富な栄養素が含まれ、シニア期はヘルシー志向の内容となるのが一般的です。

しかし、猫は種類による個体差があまりないため、餌の量や内容は大体同じで、どのライフステージでも嗜好性が高くなるよう作られている傾向があります。

カロリーが高い

猫は体が小さいため、一度にたくさんの量の餌を食べることができません。そのうえ、味が合わないと思うとそれ以降口をつけてくれない可能性すらあるため、少量でも必要な栄養が摂れるようカロリーを高めに作られています。

特に、キャットフードには塩分、脂質、タンパク質が多く含まれており、原材料も動物性のものがメインとなる傾向があります。

味が濃い

味覚の敏感さは味蕾(みらい)の数によって異なります。人間の舌には約9,000個の味蕾があるため、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つの味を感じることができます。

それに対し、犬は約2,000個と言われており、旨味を除いた4種類の味が分かります。人間ほどではありませんが、様々な味の変化を楽しんだり、腐って酸味や苦味が増しているものを食べないようにしたりすることが可能です。

では、猫はどうなのでしょうか。実は、猫の味蕾は500~1,000個程度しかありません。甘味と旨味を除いた3種類の味しか感じ取ることができないため、犬のようにケーキやクッキーなどのお菓子を食べても甘さを感じません。

感じ取る味の種類が限られるため、そのなかで猫が食べやすいようにするためには、どうしても塩分や動物性のエキスを多く含む必要があり、必然的に味が濃くなってしまいます。

犬がキャットフードを食べてはいけない理由

犬にとってキャットフードが毒ではないため、少量口にしても問題はありません。それならば、犬と猫の餌を一緒にしても良いのでは、と思ってしまう人もいるかもしれませんが、犬には犬用、猫には猫用に餌が作り分けられているのにはきちんとした理由があるのです。

なぜ犬がキャットフードを食べてはいけないのか、その理由を解説します。

犬

必要な栄養が違う

犬と猫とでは必要な栄養が異なります。そのため、犬がキャットフードを食べると、必要な栄養が足りなくなったり、逆に摂りすぎになるなどの問題が考えられます。具体的な違いは以下の4つです。

タウリン

アミノ酸の一種であるタウリンは、猫の体内ではほとんど合成されません。そのため、「猫の必須アミノ酸」とも呼ばれています。タウリンは、体の様々な機能を正常に戻そうとする働きがある栄養素なので、欠乏すると失明や心筋症などのリスクを高めます。

キャットフードには、タウリンを摂取できるようタンパク質が豊富に含まれていますが、犬はタウリンを体内合成できるため、タウリンに特別注目しなくても、普段の食事から摂取できる分だけで十分です。

アルギニン

タウリンと同じくアミノ酸の一種です。犬にも猫にも必要な栄養ですが、猫のアルギニン要求量は犬の2倍もあると言われています。アルギニン不足はアンモニア中毒を招く恐れがあり、それを防ぐため、キャットフードにはアルギニンを豊富に含んだものが多い傾向があります。

犬が食べると、必要以上にアルギニンを摂取してしまうことにつながります。

体内変換できない栄養素

人間を含め、動物には摂取した栄養素を他の栄養素に変換する力があります。しかし、どんな栄養素を変換できるかは動物によって異なり、変換できない栄養素は食事で補わなければなりません。

猫は、アラキドン酸やビタミンA、ナイアシンなどの栄養を体内変換できないため、キャットフードから直接摂取する必要があります。それに対し、犬はこれらの栄養素を他の栄養素から変換できるため、無理に食事から摂取する必要はありません。

炭水化物

犬はもともと肉食動物ですが、人間との生活のなかで雑食に変化していきました。そのため、ドッグフードでも穀類を含んでいるものが多く出回っています。しかし、猫は完全に肉食であるため、ドッグフードほどの穀類を摂取すると消化不良を起こす可能性があります。

栄養の偏りを防ぐために少量の炭水化物の摂取は必要ですが、それ以上の摂取にならないようキャットフードは構成されています。

ドッグフードを食べなくなる

嗜好性が高く、味もニオイもしっかりついているキャットフードは、犬にとって非常に魅力的です。なかには、ドッグフードでは物足りなくなって食べなくなる子もいるでしょう。

先程も説明したように、犬と猫とでは必要な栄養が異なるため、それぞれの動物にあわせた構成でドッグフードやキャットフードは作られています。

ドッグフードを食べなくなると、必要な栄養が摂取できないため、病気のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。

塩分過多になる

キャットフードは塩分が多いため、その美味しさからつい食べ過ぎてしまう犬もいるでしょう。体は、必要以上の塩分が体内に蓄積しないよう、できるだけ体外に排出させるために一生懸命働きます。

しかし、この働きが継続的だと腎臓に大きな負担がかかり、機能障害を引き起こす可能性があります。慢性的な負担は腎不全を招き、場合によっては命を落とすことも考えられます。

健康維持を考えるのであれば、塩分の多いキャットフードを犬に与えるべきではありません。

肥満になる

栄養が豊富で高カロリーなキャットフードは、食べ過ぎるとあっという間にカロリーオーバーとなってしまいます。

肥満は様々な疾病の原因となるだけでなく、関節に負担がかかって骨折してしまうリスクなどもあるため、習慣的にキャットフードを食べさせるのは危険です。

愛犬がキャットフードを食べてしまったらどうすれば良い?

犬

犬がキャットフードを食べてはいけない理由や、考えられる病気のリスクなどを解説してきましたが、これらはあくまで習慣的に食べていた場合に考えられる内容です。一口食べてしまっただけで急に体調が激変するようなことはほとんどないため、慌てる必要はありません。

しかし、普段とは違うものを食べることでアレルギー反応が出る可能性があるため、キャットフードを食べてしまった後はしばらく様子を見てあげましょう。

問題がないようであれば、今後キャットフードを口にしないよう気をつけ、特に病院に連れて行くなどの対処は必要ありません。どうにかしようと、無理矢理吐き出させるようなことはしないでくださいね。

犬と猫を飼っている場合の餌の与え方

犬だけを飼っているのであれば、そもそもキャットフードを買うことがないため、誤食の心配はありませんね。しかし、猫も一緒に飼っている場合は餌が混ざってしまうなどのトラブルが考えられます。

また、餌の準備中に愛犬がキャットフードを無理矢理食べようとすることもあるため、餌の与え方には少し工夫が必要です。どのような餌の与え方をすれば、愛犬がキャットフードを食べるのを防げるのか、効果的な方法を3つ紹介します。

食事の場所を分ける

犬と猫が並んで餌を食べている姿は、とても愛らしくて微笑ましいのですが、愛犬が隣のキャットフードを欲して手を出そうとする可能性があります。そのため、食事の部屋を分けるなどの工夫で、できるだけ離れた場所で食べさせてあげる方が安全です。

距離があればニオイも届きにくくなり、目の前の餌に集中できるでしょう。

時間をずらす

食事の時間をずらすのも効果的です。餌を食べるのが自分だけであれば、目の前のドッグフードに集中できます。猫が餌を食べるときは、そのニオイで食欲をそそられてしまう可能性があるため、別の部屋に愛犬を移動させたり、ケージに入れたりして対処しましょう。

残った餌を放置しない

用意した餌を猫がすべて食べてくれれば問題ありませんが、なかには残してしまう子もいます。キャットフードがそのまま放置されていると、ニオイにつられて犬が口をつけてしまう可能性があります。

そのため、食べきるまで置いておくのではなく、愛猫が食べなくなったらすぐに撤去しましょう。また食べたくなって餌を要求してくるようであれば、そのときに与えてあげてください。

犬 猫

ペット用フードは一緒にしないで使い分けよう!

ドッグフードとキャットフードは、見た目が似ているものも多く、混同してしまう飼い主もいるでしょう。なかには、それぞれに買うのが面倒だからという理由で、同じものを与えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、犬と猫は同じ動物ではなく、それぞれに必要な栄養も異なります。愛犬がドッグフードよりキャットフードの方を美味しそうに食べるからと言って与え続けていると、様々な病気のリスクを高めるでしょう。

ペットの健康維持を考えるのであれば、それぞれに合った餌を用意し、安心して食べることができる与え方をする必要があります。犬自身には餌の管理はできないので、飼い主が責任を持って管理をしてあげましょうね。