犬は、成犬期を過ぎると体の内側から徐々に老化が始まります。大好きだった散歩を嫌がったり、食欲が落ちたりなど、日常生活の中で様々な変化が見られることもあるでしょう。少しでも長生きしてもらうためには、シニア犬に適したドッグフードをチョイスしてあげることが大切です。今回は、おすすめ商品や、他のライフステージとはどのような違いがあるのかなどを紹介します。
目次
シニア犬ドッグフードの特徴
ドッグフードは、基本的にライフステージごとで内容が異なります。それは、子犬期、成犬期、シニア期で必要な栄養が異なるからです。
なかには、全ライフステージに対応できるようなバランスで作られたドッグフードもありますが、すべてがそうではないため、間違えると愛犬の健康を害する可能性も否定できません。
では、シニア犬に合ったドッグフードとはどのようなものなのでしょうか。他のライフステージとは違う特徴をいくつか紹介します。
カロリーや塩分が控えめ
人間と同様に、犬も加齢とともに基礎代謝が落ちていきます。そのため、子犬期や成犬期のように、活発な時期と同じだけのカロリーを摂取すると、消費しきれずどんどん体内に蓄積してしまいます。
肥満症になったり、体が重くなって支えきれず、骨折を招いたりなどのリスクが考えられるため、シニア犬のドッグフードは、基本的にカロリーが控えめに作られているのです。
また、塩分も同様です。塩分過多は内臓機能に大きな負担をかけてしまう恐れがあるため、心臓や腎臓が弱い子は症状が悪化する可能性があります。
できるだけ体に負担をかけないようにするため、塩分も控えめに作られているので、成分表をぜひチェックしてみてくださいね。
消化に良い
体の内側から老化が進んでいくため、シニア犬になると消化する力も弱っていきます。今までは普通に食べていたドッグフードが消化できず、下痢や嘔吐を招く可能性もあるでしょう。
そのような状態では、どんなに栄養が豊富なドッグフードであっても、体内で吸収されないため意味がありません。だからこそ、シニア犬のドッグフードは、栄養をしっかり吸収できるよう消化に良い食材を選んで作られています。
関節ケアを意識した成分が豊富
年を取ると、関節の柔軟性が徐々に失われていきます。そのため、骨同士がより密接になって痛みを感じたり、脱臼などの関節の病気を起こしたりする可能性があります。
そのリスクを少しでも軽減させるため、シニア犬のドッグフードには関節ケアの成分が豊富に含まれています。関節の構成成分であるコンドロイチンや、グルコサミンなどを配合することで、シニア犬の骨の健康を守ります。
高タンパク
筋肉が徐々に衰えてくると、以前よりもっと体を動かすのが億劫になってしまいます。また、ケガをしやすかったり、体を支えきれず、自分でトイレをすることもできなくなるなど、日常生活に様々な支障をきたす恐れがあります。
それを防ぐため、筋肉維持に効果的なタンパク質を豊富に含んでいます。できるだけ良質なものにこだわった商品も多く、犬の健康には必要不可欠な栄養成分なので、愛犬にしっかり摂取させてあげたいですね。
シニア犬に合ったドッグフードの選び方
シニア犬向けのドッグフードはたくさんありますが、そのなかからどう愛犬に合うものを選んだら良いか分かりませんよね。
味に関しては、食べてみなければ愛犬の好みに合うかは分かりませんが、それ以外の面では、食べさせる前から判断できるポイントがあります。
具体的にどういったところを見たら良いのか、いくつか紹介するのでぜひ参考にしてみてくださいね。
食いつきが良いかどうか
前述したように、シニア犬には衰えた体をサポートするために様々な栄養が必要です。しかし、どんなに栄養価が高いドッグフードを与えても、それを食べてくれなければ意味がありません。
また、シニア犬は徐々に食欲が低下する傾向があるため、体調にかかわらず食べてくれないこともあるでしょう。だからこそ、少しでも犬が「食べたい!」と思ってくれるよう嗜好性を高めることが大切です。
美味しそうなニオイを強くして犬の嗅覚を刺激したり、犬が好きなチキンなどの動物性エキスを多く使用したりなど、商品によって工夫は様々です。愛犬がしっかり食べてくれるよう、美味しそうなものを選んであげたいですね。
食べやすいかどうか
噛む力が弱っている子に対し、硬いドライフードや粒が大きすぎるものは、食べづらさを感じさせてしまいます。「こんなに食べるのに苦労するなら食べたくない」と食欲をなくしてしまう子もいるかもしれません。
そのため、シニア犬が食べやすいような工夫も必要です。顎が弱っていても食べられるような硬さや、食べやすい小粒のものなどを選ぶことで、食べにくさを軽減させることができるでしょう。
同メーカーのシニア犬用にシフトすると安心
犬は嗅覚が敏感なので、違うドッグフードを出されればすぐに分かります。いつもとニオイが違うだけで警戒心が強まり、食べてくれない子もいるでしょう。
そんな子には、同メーカーの商品を移行させる選び方をおすすめします。今まで食べていた成犬用のドッグフードと、同じメーカーが出しているシニア犬用ドッグフードを選ぶと良いでしょう。
栄養バランスや配合されている成分に違いはあれど、製法が同じなので、ドッグフードそのものの性質に大きな違いはありません。そのため、多少の警戒心はあったとしても、比較的早く慣れてくれることが期待できます。
シニア犬用に開発されたものを選ぶ
私たち人間から見れば、ドッグフードはどれも同じように見えますよね。大した違いがないから、今まで食べていたドッグフードを何歳になっても食べさせている、という人もいるかもしれません。
しかし、シニア犬だからこそ摂取すべき栄養があるので、きちんとシニア犬用に開発されたものを選んであげる必要があります。
ある程度固さがあるものを選ぶ
噛む力が弱くなってくるため、食べやすいようにと柔らかいウェットタイプのドッグフードを選ぶ人も多いでしょう。
しかし、ウェットタイプにはいくつかのデメリットが考えられます。食が進まない愛犬のために、ドライタイプに少しウェットタイプを混ぜてみたり、おやつとして与えてみたりなどの工夫は必要ですが、常にウェットタイプを与えるような生活をするのはあまりおすすめできません。
具体的なウェットタイプのデメリットは、以下の2つです。
- 虫歯になるリスクが高まる
- 傷みやすい
ウェットタイプは、その柔らかさゆえに歯にくっつきやすい性質があります。そのまま放置すると、虫歯や歯周病などの様々な口内トラブルを引き起こすリスクが考えられます。
一方、カリカリと噛み応えのあるドライタイプは、歯にくっつきにくいため、虫歯のリスクもウェットタイプほど高くありません。
水分を多く含んでいるウェットタイプは、ドライタイプに比べると賞味期限が短いです。毎日食べるものだからと大袋のドッグフードを買ってしまうと、消費する前に傷んでしまう可能性があります。
シニア犬用に切り替えるタイミングと方法
普段食べているドッグフードから、いきなり別のものに変わってしまうと、戸惑ってしまう子もいるでしょう。なかには、一口も食べようとしない子もいるかもしれません。では、どうすれば上手にシニア犬用ドッグフードにシフトできるのでしょうか。
タイミングの見極め方
シニア犬用ドッグフードに切り替えるタイミングですが、これは明確な基準がありません。そのため、以下の2点に注意し、愛犬に合ったタイミングで切り替えてあげましょう。
- ドッグフードのパッケージだけで判断しない
- 愛犬の様子を見て決める
ライフステージ別に作られたドッグフードには、それぞれ「〇歳から」という表記があります。しかし、犬によって老化の進み具合は違うため、表記年齢になったら必ずシニア犬用に切り替えなければならないわけではありません。
例えば、「7歳から」という表記に従って切り替えた場合、まだ元気で活発に動く子であれば、エネルギーが足りず物足りなさを感じてしまうでしょう。
ひとつの目安として参考にするのは良いですが、パッケージに書かれたことだけで判断しなくてもかまいません。
老化が進んでいくと、日常生活のなかで徐々に変化が見られるようになります。例えば、食が細くなったり、歩くスピードが遅くなったりなど、成犬期の頃と違う様子が見られたら、それはシニア犬用ドッグフードに切り替えるタイミングだと考えて良いでしょう。
このタイミングは犬によって異なるため、日頃から飼い主がしっかり様子を見てあげることが大切です。
切り替え方
シニア犬用にスムーズに切り替えることができる子もいますが、なかには、今までのドッグフード以外を受け付けてくれない、という子もいます。
そんな愛犬の様子を見て、つい今までのドッグフードを継続的に与えてしまっている人もいるかもしれませんね。どうすれば、ライフステージに合わせてドッグフードを切り替えることができるのでしょうか。その方法を2つ紹介します。
- 現在のドッグフードに混ぜて慣らす
- 食事量を減らして回数を増やす
食べ慣れているドッグフードに、シニア犬用を少量混ぜて与えてみてください。最初は、いつもと違う変化に戸惑う子もいるかもしれませんが、食べ慣れたものも一緒に入っているので、徐々に慣れてくれることが期待できます。
様子を見てシニア犬用の量を増やしていくと良いでしょう。
いきなりたくさんの量を食べさせるのではなく、慣らすために少しずつ与えていきましょう。必然的に1回の食事量が少なくなりますが、その分回数を増やしてあげれば問題ありません。
シニア犬におすすめのドッグフード6選!
たくさんあるシニア犬用ドッグフードのなかから、おすすめのものを6つ紹介します。人気が高い商品を知りたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
カナガン
全ライフステージに対応しているドッグフードです。子犬期や成犬期から食べている子であれば、ドッグフードの切り替えを考える必要がありません。
「動物性原材料:野菜やハーブ=6:4」の割合で作られており、そのバランスの良さは獣医師の折り紙つきです。
また、小粒タイプなので、噛む力が弱くなったシニア犬はもちろん、子犬でも安心して食べられます。ドライタイプが苦手な子のために、ウェットタイプのドッグフードもあるので、愛犬に合わせて選んであげてはいかがでしょうか。
モグワン
カナガンスタッフが開発したドッグフードです。全犬種・全ライフステージ対応なので、長いお付き合いができるのが嬉しいですね。
カナガン同様、質の良さにこだわったドッグフードですが、モグワンはそれ以上に食いつきを意識して開発されたドッグフードです。
そのため、今まではドライタイプを食べてくれなかったけれど、モグワンはパクパクと食べてくれた、という人の声も多く目にします。食が細くなりやすいシニア犬だからこそ、食いつきを意識したドッグフードを選んでみてはいかがでしょうか。
アランズ ナチュラルドッグフード
安心して食べてほしいという願いから、以下のアレルギー食品不使用で製造されています。
- 小麦
- 大豆
- 乳製品
- とうもろこし
- 牛肉
- 豚肉
さらに、これらのアレルゲン以外に、人口添加物や肉の副産物を一切使用しないというこだわりがあります。食材の美味しさ、そして安全性を意識したナチュラルドッグフードなので、安心して愛犬に食べさせることができますね。
ただ、ひとつ注意が必要なのが、食べられるのは7ヶ月目以降からというところです。全犬種対応で、ほぼ全ライフステージに対応できるドッグフードですが、離乳後すぐ食べさせても大丈夫なわけではないので、気をつけてください。
FINEPET’Sドッグフード
犬が本当に必要としている栄養は全犬種、全ライフステージに共通しており、給餌量の調整さえすればドッグフードを切り替える必要はない、と考えているFINEPET’Sドッグフードでは、たった1種類のドッグフードしか販売していません。
どんな犬が食べても大丈夫なように開発されている自信の表れと言えるでしょう。粒の大きさでパッケージは異なりますが、中身は同じです。小型犬でも大粒が食べられるよう作られているため、シニア犬でも大粒を食べられるでしょう。
また、20年の研究を経て辿り着いた究極のドッグフード「極(KIWAMI)」も新登場しています。原材料を厳選し、従来のドッグフードと同様にこだわって作られたものなので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
オリジン
ライフステージに合わせ、それぞれが重視すべき栄養バランスで構成されたドッグフードを製造しています。シニア犬用は、動物性原材料85%、野菜やハーブなどで15%という構成なので、高タンパクなドッグフードだということがうかがえます。
一見カロリーが高そうに感じられますが、健全な体重をキープするため、カロリー制限もしっかり行なわれています。まさに、シニア犬のためのドッグフードと言えるでしょう。
visions
獣医師たちもおすすめする、無添加にこだわった国産ドッグフードです。アジを使った低カロリーなものや、肉と魚をバランスよく配合したもの、生肉と生野菜で作られたものなどバリエーションが豊富なので、選ぶ楽しさも味わえますね。
愛犬の様子を見て、適したものを選んであげてはいかがでしょうか。
愛犬がドッグフードを食べてくれないときの対処法3つ
犬がドッグフードを食べない理由は様々です。そのため、どうやったら食べてくれるかは、飼い主が試行錯誤し、食べてくれる方法を見つけるしかありません。
では、愛犬がドッグフードを食べてくれないときはどうすれば良いのか、その対処法を紹介します。
ふやかして柔らかくする
ドッグフードにぬるま湯をかけることで、ドライタイプが食べやすい硬さになります。また、香りも立って食欲がそそられ、食べてくれるようになる可能性もあります。
ウェットタイプをあげてみる
歯の健康を考えると、ドッグフードは硬いドライタイプの方がおすすめです。しかし、噛むたびに痛みを感じるようでは、犬にとって食事の時間が苦痛になってしまうでしょう。
そんなときは、ウェットタイプを与えてみてください。それで栄養が摂れるのであれば、無理にドライタイプにこだわる必要はありません。しかし、虫歯のリスクを高めることになるので、しっかり歯磨きをしてあげることを忘れないでくださいね。
病院で診てもらう
ドッグフードを食べないのは、体調が悪いことが原因の可能性があります。様々な工夫をしても食べてくれない、という場合は、一度病院に行って診てもらいましょう。
美味しいドッグフードで愛犬の健康を守ろう
シニア犬のドッグフードは、衰えていく筋肉や骨をサポートしたり、消化に負担がかからないようにカロリーや塩分を控えめにするなどの工夫がされています。
他のライフステージとは栄養バランスが異なるため、シニア犬にはシニア犬に適したドッグフードを選んであげることが大切です。
万が一、成犬期のままの食事を続けていると、カロリーや塩分の過剰摂取などが考えられ、それが愛犬の首を絞めることになる可能性があります。切り替えたばかりはまだ慣れず、なかなか口をつけてくれないかもしれません。
しかし、愛犬の健康のためなので、工夫をして食べさせてあげられるよう努めるのも飼い主の仕事です。
どんなドッグフードが良いか分からないと悩んでいる人は、上記で紹介したドッグフードを検討してみてはいかがでしょうか。シニア犬の健康を考えて作られたものばかりなので、きっと愛犬も喜んで食べてくれるでしょう。