犬の体温はどうやって測るの?正しい測り方やおすすめの体温計3選を紹介

犬 体温計

犬の体調管理をするためには、人間と同じように体温を測ることが大切です。しかし、体毛で覆われた体から、どのように体温を計測すれば良いか分からない人もたくさんいるはずです。今回は、犬の体温を測る方法に加え、体温の変化からどのような病気が考えられるのかなどを紹介します。

犬の平熱はどれくらい?

体温計

犬の平熱は、人間に比べるとかなり高く、大体37℃後半から39℃程度です。人間であれば高熱の風邪レベルの高さなので、知らずに測って驚いた人も多いでしょう。また、犬のサイズによっても平熱が異なるため、以下を参考にしてみましょう。

  • 子犬や小型犬:38.5~39.2℃くらい
  • 成犬や大型犬:37.4~38.5℃くらい
私たち人間から見れば、どちらも高いですが、一般的に子犬や小型犬の体温の方が高い傾向にあります。生理的上限は39.4℃と言われているため、目安としてこれを超える場合は体調不良の可能性を疑った方が良いでしょう。

犬はどうやって体温調節をするの?

犬 暑い

犬は、以下の4パターンで体温調節を行なっています。具体的にどのような方法なのか、日頃よく見る行動などにも表れているため、ここをもう少し掘り下げて見てみましょう。

伝導による体温調節

伝導は、肌に触れた物体に熱を移動させる方法です。犬の体は厚い被毛で覆われているため、直接物体が肌に触れることはほとんどありません。

そのため、比較的被毛が薄いお腹や足裏などで伝導を行なっています。では、具体的に伝導による体温調節を行なっている例を紹介します。

  • 暑いとき:冷たいフローリングなどに、お腹をつけて座る。
  • 寒いとき:体温より冷たくない場所(毛布や藁の上など)に座り、体温が別の物体に逃げるのを防ぐ。

対流による体温調節

対流は、冷たい風に接することで熱を移動させる方法です。具体的には下記のような例が挙げられます。

  • 暑いとき:扇風機や、冷蔵庫を開けた瞬間の冷風で体温を下げる。クーラーが効いた部屋に行く。
  • 寒いとき:冷風に当たらないよう、小屋に潜り込んだり、物陰に隠れたりする。

空気中に放射させる

体温を電磁波とし、空気中に放射する方法です。例えば、人ごみの中にいると、直接誰かに触れているわけではないのに、何となく温かさを感じることはありませんか?

これは、体温を放射することで、周囲の温度が上がっている証拠です。冬になると、人が少ない場所より、人気のある場所に自然と足が向いてしまうのはこのためかもしれませんね。では、犬はどのような行動で空気中に熱を放射させるのでしょうか。

  • 暑いとき:お腹を出して床に寝転がることで、皮膚から熱を放射しようとする。
  • 寒いとき:寒い時期になると、体温の放射を防ぐため、自然と体毛が多くなる。極力熱を逃がさないよう、体を小さく丸める。

熱を気化させる

体温を含んだ水を蒸発させ、熱を逃がす方法です。犬は、人間のように汗腺が多くないため、汗をかいて体温調節をすることができません。そのため、体温を気化させて体温を調節しています。具体的にやり方は以下のとおりです。

  • 暑いとき:舌を出して呼吸をすることで、舌についた熱を含む水分を空気中に気化させる。水浴びをして体を震わせることで、体についた水と一緒に熱を気化させる。
  • 寒いとき:できるだけ口を開けないようにし、体温が気化しないよう防ぐ。

犬の体温が高いときに起こりやすい病気

犬 暑い

犬は、もともと平熱が高いため、私たち人間にとって高熱と言われる38℃や39℃程度になっても慌てることはありません。しかし、40℃を超えた場合は、いくつかの病気の可能性が考えられます。

発熱が症状として挙げられる犬の病気はたくさんありますが、そのうちよく見られる病気を5つ紹介します。

腸炎

腸炎は、細菌性とウイルス性の2種類があります。どちらも食中毒に近い症状で、発熱の他に下痢や嘔吐、食欲不振などの症状が見られます。

細菌性の場合は、主にサルモネラやカンピロバクターが原因菌となります。梅雨の時期や夏などの食中毒が多発する時期には特に注意が必要です。

ウイルス性の場合は、パルボウイルスやコロナウイルスの感染が考えられます。細菌性と同時に感染すると、症状が重症化し、最悪の場合死に至る可能性もあります。

子宮蓄膿症

メスに見られる病気で、妊娠・出産経験のない5~7歳くらいの未避妊犬は要注意です。長期間繁殖を行なっていなかったり、高齢でホルモンバランスが崩れたりするのが原因として多い傾向があります。

症状は熱だけでなく、元気がなかったり、陰部から血膿やおりものが見られたりします。多量に膿がたまることで熱を持つため、高めの熱がしばらく続くのが特徴です。メス犬を飼っていて避妊手術をしていない場合は、注意して見てあげてくださいね。

犬ジステンパー

ウイルス性感染症のひとつで、現在はワクチンによる予防が一般的になっています。しかし、ワクチンを接種したからといってかかるリスクは0ではないため、油断は禁物です。

犬ジステンパーは3~6ヶ月の子犬に多く見られる病気で、熱の他に下痢や鼻炎、肺炎などの様々な症状を発症します。免疫力が弱いことから子犬がかかりやすいと言われていますが、体力が落ちている成犬や老犬もかかる可能性があります。

尿路結石

大型犬より小型犬の方が発症率が高い病気です。膀胱や尿道に結石ができ、うまくトイレができなかったり、血尿が出たりなどの異変が見られます。

場合によっては、細菌性膀胱炎や尿道炎を併発する可能性があるため、放置しておくと危険です。熱やトイレの異変の他に、食欲不振なども症状として挙げられます。

外傷

ケガをして傷ができると、その部分が化膿や炎症を起こして熱が出ます。小さな引っ掻き傷程度であれば、それほど心配はいりませんが、流血するほどの大きな傷や、骨折などの場合は高熱が出ることがあります。

また、化膿部分を放置すると、細胞が壊死するリスクもあるため注意が必要です。

犬の体温が低いときに起こりやすい病気

犬 寒い

人間と同様に体の冷えは、免疫力の低下を招きます。そのため、様々な病気を発症する恐れがあるのですが、具体的にどのような病気のリスクが考えられるのかを5つ紹介します。

心臓病

体が冷えると、血管が収縮します。血液が巡りにくい状態になるため、心臓が血液を流そうと通常よりたくさん働き、血圧が上がります。

これが慢性化することで、心臓に大きな負担がかかり、心臓病のリスクを高めてしまうことが考えられます。もとから心臓が弱い子や、老犬は要注意です。

関節痛

人間も、寒いと関節の痛みを強く感じることがありますよね?それと同じことが犬にも起こります。寒さで関節周りの筋肉が強張り、血流も滞りやすくなることで、普段より関節の痛みを強く感じます。

そのため、歩きづらそうにしたり、動こうとしなかったりする場合は、関節周りをチェックしてあげると安心です。

腎臓病

体温が低いと、腎臓への血流量が減り、腎臓に負担をかけてしまうことが考えられます。腎臓病を患っている子は、特に悪化するリスクがあるため、冷えには十分注意し何かしらの対策をとりましょう。

膀胱炎や尿石症

寒いと自然と水を飲む量が減ってきます。そのため、体内の水分量が減り、結石ができやすくなります。また、免疫力の低下により、膀胱内が細菌に感染するリスクもあることを覚えておきましょう。

ケンネルコフ

ケンネルコフというのは、伝染性呼吸器疾患の総称で、主にウイルスや細菌による感染が原因と言われています。

発熱や普段とは違う呼吸の仕方をするなどの症状が見られ、まるで気管を圧迫するような独特な咳をします。重症化すると、ぐったりしたり、呼吸困難になったりする可能性があります。

犬の体温の測り方

体中が被毛で覆われているため、人間のように頭や首元を触っても熱を測ることはできません。そのため、犬の体温を正しく測る方法は、以下の3パターンが主流となっています。

肛門に体温計を入れて測る

犬 体温計

一般的な測定方法です。被毛に覆われておらず、体温計が直に肌に触れるため、正確な温度を測りやすくなります。

やり方は、尻尾を持ち上げ、肛門に体温計を差し込むだけです。差し込むのは3~5cm程度で良いので、必要以上に深く入れなくても大丈夫です。無理矢理入れると、犬が嫌がって暴れる可能性があるため、気を付けましょう。

耳で測る

耳も比較的被毛が少ないため、熱を測るには最適の部位です。しかし、棒状の体温計は耳の穴に刺さってしまう恐れがあるため、安全性を考えて赤外線温度計を使用しましょう。鼓膜の周辺から出る赤外線を測定することで、正確な体温を測ることができます。

後ろ足の内股に挟んで測る

正確な体温を測るためには、できれば肛門で計測したいところですが、犬が嫌がってどうしても測れないことがあります。そんなときは、後ろ足の内股に挟んで測ってみてください。

犬を横向きに寝転ばせ、内股とお腹の間に体温計を挟み込みます。肛門で測るより0.5~1.0℃くらい低くなるので、それを加味したうえで数値を出すようにしてください。

犬の体温を測る際の注意点

犬 体温計

体調管理のためとは言え、犬からしてみると突然肛門に体温計を入れられるため不快だと感じる子もたくさんいます。

そのため、できるだけ不快感を取り除くよう配慮することが大切なのですが、具体的にどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。ここでは、検温をスムーズに行なうためのコツや注意点を紹介します。

安静にしているときに測る

発熱でしんどそうにしているところを、無理矢理測ろうとすると、余計に反抗する可能性があります。

愛犬が興奮状態であれば、まずはリラックスさせてあげることを優先しましょう。そして、落ち着いてきた頃を見計らって、素早く検温を終わらせてあげてください。

排便後のタイミングを狙う

肛門に体温計を入れることで、腸が刺激され、便意を催す可能性があります。そのため、排便後のタイミングを狙って検温すると、飼い主としても安心して計測できるでしょう。

体温計が入りやすいよう工夫する

体温計がスムーズに入らず、肛門付近を何度もいじってしまうと、犬は不快感を露にするでしょう。それを防ぐために、体温計にオリーブオイルやワセリンなどを塗って滑りを良くすることをおすすめします。

このとき、使用するものは愛犬にとって刺激が少ないものにしてくださいね。肌への刺激が強い石鹸や動物性油脂を使用すると、粘膜を通して炎症を起こすリスクも考えられるため止めましょう。

簡単で早い!おすすめの体温計3選!

おとなしく体温を測らせてくれる子であれば良いですが、嫌がって測らせてくれない子もたくさんいます。どんなに正確な体温計であっても、計測までに時間がかかるとなかなか検温が難しいでしょう。

だからこそ、結果がすぐに分かり、より正確な計測ができる体温計を求める声が高まっています。今回は、愛犬のためにスムーズに検温ができるおすすめの体温計を3つ紹介します。

ペットの体温計、犬の赤外線温度計、耳の温度を1秒で測定する、空気と表面温度を測定できる、C / Fな切り替え可能

この体温計の魅力は、何と言っても使い方が簡単だということです。体温計をオンにし、愛犬の外耳道に向けるだけで、わずか1秒で測定が完了します。

ほんの一瞬なので、愛犬に嫌がる隙を与えません。鼓膜周辺から出る赤外線で体温を測定しているため、体温計を直接肌に触れさせなくても測定が可能です。

もし、体温計を見て危機感を感じ、逃げる子がいるのであれば、寝ている間にそっと計測することもできますよ。より正確な数値を出すために、3回くらい計測し平均値を求めてください。

ペット用デジタル体温計DIGIFLASH

デジタル体温計なので、水銀体温計のように、水銀中毒やガラスの破損でケガをする恐れがありません。また、先端が柔軟で自在に動くため、肛門に差し込む際に体温計が腸などを傷つける心配もないでしょう。

32~43℃までの検温が可能で、最近5回の記憶機能がついています。「前はどれくらいの熱があったかな?」と思ったときでも、データを見返せるのが嬉しいですね。

また、連続使用で約100時間電池が持つ省エネなところもおすすめポイントです。

公式サイトはコチラ

Ci 動物用デジタル体温計 MT-G19

オレンジのビジュアルが可愛い体温計です。先端が柔らかいため、肛門への差し込みもスムーズに行なえます。

ペット用体温計は、2,000~3,000円以上するものが多く見られますが、この商品は2,000未満で購入が可能です。そのコストパフォーマンスも良さも魅力のひとつと言って良いでしょう。

日頃から愛犬の体温をチェックしておこう

犬は、自分の気持ちを言葉にして伝えられないため、飼い主が体調の変化に気づいてあげる必要があります。

ぐったりしている、いつもより食欲がない、などの異変が見られたときだけでなく、定期的に体温を測り、平熱かどうかを確認してあげることも大切です。

無理矢理体温を測ろうとすると、嫌がる子もたくさんいるので、リラックスできるよう配慮してあげることも大切です。

落ち着いた状態で測ることで、より正確な数値を出すことができるでしょう。

今まで愛犬の体温を測ったことがない、という人は、できるだけ簡単に検温できるような体温計を選ぶことをおすすめします。上記で紹介した商品を参考に、使いやすいものをひとつ準備しておくと安心ですよ。