目次
メインクーンとはどんな猫?
名前の由来
メインクーンの原産国はアメリカです。名前はシンボルとして扱われているアメリカの「メイン州」とアライグマの「ラクーン」をかけ合わせたものからできました。身体の模様と狩りの仕方や長い尻尾がアライグマに似ているから、ラクーンを名前に入れたとされています。
メインクーンの歴史
メインクーンは、もともとアメリカにいた短毛種の猫と、欧州からきた長毛種の猫を掛け合わせてできた猫だといわれています。アメリカでは歴史が長い猫種で、水に強くて大きな身体が特徴の大型猫です。
メインクーンの起源については諸説ありますが、ひとつはアライグマと野生の猫をかけ合わせたというもの。これは生物学的に不可能なのであり得ない話ですが、メインクーンの姿がアライグマに似ているため、このような説が生まれたと考えられます。
もうひとつの説は、フランスのマリー・アントワネットの愛猫が起源だという話です。フランス革命の際に亡命を企てたマリー・アントワネットが6匹の猫をフランスから逃がそうとして、その猫がアメリカに渡ってメインクーンの起源になったと言われています。
アメリカの猫種として最古の種類であるメインクーンは、1600年代からネズミ退治のために飼われていました。そして1950年代からキャットショーに出て人気を博していて、1985年には最高賞を獲得しています。猫の血統種を認めるアメリカの猫種登録協会であるCFAでの公認は1976年で、その後世界中にメインクーンの名が広まっていきました。
身体の特徴
猫の巨人ともいわれるメインクーンは、成猫になると体長は1m程にもなり、オスの平均体重は約6~8kgで、メスの平均体重は約4~6kgです。一般的な猫は1年で成猫の大きさになりますが、メインクーンは約3年かけて成長していきます。メインクーンが暮らしていた地方は気候条件が厳しく、どんな温度にも対抗できるために適応能力が高いしっかりした体つきでいる必要があったため、太い骨としっかりと筋肉がついた大きな体になったのです。
身体が大きいことで知られているメインクーンですが、世界最大の猫として2010年に計測されたメインクーンは体長123cmで、体重は15.8kgもありました。
メインクーンの毛の特徴
メインクーンの特徴に、身体の大きさ以外にふさふさの被毛があります。その毛並みは柔らかく、ゴージャスです。この毛は品種改良によるものではなく、環境に合わせた進化によるものです。
メインクーンは寒冷地の厳しい環境の中で生きてきました。メインクーンの被毛は寒さに耐えられるよう、ダブルコートになっていて下毛は保温のために寒さから守る役割を担い、上毛は身体を守るための長い毛になっています。そして、被毛には耐水性があって、首周りはライオンのようなたてがみがあり、胸からお腹に向かって長い毛が生えているのがメインクーンの特徴です。
被毛の色はさまざまで、シルバー、ブラウン、レッドなどがあり、縞模様が入っています。
ノルウェージャンフォレストキャットとの違いは?
ノルウェージャンフォレストキャットは、10世紀頃にトルコからきた「ドメスティック」と「アンゴラ」という猫が交配して自然に誕生した猫種です。北ヨーロッパなどの寒い地域で暮らしてきたため、メインクーンと同じように長く分厚い被毛を持っています。
以前はノルウェージャンフォレストキャットは、メインクーンと似ているからと正式な猫種として認められていませんでした。しかし1993年にCFAで正式に認められ、日本でも人気が出てきています。
ノルウェージャンフォレストキャットとメインクーンは身体が大きく、毛並みもよく似ています。よく似ているのですが、横顔の鼻筋に違いがあります。メインクーンは「ジェントルカーブ」と呼ばれる緩やかなくぼみがありますが、ノルウェージャンフォレストキャットにはこれがありません。
また、2つの猫の違いを見分けるためのポイントは、耳の飾り毛です。耳の先にほわほわの毛が生えているのがメインクーンで、ないのがノルウェージャンフォレストキャットです。この違いが分かっていれば簡単に見分けることができます。
メインクーンの性格
温厚で人懐こい
メインクーンの性格の大きな特徴は、とても優しく温和であることです。小さな子どもにも優しく、他の動物とも仲良くすることができる性格です。飼い主さんが大好きで、ベタベタ甘えてくるところもあり、足元についてまわるほどの甘えん坊な面も持っています。
攻撃的な行動をとることなく、無駄鳴きもほとんどしないので、小さな子どもがいる家庭でも安心して飼うことができます。
頭が良い
メインクーンはとても頭が良く、しつけがしやすく飼いやすい猫種です。ペットというより「相棒」として接するといいでしょう。学習能力が高いのでしつけがしやすい猫です。
頭が良いとともに手先が器用で、蛇口をひねったり部屋のドアを開けたりするのもすぐに覚えてしまいます。そのため、危ないことをしないように充分注意しておかなければなりません。入ってほしくない場所には鍵をつけることや脱走防止柵をつけるなど、工夫も必要です。
また、人の言っていることもよく理解できるので、しつけがしやすく初めて猫を飼う人におすすめです。
協調性がある
メインクーンは他の猫や動物に対しても優しく、協調性があります。猫だけでなく、犬ともうまくやっていけるでしょう。
環境の変化に比較的強い
猫は環境の変化に敏感な動物です。部屋の模様替えをしたときや引っ越したとき、環境に慣れるまで時間がかかる猫もいます。
しかし、メインクーンは比較的環境の変化に強い猫種だといわれています。大きな環境変化には他の猫同様、ストレスを感じることはありますが多少の変化には適応できる性格をしています。
メインクーンの性格はオスとメスの差はあるの?
オスの性格
オスのほうが温厚で人になつきやすく、比較的おとなしくしつけやすい性格をしています。おっとりした性格の猫と暮らしたい人は、メインクーンのオスがおすすめです。
メスの性格
メスはオスに比べると活動的でよく動き回りますので、猫と遊ぶのが好きな人はメインクーンのメスと暮らすのをおすすめします。飼い主さんに人懐こく甘えることもありますが、単独行動を好む面も持っています。勝ち気な性格の子も多いのですが、猫らしい性格ともいえるでしょう。
メインクーンの性格に合わせた飼育方法
多頭飼いに向いている
メインクーンは穏やかで他の猫や動物と仲良く接することができます。また、多少の環境の変化であれば大きなストレスを感じないので、多頭飼いに向いています。
しかし、個体によって性格が変わるので、多頭飼いするときはじっくり時間をかけて慣らしてあげましょう。
ブラッシングをかかさないで
メインクーンの毛は長くて柔らかいため、もつれやすい特徴があります。皮膚病やフケなどを防ぐためには毎日のブラッシングをかかさないようにする必要があります。ブラッシングは毛を健康に保つためにも大切ですが、ブラッシングをしながらスキンシップをとり、身体を触って異常がないかの健康チェックも欠かさないようにしましょう。
かかりやすい病気を知って気をつける
肥大性心筋症
心臓病のひとつである肥大性心筋症は、基本的に高齢期に発症することが多く、オスのほうがかかりやすい傾向があります。
これは心臓の筋肉が分厚くなって、他の臓器を圧迫してしまうことでさまざまな症状を引き起こす病気です。この病気になると心不全や大動脈血栓塞栓症によって後ろ足の麻痺になる危険性があります。症状が進んでから気づくことが多いので、定期的に健康診断を行ない、早期発見できるように注意しましょう。
脊髄性筋萎縮症
この病気は遺伝性の病気で、手足を動かすために必要な脊髄がなくなってしまう病気です。症状は足の動きが悪くなり、足が震えるようになりジャンプできなくなっていきます。足に違和感がある動きをするようになったら早めに対処することが大切です。
生後3~5ヶ月くらいのときに発症することが多いのですが、有効な治療法が見つかっていないため、この病気にかかったら暮らしやすい環境を整えてあげるのが大切です。
多発性のう胞腎
腎臓に少しずつのう胞が作られて、正常な腎臓の組織に負担をかけるようになり、腎臓の機能が低下してくる病気です。この病気も根本的な治療法がないのですが、定期的な健康診断で発見することができます。
肥満
メインクーンの大きな体をしているため、たくましい筋肉を維持するのが必要になります。平均的な猫よりも高タンパクで高カロリーな食事を摂らせるのが重要です。よく食べるからといって、食べさせすぎてしまうと肥満になってしまうので、食事管理をすることが重要です。肥満になると糖尿病などの他の病気を引き起こすので、食事には気を遣ってあげましょう。
運動できる環境を整える
身体が大きなメインクーンですが、遊ぶのが大好きで活発なので運動量が足りないとストレスを抱えてしまいます。一般的な猫と同じように高いところや走り回るのも好きなので、キャットタワーを置いてあげるなど、運動できる環境を整えてあげることが大切です。
また、身体が大きいので高い場所に手が届くことがあるので、部屋の中に危険なものがないか注意しましょう。
メインクーンの性格を把握して楽しく暮らそう
猫の中でも身体が大きく、存在感があるメインクーンですが、性格は比較的穏やかで優しいため、初めて猫を飼う人にも飼いやすい猫です。犬のような猫といわれることもあるほど、賢く飼い主さんに従順な性格をしています。頭がよいので、しつけがしやすいのも飼いやすさのポイントとなります。
また、犬を飼っているが猫とも暮らしてみたいと考える人におすすめなのがメインクーンです。メインクーンは他の動物とも穏やかに暮らすことができる性格の子が多く、環境の変化に強いので犬ともうまくできるでしょう。
とはいえ、個体によって性格は異なり、育て方によっても変わってくるので飼い主さんが愛猫の行動や仕草をよく観察して、その子に合った接し方をしてあげることが大切です。