バーマンという猫を知っていますか?まだ一般的には知られていない猫種ですが、その容姿の優美さと性格の穏やかさで注目されています。バーマンの名前は、旧ビルマ(現ミャンマー)の英語表記名「Birman(バーマン)」が由来だといわれています。シャム猫に似たポイントカラーを持ち、シルクのような長毛、丸顔に輝くサファイヤブルーの瞳は、色っぽい容姿で見た人を虜にするほどです。
目次
大注目!バーマンは美しい聖なる猫
バーマンの愛されるその特長とは
バーマンの魅力のひとつ目は、なんといってもその美しい容姿でしょう。バーマンはゴールデンミストと呼ばれる、淡いクリーム色がかった長毛を持っています。
足、尻尾、顔、耳にシャム猫のようなポイントが入る点が、その美しさを際立たせています。
また、手足の先にある白い模様は、まるで靴下を履いているようで、バーマンのチャームポイントと言えるでしょう(この模様は必ずしも出現するわけではありません)。
もうひとつの愛される特長は、その穏やかな気質です。協調性があり、甘えん坊で辛抱強く、あまり人を困らせることがありません。
人間と信頼関係を築く、素晴らしいパートナーになる素質をもつ猫がバーマンなのです。
美しい毛色とサファイヤブルーの瞳
丸顔にサファイヤブルーの目を持ち、気品のある顔立ちをしています。ボディはほどよく筋肉質で、シルクのような美しい毛並みとともに、ゴージャスな雰囲気を醸し出しています。
このエキゾチックな猫の原産はミャンマー(旧ビルマ)で、ミャンマーでは釈迦が生まれた頃に誕生したとも言われていて、歴史が古い猫種なのです。1919年に、フランス人がミャンマーからバーマンのペアを持ち帰りました。
帰国中にオスは亡くなってしまいましたが、メスが妊娠しており、それにシャム猫を掛け合わせたものが、バーマンの祖先だと言われています。
バーマンの歴史と伝説
1925年にフランスにある猫の血統登録団体がバーマンを公認しましたが、二度の世界大戦を経て、純血種の猫たちは数が激減せざるを得ませんでした。バーマンも同様です。
そのため戦後、残った2頭に長毛の猫種やシャムを交配させ、計画的にバーマンの種を復活させようと繁殖が試みられました。
この時の交配により、本来はシールポイント(濃い茶色のポイント)しかなかったバーマンに、ブルー、チョコレート、ライラック、トーティといった様々な色が存在するようになったのです。
リンクス(またはタビー)といって、ポイントに縞模様が現れることもあります。多様な毛色がバーマンの復活の経緯により生まれ、そしてそれらが認められています。1966年にはイギリスで、1967年にはアメリカで公認されることになりました。
輝くブルーの目にふさわしい物語が残されています。それは昔、ミャンマーの高僧・ムンハがいた寺院にサファイヤブルーの瞳の女神が祀られていました。ムンハは白い猫たちを可愛がっていたと言われています。
ある時、盗賊に寺院が襲われ、ムンハはショックで心臓発作で亡くなってしまいます。
その時、白い猫が鳴いて他の僧侶を呼び、女神は守られました。一匹の白い猫がムンハの亡骸に手を乗せると、瞳が女神と同じサファイヤブルーに輝き、毛並みを金色を帯びたと言います。
もちろん、この伝説の真偽のほどは分かりません。しかし、このような神秘的な物語が語り継がれるのは、バーマンの気品と気性の良さに由来するのかもしれません。古くからミャンマーで愛されてきた猫が、今のバーマンの祖先だということですね。
似ている!?ラグドールとの違い
【画像】:ポペットフレンズのマリーちゃん
ラグドールという猫種は、バーマンと見た目が似ています。どちらもブルーの瞳で長毛種のため、猫の種類に詳しくなければ、見分けがつきにくいかもしれません。
ラグドールは数多い品種の中でも、体重が重いです。オスで5〜8キロ前後、メスで4〜6キロ前後になるといいます。
一方、バーマンの平均体重は、オスで4.2〜7キロ、メスで3〜4.5キロほどで、ラグドールよりは少し小さめの体型です。
また、バーマンは4本の足先に靴下を履いたような「ミテッド」という模様が入ることが多いですが、この特徴もラグドールにも現れます。
顔の中心や耳先などに濃い毛色が発生するポイントとミテッドがラグドールにも出現するのは、ラグドールの品種を産出する際に、バーマンが掛け合わされたからだそうです。
バーマンとラグドールの見た目が似ているのは、このような理由があったのですね。
ちなみに、ラグドールにはその特徴とは反対に、顔の中心に白が入るいわゆる「ハチワレ」模様のバイカラーもあります。
バーマンなのか?ラグドールなのか?確定したい場合は血統書をよく確認しましょう。
バーマンはどんな性格の猫?
賢くて従順な愛情深い猫
バーマンの性格は、温厚で飼い主に従順で賢いと一般的に言われています。家族や他のペットを受け入れる性質があり、小さな子どもがいる家庭でも比較的飼いやすい猫種だと言えるでしょう。
人見知りする傾向がありますが、それほど攻撃的にもならず辛抱強い性格です。
家族全員に慣れやすいですが、より好きな相手にはストーカーのようについて回ることもあります。バーマンは、素敵な家族の一員になりそうですね。
穏やかな性格ゆえ!?太らせないように注意
落ち着いているとはいえ、子猫の頃はたくさん遊びますし、遊ぶことで飼い主とのコミュニケーションを深めます。
また、大柄の猫ですので甘噛みが少し強く感じるかもしれません。けりぐるみなど、噛んで遊べるおもちゃで一緒に遊んであげたいですね。
甘噛みが強くても体罰や強い叱責は厳禁です。手を怖がって攻撃性が強まる可能性があります。あまりに人間の手に甘噛みをしたら、遊ぶのをやめて別の部屋に行くタイムアウトの対処をすると良いでしょう。
もしくは、噛んでも良いおもちゃで遊び、噛みたい気持ちを解消してあげることをおすすめします。
しかし、穏やかゆえに、他の猫と比べるとたくさん運動するタイプではありません。さらに、おっとりしているバーマンは太りやすいです。そのため、太らせすぎないように注意してください。無制限にドライフードなど与えすぎるのは良くないです。
おとなしいとはいえ、人間と関わり合うことが大好きなバーマンと、ぜひ一緒に遊んであげてくださいね。
おとなしい傾向にあるが個体差も
穏やかで愛情深いバーマンですが、あくまでも傾向です。元気いっぱいの子もいれば、おとなしい子もいます。どの猫にも言えることですが、感情的に接して信頼関係を損ねるのは禁物です。
人間の様子をよく捉える頭の良さがあるため、こちらも個性を大切にしながら穏やかに落ち着いて接してあげましょう。
バーマンの飼い方ポイント5つ
立派な体格のために高たんぱく・良質なフードを
バーマンの魅力のひとつは、筋肉質な体型にあります。太らせたくない・大きくなってほしくないと、子猫の頃に極端にフードを減らすのは禁物です。
しっかりした体格を作るために、高たんぱくで良質なフードを選びましょう。フードに記載された適量を参考に用意してあげてください。
獣医師などの専門家に相談して、その子に適した量を与えましょう。子猫の頃はキトン用といって、子猫が必要な栄養素が含まれる子猫用フードを与えてください。
バーマンの成長は遅く、完全に成猫になるまで3年かかるともいわれています。与えすぎは禁物ですが、体を作るための栄養素がきちんと摂取できるよう配慮したいですね。
体重を小まめに計測し、増減があるかなど把握しておくと良いでしょう。一定の体重が維持できていれば、フードが適量だということです。
大人になってからは運動量が減少するため、太りやすくなります。しっかりカロリーコントロールしてあげましょう。
成長のステージに合わせて、フードを選ぶのも大事なことです。バーマンは成猫になるまで時間がかかるため、他の猫より長い期間、成長期用のフードを与えてもよいかもしれません。
長い被毛は定期的にブラッシング
バーマンの毛質はうさぎの毛にも例えられるほど、サラサラとしています。このため長毛種ですが、毛がそれほどもつれません。
しかし、もちろん日頃のブラッシングは習慣にしたいですね。
体をなでてあげながら、優しくブラッシングしてあげましょう。特に、換毛期はセルフグルーミングによって毛を飲み込んでしまう可能性が高いです。しっかりブラッシングして、抜け毛を除去してあげる必要があります。
子猫の頃から「いい子だね」と話しかけながら、マッサージ感覚でブラッシングしていきましょう。
最初はブラシにじゃれてしまうかもしれませんが、無理に押さえつけず短時間ずつ挑戦してみてくださいね。ブラッシングを大好きにしてあげ、コミュニケーションを図るアイテムのひとつにしていきたいですね。
しつけのコツはおだやかな態度で接すること
大変穏やかな性質を持っているバーマンは、人間と信頼関係を築くことが可能です。
バーマンが人の様子を敏感にキャッチしているということなので、こちらも優しく声をかける・ゆっくりなでてあげる・一貫した態度を心がけるなど、良い接し方を心がけたいですね。
バーマンだけでなく、猫は人の様子をよく見ています。飼い主が穏やかに接していると、バーマンの心も安定するでしょう。
注意すべき遺伝性疾患…股関節形成不全や肥大型心筋症
バーマンの平均寿命は、10〜13才くらいだといわれています。
かかりやすい病気に、股関節形成不全があります。太ももと骨盤をつなぐ股関節に先天的に異常があり、歩行が困難になる病気です。
早期発見によって、悪化を防ぐことが大切です。犬では手術治療も行なわれますが、猫は体格が小さいため手術は難しい場合もあるでしょう。
また、心臓の疾患として肥大型心筋症があります。バーマンの産出の際に異種交配でペルシャが掛け合わされているため、ペルシャが発症しやすいこの病気が出やすいとされています。
心臓の筋肉が厚くなってしまう心臓病の一種で、無症状で進行していくことが多いため、気づきにくいです。
症状が進むと食欲が落ち、元気がなくなって動きたがらず、じっとしていることが多くなります。
心臓の内部にできた血栓により血管が詰まり、血液が流れにくくなって後ろ足に麻痺が起きることがあります。そうなって初めて気がつくこともあり、重篤な場合、治療できずに呼吸困難に陥り、死に至る可能性も考えられます。
こういった症状は突然現れるので、普段から観察して少しでも元気がない場合は、診察してもらうことをおすすめします。定期検査をすることで早期発見に繋がるので、普段から注意しておきましょう。
他の猫同様、尿路結石や腎不全など注意
尿路結石や腎不全といった病気はバーマンに限らず、どの猫種にも発生する注意すべき病気です。
尿路結石は、食生活のミネラルバランスや、おしっこのphバランスに気をつけることである程度は防止できます。フード選びは非常に重要です。
粗悪なフードを好んで食べるからといって、与え続けるのはやめましょう。水分をしっかり取れるように工夫してあげることも大切です。
尿路結石を防止することで、腎臓病防ぐ効果が期待できます。尿路結石や腎臓病対策用のフードも市販されているため、フードをきちんと選ぶことはバーマンの健康維持において、かなり重要なことです。
バーマンの購入方法
信頼できるブリーダーがおすすめ
バーマンの販売価格は近年、かなり上昇しているといえるでしょう。
ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンなど長毛種の猫は、軒並み人気が上がっています。平均価格は30万前後のようです。
ペットショップではあまりバーマンは見かけません。やはり、専門のブリーダーから購入することをおすすめします。
なぜならペットショップでは、一品種一頭のみ扱うことが多く、自分の好みの子猫に出会える確率が低いからです。
ブリーダーの元を訪れ、性格やカラーの出方を見て吟味した方がいいでしょう。
ただし、子猫の時のカラーは成長するにつれ変化します。それがバーマンの個性であり楽しみでもあるのですが、どんな色になるか?と不安な方は、購入前によく尋ねて納得してから購入しましょう。
穏やかなバーマンと上手に信頼関係を築こう
魅力溢れるバーマンが、人気急上昇である理由はたくさんあります。忍耐強いとはいえ、ストレスがかかることは苦手です。
子どもにしつこくされる・嫌なことを無理やりされるといったことを避け、バーマンの心に寄り添ってあげてください。
怖がっている様子があれば理由を考えて、ストレスの原因を取り除いてあげると上手に信頼関係が築けるでしょう。バーマンは、皆さんの心を癒す最高のパートナーになってくれるはずですよ。