猫などのペットと暮らしているとニオイは気になるものですね。本来は猫は体臭が少ないと言われています。しかし、「猫って臭いよね?」と思っている方が多いのも事実です。猫を飼っているお宅にお邪魔すると、猫のニオイがすると感じることもあるでしょう。猫の体臭は少ないはずなのに、猫臭いと感じるのはなぜなのでしょうか?その原因と対策について解説します。
目次
猫の体臭はほとんどないって本当?
猫は狩猟動物なので体臭が少ない
もともと人間と暮らす前は狩猟動物だったことから、猫の体臭は少ないと言われています。猫の狩りは、静かに待ち伏せて獲物が近づいたら捕まえる方法です。獲物に自分の存在を気付かれては狩りが成立しないので、自分のニオイを消す必要がありました。
セルフグルーミングと日光浴で常に自分を清潔に保つ
猫は人間と生活をするようになった今でも、非常にこまめに自分の体を舐めてセルフグルーミングをします。これは、自分の体を清潔に保って臭いを防ぐ効果があります。また、猫は日光浴を好みます。
これも、太陽光を浴びることで体が殺菌され、ニオイを防止することにつながっています。猫が他の動物に比べ特にこまめにシャンプーをしなくてもニオイが強くないのは、臭いを出さないための工夫が性質に備わっているからなのですね。
では、「猫臭い」と感じるのは、なぜなのでしょう。これは、主に排泄物の臭いが原因になっていることが多いと言えます。
猫の尿が臭い原因は「フェリニン」と「コーキシン」という物質
猫のおしっこのニオイの原因は主に二つの物質が関係しています。ひとつ目は家猫と近縁の動物の尿のみに含まれる「フェリニン」という物質です。
硫黄を含むアミノ酸で、生後六ヶ月以上の猫で高い数値を示し、特に未去勢のオス猫の尿に多く含まれます。未去勢のオス猫の尿のニオイは強烈で、思わず顔をしかめたくなります。
実は、体内ではフェリニンはニオイを放たず、尿として体外に排出され空気に触れるとチオールという物質に変化して強い臭気を放つようになるのです。
膀胱内ではニオイを出さないので、猫は体臭が弱いのかもしれません。フェリニンが作られるのを助ける物質は、コーキシンというタンパク質です。
腎臓の尿細管で作られる物質で、男性ホルモンにより分泌が促進されると考えられ、子猫が成猫へと成長する段階で分泌が増えます。フェリニンとコーキシンが猫の尿のニオイの原因なのです。
フェリニンの分泌量は、食べ物に含まれる高品質のタンパク質の量に影響されるので、臭いが強ければ強いほど、そのオス猫は良い獲物を捕まえていることを表しています。
つまり「狩猟が上手い=強い」ということを示しているんですね。強いオスほど、ニオイの強い尿をする、と言えるでしょう。
また、未去勢のオス猫は積極的にニオイの強い尿をスプレーのように撒き散らす、マーキング行為をします。自分は強いぞ、と主張してメス猫や他のオス猫にアピールしている行動です。
猫の尿が臭いほど強いというのは猫の生態にとって理にかなっていますが、一方で飼育していると飼い主を困らせるニオイですよね。
猫を飼っている家のニオイの原因は排泄物?
肉食の猫はウンチが臭い!?
猫は、犬やうさぎといった他のペットに比べると、ウンチが臭いのだそうです。それは、猫が肉食に近い食性であることが原因です。
肉類には動物性たんぱく質や脂質が多く含まれているのですが、これらがウンチのニオイの元になります。キャットフードには、肉食の猫に必要なタンパク質や脂質が多く含まれています。
また、猫用フードはさまざまな味や匂いがするものがあります。含まれる材料もそれぞれ違います。なんらかの理由で、猫が消化不良を起こして、下痢や便秘になるとウンチのニオイが強くなってしまうことになります。
消化不良を起こす原因は様々ですが、ミートミール(動物の血液や毛といった副産物を含んだもの)を多く含むキャットフードは消化されにくく、ニオイの原因のひとつになる可能性があります。
キャットフードにも臭いの原因はあるかも?
副産物、添加物、穀物の含有量が少なく、良質なタンパク質を含む消化の良いフードを選ぶと、ウンチのニオイが軽減することがあります。
また、人間と同じで腸内環境が悪化して悪玉菌が増えると、ウンチのニオイがきつくなることがあります。
乳酸菌などのサプリメントを活用することで、腸内環境を整える効果が期待できます。腸内環境に配慮したキャットフードも販売されていますので、調べてみるといいでしょう。
猫の臭い対策6選
排泄物や食べ残しを早めに片付け・空気清浄機の活用
猫臭さが気になるな…と思う場合、排泄物を早めに片付けることが臭い防止に有効な方法となります。また、キャットフードの食べ残しも、なるべく放置せずに片付けたいですね。とくにウェットフードは、食べ残さない適量を与えるように心がけましょう。
しかし、猫がお留守番をする時間が長い場合は、排泄したからといってすぐに尿やウンチを片付けるのは難しいと思います。よって、ニオイがこもらないように、換気を心がける、空気清浄機を活用するといった方法も効果的です。
部屋が猫のトイレ臭い場合は様々な工夫をする
猫の排泄物によるニオイは、トイレのタイプを工夫する、トイレ砂のタイプを変えるといったことで改善することがあります。
トイレの形状・置き場に工夫を
また、排泄物をすぐに片付けられない環境ならば、トイレの形状や置き場所を工夫することで部屋が猫臭い!という事態を防ぎましょう。
トイレの置き場はできれば洗面所など、リビングから離れた場所に置くのもおすすめです。ただし、猫がそこにいつでも入れるようにドアストッパーでドアを半開きにする、キャットドアの設置をするなどの工夫が必要です。
トイレの形状やタイプを工夫することで、ニオイを防止することが出来ます。例えば、すっぽりとカバーに覆われていて、扉で猫がトイレの中に出入りするハウス型タイプのトイレです。
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こちらはカバーがついているので砂も飛び散らず、ニオイも拡散されにくいです。ただ、猫がそのシステムに慣れるまで時間がかかる場合があります。また、掃除をする際はカバー部分を取り外すので少し手間がかかりますね。
最近、開発されたタイプで、上から猫が入る蓋つきバケツ型のトイレです。こちらはバケツのような形で、上に蓋がついており一部分、猫が入る穴が空いています。ニオイが広がるのを防ぎますし、排尿する際にトイレから尿を外してしまう癖がある子にも適しています。
また、システムトイレは上部に脱臭効果の高い砂をセットし、尿をトレイに敷いたトイレシーツに吸収するため、臭いが抑えられる効果があります。一週間取り替えなしのシートが基本ですが、薄型のトイレシーツを使うことも可能です。その場合は小まめに取り替える必要があります。
どうしてもニオイが気になる!という方には全自動猫トイレというものもあります。猫が排泄した後に、回転して排泄物を下部のトイレに片付けてくれるシステムになっており、トレイにビニール袋をセットしておけばそのままゴミとして出すことができて大変便利です。
他のトイレに比べて10倍以上の値段がすることと、猫が慣れるまで時間がかかることがデメリットと言えそうです。2~3頭の多頭飼いのお宅ですと、排泄物ですぐにトイレがいっぱいになりニオイも強くなりやすいです。そういったお悩みにアプローチする商品ではないでしょうか。
トイレ砂やシートを脱臭効果が高いものに
トイレの砂によっても脱臭効果に差が出ますので、気になる方は工夫することをおすすめします。
- 鉱物系・・・サラサラして本物の砂に近く、一般的に一番猫が好む砂です。
- 紙系・・・紙で出来た砂で、尿を吸収すると色が変わるタイプと変わらないタイプがあります。
- オカラ系・・・オカラが原料の砂になります。
- シリカゲル系・・・システムトイレとセットで用いることが多い砂です。
おしっこを失敗しやすい猫はこちらの砂に変えると、しっかりトイレにしてくれる場合もあります。固まりもよく、処理しやすい場合が多いです。
ただし、トイレには流せませんので、ゴミとして出すことになります。細かい砂ですと、猫が砂をかける際に散りやすいという難点があります。
また重さがあるため、購入する際は通販を利用する方が多いようです。香り付きのものなど、尿のニオイを防いでくれる効果は高いです。
固まりは少し弱く、脱臭効果も高くはありませんが、トイレに流すことができる点が便利です。また、香りの付いてるものなどもあります。色付きではないものですと尿の色がわかり体調管理に役立ちます。
子猫の頃や食欲旺盛な猫は食べてしまうことがあるのでその点は注意が必要です。固まりやすさ、消臭力、使いやすさなど平均的に評価が高い砂です。
シリカゲルでできた砂は尿を吸い込む能力が高いのですが、システムトイレは吸い切れなかった尿が、すのこの下に落ちてトイレシーツに溜まる仕組みになっています。
消臭力は高いのですが、ある程度尿を吸収すると臭いが出てしまうので、取り替える必要があります。
猫の歯周病を予防・治療する
猫の気になるニオイの原因に、歯周病があります。3歳以上の猫の八割が歯周病であるとも言われ、口臭がひどい場合は歯周病も重度である可能性が高いので注意が必要です。
また、口臭の原因は内臓疾患である場合もあります。定期的な血液検査などで、異常がないかチェックしましょう。
歯周病の原因になる歯石は、一度ついてしまうと獣医師に除去してもらわないと取れません。麻酔をかけて除去する必要があります。無麻酔で除去する方法もありますが、専門医でないと難しい場合もあります。
麻酔がかけて治療するべきかどうか、獣医師と相談しながら治療を進めましょう。
また、歯垢・歯石がつかないように、歯磨きを習慣づけることをおすすめします。しかし、猫の性格によっては困難な場合もあるため、子猫の頃から、口の周りを優しく撫でながら、徐々に歯や歯茎に触れるように練習していきましょう。
オスはなるべく早めに去勢手術を
オス猫は特に、成長期に尿の中のニオイの成分が強まります。また、マーキング行為の中の、スプレーといってニオイが強い尿を撒き散らす行動は非常に厄介です。
オス猫が自分をアピールする行動を覚えてしまうと、去勢しても収まらない場合もあります。
部屋で飼うことを前提に考えると、手術ができる月齢になったら去勢手術をすることをおすすめします。家具にかけられるとニオイが残ることもあり、繁殖をする予定がない場合は去勢をした方がニオイの悩みは軽減すると考えられます。
時には、メス猫でもこういったスプレーをすることがあります。
猫のおしりが臭い場合は肛門腺・汚れの除去
猫には、肛門の左右に肛門嚢(腺)があります。肛門嚢の中に、臭いの元である分泌物が入っています。通常は、排便する際に肛門腺が押されて分泌物が自然と排出されます。
犬と違って猫の場合は特に、肛門腺を絞るということがほぼ必要ありません。しかし、なかには肛門腺が詰まりやすい体質の猫や、下痢などによって腺が詰まってしまうことがあます。
そのまま排出がうまくいかないと、炎症を起こして肛門腺炎になってしまうこともあります。
悪化すると肛門線破裂にいたることもあり、そうなると悪臭を放ち兼ねません。分泌物が溜まっている場合には、肛門絞りをして分泌物を定期的に出してあげる必要があります。
また、破裂した場合は化膿止めによる治療、時には外科的な処置が必要になる場合もあります。ニオイの原因にもなりますので、気になったら獣医さんに相談してみましょう。
また、肛門近くの毛に汚れがついていることがニオイの原因になることがあります。胃腸の調子が悪く、下痢が続いておしり付近の毛にウンチがついてしまう時は、猫自身のセルフグルーミングでは除去しきれないことが多いです。
猫用のおしりふきやぬるま湯をふくませたガーゼを用いて、ふやかしてから優しく取ってあげたいですね。
コームなどを使って取ることも可能ですが、毛を引っ張りすぎて皮膚を痛めないように注意しましょう。どうしても汚れが取れない場合は、おしりの周囲についたウンチを洗い流してあげるといいでしょう。あまりに下痢が続く場合は、獣医師に相談して治療してあげたいですね。
猫のニオイの悩みに上手にアプローチしてキャットライフを快適に!
猫自身はほとんど無臭なのに、排泄物の臭いが強いために「猫臭い」と言われてしまうのはとても残念ですね。
排泄物のニオイを完全にシャットアウトすることはできませんが、トイレの形状を工夫する、砂を変えてみるといったアプローチで猫と生活するうえでニオイのお悩みはかなり軽減すると思います。
また、ニオイを通して、猫の体調の変化を知るきっかけにもなりますので、普段から注意をしながら愛猫との快適なキャットライフを送りましょう。