アビシニアンの6つの性格と特徴に合った飼育方法を知ろう

アビシニアン

アビシニアンは家猫の中で最も歴史が古い猫です。その美しい姿は世界三大美女と言われるクレオパトラにも愛されたと言われています。このように昔から人々に愛されてきた愛されてきたアビシニアンはどのような性格をしているのでしょうか。そして、アビシニアンの飼育方法も合わせてご紹介いたします。

アビシニアンの歴史や身体の特徴

アビシニアンの歴史について

アビシニアンはその歴史は古く、約4,000年前の古代エジプトの壁画や彫刻に描かれています。その神秘的で美しい姿から「聖なる猫」の化身とされていたアビシニアンはかのクレオパトラに愛されたことで知られています。

アビシニアンの由来は諸説ありますが、そのひとつは1866年のアビシニアン戦争でイギリス兵が現在のエチオピアであるアビシニアから持ち帰ったという説です。その後イギリスで品種改良された猫がアメリカに渡って「アビシニアン」という猫種として正式に認定されました。

もうひとつは、インドのベンガル湾付近に住んでいた猫がアビシニアンの祖先だったのではないかという説です。アビシニアンの原産国はイギリスなのですが、イギリスは古くからインドとの交流があったのでこの説は有力だと考えられています。
そして、アビシニアンはアメリカやオーストラリア、フランス、日本などさまざまな国へ広まっていきました。

アビシニアンの特徴

体重は軽めで筋肉質な身体をしている

アビシニアンの身体は一般的な猫よりも少し小柄で、オスは3~4.5kgでメスは2.5~3.5kg程度です。猫の体型でいうと、やや細身であるフォーリンタイプで筋肉質な身体をしています。

細くて長い脚を持ちつま先立ちで優雅に歩き、長い尻尾は先に向かって細くなっています。つま先立ちで立つ姿から「バレエキャット」と呼ばれて高貴な姿は世界のアビシニアンファンを魅了しています。

毛色は4種類でグラデーションカラー

アビシニアンの毛色は4色あり、「ブルー」「レッド」「ルディ」「フォーン」で他にもチョコレートやライラックなどの色がありますが、公式に認められているのは4色です。

この4色の中ではオレンジ色に近いブラウン色のルディがアビシニアンの代表色です。ブルーはあまり見かけない毛色でグレーがかった色のことをいいます。レッドはベージュ色のようなレッドブラウンで、フォーンはほかの色に比べると淡い毛色でクリーム色のような色です。

そして特徴的なのは、アビシニアンの被毛は単色ではなく1本の毛が2~6色ほどの色からできたグラデーションカラーをしているところです。光の当たり方や動いたときの輝きが大変美しいこの被毛は「アビシニアンダビー」または「アグーティーダビー」と呼ばれています。

美しい鳴き声とアーモンドのような瞳

アビシニアンはめったに鳴くことがなく、飼い主さんに甘えて声を出す程度です。鈴を転がすような可愛らしい声をしています。

また、瞳の色はゴールドとグリーンの2色で、瞳の形はアーモンドのような形をしています。目の縁にはアイラインを引いたようなクレオパトラ・ラインが入っていて古代エジプトで愛された猫の凛とした姿が魅力的です。

アビシニアンの寿命

猫の寿命は個体差や飼育環境によりますが、平均は15歳程度だと言われています。アビシニアンの平均寿命は10~14歳で、平均寿命に比べると少し短くなっています。しかし、普段から健康診断を定期的に受けさせたり、ご飯の質などを見直すなどすればどの猫種でも寿命が延びる可能性があります。

アビシニアンの性格

活発で好奇心旺盛

アビシニアンは筋肉質な身体をしていて、脚力が強いため動きも機敏で活発に動き回ります。好奇心旺盛な性格で、気になったものを触りたくて高い場所に飛び乗ったり、背伸びをして触ろうとすることもあります。また、動き回るのが好きなので部屋中を走り回ったり高い場所からジャンプしたりします。

アビシニアンは犬のような性格をしていると言われることも多く、飼い主さんが投げたボールを走って取りに行き飼い主さんのところまで持ってきます。また、飼い主さんが出先から帰宅したときに玄関で喜んで出迎えることもします。

おおらかで人懐こい

凛とした高貴なイメージを持っているアビシニアンですが、実はおおらかでとても人懐こい面を持っています。飼い主さん家族にもフレンドリーなので、楽しい毎日が遅れるでしょう。

甘えん坊

アビシニアンは甘えん坊の性格をした子が多く、特にオス猫は甘えん坊で飼い主さんのあとをついて歩く子が多いようです。構ってほしくて足元に身体を擦り寄せたり、ほとんど鳴くことがないアビシニアンですが、甘えたいときに可愛らしい声で鳴くことがあります。猫とべったり過ごしたい人には最適な猫です。

人見知りしない

アビシニアンの人懐こい性格は、初めて会う人やほかのペットにも友好的で怖がらずに接します。ある程度の個体差がありますが、だいたいのアビシニアンはこのように人見知りしない性格の子が多いため、多頭飼育に向いているといえます。

しかし、多頭飼育は相性もあるので新しく猫を迎えるときは慎重に相性を見極めることが重要です。

賢く忠誠心が高い

アビシニアン

アビシニアンはとても賢く物覚えがいい猫です。飼い主さんが名前を呼ぶと自分が呼ばれていることを理解して近づいてきます。
また、忠誠心が強いことでも知られていて犬のように飼い主さんの言うことを聞き、しつけもしやすい猫種なので初めて猫を飼う人にはおすすめです。

凶暴化することがある

アビシニアンは穏やかな性格をしている猫ですが、あるきっかけで凶暴化することがあるとされています。暴れてしまうのには猫なりの原因がありますが、それは嫉妬やストレスのほかに病気があります。

例えば、飼い主さんが猫が嫌がることをしつこくした、飼い主さんに赤ちゃんが生まれた、猫が驚く行動をした、きつい香水をつけたなどが挙げられます。
凶暴化するかしないかは個体差があるのですが、このように猫が嫌がることをした場合にそれに対抗する気持ちから凶暴化することがあるのです。

アビシニアンの性格に合った飼育方法

遊び相手をしてあげる

アビシニアンは飼い主さんのことが大好きで、常にそばにいたい甘えん坊の性格をしています。そのため猫と遊ぶ時間を毎日作ってあげないと寂しさからストレスを感じてしまいます。

賢い猫なので留守番はできますが、留守番をさせたあとなどは特に帰ってきてからじっくりと向き合って集中して遊んであげるようにしましょう。

キャットタワーなど運動できる環境を作ってあげる

活発でよく動くアビシニアンのために運動できる環境を整えてあげましょう。猫は上下運動を好むのでキャットタワーを買ってあげるといいでしょう。

また、飼い主さんと遊ぶのが大好きなのでお気に入りのボールを投げてあげたり、猫じゃらしを使って瞬発力を生かした遊びをしてあげるといいでしょう。そして留守番をさせるときは退屈しないように、お気に入りのおもちゃを与えておいてあげるなど工夫してあげましょう。

脱走防止策をしっかりとる

さまざまな外の危険から守るために、猫の飼育は完全室内飼いをおすすめします。外には交通事故、病気感染、動物虐待などの危険がいっぱいです。

最近は動物愛護法でも室内飼育が推奨されているので、愛猫を外に出す家庭は少なくなってきていますが、アビシニアンは頭がよく手先も器用なので網戸を開けてしまうかもしれません。そのため、二重に鍵をつけるなどの脱走防止策をしっかり取ることが重要です。

また、部屋の中でも軽い引き出しなら簡単に開けてしまう可能性があるので、チャイルドロックをつけるなどの対策を取るようにしましょう。

清潔を心がける

アビシニアンに限らず、猫はとてもきれい好きな動物ですので普段から清潔を心がけることが大切です。

特にトイレに関しては汚れているとそこで用を足さない猫がいるほどです。トイレを我慢してしまうと膀胱炎になったり、トイレ以外のところで粗相してしまう場合があるので、猫がトイレを使ったら早めに掃除するように心がけましょう。

仕事などですぐ掃除できない場合はトイレの数を増やすといいでしょう。多頭飼育の場合は飼っている頭数プラス1台のトイレの数を置いてあげましょう。

凶暴化したときの対処方法

普段は穏やかなアビシニアンですが、個体によっては驚いたりストレスを感じたときに凶暴化することがあるかもしれません。

もしアビシニアンが凶暴化しても落ち着かせようと身体を触るのはやめましょう。アビシニアンは興奮してしまっているので、飼い主さんであっても引っ掻いたり噛むことがあります。

アビシニアンが興奮しているときはケージやほかの部屋に入れて落ち着くまで待ちましょう。声をかけたりなだめようと触ったりせず、姿を見せず放っておきます。しばらくすると少しずつ興奮がおさまって落ち着いてきます。落ち着いたときにケージから出してあましょう。落ち着いたら普段通りの甘ったれに戻りますので、少し放っておくことが大切です。

アビシニアンと暮らすための注意点

アビシニアン

活発なので怪我をさせないように注意する

アビシニアンは活発で好奇心旺盛な性格をしています。そして運動量が多いのも特徴で、部屋中を走り回ったり高い場所に乗り降りしたりします。見ていると心配でついつい「やめなさい」と言いたくなるかもしれませんがアビシニアンの性質上、できるだけ好きなようにさせてあげあいとストレスをためることになってしまいます。

高い場所から飛び降りたときに骨折しないように床にクッションマットを敷いてあげる、十分に遊べる高さのキャットタワーを用意してあげるなど工夫して遊ばせてあげましょう。
部屋の中に危険がないよう、アビシニアンが怪我をしないように環境を整えてあげましょう。

騒音に注意する

アビシニアンは普段はあまり鳴くことがないので、声で近所に迷惑をかけることはほとんどありません。しかし、上述したようにアビシニアンはとても活発で動き回るのが好きな猫なので、物音には注意したほうがいいでしょう。

集合住宅で猫が夜中に高い場所から飛び降りると、その物音は下の階の人には騒音に感じるでしょう。集合住宅でアビシニアンを飼育するときは騒音問題を気にしておかなければなりません。床にクッションマットやカーペットを敷くなど騒音対策を取りましょう。

また、夜中はケージの中で寝かせるというのもひとつの方法です。猫は夜行性だからかわいそうと感じる人がいるかもしれませんが、ペットとして人間と暮らしていると徐々に人間の生活リズムに慣れていきます。飼い始めたときから夜はケージの中で寝るものだ、と覚えさせれば猫にとってはそれほど苦ではありません。

アビシニアンがかかりやすい病気

アビシニアン

先天性甲状腺機能低下症

アビシニアンがかかりやすい病気のひとつに先天性甲状腺機能低下症があります。この病気は甲状腺ホルモンの機能が弱くなり、血圧や心拍数が低下するなどの症状が出る病気です。ほかには全身がむくむ、毛が抜けた部分に色素が沈着するなどの症状も見られます。

重症筋無力症

この病気はとても怖い遺伝病のひとつです。重症筋無力症は少しずつ全身の筋肉が動かなくなって、最後は心臓を動かす筋肉や呼吸するための筋肉も動かなくなって死んでしまう病気です。

はじめは歩くときにふらついたり、足がもつれるなどの変化が見られます。
残念ですが、この病気には有効な治療法がなく発症してしまったら治すことができません。

腎アミロイドーシス

細胞と細胞の間にアミロイドというタンパク質の一種がたまって、細胞の働きを阻害してしまう病気を「腎アミロイドーシス」といいます。この病気は遺伝であることが多く、7歳ほどで発症することが多いです。初期の症状は食欲不振、水を飲む量が増えて尿の量が増えるなどです。

膝蓋骨脱臼

この病気も遺伝で起こる病気です。膝蓋骨とは膝のお皿と呼ばれることがある丸い骨のことです。この骨は太ももの骨と隣り合わせにあり、膝蓋骨は太ももの骨の端にある溝の部分にはまって動いています。膝を曲げたり伸ばしたりするときに上下して動くことで膝がスムーズに動くようにサポートしています。

膝蓋骨が太ももの溝から外れてしまうと膝を曲げるときに炎症を起こして痛みが出るようになってしまいます。この原因は太ももの骨が細い、膝蓋骨を支えている靭帯が弱いなどさまざまなものがあります。

ひどくなると手術が必要になる病気ですので、歩くときに痛そうにしていたり変な有るき方をしていたら早めに動物病院へ連れて行きましょう。

アビシニアンと楽しく過ごそう

かのクレオパトラが愛したといわれる高貴な美しさを持つアビシニアンは、オリエンタルな雰囲気が多くの人を魅了しています。見た目から猫らしいツンデレな性格をしているように思われがちですが、実は飼い主さんのあとをついて歩くほどの甘えん坊の子が多いのもギャップを感じてたまらないですよね。犬のような性格をしている子が多いので、猫をかまってあげたい人にはおすすめの猫種です。

そしてアビシニアンが活発でよく動くので、怪我に注意してあげてかかりやすい病気を知っておくことで早めに病気を発見することが可能になってきます。どんな猫でも自分が飼おうとしている猫の性格や注意すべき疾患を学ぶことは愛猫の健康を守ることにつながる大切なことです。この記事がアビシニアンを飼育している飼い主さんのお役に立てれば幸いです。