犬にとって玉ねぎはNG?知っておきたい致死量と症状が現れる時間とは

犬にとって玉ねぎはNG?玉ねぎ中毒と食べた場合の症状と対処法

人間が食べるのは問題ないのに、犬が食べてはいけない代表的な食べ物のひとつが「玉ねぎ」です。犬にとって玉ねぎは、中毒症状を引き起こす大変危険なものだと知っていますか?どのぐらいの量を摂取したら危険なのか、玉ねぎ中毒とはどのような症状が出るのか、それに対する対処法はどうしたらいいのかなどを詳しくご紹介します。
                                   

なぜ犬は玉ねぎを食べてはいけないの?

人間にとって身体によいとされる食べ物でも、犬にとっては最悪の場合死に至る可能性もある食べ物があります。なぜ食べてはいけないのか、詳しくみていきましょう。

玉ねぎ中毒とは

犬が玉ねぎを食べると、玉ねぎ中毒になりやすいといわれています。玉ねぎ中毒とは、犬などが玉ねぎを含むネギ類を食べて溶血性貧血を起こした状態を言います。

ネギ類には、玉ねぎを始めとして、長ネギや青ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょう、わけぎなどが含まれます。これらには、有機硫黄化合物の「アリルプロピルジスルフィド」が含まれており、「アリルプロピルジスルフィド」が犬などの動物の赤血球内のヘモグロビンを酸化させて溶血性貧血を引き起こします。

ちなみに、アリルプロピルジスルフィドとは、ネギ類が持つ独特の臭いのもとといわれている薄黄色の液状です。

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玉ねぎ中毒になると現れる4つの症状

犬が玉ねぎを食べて玉ねぎ中毒に陥ると、以下の症状が見られます。

  • 嘔吐・下痢
  • 食べた直後に起これば玉ねぎが原因だと分かりやすいのですが、そうとは限りません。数時間後に出る場合もあれば、数日後に嘔吐・下痢が始まることもあります。

  • 血尿が出る
  • アリルプロピルジスルフィドにより、赤血球の中から出たヘモグロビンが尿として体外にでることで、血尿や血便となることがあります。

  • 元気がなくなる
  • 急に元気がなくなったり、フラフラした様子が見られるようになります。他にも、口の周りが白くなることにより、犬の変化に気づくことも多くあります。

  • 黄疸ができる
  • 重度の玉ねぎ中毒になると、黄疸が見られるようになります。ヘモグロビンが黄疸の黄色い色素の原料であることが関係しており、犬の眼球の白目部分が黄色くなります。

    人間の場合には、身体が黄色くなったりと分かりやすいのですが、犬の場合には身体が毛で覆われているため、見分けにくいのが難点です。黄疸を疑う時には、まず目を確認してあげてください。

  • 貧血
  • 貧血は二次的な症状ですが、喘息や頻脈、粘膜蒼白、衰弱を引き起こします。

玉ねぎの致死量と症状が出るまでの期間

犬の大きさ別で違う玉ねぎの致死量

犬の大きさによっても致死量が変わってきます。一般的には少量程度は問題ないとされており、一度に多くの量を食べてしまうと危険な状態となります。

目安としては、体重1kgに対し玉ねぎ20gの摂取が危険とされています。では、犬の大きさ別にどのぐらいの量が危険なのか、詳しくみていきましょう。

  • 小型犬の場合
  • 小型犬(5kg)の場合には、危険な玉ねぎ摂取量は225~300gです。
    これは、中玉ねぎの半分ほどで、中ネギなら約1本分です。

  • 中型犬の場合
  • 中型犬(15kg)の場合には、危険な玉ねぎ摂取量は75~100gです。
    は、大きめの玉ねぎ1個分ほどで、中ネギなら約2.5本分です。

  • 大型犬の場合
  • 大型犬(15kg)の場合には、危険な玉ねぎ摂取量は450~600gです。
    これは、大きめの玉ねぎの2.5個ほどで、中ネギなら約6本分です。

    小型犬の場合を見てもわかるように、玉ねぎの半分であれば加熱調理をすればあっという間に使用してしまう量であり、犬が食べる量としてもみても決して多い量ではありません。気付かないうちに食べてしまった、となりかねない量のため、十分気を付けるようにしてください。

  • 柴犬、秋田犬は要注意
  • 犬の大きさに関わらず注意したいのが、柴犬と秋田犬です。

    柴犬と秋田犬は、「高カリウム赤血球」を遺伝的に持っているため、玉ねぎ中毒になりやすいといわれています。身体が大きいから、少しぐらい大丈夫といった勘違いで玉ねぎをあげないように気を付けましょう。

中毒症状が出るまでの時間

玉ねぎ中毒による症状は、早い場合でも1日、通常なら3~4日程度で現れてきます。

症状がすぐに現れた場合は、心当たりを探ることができますが、3~4日も経過した後に発症してしまうと、何が原因で嘔吐や下痢が起こっているのか不明なままになってしまうこともあります。

玉ねぎを食べてしまった場合の対処法

飼い主が目を離した隙に、誤って玉ねぎを食べてしまった場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
犬にとって玉ねぎはNG?玉ねぎ中毒と食べた場合の症状と対処法

すぐに動物病院へ連絡する

犬が玉ねぎを食べてしまったことが分かった時点で、すぐにかかりつけの動物病院へ連絡し、相談してください。病院に連絡をした際には、どのぐらいの量を食べたのか、どういう状態の玉ねぎを食べたのか、食べてからどれぐらい時間が経っているかなど分かる限り詳細を伝えておきましょう。

また、食べた直後には、普段と変わらない様子だったとしても、数時間後や数日後に症状が現れて、嘔吐・下痢を繰り返したり血尿、血便が出たりすることも覚えておきましょう。

玉ねぎ中毒と診断する方法

飼い主に心当たりがある場合は、すぐに玉ねぎ中毒の治療を行いますが、確信を持てない場合や数日経過している場合には、血液検査をしてもらいましょう。血液検査をして数値を確認することで、血液中の赤血球が破壊されていると判明すると、玉ねぎ中毒という診断が下ります。

病院での治療法

玉ねぎ中毒には、特効薬や解毒剤はありません。最善策は吐かせることですが、簡単にできるものではありませんよね。病院での処置としては、点滴を中心に玉ねぎ中毒を中和させるビタミン剤や強心剤、利尿剤を投与して、様子を見るしかありません。

そして、嘔吐を誘発したり、胃洗浄を行うこともあります。玉ねぎを食べてから60分以内であれば、嘔吐を誘発し吐かせるようにしたり、摂取から2~4時間経過しているなら胃洗浄を行うなど、状況に応じて対処療法を行います。症状が重度で、緊急性を要する場合は、入院をして輸血治療を行うこともあります。

家庭での間違った対処法

犬が玉ねぎを食べてしまった場合は吐かせることが一番の最善策です。しかし、指を突っ込むことは容易ではありませんし、塩水を飲ませて吐かせるという方法も現在では推奨されていません。

まずは、病院へ連絡することが第一です。家庭で様子を見る場合には、犬を興奮させず安心して過ごせる環境を作ってあげましょう。

玉ねぎを食べたのに気づかずに症状が出た場合

下痢や嘔吐が続いたり、いつもと犬の状態が違う場合にも、迷わずかかりつけ医に連絡し、症状を見てもらいましょう。

もし、玉ねぎを食べた可能性が少しでもあるなら、血液検査ですぐに判明しますし、それに沿った対処療法を行うことができます。「風邪かな?」と楽観視せず、一度かかりつけ医に連絡して相談してみることをおすすめします。

こんな時は気をつけて!犬が玉ねぎをうっかり食べてしまうケース

飼い主の食べ物をあげる

現在では、ドッグフードが犬の食べ物として主流になっていますが、一昔前までは人間の「残飯」が犬の食事でした。玉ねぎが入っていても、問題なくあげていましたよね。しかし、それはたまたまその犬に症状が出なかっただけかもしれません。

飼い主が食べているのを見て、犬が欲しがることはよくあります。少しだけ、とあげてしまうこともあるかもしれません。現在では、「玉ねぎはあげてはいけない」と知られていますが、ハンバーグや餃子といった、玉ねぎが隠れている加工品も要注意です。

他にも、ピザやカレーパン、コロッケといった加工品にも玉ねぎは含まれています。玉ねぎが旨味として含まれていることも多くありますし、飼い主が注意していても、特に子どもは何も考えずに犬に食べ物をあげてしまいがちなので、注意しましょう。

料理を気づかないうちに食べられた

テーブルの上に並べていた料理を、犬が勝手に食べてしまったということもあります。犬は基本的に、生の玉ねぎの臭いには抵抗があります。しかし、お腹がすいていたり、生の玉ねぎではなく調理したものや肉と混ぜ合わせたもの、いい臭いがするもの、また犬自身の好奇心が強い場合には、知らない間にテーブルの上の食事を食べていたなんてこともあります。犬に食べられないよう、しっかりと細部にも気を配りましょう。

玉ねぎを切った包丁やまな板を使用した

玉ねぎ中毒を起こす原因は、アリルプロピルジスルフィドです。これは液状のものであり、玉ねぎを切った後の包丁やまな板にも付着しています。

もし、犬がまな板を舐めたり、玉ねぎを切ったままの包丁で、犬の食べ物をカットした場合にも、玉ねぎ中毒を起こす可能性があります。ほんの微量であっても、犬によっては症状が出る場合がありますので、玉ねぎを使用した調理器具は、必ずよく洗ってから使用するようにしてください。

少量でも避けた方が安全

「少しぐらいなら…」と犬に分け与えたり、「他の犬は大丈夫みたいだし」と少しだけ与えようと思ってしまうこともあるかもしれません。しかし、症状は犬それぞれによって差があります。

同じ量を食べたとしても、症状が出る犬と出ない犬がいます。安心な量という確証はないので、少量だとしても避けた方が安全ですし、何より安心でもありますよね。

にんにく入りのドッグフードは問題ないの?

ネギ類に含まれるニンニクも、犬にとっては中毒性のある食べ物です。「ニンニクも控えたほうがいい」という意見もありますが、ドッグフードの原料に使用されていたり、サプリメントとなっているものもあります。

ニンニクには滋養強壮作用があり、ノミ対策になるため犬にとってメリットもあるのです。しかし、少量の場合に限ることで過剰摂取はおすすめできません。犬によっても個人差がありますし、少量でも症状が出てしまう場合も考えられます。ぜひ、購入する際には必ず成分をチェックするようにしましょう。

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犬が食べていけないものはきちんと把握しておこう

現在では、犬に玉ねぎを与えてはいけないと広く知られるようになりました。ほんの少しの量でも、犬に症状が出てしまう場合もあります。

犬が玉ねぎを食べないで済むような環境を作るのは、飼い主さんです。間違って食べてしまわないよう、大切な愛犬を危険なリスクから守ってあげられるのも飼い主さんだけなのです。犬を飼っている家族全員が同じ認識を持ち、万が一食べてしまった場合には慌てずに、かかりつけの動物病院へ連絡し、大事に至ることが無いよう相談するようにしてくださいね。