犬を飼うと注意したいのは「発情期」です。妊娠を望まない場合には、去勢手術をするのかどうか、悩むことも多いですよね。今回は犬が発情期を迎えたらどうなるのか、発情期の期間はいつか、またオス犬とメス犬の違いや飼い主さんに理解しておいてほしい注意点など詳しくご紹介します。
目次
犬の発情期とは
犬の発情期は別名「ヒート」とも呼ばれ、繁殖が可能な期間のことをいいます。この期間に交尾をすることで、妊娠する可能性があります。犬を飼っている方なら一度は考える発情期ですが、実はこの発情期はメス犬だけのものなのです。
時期はいつ?
一般的に犬が発情する時期は、春と秋の年に2回と言われています。しかし、最近では季節関係なく発情する犬も多くなっているようです。メス犬の発情期は、犬が性成熟した後に起こるもので、一般的には生後半年~10ヶ月と言われています。もちろん、犬によって差がありますし、大型犬よりも小型犬のほうが性成熟は早いそうです。またオス犬の場合には、10~12ヶ月で子どもから大人へと体ができあがり生殖活動ができるようになります。
期間はどのぐらい?
メス犬の場合には、1年のうち約10日間ほどが発情期で妊娠可能な期間があります。犬によっては5~20日と差があります。オス犬は、特に期間というのはなく、1年中発情期といっても過言ではありません。詳しくは後ほど説明します。
オスとメスで違う!発情のメカニズムとサイン
オスの場合
メスと違い、オスには「発情期」はありません。だからといって、一切発情期がないわけではなく、決まった期間がないだけであり、オス犬は発情期のメス犬に会うことで発情します。メス犬は、生後○ヶ月という時期に発情期を迎え、オス犬は1年中発情期なのです。
発情のメカニズム
発情期中のメス犬は、フェロモンを強く放ちます。オス犬はそのフェロモンの臭いに本能を刺激され、発情するのです。
発情期のサイン・行動
フェロモンによってオス犬の本能が刺激されると、問題行動を引き起こすことがあります。全てのオス犬に当てはまるものではありませんが、一般的な行動としてご紹介します。
- マウンティング
- マーキング
- 遠吠え
- 引っ張り
マウンティングとは、犬の上に乗ることをいいます。遊びで行うこともありますが、相手の犬だけではなく、人の足やクッションに乗って腰を振る仕草をすることがあります。相手の犬がメス犬であれば、交尾につながり子どもができる可能性もあります。
縄張り意識が強まることで、尿により臭いつけ行動(マーキング)が起こります。マーキングは発情期というよりも性成熟によって起こるものであり、マーキングが始まるとトイレトレーニングがとても難しくなります。
発情期のオス犬は、メス犬を呼ぶために遠吠えをすることがあります。また、自分のテリトリー意識が高くなり、脅かそうとする対象に対し、攻撃的に吠えるようにもなります。
メス犬のところに行きたい、自分の縄張りに誰か侵入していないかどうか確認したいという気持ちから、いつもの散歩コースから外れてぐいぐいと引っ張ることがあります。
メスの場合
オス犬と違い、メス犬は1年に1~2回の発情期があります。発情期には周期があるので、詳しくみていきましょう。
発情のメカニズム
メス犬の発情期には発情前期・発情期・発情後期(発情休止期)・無発情期の4つの周期があります。
- 発情前期
- 発情期
- 発情後期(発情休止期)
- 無発情期
発情前期は犬の体内でホルモン濃度が上がり始め、約10日間あります。フェロモンを発するようになりますが、まだオス犬を受け入れる体勢はできていません。症状としては、頻尿になったり外陰部から出血がみられ、元気がなかったり急に怒り出したりします。これは、人間でいう生理期間に似ておりであり、出血は人間ほど量が多いわけではないため、自分で外陰部を舐めて飼い主が出血に気づかないこともあります。
発情期は約10日間あり、オス犬を受け入れる身体はできています。オス犬が近づいてくると、尻尾を片側に寄せ、受け入れる体勢になります。子どもを望む場合には、この時期にオス犬とメス犬で交尾をさせます。
発情期が終わった後の発情後期は、発情休止期と言われ4ヶ月~5ヶ月(130~140日)あります。発情期に妊娠をした場合には妊娠期間となり、約63日の妊娠期間を経て出産となります。また、妊娠していないメス犬の場合には、偽妊娠という症状が起こったりもします。
無発情期は約1ヶ月(30日)あり、発情の兆候は見られません。卵巣の活動が停止し、ホルモン的にも落ち着いた状態となります。避妊手術を受けたメス犬は、常に無発情期の状態となります。
発情期のメス犬の行動
発情期になると、メス犬の行動にもこれまでとは違う特徴がみられます。
- オス犬の近くに行こうとする
- トイレの回数が増えて、落ち着く様子がなくソワソワしている
- 普段より元気がない
- 食欲がない
人間も生理中は、少しのことでイライラしたり、ご飯を食べたくない、もしくはいつも以上に食べてしまうということがあります。犬も同じで、ホルモンバランスが変化することで、体調面や精神面にも変化が出てくるのです。
偽妊娠について
発情後期にみられる偽妊娠ですが、これはメス犬が妊娠していないのに妊娠したかのような行動をとることを指します。神経質になったり、悪阻、食欲不振が起こり、まるで妊娠したかのような症状が出てくるのです。ぬいぐるみを子犬のように接したり、母乳を飲ませたりすることもありますが、この偽妊娠の症状が続いてしまうとホルモンバランスが乱れ、病気を誘発することがあります。発熱や免疫力の低下だけでなく、乳腺炎や乳腺腫瘍、子宮蓄膿症といった病気になることを知っておきましょう。
犬の発情期の注意点
オス犬の場合
犬から目を離さない
去勢していないオス犬の場合は、いつどこでメス犬のフェロモンを嗅ぎ、発情するか分かりません。だからといって、行動を制限してしまうのがかわいそうですよね。そのため、散歩中やドッグランで他の犬と交流している時には、注意を払いましょう。犬を放して自由に遊ぶときにも、決して愛犬から目を離さないようにしてください。
メス犬の場合
不用意に公園など散歩に行かない
メス犬は発情期になると、フェロモンを放ちます。そのフェロモンに吸い寄せられるように、オス犬も問題行動を起こしたり、落ち着かなくなります。そのような事態を避けるためにも、公園やドッグランといった多くの犬が集まる場所に連れていくのを控えましょう。また、散歩は必要ですが、いつもと時間帯を変更するなど、他の犬と会わないように工夫することをおすすめします。
犬用の生理用品を用意しておく
現在では、犬用の生理用品(マナーパンツ)も販売されています。生理の出血で、床などを汚さないように配慮するのも大切です。マナーパンツを履く場合ですが、1日履きっぱなしにすることなく、こまめにとりかえて清潔な状態を保つようにします。発情期には、メス犬の陰部が膨らんで雑菌が侵入しやすくなっているので注意してくださいね。また、マナーパンツを履いていることで、オスとの接触を避けることができます。家の中だけでなく、散歩に行くときも身につけてくださいね。
望まない妊娠を避けるためにも、避妊・去勢手術を検討しよう
オス犬、メス犬とも妊娠を望まない場合には去勢手術・避妊手術を検討しましょう。そうすることで、発情期による問題行動を抑えることができますし、病気の予防や精神面での安定にもつながります。去勢手術・避妊手術は飼い主さんが責任を持って決めることです。時期などはかかりつけの獣医師さんと相談する必要はありますが、望まない子どもを作る前に去勢手術をどうするか、検討してくださいね。