クリスマスや誕生日など、愛犬に特別なケーキを用意してあげたいと思う人もいるでしょう。しかし、犬用ケーキには生クリームを使用しているものが多く、食べさせても良いのか不安ですよね。実際に犬に生クリームを食べさせても大丈夫なのか、与える際はどんなことに注意すべきかなどを解説します。
目次
犬は生クリームを食べられる?
生クリームは、ショートケーキやムースなどの様々なスイーツに使われる食品です。犬用ケーキに使用しているものもよく見られますが、犬に生クリームを食べさせても良いのでしょうか。
犬が生クリームを食べるのはOK
愛犬を家族同然で扱う人が増えた現代では、記念日やイベントを愛犬と楽しむ趣向の人が多く、それに付随するかのように犬用スイーツの需要も増えています。
なかには、まるで人間が食べるスイーツのように、フルーツや生クリームを使ったものもあるため、「犬も人間と同じように生クリームを食べても良い」と思う人もいるでしょう。確かに、犬に生クリームを与えてはいけない、というわけではありません。
しかし、犬の健康上与える必要がない食品とも言えます。クリスマスや誕生日など、特別な日だからこそ食べさせてあげたいと思うのであれば、生クリームを使用したケーキを与えても良いでしょう。その際は、様々なリスクがあることも忘れてはなりません。
与え方に注意が必要
犬が生クリームを食べるのは大丈夫ですが、その際は与え方に注意が必要です。愛犬が1日に必要な摂取カロリーから適切な量を算出し、体調に合わせて量を調節することができれば、与えても問題ないと言えます。
犬に生クリームを与えることで考えられるリスク
乳製品には、乳糖と呼ばれる成分が多く含まれています。この乳糖が体内でうまく分解されないと、腹痛や下痢などの不調を招き、これを「乳糖不耐症」と言います。
人間も、牛乳を飲みすぎることでお腹をくだすことがありますよね。それは、体内で乳糖が分解できていないことで起こる症状です。
特に、犬の体は人間より乳糖に対する抵抗力が強くないため、少量の乳糖でも体調を崩す恐れがあります。
その他にも、肥満やアレルギーなど、様々なリスクがあるため、生クリームを犬に与えるのはリスクが高いと言っても過言ではありません。
犬に生クリームを与えるときの注意点
美味しそうに生クリームをペロペロと舐めている姿を見ると、もっと食べさせてあげたいと思ってしまう人もいるでしょう。
しかし、犬に生クリームを与えるのは、健康面でリスクが高いのは事実です。できるだけ安全に食べさせるためには、飼い主がしっかり与える量や与え方を考えなければなりません。
では、具体的にどういったことに気を付ければ良いのかを、いくつか紹介します。
与えすぎに注意
生クリームは、犬にとってあまりメリットがありません。そのため、与えなくても何の問題もなく生きていくことができます。
しかし、特別な日はケーキを用意してあげたいという人や、一緒にカフェに行ったときスイーツを食べさせてあげたい、という人もいるでしょう。
愛犬に生クリームを与える際は、以下の2点のことに気をつけながら与えるようにしてください。
カロリーが高い
生クリームは、牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものとされています。つまり、脂肪分たっぷりの液体と言えるため、少量でもカロリーが高いのが特徴です。
濃厚でコクがある味わいが癖になり、ケーキにデコレーションされた生クリームを、あっという間にたいらげてしまう子もいるかもしれませんね。
しかし、これが愛犬を肥満へと導くきっかけとなる可能性があります。そのため、与えすぎないように注意しましょう。
乳糖不耐症を起こす
牛乳には、約5%の乳糖が含まれていますが、生クリームは乳脂肪分以外の成分が除去されているため、乳糖がほとんどありません。
しかし、犬は乳糖に対する抵抗力が強くないため、少量でも乳糖不耐症を起こす可能性が十分にあります。
なかには、生クリームの脂肪分が胃腸に負担をかけ、下痢をする子もいるかもしれません。そのため、様子を見ながら少しずつ与えるようにしましょう。
アレルギーに注意
乳製品によるアレルギーを発症するケースもあります。アレルゲンとなるのはカゼインと呼ばれるタンパク質で、生クリーム以外に、牛乳やチーズなどでもアレルギー症状が出ます。
主な症状は、以下のようなものが挙げられます。
- 嘔吐や下痢
- 目の充血
- かゆみ etc
乳糖不耐症の症状は、下痢がほとんどです。そのため、嘔吐などの様々な症状が見られた場合は、アレルギー症状だと思って良いでしょう。
また、カゼインは加熱によって消失するものではないため、焼いたチーズや、ホットケーキなどの材料として少量使われただけでもアレルギーが出ます。
愛犬が乳製品にアレルギーを持つかが分からない場合は、生クリームだけでなく、乳が含まれるエサやおやつにも注意してください。
動物性生クリーム以外も注意
一般的に生クリームと呼ばれるのは、牛乳から作られているものを言います。しかし、それ以外にも様々なクリームが販売されているので、それらにも注意をする必要があります。
植物性と豆乳
動物性生クリームの他に、植物性ホイップや豆乳ホイップなどがありますよね。これらは、乳脂肪分から作られているのではなく、植物性油脂から作られているため、ホイップやフレッシュという名前で販売されています。
一見ヘルシーなように見えますが、香料や色素などで調整されているため、あまりおすすめはできません。動物性生クリームと同様に、犬に積極的に与える食品ではないと言えるでしょう。
無添加
愛犬の健康を気遣い、無添加にこだわる人も多いでしょう。しかし、デコレーションクリームが無添加であっても、ケーキ本体に植物性油脂が使われていることがあるので、注意が必要です。
犬には生クリーム以外の食品で代用しよう
愛犬に生クリームを食べさせてあげたいけれど、アレルギーなどが原因で与えられないこともありますよね。なかには、ダイエット中でカロリー制限がある、という子もいるでしょう。
そんなときは、生クリーム以外の食品で代用することが可能です。
生クリームの代用品となるもの
少しアレンジをするだけで、生クリームのように美味しくすることができます。では、どんなものが代用品となるのか、3つ紹介します。
ヨーグルト
ヨーグルトも乳製品のひとつですが、乳酸菌の働きによって、約30~40%程度の乳糖が分解されています。犬の母乳とほぼ同じくらいの質になるということから、犬が食べても乳糖不耐症になりにくい特徴があります。
そのままの状態だと水分が多いので、ケーキなどのデコレーションに使用する際は、水切りヨーグルトを使用してください。さっぱりした味わいなので、きっと喜んで食べてくれるでしょう。
豆腐
豆腐を水切りしたものを潰したり、フードプロセッサーなどで細かくすることで、まるでクリームのようなとろみが出ます。食感を出したければ木綿を、よりクリームに近づければ絹を使用すると良いでしょう。カロリーも低いので、ダイエット中の子でも安心して食べることができます。
しかし、まれに大豆アレルギーを持つ子がいるため、愛犬がアレルギー持ちの場合は注意が必要です。初めて食べさせる場合も、様子を見ながら与えてくださいね。
じゃがいも
茹でたじゃがいもを潰し、水を加えながら硬さを調節すれば、まるでクリームのようなマッシュポテトができます。粗く潰せばじゃがいもの食感を楽しむことができますが、滑らかさを重視したい場合は、じゃがいもを裏ごしすることをおすすめします。
ふるいなどの細かい目を通すことで、口どけの良い滑らかなじゃがいもクリームができます。じゃがいもだと味気ない、という場合には、さつまいもやかぼちゃで作るのもおすすめですよ。野菜本来の甘みをしっかり感じられるため、砂糖を加えなくても十分甘いクリームに仕上がります。
また、じゃがいもの白、さつまいもの黄色、かぼちゃのオレンジのように、使う食材によって色が違うので、カラフルなクリームを作るのも楽しいかもしれませんね。よりコクをプラスしたい場合は、水ではなく、無調整豆乳でのばすと良いですよ。
生クリームの代わりにメレンゲを使うのはNG
生クリームの形状とよく似たものにメレンゲがあります。柔らかな口当たりが特徴で、ケーキ屋に行くと、メレンゲデコレーションのケーキなども販売されています。
甘いものを食べたいけれど、生クリームの濃厚さはいらない、という人にはうってつけですよね。
しかし、このメレンゲを生クリームの代用に使うのは厳禁です。なぜメレンゲが良くないのか、それは以下の2つの理由が挙げられます。
砂糖が多い
メレンゲは、卵白を泡立てることで作られますが、クリームのようにしっかり泡立たせ、さらに泡がつぶれないよう安定させるために砂糖を添加します。ほんのひとつまみ、という量ではないので、犬にとっては糖分の摂りすぎになる恐れがあります。
アビジンとビオチンの関係
アビジンは、生の卵白に含まれるタンパク質です。腸内にあるビオチンというビタミンととても仲が良く、強く結合して体外に排出されてしまいます。ビオチンが欠乏することにより、疲労や抜け毛、皮膚のトラブルなどの様々な弊害が起こる可能性があります。
美味しいものを食べさせたい、という気持ちで愛犬に与えたものが、健康を害するようでは本末転倒です。メレンゲは調理行程中に加熱されないので、犬には与えないようにしましょう。
あえて犬に生クリームを与える必要はない
生クリームは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に比べ濃厚で、美味しいと感じる子もいるかもしれません。しかし、与えすぎは愛犬の体に害を及ぼす可能性があります。
生クリームは嗜好品のひとつとも捉えられるため、あえて愛犬に食べさせる必要もありません。健康を考えるのであれば、アレルギー性の低い食品や、カロリーが低い食品で代用した方が安全性は高いでしょう。
もし、生クリームを使用しておやつを作ろうと考えている人は、一度他の食品を使うことも検討してみてはいかがでしょうか。