コーヒーを飲む飼い主の姿を見て、興味をそそられる猫はたくさんいます。しかし、猫にとってコーヒーは、有毒なものと言っても過言ではないほど危険なものです。今回は、猫にとってコーヒーがどれだけ危険なものなのかを解説します。また、高級なコーヒー豆と猫の関係についても紹介するので、コーヒーが好きでよく飲んでいるという人も、ぜひ参考にしてください。
目次
猫にコーヒーを飲ませるのが危険な理由
猫に与えてはいけないもののひとつに、コーヒーが挙げられます。人間にとっては身近な飲み物なので、驚く人も多いかもしれませんね。では、なぜ猫にコーヒーを飲ませてはならないのでしょうか?
カフェインによる中毒
コーヒーには、ご存知のとおりカフェインが多く含まれています。中枢神経を興奮させ、覚醒作用などの効果が見られます。
人間も、眠気を感じたときや、体がだるいと思ったときに、体をしゃきっとさせようとコーヒーを飲むことがありますよね?
これは、カフェインが体を興奮状態にさせた結果得られる恩恵です。そのため、毎日欠かさずコーヒーを飲んでいる、という人もいるでしょう。
しかし、猫にとってはこのカフェインが毒となると考えられています。具体的な症状や、カフェインが含まれる飲料をいくつか紹介します。
症状
興奮状態になることで、心臓や血管などに負担がかかります。人間に比べて体が小さい猫は、少量のカフェインでも影響を受けると考えられるため、症状も顕著に表れるでしょう。具体的な症状には、以下のようなものがあります。
- 呼吸が荒くなる
- 下痢や嘔吐
- 足元がふらつく
軽度だと、これらの症状が見られますが、重度だと、痙攣(けいれん)や呼吸困難、昏睡状態に陥る場合もあります。
なかには、カフェイン中毒によって死亡する子もいるため、猫にとっていかにカフェインが危険なものかが分かりますね。
コーヒー以外でカフェインが含まれるもの
カフェインと言えばコーヒーを連想する人が多いでしょう。しかし、カフェインが含まれているものは他にもたくさんあります。身近なもので言えば、以下のようなものがあります。
- 緑茶
- 紅茶
- コーラ
- ココア etc
飲み物以外にも、チョコレートやチューインガムなどにも含まれています。どれも人間にとって身近なものであり、家に置いてあるもののため、愛猫がうっかり口にしないよう注意する必要があります。
ちなみに、カフェインによく似た性質を持つ化合物に、テオフィリンとテオブロミンがあります。
テオフィリンはお茶に、テオブロミンはカカオ豆に多く含まれていますが、コーヒーにも少量含まれています。これらも猫には良くないため、カフェイン同様に注意が必要です。
どれくらいの量を摂取すると危険?
健康を害する恐れがあるカフェイン量は、猫の体重によって異なります。どの程度摂取すると危険なのか、その目安は以下のとおりです。
- 猫1kgあたり20mg=嘔吐や下痢などの症状が出る
- 猫1kgあたり150mg=命を落とす恐れがある
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【飲料100mlあたりのカフェイン量】
- コーヒ浸出液(コーヒー粉末10g/熱湯150ml):約60mg
- 紅茶(茶5g/熱湯360ml、1.5分~4分):約30mg
- 玉露(茶10g/60℃60ml、2.5分):約160mg
猫の体重は、種類や年齢で異なりますが、生後1年の猫の平均体重が約3~5kgです。つまり、3kgの猫がカフェインを450mg摂取すると、命を落とす可能性があると言えますね。
日本食品標準成分表(文部科学省):公式ページ
愛猫がコーヒーを飲んでしまったときの対処法
猫がコーヒーを飲んでしまった場合、大体1~2時間程度で症状が出始めます。ペロっと少し舐めた程度であれば慌てることはありませんが、大量のコーヒーを飲んでしまった場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
なかには、急いで吐かせようとする人がいるかもしれませんが、無理矢理吐かせるのは、思わぬケガを招く危険性があります。そのため、素人判断で吐かせる行為は絶対にやめましょう。
愛猫がコーヒーを飲まないようにするための対策4選
大好きな飼い主が美味しそうに何かを飲んでいる・・・そんな姿を見て、興味を抱く猫も多いはずです。そのため、好奇心からコーヒーを飲もうとする子もいるでしょう。
しかし、コーヒーは猫にとって非常に危険な飲み物です。愛猫の健康を守るため、飲まないよう阻止しなければなりません。では、日常生活でどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?
コーヒーが入ったカップを放置しない
カップを放置していると、隙を見て飲もうとする子がいます。気づいたときには大幅に量が減っている、という事態も考えられるため、コーヒーカップは放置しないようにしましょう。
また、飲み切ったカップをペロペロと舐める子もいるので、飲んだらすぐ片付けるようにしてください。
こぼれたらすぐに拭き取る
カップを伝ってテーブルにこぼれた少量のコーヒーを、舐めようとする場合があります。そのため、こぼれていることに気づいたら、すぐに拭き取ってください。
コーヒーを飲む姿を見せないようにする
好奇心旺盛な子は、飼い主が飲んでいる姿を見るだけで飲みたくなってしまいます。なかには、「ダメだよ」と言っても、執拗に飲もうとしがみついてくる子もいるでしょう。
そうなると、飼い主も落ち着いてコーヒータイムを楽しむことができませんよね。そんな場合は、猫がいないところで落ち着いて飲むようにしましょう。
ケージに入っている間や、おもちゃで気が逸れている間などを狙い、なるべくコーヒーを飲む姿を愛猫に見せないなど、愛猫の好奇心を刺激しないことが大切です。
コーヒーのかすや豆を手の届かない位置に置いておく
コーヒーのかすや豆などを食べる子もいるため、コーヒーを淹れた後の後始末もきちんと行ないましょう。
また、猫には開けられない密閉容器に豆を入れたり、手が届かない場所にしまっておくなどの工夫も大切です。
高いところに登って取る可能性がある場合は、鍵付きの場所にしまったり、扉を開けられないよう開閉防止のロックをつけたりすることをおすすめします。
猫はコーヒーのニオイが苦手!コーヒーを猫よけに使うときは誤飲に注意
飼い主がコーヒーを飲んでいる姿を見て愛猫が寄ってくると、「コーヒーが好きなのかな?」と思いますよね。しかし、基本的に猫はコーヒーのニオイが苦手な動物です。
猫の嗅覚は人間より優れているので、強いニオイを放つコーヒーは、刺激臭と感じられてしまうのです。そのため、野良猫が家に近づかないよう、コーヒーを猫よけに使う人もいるでしょう。
猫よけとしてコーヒーを使う場合は、粉末を庭や玄関などに撒くのが一般的です。面倒だという人は、袋に入れた粉末をそのまま置いておく、という人もいるでしょう。
しかし、愛猫が撒いたコーヒーを食べたり、溶け出したエキスを舐めたりなどする可能性があります。野良猫を寄せ付けないつもりでやったことが、愛猫を苦しめる結果となっては本末転倒です。
一気に大量摂取することを防ぐため、猫よけをする際は固まらないようパラパラと散布するようにしましょう。
超高級なコーヒー豆の生産者は猫!その正体とは?
コーヒーにはたくさんの種類がありますが、そのなかで「幻のコーヒー」と呼ばれているものがあるのをご存知でしょうか?
産出量が非常に少なく、その希少性の高さから、高額で取引される超高級コーヒー豆です。その名は「コピ・ルアク」と言い、一杯8,000円くらいで出すお店もあると言われています。
あまりにも常識離れした価格に、驚く人も多いでしょう。実は、この幻のコーヒー豆を作っているのは、なんと猫なのです。
猫が作るコーヒー豆「コピ・ルアク」
コピ・ルアクの価格は、販売元によって様々です。ギフト用など、少し安めに価格設定されているものもありますが、相場は50gあたり3,000円前後が多いようです。ちなみに、ネットで購入することが可能です。
これだけ高額だと、どんな味がするのか気になりますよね。飲んだ人の感想からすると、コピ・ルアクは「複雑」という言葉に尽きるようです。
苦味や酸味が強い傾向があり、淹れ方でも口当たりや風味が変わります。実際にいろんな淹れ方で飲んでみた方のブログがあるので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
ブログ:山口的おいしいコーヒーブログ
コーヒー豆ができる仕組み
コーヒー豆を作っているのが猫、と聞いて疑問符を浮かべる人がほとんどでしょう。では、どのようにしてコピ・ルアクができるのでしょうか。
コピ・ルアクは、インドネシアの島々で作られています。そこに生息するジャコウネコは、農園で栽培されているコーヒーノキの果実を餌にし、消化されないコーヒー豆が、そのまま体外に排泄されます。
この排泄されたコーヒー豆を回収し、きれいに洗って乾燥・焙煎させたものがコピ・ルアクです。つまり、ジャコウネコの糞からできたコーヒー豆ということになります。
ジャコウネコがコーヒー豆を食べ、排泄してくれるまで待たなければならないため、希少性が高いのも納得できますね。
ジャコウネコの体内に入ったコーヒー豆は、消化酵素や腸内細菌によって発酵し、独特の香味をプラスします。ジャコウネコがいるからこそできることなので、人間ではなく、猫が生産者と言っても過言ではありませんね。
真似をして愛猫にコーヒー豆を食べさせるのはNG!
猫にコーヒー豆を食べさせていると聞いて、「コーヒー豆を食べさせても大丈夫」と勘違いする人もいるかもしれません。
しかし、ジャコウネコと一般的な猫は、分類が異なります。真似をして愛猫にコーヒー豆を食べさせると、命を落とす危険性があるため、絶対にやめてくださいね。
愛猫がコーヒーを飲まないよう気をつけよう
コーヒーに興味を持って寄ってくる愛猫を見ると、ついあげたくなってしまいますよね。
なかには、我慢しきれずコーヒーカップをペロっと舐めてしまう子もいるでしょう。しかし、猫にとってコーヒーは危険な飲み物です。
少々飲んだ程度では体調を崩さないかもしれませんが、継続的に飲んだり、飼い主の意図しない量をのんでしまうことで体に害を及ぼします。愛猫の健康を考え、コーヒーを与えないように気を付けましょう。