子猫用のミルクは何を使っていますか?子猫は生後1~2ヶ月ほどまで母乳を飲んで育つため、それまではミルクを飲ませる必要があります。子猫にとってミルクは体を作る大切なものです。子猫用ミルクは、栄養のあるものを選びましょう。
目次
子猫にミルクをあげる前に
子猫は人間の15倍の速さで成長すると言われています。そして体重は1歳になると生まれたばかりの頃と比べて20~40倍にもなります。
そのため、子猫の身体を作るミルクは重要な栄養源です。飼い主さんは子猫にあげるミルクを選ぶこと、ミルクの与え方の正しい知識を持つことが大切です。
ミルクの量は週齢によって、与える回数が違います。それをしっかり理解しておきましょう。
猫用のミルクを選ぶ
子猫のミルクを選ぶとき、母猫の母乳と同じように高脂肪・高タンパクの猫用のミルクを選びましょう。
母猫がそばにいるときは、人間がミルクを与える必要はありません。母乳には子猫の体内に必要な免疫抗体を与えます。免疫抗体とは、ウイルスや細菌から子猫を守るもので、子猫の成長を促すものです。
子猫のミルクを選ぶときは上述したように、牛乳はお腹を壊してしまうことがあるので与えないようにします。
そして、子犬用のミルクも猫とは必要な成分が異なるので与えないでください。子猫には子猫に必要な栄養成分があり、猫用のミルクにはその必要な栄養成分が含まれています。
猫用のミルクはペットショップやペット用品売り場で手に入ります。また、子猫を保護した時に受診する動物病院でも売っていることがあるので、聞いてみてください。
哺乳瓶を用意する
子猫にミルクをあげるときは哺乳瓶が必要です。子猫の大きさによって吸い口が異なりますので、週齢に合わせて選びましょう。
吸い口が大きすぎるとミルクがたくさん出すぎてむせてしまいますし、容量が大きすぎるとミルクがすぐに冷めてしまいます。
生まれたばかりの子猫は哺乳瓶を吸う力がまだ弱いので、柔らかい乳首を選ぶようにするといいでしょう。
また、哺乳瓶の口の先端に自分で穴を開ける場合、口の内側から楊枝を刺して穴を開けますが、哺乳瓶を逆さにしたときにミルクがにじんで出てくるくらいがちょうどいい大きさです。そして、使用したら必ず哺乳瓶を熱湯煮沸して消毒しましょう。
緊急の場合の対処方法
例えば子猫を飼う予定はなかったのに、道端で子猫を保護した場合など夜中でミルクが手に入らないときはどうしたらいいのでしょうか。
もし、すぐにでもミルクをあげなければならない子猫を保護したら、以下のものを飲ませましょう。
- 牛乳200ccに砂糖茶さじ4杯と卵黄1個を入れてかき混ぜたもの
- スキムミルクや牛乳を水で薄めたもの
- 人間の赤ちゃん用の粉ミルクを通常の2倍に薄めたもの
- 砂糖水やブドウ糖液
- 乳糖が分解されている牛乳
マンガや昔の映画で猫に人間用の牛乳を飲ませるシーンがあるので、子猫に牛乳を飲ませてもいいように思ってしまう人が多いでしょう。
しかし、牛乳には乳糖が含まれていて、猫はこの乳糖を分解するラクターゼの分泌が少ないのです。そのため、牛乳を飲ませるとお腹を壊したり吐いたりすることがあります。
体力がついていない子猫にとって下痢は身体に大きな負担を与えることになってしまいます。下痢が続くと体力がなくなって命に関わる危険があるので、子猫には猫用のミルクを与えることが大切です。
また、上記に挙げたものは一時しのぎの代用品ですので、どうしてもミルクが手に入らないときだけにして、すぐに猫用のミルクを手に入れて切り替えてあげましょう。
子猫にミルクをあげるための哺乳瓶がない場合は、細めのストローを使って与える方法があります。
ストローにミルクを吸って、子猫の口の中に少しずつ流し込みます。子猫がむせないようにゆっくり少量ずつ入れるように注意してください。スポイトがある場合はそれで代用可能です。
猫用のミルクもないし、哺乳瓶もないので一晩くらいいいだろうと何も飲ませないというのはやめましょう。子猫の命を繋ぐためには代用のものでも飲ませることが重要です。
おすすめの子猫用ミルク5選
【ロイヤルカナン】ベビーキャットミルク
生後間もない子猫から生後2ヶ月までの子猫に飲ませられる粉ミルクです。すぐにお湯に溶けるので、準備の時間が短くてすみます。
子猫に必要な必須アミノ酸やビタミンなどの栄養素を含んでいて、子猫の脳に必要なDHAやEPAも含まれています。そして、子猫が消化しにくいデンプンをカットしています。100gずつ小分けにしてあるのも使いやすいポイントです。
【森乳サンワールド】プレミアムキャットミルク
このミルクだけで生まれたばかりの子猫を育てられるほどの栄養成分が含まれています。お腹を壊したり下痢したりする原因となる乳糖が調整されているので、お腹に優しいミルクです。
子猫の身体の成長に必要な栄養素の他、免疫をつけるための成分も配合されています。特殊な加工を施しているので溶けやすくなっている粉ミルクです。
【ニチドウ】ベビーミルク猫用
お湯にさっと溶けてすぐに飲ませることができる粉ミルクです。母乳に含まれているラクトフェリンが配合された総合栄養食なので、子猫が必要とする栄養素がしっかり摂取できます。
ラクトフェリンをはじめとした免疫維持成分が含まれているので、子猫の身体の成長と健康を維持するような働きがあります。
また、お腹に優しいミルクですので、安心して飲ませることができます。このミルクは産前産後の母猫に、栄養食として与えるのもおすすめです。
【日本ペットフード】ミオ子猫のミルク
子猫は母乳からいろいろな栄養を摂って成長していきます。その中でも、筋肉や脳、心臓などの身体を作るために必要なタウリンを強化しています。その他の栄養もバランスよく配合されています。
妊娠中や授乳中の母猫や体力が落ちてきた老猫にもおすすめです。また、病気をしていてご飯があまり食べられない猫の栄養補給にも適しています。
【共立製薬】エスビラック パウダー 猫用
母乳とほとんど同じ成分が含まれている、高脂肪・高タンパクの調整粉ミルクです。生まれたばかりの子猫に最適な消化吸収に優れている商品です。お湯に溶けやすくなっているので、簡単に調乳できて子猫を待たせず授乳できます。
子猫が喜ぶミルクの飲ませ方
子猫用ミルクの作り方
子猫のミルクはパッケージに書かれている量に従って作ります。子猫の身体に合わせた量をしっかり守らないといけないことと、1日に何回授乳するかも書かれているので参考にしましょう。
また、パッケージに表示されているミルクの濃さは、健康な子猫を基準に合わせてあります。
そのため、保護したばかりの子猫に与えるときは、最初は少し薄めに作ってあげないと消化不良を起こす恐れがあります。ミルクに慣れてきたら少しずつ標準の濃さにしてあげましょう。
ミルクを作るときには母乳に近い温度(38度)のお湯を使って作りましょう。低すぎると子猫の体温が低下してしまったり、熱すぎると子猫の口の中が火傷してしまいます。
粉ミルクはよく振って、だまがないように完全に溶かしてから与えましょう。だまになっていると、ミルク自体が薄くなっていたり、子猫がだまを飲み込んでしまいます。
そして、ミルクは授乳のたびに新しく作るようにして作り置きはしないようにしましょう。
月齢に合わせた一回の量と回数
メーカーによって子猫に与えるミルクの量は異なります。そのため、自分が購入したミルクのパッケージに書かれているミルクの量をしっかり確認して、正しい量をあげましょう。
毎日、子猫の体重を量って順調に成長しているかをチェックすることも重要です。同じ時間に体重を量り、少しずつでも増えていれば安心していいでしょう。
ミルクをあげるときの注意点
無理やり飲ませない
人間の赤ちゃんと同じで、子猫も哺乳瓶を口にあてると吸引反射でミルクを飲み始めます。なので、無理に子猫の口に哺乳瓶を押し込まないようにしましょう。
必要な回数・量を守る
子猫が必要としている栄養をしっかり与えないと、栄養不足による低血糖で死に至る恐れがあります。
母猫が子猫に母乳を与えるときは、1日4時間ほどかけているそうです。生後間もない子猫の場合は6~8時間ほどの時間をかけてあげています。人間が子猫に授乳するときも、必要な量と回数を守ってあげるようにしましょう。
もしも1回の授乳量が5cc以下の場合は、子猫の哺乳瓶を吸う力が弱いのかもしれません。その場合はスポイトなどを使用して与えるようにしましょう。
どのくらい飲めているのかは、飲ませる前と飲ませた後の体重を量ることで分かります。
飲ませる時の体勢に注意
人間の赤ちゃんは仰向けにして授乳しますが、子猫も同じように仰向けにして与えてはいけません。もしもそのような体勢で授乳してしまうと、ミルクが子猫の気管に入ってしまうことがあります。
子猫にミルクをあげるときは、子猫を腹ばいにして(お腹を下にする)頭を少し上に向かせてあげます。哺乳瓶の角度を45度くらい傾けて、子猫の首を軽く抑えるようにして授乳しましょう。
子猫の身体が安定しないときは、膝の上にタオルを置いてその上に子猫を腹ばいにすると安定します。子猫は母猫の母乳を飲む時に、前脚でおっぱいを揉むように押す仕草をします。
これは、母猫の母乳がたくさん出るようにする動作ですが、ミルクをあげているときも前脚で手にしがみつこうとしてきます。授乳しにくい場合は手の位置を変えるなどしてみましょう。
足りないときでもあげすぎない
子猫のお腹がいっぱいになったとき、口からミルクが溢れ出てきます。そうなったときは哺乳瓶にミルクが残っていてもあげるのをやめても大丈夫です。
その反対に飲み終わっても鳴き続けている場合はミルクが足りないということです。しかし、子猫の胃袋の容量は週齢によって限界があるため、飲める量は決まっています。
欲しがるだけ与えてしまうと吐き戻しや下痢の原因になるので、もしも足りないと鳴く場合は、そのときにあげた10%ほどを追加で与えてください。
ミルクのあとはゲップと排泄の補助も
子猫は自分で排泄ができないので、母猫がいるときは母猫が子猫のお尻を舐めて刺激して排泄させます。母猫がいないときは、代わりを飼い主さんがやってあげなければなりません。
子猫はおしっこやうんちが出ていないときは、ミルクの飲みが悪くなります。
そのため、ミルクを飲ませる前に排泄させる必要があります。ティッシュやガーゼを水で濡らして肛門あたりをチョンチョンと刺激します。排泄したら新しいティッシュでお尻を拭いてあげましょう。
ミルクを飲む前に排泄しなかったら、飲み終わってから排泄の補助をしてあげましょう。また、飲み終わったら、お腹を優しくマッサージしたり背中を軽く叩いて、ミルクと一緒に飲み込んだ空気を吐き出させてあげましょう。
子猫がミルクを飲まない・吐くときに考えられる4つの原因
うんち・おしっこが出ていない
子猫はお腹が苦しいとミルクを飲まなくなることがあります。なので、ミルクを飲む前はウンチやおしっこをさせてから飲ませることが大切です。スムーズに授乳ができたら飲ませてから排泄させましょう。
体が冷えている
保護した子猫が長時間外にいた場合、身体が冷えてしまっていることがあります。身体が冷えると胃腸の動きが落ちてしまうため、ミルクを飲まなくなります。
そして、長時間何も口にしていなくて血糖値が下がっているときも力が出ず、ミルクを飲めなくなってしまいます。ミルクを飲まないときは、まず子猫の身体を温めてみましょう。
それでも飲まなかったら、砂糖水やブドウ糖をあげて血糖値を上げてからミルクをあげる必要があります。
身体を温める場合、レンジで温めることができるカイロが便利です。ただ、カイロの上に直に子猫を寝かせると低温やけどをしてしまう場合があるので、タオルで包んで上から子猫を温めるようにしましょう。
哺乳瓶の口が合っていない
排泄もしていて身体も冷えていないのにミルクを飲まない場合、哺乳瓶の口が合わない場合が考えられます。吸い口を変えることで上手く飲めるようになることがありますので、交換してみましょう。
身体が弱っている・病気
上述したポイントをすべてクリアしているのに、それでもミルクを飲まない場合は身体が弱っているからかもしれません。
子猫に元気がなく、ぐったりしている場合、身体を温めているのにミルクを飲まないときは命に関わる場合があります。
子猫が体調を崩すと、あっという間に悪化してしまうので、様子がおかしかったらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
子猫にミルクはいつまで?生後1ヶ月なら離乳食も取り入れよう
子猫は歯が生え始めたら離乳食を始める時期です。歯が生えてきたら哺乳瓶でなく、お皿からミルクを飲めるように練習してみましょう。お皿からミルクが飲めるようになったら離乳食を始めましょう。
目安は生後1ヶ月です。離乳食の練習をしているときは、毎日体重を量って順調に増えているかチェックしましょう。もしも増えていなかったらミルクで栄養を摂らせるようにしましょう。
猫用の離乳食にミルクを混ぜる
はじめは離乳食をミルクに混ぜて与えます。ペースト状になっている離乳食が売られていますが、子猫が食べやすくなっているのでで利用してみるといいでしょう。
離乳食を食べるようになってきたら、少しずつミルクを減らしていきます。
離乳食を開始したら便の状態をチェックすることが大切です。普段と変わらない便であれば心配いらないので、そのまま離乳食を進めましょう。
しかし、下痢をしてしまう場合は一旦離乳食を中止してお腹の調子を整えてから再開しましょう。
缶詰やパウチにミルクを混ぜる
離乳食用のペーストが食べられるようになったら、次は子猫用のパウチや缶詰の餌をミルクに混ぜて食べさせます。離乳食を開始してから3~4週ほどかけて離乳食を終わらせるようにしましょう。
ドライフードをミルクでふやかす
パウチや缶詰が食べられるようになったら、最後はドライフードです。子猫用のドライフードにミルクをかけてふやかして与えます。
食べられたら少しずつミルクの量を減らしていき、最終的にはドライフードだけで食べられるように練習しましょう。
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子猫にミルクをあげるということは、飼い主さんが子猫のママの役目をするということです。子猫がミルクを飲む時期は身体を作るために大事な時期なので、正しい授乳方法を知ることも子猫のために大切なことです。
そして、何よりも必要なのは子猫へ愛情を与えてあげることです。ミルクを与えるときは声をかけてあげましょう。
「いっぱい飲んで偉かったね」「おしっこちゃんとできたね」など、優しい声を聞いて育った子猫は人間が好きで、穏やかな猫になるのではないかと思うのです。