甘党の犬は砂糖も大好き!与えても大丈夫?

犬 砂糖

犬用ケーキなどのおやつを与える際、砂糖を食べさせても良いのか気になる人も多いのではないでしょうか。嗜好品の多くに使用されている砂糖は、肥満や病気などの様々な原因となるため、上手に付き合っていかなければならない食品です。今回は、愛犬に砂糖を与える場合、どういったことに気を付けなければならないのかを解説します。

犬に砂糖を与えても大丈夫?

犬 スイーツ

砂糖がたっぷり含まれた甘いものを食べると、疲れが吹き飛びますよね。幸せな気分になるため、甘いものが大好きだという人も多いでしょう。そんな至福の時間を愛犬にも味あわせてあげたい、という愛犬家も少なくはありません。

しかし、人間が食べることができる食品のなかには、犬にとって有毒なものもたくさんあります。では、砂糖は犬にとってどのような食品として捉えられるのでしょうか。

犬に砂糖を与えるのはOK

砂糖は、犬が食べても大丈夫ですが、与えない方が良い食品です。目的に応じた与え方は、犬にとって良い効果をもたらすと期待されます。その反面、病気などのリスクも高まるため、与え方が非常に難しいです。砂糖が犬にもたらすメリットと、与え方のポイントは以下のとおりです。

  • エネルギー源となる糖分は必要な栄養
  • 糖分は、生きていくうえで必要不可欠な栄養素です。そのため、一切の糖分を断つことは、健康を害する恐れがあると言っても過言ではないでしょう。砂糖が多く含まれたものは、嗜好品とイメージする人が多いですが、エネルギー補給に役立つのも事実です。

  • エネルギー補給を目的とした砂糖摂取は控えるべき
  • 糖分と一言に言っても、その性質や種類は様々です。ご飯やパンなどの炭水化物に含まれる糖質も、ときに「糖分」の分類に含まれることがあります。また、砂糖は原材料によって様々な種類があり、含まれる成分もそれぞれ違います。

    つまり、日常的な食事から糖分を摂取することができるので、糖分不足になることはほとんどないと考えられるでしょう。そのため、あえてエネルギー補給を目的に砂糖を与えると、糖分過多となってしまうリスクが高まります。

犬が砂糖を欲しがる理由2つ

犬は、比較的甘味が好きなため、砂糖たっぷりのお菓子や、甘い果汁たっぷりの果物を欲しがることもしばしばあります。では、なぜ犬はそれほどまでに甘いものを欲しがるのでしょうか。そこには、以下の2つの理由が考えられます。

  • 犬の味蕾は甘味に敏感
  • 犬はもともと肉食でしたが、人間と生活をしていくなかで、徐々に雑食になっていき、味覚も人間に近いと言われています。特に、甘味に対して敏感に反応する傾向があり、「犬は甘いもの好き」と言われるようになったのも、その影響ではないかと考えられます。

  • 飼い主が美味しそうに食べる姿に興味津々
  • 犬はとても賢く、飼い主のことを見て行動します。そのため、飼い主の機嫌が良いときに甘え、機嫌が悪いときにそっとしておく、という臨機応変な対応ができるのかもしれませんね。

    そんな観察力抜群の犬の前で、美味しそうにお菓子を食べている姿を見せると、興味を持たないでという方が難しいですよね。

    「あんなに幸せそうな顔をして、何を食べているのだろう?」と興味津々で近寄ってくる子も多いでしょう。お菓子の甘いニオイに、飼い主の幸せそうな顔が加わり、より甘いものを欲する気持ちが高まると考えられます。

犬が砂糖を食べることで考えられるリスク

砂糖

犬がなぜ砂糖に興味を示すかなどお伝えしてきましたが、そのまま与えることはおすすめできません。糖分が犬に良い効果をもたらす働きがあることは期待できますが、砂糖を食べさせることにより、いくつかのリスクが考えられます。

では、具体的にどういったリスクがあるのかを、詳しく見ていきましょう。

大量摂取や継続摂取による肥満

糖分はエネルギー源となりますが、消費しきれなかったエネルギーは、体内にどんどん蓄積されます。エネルギー不足となったとき、蓄積したエネルギーを使って生命活動を維持させますが、それでも消費できなかった分は脂肪となり、肥満を招きます。

そのため、人間はもちろん、犬も糖分の摂りすぎで肥満になるケースが多いのです。脂肪がついてコロコロとしている姿も可愛らしいですが、肥満は心身ともに大きな危険性があります。

健康被害を招く
肥満になると、動脈硬化や高血圧を招き、これらが進行することで心臓病、脳梗塞などの命にかかわる病気へと発展します。肥満になったらすぐに亡くなる、というわけではありませんが、少しずつ愛犬の体を蝕んでいくのは確かです。

そのため、健康維持には体重管理をしなければなりません。様々な病気のリスクが考えられますが、糖分過多によって引き起こされる病気で特に注意したいのが「糖尿病」です。

人間も犬も、糖分を摂ると血糖値が上昇しますが、それを抑えるために分泌されるホルモンがインスリンです。糖尿病になると、このインスリンの分泌量が減少、あるいは作用が低下するため、血中の糖濃度が高い状態が続き、様々な症状を招いてしまいます。

愛犬に以下のような様子が見られたら、糖尿病を疑った方が良いでしょう。

  • 多飲多尿
  • 体重減少
  • 食欲増進
  • メス犬が発情休止期に太り気味になる etc

糖分の過剰摂取で糖尿病になっているにもかかわらず、なぜ体重が減少するのかと不思議に思う人もいるでしょう。これは、体が糖をエネルギーとして使えなくなり、代わりにタンパク質や脂質をエネルギーにしているためです。

食欲が増している一方で、体重がみるみる落ちていくのは明らかにおかしいですよね。

これは、糖尿病の代表的な異変と言っても良いでしょう。これらの症状は初期症状ですが、末期になると、体内でケトン体が過剰産生され、ぐったりしたり、食欲がなくなって嘔吐、下痢などをすることがあります。場合によっては命にかかわるため、飼い主がすぐに愛犬の異変に気付いてあげることが大切です。

不要なストレスを感じさせることに
犬が肥満になると、様々な恐ろしい病気のリスクを高めます。そのため、健康のためにダイエットをさせなければなりません。しかし、ダイエットは生活習慣の改善が基本となるため、今までの習慣を変える必要があります。

食べたいものを我慢しなければならなかったり、運動をしなければならなかったりなど、人間にとっても大変ですよね。

そのため、何度もダイエットに挫折をした、という経験を持つ人も多いのではないでしょうか。肥満にならなければ、こういったストレスを感じさせる必要もありません。それを考えると、砂糖と上手に付き合っていくことは、愛犬が穏やかに過ごすためにも大切なことだと言えます。

ドッグフードを食べなくなる

愛犬の健康を考え、栄養バランスが良く、塩気やカロリーが少ないドッグフードを選んでいる、という人も多いでしょう。しかし、砂糖の美味しさを知ってしまうと、普段食べているドッグフードに物足りなさを感じ、食べなくなってしまう可能性があります。

砂糖に依存する

砂糖には中毒性があります。そのため、頻繁におやつを要求してくるようになったり、「ダメ」と言うと反抗的になったりなどの様子が見られます。クリスマスや誕生日など、特別な日にしか与えない、と決めている場合は、依存するほどにはならないでしょう。

しかし、頻繁におやつとして与えている場合は、甘味がなければ落ち着かないくらい砂糖に依存する可能性があるため、できるだけ与えない方が良いです。

犬に砂糖を与えるときの注意点

砂糖を犬に与えるのは、様々なリスクがあります。日常的な食事のなかで糖分は十分に摂取できるので、あえて砂糖のリスクを心配しながらおやつを与える必要はないでしょう。

しかし、特別な日くらい愛犬と甘いお菓子を楽しみたい、という人もたくさんいます。そういった場合は、以下の2点に注意して与えるようにしてくださいね。

与えすぎない

犬も人間も、砂糖の適量は正確に定められていません。つまり、量を測りながら与える、というやり方はできないのです。前述したように、エネルギー補給のためにわざわざ砂糖を与える必要はありません。

もし、砂糖が含まれたおやつを与えたいのであれば、1日に摂取するカロリーから、愛犬のサイズや体調に合わせて、おやつの適量を算出すると良いでしょう。

商品によっては、与える量の目安が記載されているものもあるため、それを参考にするのも良いかもしれませんね。間違っても、犬用ホールケーキを丸々1個食べさせる、なんてことはないようにしてください。

砂糖の代わりにキシリトールを与えるのはNG

人工甘味料のキシリトールは、砂糖の主成分であるスクロースより4割程度カロリーが低い特徴があります。また、熱による変化もほとんどないため、加工にも適しています。

甘いものが食べたいけれど、カロリーが気になる、という人にはうってつけの甘味料ですね。しかし、このキシリトールを犬が摂取すると、インスリンを多く分泌し、低血糖を招くと言われています。

アメリカの獣医学会は、キシリトールによって犬が死亡した事例を挙げた論文を発表しており、いかに危険な成分かは明確です。愛犬におやつを与える際は、成分表にキシリトールがないことを確認してから与えてください。

参考:AVMA

愛犬が大量の砂糖を食べてしまった!どう対応すればいい?

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少し目を離した隙に、愛犬が大量の砂糖を食べてしまった、というトラブルに見舞われることもあるかもしれません。そういった場合、どう対処すれば良いのでしょうか。

エサを与えず水を飲ませる

大量の砂糖を摂取した後、犬は胃もたれのような状態になっています。胃腸に大きな負担がかかっている状態でエサを食べさせると、余計に気分が悪くなってしまうため、エサは与えず、水を飲ませてあげてください。

どうしてもエサを欲しがる場合は、できるだけ体に負担をかけないよう、ぬるま湯でドッグフードをふやかしたものを与えると良いでしょう。

嘔吐や下痢があれば動物病院に連絡を

特に症状が見られなければ、そのまま安静にしていれば大丈夫です。しかし、嘔吐や下痢などの症状が見られれば、砂糖による中毒を起こしている可能性があります。その際は、すぐに動物病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。

犬用胃腸薬を常備しておくと安心

砂糖による胃もたれで元気をなくしている場合、犬用胃腸薬を飲ませるのも効果が期待できます。胃腸薬を常備している方は、念のため、獣医師に症状を伝えた後、胃腸薬を服用させても良いか聞いてから飲ませた方が安心ですよ。

ちなみに、胃腸薬は人間用も犬用も成分が同じです。しかし、「人間用でも大丈夫」という獣医師と、「犬用にしてください」という獣医師がいるので、一度確認してからどちらを服用させるか決めた方が良いでしょう。

また、成分が同じだからと安心せず、服用する量もしっかり確認してください。一番安心なのは動物病院へかかることです。

砂糖が犬の救世主となってくれることもある!?

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砂糖が犬にもたらすリスクをいくつか紹介してきましたが、場合によっては、砂糖が犬を助けてくれることもあります。それはどういったときなのでしょうか。

犬も脱水症状を起こす

暑い夏場や、空気が乾燥する冬場などに、犬が脱水症状を起こすことがあります。症状には、以下のようなものがあります。

  • 食欲不振
  • 呼吸が荒い
  • 元気がない
  • 皮膚の弾力がない etc

重度だとショック状態に陥ることもあり、痙攣(けいれん)や意識障害などの症状も見られるため、早めに対処してあげる必要があります。

脱水症状の犬を救うのが砂糖水

脱水症状は、水分やミネラル、タンパク質などで構成された体液が減少することで起こります。そのため、ただ水を飲ませるのではなく、その他の栄養も摂れるよう工夫する必要があります。そこで活躍するのが砂糖水です。

砂糖水を与えるメリット
砂糖水を与えることで、水分と一緒に電解質も摂取できます。また、甘味を感じることで、元気がない犬でも飲みやすいでしょう。

MEMO
正しい与え方
ペット用のスポーツドリンクも販売されていますが、自宅で作ることもできます。作り方は、水1Lに対し、砂糖を大さじ4杯、塩をひとつまみ入れて溶かすだけです。一気に飲ませると体がびっくりしてしまうので、スプーンやスポイトなどを使って少しずつ飲ませてください。

与え方に注意して甘いおやつを楽しもう

砂糖は、犬にとってリスクが大きい食品です。そのため、生涯で一度も与えなかったとしても、栄養バランスのとれたドッグフードだけで、十分健康的に過ごすことができるでしょう。

しかし、家族の一員である愛犬と、一緒におやつを楽しみたい、という人もいますよね。そんなときは、愛犬が欲しがるまま与えるのではなく、食べ過ぎないよう気をつけながら与えましょう。

また、甘いものを食べた後は、運動不足にならないよう一緒に遊んであげてください。そうすれば、ストレスを感じることなく肥満予防ができますよ。正しい与え方を心がけ、愛犬とのおやつタイムを楽しみましょう。