SNSでアイスを猫にあげる動画を見かけることがありますが、そもそも猫にとってアイスは食べていいものなのでしょうか。私たちがアイスの冷たさに頭がキーンとなるように、猫もアイスを食べることで頭がキーンとなる症状を起こします。ここでは、猫にアイスをあげないほうがいい理由とあげる際の注意点、アイス好きな猫への対処法や猫に関わる感染症など詳しくご紹介します。
目次
アイスは猫にあげないほうがいい?
猫にあげないほうがいいもののひとつに、「アイス」があります。絶対にダメ!というものではないのですが、おすすめはできません。どうしてもあげたいという場合には次の2点に気を付けましょう。
アイスに含まれている成分
乳製品・牛乳
猫にとって牛乳や乳製品を摂取すると、下痢になりやすいと言われています。これは、胃腸で乳糖を分解する酵素を持ち合わせていないためで、乳糖不耐症になってしまいます。
また、心臓や腎臓が悪い猫の場合には、牛乳に含まれるカルシウムやナトリウム、カリウム、リンといったミネラルが症状を悪化させることもあります。
糖類
糖類は肥満の原因となるもので、アイスには砂糖やブドウ糖、果糖などの糖類が多く使用されています。糖質は、猫にとって必要な栄養素のひとつです。しかし、日頃食べているキャットフードで十分に摂取できているため、アイスを食べた分だけ糖類の過剰摂取と考えていいでしょう。
肥満になってしまうと、さまざまな病気を引き起こすことも考えられるため、注意が必要です。
ちなみに、猫は甘さを感じる感覚を持っていないため、「アイス=甘い=美味しい」ではなく、「アイス=牛乳の臭い=美味しい」というイメージで食べています。
チョコレートやナッツなどのフレーバー
アイスには、チョコレートアイスや抹茶アイス、コーヒーアイス、ナッツ入りといったさまざまな種類のアイスがあります。
猫にとってそれらのフレーバーは大変危険なもので、特にチョコレートは下痢や嘔吐だけでなく、不整脈や痙攣を起こしてしまうこともあります。
コーヒーや抹茶には多くのカフェインが含まれていますし、ナッツ類は中毒性が高く、食べ過ぎると命にかかわることもあるため、十分に注意しましょう。
添加物
アイスには乳化剤や香料、着色料、安定剤といった多くの添加物が含まれています。それらの添加物の中には、猫の健康に悪影響を及ぼすものもあり、積極的に摂取する必要はありませんし、できるだけ避けたほうがいいでしょう。
アレルギー成分を確認しよう
アイスの中には、アレルギー成分を含んでいるものがあります。人間用に作られているアイスは、牛乳と乳製品、糖類を主な原料としています。
また、アイスのコーンも小麦粉を原材料としており、牛乳、乳製品、小麦粉にアレルギーを持つ場合には控えた方がいいでしょう。
アイスを猫にあげるときの注意点
「キーン」となるブレインフリーズ
私たち人間も、冷たいものを食べると頭が「キーン」と痛くなることはありませんか。これと同じことが猫にも起こり、「ブレインフリーズ」という症状が出ます。
ブレインフリーズになると、白目をむいたり、口を大きく開け驚いたような表情をしますが、命に関わりがあるというわけではないにしろ、意図的に起こすことは避けましょう。
大量にあげない
アイスには大量の糖類が含まれていることから、アイスをたくさん食べると糖分の過剰摂取になり、肥満の原因にもなります。
肥満になると、さまざまな健康被害を引き起こしやすくなります。人間のアイスを与える際の目安としては、指にアイスをつけて舐め取る程度にしましょう。
下痢や嘔吐を引き起こすことがある
猫は体質的に、乳糖を体内で分解できない乳糖不耐性が多いと言われています。
そのため、胃腸が不調となり、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるのです。これは人間も同じで、牛乳やヨーグルトといった乳製品を取ることで、お腹を下す人がこれにあたります。
猫の体内入った乳糖は、分解をするために消化酵素のラクターゼが必要となるのですが、この消化酵素を備えていない場合が多く、胃腸が不調となるのです。
アレルギーに反応することがある
さきほども説明した通り、猫の中には乳製品などにアレルギー反応を示すことがあります。アレルギー反応には、皮膚疾患や肌のかゆみ、フケが出ることもあります。
このような症状がみられた場合には、早めにかかりつけの獣医師に相談してください。
チョコレートやナッツを含んだものは避ける
アイスで最も気を付けたいのは、チョコレートやナッツといったトッピングのあるものです。そもそも、猫にとってチョコレートやナッツは食べてはいけないものです。
特に、見た目にはわからなくても材料として入っているものが多く、飼い主が意識して気をつけなければいけません。チョコレートやナッツ、抹茶、ストロベリーといったフレーバーが含まれているものは、極力目のつく場所では食べないよう配慮することも大切です。
猫がアイスを食べてしまった時の対処法
猫が食べたアイスがバニラアイスの場合は、嘔吐や下痢といった症状がないか様子をみておきましょう。
万が一、チョコレートアイス、抹茶アイス、ナッツ入りアイスを食べてしまった場合には症状が出る前でも、すぐにかかりつけの獣医師に相談し、状況を伝え指示を仰いでください。その時には、「いつ・何を・どのぐらい食べたか」を詳しく伝えられるように準備しておきましょう。
人間にとってはほんの少しの量でも、猫にとっては大きな影響が出ることがあるため、楽観視せず慎重に対応してください。
アイス以外に!猫におすすめのおやつ
猫用のアイス
暑い夏は猫にもアイスをあげたい、という飼い主のために、猫用のアイス・シャーベットも販売されています。
猫用のアイスには、牛のミルクではなく山羊のミルクやヨーグルトが使用されており、牛のミルクよりも乳糖が少なく、猫の健康を損ねないよう安全に配慮して作られています。
人間用のアイスに含まれている、乳製品といった猫に取って悪影響となる成分も含まれていないため、安心して与えることができます。
すべての猫がアイスを好きなわけではない
気を付けたいのは全ての猫が、冷たいアイスが好きというわけではないということです。
冷たいものを食べたことで、下痢や嘔吐を起こす場合もあるので、「好き嫌いがある」ということも知っておきましょう。
果物
手軽に食べることができ、猫の栄養バランスを助けてくれるのが果物です。スイカや桃、リンゴといった果物には多くの水分も含まれており、水分補給にもなります。猫にあげる際には、冷やし過ぎていない常温のものがいいでしょう。
ただ、果物の中には猫に合わない成分のものや、アレルギーを持っている場合もあるので、十分に注意して、初めてあげる際はすこしずつ様子を見ながらあげてください。
ヨーグルト
猫にとってはヨーグルトも大好きなおやつのひとつです。一見、ヨーグルトも乳製品じゃないの?と疑問に思いますが、ヨーグルトに含まれている乳酸菌が、乳糖の一部を分解してくれるため、乳糖不耐性にはなりにくいと言われています。
しかし、食べ過ぎは禁物なので、猫の大きさに合わせて大さじ1~3杯ほどで調整してあげましょう。ヨーグルトは無糖のものを選び、果物を混ぜてみるのもおすすめです。
手作りおやつ
猫への手作りおやつで栄養管理をしてあげましょう。
最近では、猫用の手作りご飯やおやつを掲載したレシピ本も多く出版されており、ペットフードだけでなく栄養を考えて、猫の健康面に配慮した手作りご飯やおやつも人気となっています。
猫と同じものを食べる時は感染症に注意!
パスツレラ症とは
パスツレラ症とは、感染症のひとつでパスツレラ属菌により引き起こされ、免疫力が低下したときにのみに症状が現れます。
パスツレラ症は人獣共通感染症のひとつであり、自分が食べているものを猫に与える、その後にもう一度自分で食べるという行為をするだけでも感染することが考えられます。
パスツレラ症の3つの感染経路
パスツレラ症は、主に3つの感染経路から感染します。ひとつ目は犬や猫による傷、2つ目は飛沫感染、3つ目はスキンシップです。
猫はほぼ100%、犬は75%がパスツレラ菌を口内常在菌として保有しており、犬や猫といったペットを飼っている人にとっては、とても身近な感染症です。
パスツレラ症の症状や予防法
パスツレラ症は免疫力が低下しているときに発症します。犬や猫に引っかかれた傷口から炎症状態となり、皮下組織にまで影響を及ぼすことがあります。
また飛沫感染の場合には、肺炎や気管支炎を引き起こしやすくなります。よって、猫が食べたものは、その後人が食べないように徹底しましょう。
パスツレラ症の感染を防ぐためにも、まずは日頃の体調管理をしっかり行ない、体調を崩している時には過度な犬・猫とのスキンシップを控え、接触をできるだけ少なくしましょう。
引っかかれて傷を負った場合には、すぐに病院で診てもらうようにしてください。
アイスが大好きな猫への対処法
猫の中には、アイスが大好きですでによく食べているというコもいるかもしれません。よく聞くのは、飼い主が食べている隙を狙って食べたり、アイスの容器のフタや袋を舐めたり、ゴミ箱に捨てたアイスの容器を舐めたりするシチュエーションです。
このようなことを防ぐためにも、アイスのゴミは管理を徹底して行うようにしましょう。アイスのフタや袋は猫の手が届かない、フタ付きのゴミ箱に入れる、食べ終わったらすぐに片づけるなど注意しましょう。
特にチョコレートアイスや抹茶アイス、ナッツ入りのチョコレートを食べるときには十分に注意するようにしてください。
アイスを猫に与えるのは控えよう
猫に対するアイスの危険性を説明してきましたが、結論からいいますと、やはり猫にアイスを与えるのはやめたほうがいいでしょう。
アイスに含まれている乳製品や砂糖、トッピングされているチョコレートやナッツといったフレーバーは、猫にとって悪影響のものが多く、「ちょっとだけ」とした少量が、猫にとっては重症となってしまうこともあります。
暑い季節に猫と一緒にアイスを食べて涼みたい、という場合には、猫用のアイスやシャーベットを用意し、それを与えるようにしてあげましょう。
もし、間違えて猫が人間用のチョコレートアイスを食べてしまった、下痢や嘔吐をしているという場合には、必ずかかりつけの獣医師に相談し、受診させてあげるようにしてくださいね。
猫が飼い主さんにおみやげを持ってくる理由は?その意味と正しい2つの対処法