猫は足が細く、体がしなやかという印象がありますが、思わず脱臼してしまうというトラブルが起きることがあります。愛猫の脱臼に、どのような対処をしたらよいかわからないという人もいるでしょう。今回は、猫の脱臼についてその症状や原因を見ていきます。脱臼を起こさないために日々気をつけることについても把握して、愛猫の体を守ってあげましょう。
目次
こんな症状が見られたら猫が脱臼しているかも?
猫が脱臼しているとき、以下のような症状が現れます。いつもと体の動かし方が違ったり元気がない様子であれば、脱臼している部分がないか確認しましょう。
手足がぶらぶらしている
猫の脱臼の症状の一つ目として、手足がぶらぶらしているという状態が挙げられます。脱臼が四肢で起きた場合、猫は手足に力が入らなくなってしまいます。その結果、ぶらぶらした状態になるのです。
そして、手足を極力床に付けないようにしながら歩くようにもなります。力を入れると痛みを感じることがあるため、このような歩き方になるのでしょう。手足の様子がいつもと違うため確認しようとしても、触られるのを嫌がるので注意が必要です。
トイレではないところで排泄してしまう
猫が脱臼しているときの症状の二つ目として、トイレではないところで排泄してしまうという点が挙げられます。四肢を脱臼している場合はかがんだり歩くといった動作がしづらくなるため、トイレに行くまでに排泄してしまうという事態が起きます。
また、尻尾を脱臼している場合は尻尾の神経がダメージを受けるので、排泄のコントロールがうまく働かなくなってしまいます。その結果、思いもよらないところで排泄してしまうという症状が現れます。
いつもならきちんとトイレに行って排泄をするのに、違うところで排泄してしまった、いつもより手足が動かしにくそうといった様子を確認したら、脱臼の可能性が高いでしょう。
体の一箇所だけが熱を持ったように熱くなる
猫が脱臼しているときの症状の三つ目として、脱臼しているとき、体の一箇所だけが熱を持ったように熱くなることがあります。これは脱臼している箇所が熱を持っているということであり、猫自身は体をだるそうにして休んでいることが多くなります。
猫を触ったときに一箇所だけ熱くなっている、その部分を触らせようとしないといった異変を感じたら脱臼の可能性が高いです。どの部位が熱くなっているのかを確認し、早めに動物病院に行って診てもらいましょう。
猫の脱臼はなぜ起きる?考えられる原因4つ
猫の脱臼は特有の症状が見られることが多いため、飼い主も異変に気づきやすいです。このように日頃から飼い主が愛猫の様子をチェックしておくことは大切ですが、脱臼してしまう原因を知り、未然に防ぐようにしていきましょう。猫が脱臼する原因としては、主に下記の4つ考えられます。
交通事故に遭った
猫は犬のようにリードにつながれて過ごしていないため、自由に外を散歩します。このときに交通事故に遭うこともあり、事故が原因で脱臼してしまうケースが増えています。
いきなり道路に飛び出したときに車がやってきてぶつかることもあれば、自転車や人間と接触してしまう場合もあります。室内で飼われていても自由に外出ができる環境であれば、交通事故に遭う可能性は一気に高まります。
一瞬の出来事である交通事故で、猫の体が受ける衝撃はかなり大きいです。手足が細く体も小さな猫は、交通事故によって脱臼や骨折をしてしまう確率が高いのです。
高いところから落下した
猫が脱臼を起こす原因で交通事故の次に多いのが、高いところからの落下です。高めの塀から飛び降りた際やうっかり足を踏み外して下に落ちてしまったといったときには、脱臼しやすくなるので注意が必要です。
高いところからの落下は、猫自身も予期していないことなので、最初は何が起きたかわからないといった状態になるでしょう。その後、体の一部が動かしにくいといった異変を感じ、飼い主が気づくことで脱臼しているかどうかを確認することができます。
猫は高いところからもしなやかに体を動かして飛び降りるという印象がありますが、体には大きな負担がかかっているのです。
うっかり人に踏まれたりドアに挟まれた
猫の手足は細く、いきなり強い力が加わると脱臼をしてしまう恐れがあります。毎日、一緒に生活していくなかで、うっかり人に踏まれてしまったりドアに挟まれるというトラブルも起きる可能性があります。
人に踏まれてしまうのもドアに挟まれてしまうのも、猫にとっては大きな負荷がかかります。その結果、脱臼を起こしてしまうのです。日常生活では猫が脱臼を起こしてしまう危険が潜んでいることを知り、対策をしておくことが大切と言えます。
先天的な関節の形成異常がある
猫の脱臼の原因として、日常生活に潜んでいる危険とは別に、先天的な関節の形成異常によって起きることがあります。
一部の猫に見られる症状なので確率としては低いですが、骨の形や関節の異常などによって脱臼してしまう恐れがあります。
このような猫は、健康的な猫に比べて脱臼しやすくなるので、日常生活においても細心の注意が必要です。
猫が脱臼した場合の対処法や治療法を知っておこう
猫が脱臼してしまったとき、どのように対処すればよいのでしょうか?いつまでも様子でいいだろうと、時間の経過を待っているだけでは手遅れになってしまうことがあります。しっかりと対処法や治療法について知っておきましょう。
動物病院を受診し、細かく状態を診てもらう
猫が脱臼しているかも・・・と思ったときは、速やかに動物病院に連れていきましょう。いつもと違う様子が現れていたら、そのことも詳しく医師に相談することをおすすめします。
病院では、触診やレントゲン検査などを行なって、どこの部位がどのように脱臼しているのか確認をしてくれます。
細かく検査を行なうことで、脱臼の度合いや治療法を決められるため、動物病院で詳しく診てもらうのがおすすめです。
手術をして骨を元の位置に戻す場合もある
脱臼の状態がひどいときは、手術をして骨を元の位置に戻す場合もあります。手術となると全身麻酔になるので、猫の体調や年齢を考慮しながら進めていくことになります。手術費用も発生してくるので、医師と相談のうえ決定しましょう。
どのような手術になるのかという説明をきちんと聞き、猫の体に負担とならないようにしなければなりません。
脱臼の痛み具合によっては薬を処方されることも
脱臼で手術までは必要がないけれど、安静に過ごすようにと言われた場合、体の痛み具合によっては薬を処方されることがあります。薬の正しい処方の仕方を医師にきちんと聞いておき、愛猫に薬を与えながら様子を見ましょう。
症状が落ち着いてくると、猫自身が自分で体を動かすようになるので薬が効いているのを知ることができるでしょう。
猫の脱臼を防ぐためにできること
猫の脱臼は最悪の場合、全身麻酔を使った手術となるため、そのような事態にならないために日々予防をしていくことが大切です。そこで、以下の点に気をつけながら猫の脱臼を予防していきましょう。
できる限り一匹だけでで外を歩かせない
猫は自由にのんびり過ごしている動物です。首輪はしていても、犬のようにリードにつながれている猫は少ないでしょう。そのため、家の中だけでなく出入り口から外に出ていくこともできます。
脱臼の原因には、交通事故や高いところからの落下が挙げられました。そのため、猫が気まぐれに外へ出ていかないように、飼い主が対策を行なう必要があります。
勝手口や玄関は出られないように施錠を心がけ、部屋を換気する際も猫が登れないような場所を開けておくと安心です。
また、人が家を空ける場合には戸締りの確認を必ず忘れないようにしましょう。
高い場所に登らせないよう注意する
猫は高い場所に登ってそこから飛び降りようとして、脱臼を起こすことがあります。そのため、猫が登れるような高い場所を作らないように気をつけましょう。
出窓の近くにソファを置く、猫が高いところで遊ぶようなグッズは極力置かないなど、対策をしっかり取りましょう。また、家の家具の配置にも注意が必要です。
丈夫な体作りを始める
猫の脱臼を予防するためには、気まぐれに外を歩かせないようにする、高い場所に登らせないようにするといった点が重要になりますが、最後にもうひとつ丈夫な体作りをしていくことも大切です。
元から体が柔らかくしなやかな猫ですが、日頃から丈夫な体作りをしていくことで脱臼を防ぐことができるようになります。フードで骨を強化するものを摂取できるようにしたり、室内で飼い主と運動を楽しむなど、強い体を作っていきましょう。
猫の脱臼、予防法や症状を知って、適切に対処しよう
猫の脱臼は、症状がひどいと手術になるケースがあります。手術となると全身麻酔をすることになり、猫の体に大きな負担がかかります。
そのため、日々の生活で脱臼を起こさないように過ごすことが大切です。外を歩かせない、高いところに登らせないといった点に気をつけながら、丈夫な体を作っていけるよう飼い主がサポートしてあげましょう。
脱臼を頻繁に起こしていると、猫自身に大きなストレスがかかります。体を思うように動かせない、痛みに耐えなければいけないという悪循環に陥ってしまうので、日々の生活で脱臼にならないように対策を始めましょう。
そして、万が一脱臼してしまったときには、速やかに動物病院へ行って状態を確認してもらうことをおすすめします。日々の予防と早期発見によって、脱臼を防ぐようにしていきましょう。猫の様子が変かも・・・と感じたら、しっかり症状を確認してあげてくださいね。