愛犬の皮膚から白い粉やかさぶたが…もしかしたらフケかもと思うことはありませんか?フケは犬にとって必ず出るものですが、普段気にならないのにいつもより多いと感じる場合、それは病気のサインかもしれません。今回は犬のフケの原因、症状、そしてフケを予防する方法をご紹介します。
目次
犬のフケとはどんなもの?
フケとは
フケとは、古い皮膚がはがれ落ちたもののことを指します。愛犬をブラッシングしていると、たまに白い粉やカサブタが出てきませんか?実はそれがフケであり、どのような犬にも出ます。
健康な状態であればフケが少ないですが、皮膚が炎症を起こしている、身体が不調という場合にはフケの量が多くなります。では、なぜフケはが出るのでしょうか。
犬の皮膚の仕組み
皮膚にフケができる原因は、皮膚の「ターンオーバー」です。皮膚はいくつもの層が重なり合ってできているもので、上にある古い細胞を下にある新しい細胞は押し出して生まれ変わるようにできてきます。
この流れをターンオーバー、古くなり一番上に出てきた細胞を角質、角質がはがれ落ちたものをフケと言います。健康な犬の場合、ターンオーバーは約21日サイクルで繰り返されます。
フケの種類
フケには、「乾性フケ」と「脂性フケ」の2種類あります。乾性フケは白くカサカサした典型的なもので、脂性フケは強い臭いを持ち少し脂っこいです。
剥がれ落ちたフケによって、原因や症状も変わるので、愛犬にフケが出た場合はどちらのタイプなのか、チェックしておきましょう。
いつもフケは出ているの?
犬を飼っていてもフケなんか出たことない、という人もいますよね。すべての犬はターンオーバーによって皮膚が剥がれ落ちてフケが出ているのですが、健康な犬はフケの量も少なく、剥がれ落ちたとしても皮膚の表面にいる常在菌によって、ほとんどのフケが分解されてしまいます。そのため、フケと認識されることがないのです。
フケが増えるのは「異常角化」が原因
フケが増えてしまうのは、皮膚のターンオーバーが原因です。通常なら約21日でターンオーバーが行われるのですが、このサイクルが早くなってしまうと「異常角化」が起こります。
フケを分解する常在菌が処理できる量がオーバーして処理しきれなくなり、フケが目立つようになるのです。異常角化は皮膚が刺激を受けると起こるといわれ、その症状は皮膚の炎症、異常な乾燥、感染があげられます。これらの症状から皮膚を守るためターンオーバーが早くなり、その結果フケが増えてしまうのです。
犬にフケがつく原因
病気が原因でフケが出る場合
ツメダニ症(ケイテレイラ皮膚炎)
ツメダニ症はおもに子犬がなる病気で、ツメダニに感染すると皮膚の炎症を引き起こし、フケが増えます。ツメダニは皮膚を食べて生きている為、炎症が起きてしまうのです。
犬はツメダニに感染してしまうと、お腹、耳、腰にかゆみが出て白いフケが増えます。重症化するとかゆみのストレスにより、食欲不振や発育不良を起こすことがあります。薬で予防、治療ができる病気なので、動物病院で処置してもらうようにしましょう。
アトピー性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は乾性フケと脂性フケのどちらも見られ、かゆみが強いという特徴があります。アトピー性皮膚炎になると、皮膚をなめる、掻くという行動が増えてきます。
しかし、アトピー性皮膚炎は病気というより体質でもあるので、根本的に治すのは難しいと言えるでしょう。ただし、薬や環境を改善することにより症状を抑えることはできるので、まずは病院で診察を受けて、愛犬にあった治療法を行なっていくことが大切です。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症はカビの一種であり、他の動物や土などから感染することの多い病気です。皮膚糸状菌症はフケと円形脱毛が特徴的な症状であり、かゆみは少ないでしょう。
しかし、少しずつ脱毛の部分が広がり、人も感染することがあります。治療は飲み薬、塗り薬、薬用シャンプーで行いますが、他の動物にも感染しやすい病気です。異常が見られたら早めに動物病院で診察してもらい、治療を開始しましょう。
脂漏性皮膚炎
脂っぽい脂性フケが増えた場合、脂漏性皮膚炎の可能性が高くなります。脂漏性皮膚炎は、暑い夏に悪化することが多く、独特の臭いと皮膚のべたつきが特徴です。治療には、薬やシャンプーを使います。
疥癬症(かいせんしょう)
疥癬症は、犬の皮膚にヒゼンダニが寄生することにより、皮膚に炎症を起こすというものです。かゆみや発疹、フケといった症状がでます。疥癬症にかかった多くの犬は、飼い主が指で耳の穴を擦ったときに、後ろ足で耳を搔こうとします。この反応を見て、疥癬症かどうか確認することができるでしょう。
白癬(はくせん)
白癬とは水虫の原因となるもので、犬に感染すると発疹を引き起こして、炎症を起こした部分が円形脱毛症のようにハゲてきます。かゆみはありませんが、円形脱毛症の周辺にフケが出やすくなるので気をつけましょう。
病気以外が原因の場合
乾燥肌
寒い冬に乾性のパラパラしたフケが出る場合は、肌が乾燥している可能性があります。乾燥肌の場合には、保湿成分入りのシャンプーや保湿スプレーを使用するとよいでしょう。
また、乾燥肌はアトピー性皮膚炎でも引き起こされます。保湿スプレーなどを使用せずそのまま放置しておくと、皮膚のバリアが低下してしまい皮膚の細菌感染を起こしやすくなるので注意しましょう。
シャンプーの影響
シャンプーをした後、2~3日以内にフケが増える場合には、シャンプーの影響によりフケが増えている可能性が高いと言えます。シャンプーの後のフケが気になる場合は、低刺激シャンプーに変えたり、犬の肌質に合わせたシャンプーを使用したりすることが重要です。
乾燥肌の犬には保湿成分の含まれたシャンプーを、敏感肌の犬には刺激の弱いシャンプーを使用してみましょう。肌質に合わないシャンプーで洗うと、皮膚の表面にある脂を取り過ぎてしまったり、皮膚にダメージを与えてしまうこともあります。
正しいシャンプー方法の3つのポイント
皮膚に残ったシャンプーで皮膚トラブルにつながることが考えられるため、シャンプー後のすすぎは入念に行いましょう。シャンプーを全てすすいだかどうかの目安は、ヌメリ感がなくなったかどうかです。
皮膚のヌメリ感がなくなるまで、しっかりすすいでください。そして、シャンプーをした後はしっかり乾かすようにしましょう。長い間濡れたままにしておくと、そこからカビが発生してフケの原因にもなります。
生活習慣
犬にとってしっかりとしたターンオーバーが起こるためにも、栄養バランスの良い食事をする、散歩するといった生活習慣も大切になってきます。栄養バランスの良い食事を摂ることにより、正常な皮膚が作られるからです。
また、散歩はストレス解消にもつながります。毎日の散歩を欠かさず行うことで、ストレスをため込まない環境となり、フケもできにくくなるでしょう。
ストレス
急にフケが増えたという場合、愛犬がストレスを感じているサインかもしれません。ストレスを感じるのは、何か怖い思いをしたとき、さみしい思いをしたとき、遊び足りないとき、運動不足のときです。
犬のフケを予防する5つの方法
ブラッシングの際に肌の状態を確認する
愛犬にブラッシングをする際、同時に肌の状態を確認しておきましょう。いつもと皮膚の状態が違う、フケの量が多いとなると、皮膚に何らかの異常が見られます
病気の場合でも、ブラッシングの際に確認しておくことで、早期発見につながります。また、皮膚にダニがいた場合、肉眼でも確認することができます。ダニがいるからとむやみに取ってしまうと、犬にダメージも残ってしまうのですぐに動物病院に相談するようにしましょう。
シャンプーが低刺激のものを使用する
普段使用しているシャンプーが皮膚にあっていないために、炎症を起こしている場合もあります。そのため、シャンプーを見直して、刺激が弱く保湿効果のあるものを選ぶようにします。
また、シャンプーのしすぎも皮膚にとって必要な油分を取ってしまう可能性があるため注意が必要です。
室内を清潔に保つ
犬が生活している場所は、常に清潔に保つようにしましょう。ダニやホコリが毛についてしまい、そこから皮膚炎につながることがあります。そのため、なるべく室内を清潔に保つように気をつけることが大切です。毎日掃除機をかける、空気清浄機を利用するなど、できる範囲で対策してください。
乾燥しないようにする
乾燥が原因でフケが出ている場合には、皮膚が乾燥しないように肌ケアをしてあげましょう。保湿スプレーや薬用シャンプーを使用したり、室内の温度を上げたりと、肌にとって良い状態を保つようにしてあげることが大切です。
普段の食事を見直す
栄養バランスの取れた食事は、皮膚のターンオーバーを正常に行うためには欠かせません。ポイントは「高品質たんぱく質」と「添加物や副産物を使用しない」ということです。フードを選ぶ際には、極力他の物質が含まれていないもの、そして脂質と脂肪酸のバランスが良いサーモンオイル、鶏脂肪、キャノーラオイルを積極的に取り入れていきましょう。
フケが出た場合は動物病院で診察を受けよう
基本的に健康な犬にフケはほとんどありません。フケが出ているということは、犬の皮膚になんらかの異常が見られるということです。フケが多くなってきた場合、一度動物病院に相談することをおすすめします。
乾燥肌や脂性肌ならシャンプーを変えたりスキンケアを入念にすることで改善するかもしれませんが、そのまま放置しておくと悪化することも考えられます。動物病院で診察してもらい、適切な処置をしてもらうようにしてくださいね。