犬が震えているとき、寒さや不安な気持ちだけが原因ではない場合があります。病気によって震えが起きているケースもあるため、愛犬の震えが気になる場合には様子をしっかりと伺いましょう。ここでは、犬が震える理由と病気の関係、適切な対処法について解説します。愛犬といつまでも快適に過ごすために、震えの症状も観察しておきましょう。
目次
犬が震える理由とは?考えられる原因は主に5つ
犬が震える理由として、主に5つの原因が挙げられます。震え方や震えている場所、年齢などによっても原因は異なるため、順に見てみましょう。
寒さによってブルブル震えている
犬は寒さに強いというイメージがありますが、小型犬や老犬は寒さに弱いです。体温調節の機能が弱いため、低体温症になるリスクも高くなります。小型犬は、大型犬や中型犬よりも熱の発散量が多くなるため、寒さが感じやすいと言えます。
寒い冬にブルブルと震えている様子なら、寒さ対策をしてあげましょう。寒さ対策をしても震えが止まらない場合には、病気の恐れもあるため動物病院で診てもらいましょう。犬種や体のサイズであったり、室内で飼われていたりする場合などは、寒さに弱い犬も増えているようです。
緊張や不安からくる震え
犬の体の震えは、緊張や不安、ストレスといった面から起きているケースもあります。犬は耳がよいので小さな音も聞こえ、雷や掃除機といった大きな音による不安や恐怖も感じやすいです。特に、小型犬においては緊張や不安を感じ取りやすいため、家での過ごし方や周りの音には注意してあげましょう。
また、過去に恐怖体験をしたり見知らぬ人に会ったりすることで、不安やストレスを抱えることもあります。水が嫌いなのにお風呂に入っているときや、テレビの音が怖いのにリビングでテレビがついているなど、犬が負担に感じることによって震えという症状が現れることがあるのです。
犬がどんなときに震えを起こしているかを確認することで、何に対して不安を抱いているか把握できます。震えの原因に早く気づくためにも、愛犬の様子には敏感になっておきましょう。
病気によって起きている震え
震えの中には、病気が原因で生じている場合もあるので注意しましょう。
何らかの病気が原因で発熱しているときに震えることもあれば、低血糖状態で震えが起きているケースもあります。その他、中毒症状から起きている震えもあるため、犬の体に異変がないか、飼い主さんが観察しておくことが必要です。
高齢の犬は震えることがある
老犬の場合、普段から震えていることがあります。老犬で体力が低下しつつあることから寒さに弱くなっているという面だけでなく、筋力の低下や栄養不足、恐怖や緊張に敏感になっていることが考えられます。老化現象なので誰にも止めることはできませんが、少しでも長く元気に過ごせるように、飼い主さんが健康チェックを怠らないようにしてあげましょう。
老犬になると病気にかかるリスクも高まるため、病気によって震えが生じている場合もあります。気になる症状がある場合には、早めに病院で相談しましょう。
足の震えは病気の可能性も
震えといっても、全身がブルブルと震える場合もあれば、足だけ震えるという場合もあります。足だけが震えている時は、ヘルニアなどの病気を発症している恐れがあるので、早めに病院で診てもらいましょう。
また、何かに感染している恐れもあるため、爪や足に異常がないかを診る必要があります。散歩から帰ってきたら足元を清潔にしてあげましょう。そして足の震えの場合にも異変を感じた際には、早めに動物病院で相談してみてください。
犬の震えは病気が関係していることもある
犬の震えは、さまざまな原因が挙げられる中で、病気が関係していることもあるとお話しました。どのような病気が震えと関係しているのか、順に見ていきましょう。
てんかん発作
てんかん発作によって、震えが生じることがあります。震えというよりは痙攣という言葉の方がふさわしく、震えたかと思ったらじっと動かなくなり意識を失うといったように、ただの震えではない状態に陥ります。
原因がわからない突発性てんかんもあれば、脳腫瘍などの病気によって引き起こされる二次性てんかんもあるので注意が必要です。犬の場合は、ほとんどが突発性てんかんであると言われていますが、数分経っても治まらない場合はすぐに病院で診てもらいましょう。てんかん発作を侮っていると、症状が悪化して意識不明の状態を起こす可能性もあるため、油断は禁物です。
低血糖状態に陥っている
犬の震えは、低血糖状態に陥っていることで起きている場合もあります。血液中の糖分が少なくなり細胞へ栄養が送られなくなったときに生じる症状となっており、震えの他にぐったりといた様子になったり、意識を失ったりすることもあります。
糖分を補給することで症状は落ち着いてきますが、病院で診てもらった上で正しく対処するようにしましょう。できれば、病院で処方された薬を飲ませることをおすすめします。自己判断で糖分が補給できるものを与えるのは、返って危険を伴う恐れがあるからです。
脳腫瘍ができている
脳腫瘍ができている際の症状のひとつにも、体の震えが挙げられます。犬の脳腫瘍でよくある症状として、震えの他に食べ物の好みが変わる、性格が変わるといった点があります。震え以外にこのような症状が見られたら、早めに病院で相談してください。
犬の脳腫瘍の原因を突き止めるのは難しいので、定期検診による早期発見が鍵となります。脳腫瘍を患って体が不自由にならないようにするためにも、定期的な健康診断を受けるようにしましょう。愛犬の健康を守るためにも、検診は大切です。
下痢や嘔吐の症状が見られたら尿毒症の可能性も
体の震え以外に、下痢や嘔吐といった症状が見られる場合は、尿毒症になっている可能性があります。尿毒症とは、尿となって排泄されるべき老廃物や有害物質が、腎臓の機能低下によって正常に行なわれなくなる病気です。
尿毒症を発症していると、下痢や嘔吐といった症状が現れることがあるため、飼い主さんも異変に気づくことができるでしょう。すぐに病院に行って診察を受けると同時に、尿毒症の予防法として健康診断を受けるようにしましょう。
犬ジステンパーウイルス感染症
犬特有の病気がある中で、犬ジステンパーウイルス感染症によって震えの症状が現れることがあります。強い伝染力を持っており、感染した犬は死亡する確率も高いという恐ろしい病気です。
初期症状から進行が進み脳炎を起こしている状態で、体に震えが起きることがあります。ワクチン摂取で予防ができる病気となっていますが、感染する確率は0ではないため、日々の健康チェックは欠かさないようにしましょう。犬ジステンパーウイルス感染症にかかっているとわかった場合には、現れている症状によって適切な治療が行なわれます。恐ろしい病気なので、大切な愛犬を守るためにも予防接種はきちんと済ませておきましょう。
食べ物などで中毒を起こしている
犬は、ドッグフード以外に何でも食べてしまう動物です。散歩中に目に付いたものを食べることも多く、飼い主さんにとってはお腹を壊してしまうのではと心配でしょう。
ドッグフードや犬用のおやつ以外の食べ物によって中毒を起こし、震えが起きるケースもあるので、日頃から愛犬が口にするものには慎重になりましょう。
犬の震えを止める予防や対策法は?
犬の震える様子に、少しでも早く気がついて適切な対処ができるよう、予防法や対策法を知っておきましょう。
リラックスさせて緊張やストレスから開放してあげる
緊張や不安、ストレスなどから犬が震えを起こしている場合、リラックスできる空間で過ごさせてあげることが大切です。騒音が苦手な犬にとっては、できるだけ静かな空間でのんびり過ごせるようにしてあげる必要がありますし、外出によってストレスを受けてしまうのであれば、家でゆったりと過ごす時間を作ってみましょう。
リラックスすることで、緊張や不安などからくる震えが徐々に改善されてくるでしょう。犬がどんな内容から震えを起こしているのかを把握し、適切に対処することで症状の改善が期待できます。
寒さが原因の場合は温かい寝床に変える
寒さが原因で震えを起こしているときは、寝床を温かいものに替えて、部屋全体を暖かくしてみましょう。特に小型犬や老犬は体が弱いため、寒さに弱いです。寒さからブルブル震えているとわかったら、すぐに対策を取りましょう。
寝床自体を温かい素材に変えてみるのもよいですし、ベッドの中にブランケットや毛布などの暖を取れるものを入れておくのもよいでしょう。また、寝床を置く場所は、窓際や部屋の出入り口ではなく、寒さを感じずに過ごせる場所に変え手上げることをおすすめします。暖房器具や布団類などを上手に活用して防寒対策を取ることで、犬の震えも改善されてくるでしょう。
元気がなく気になる症状が現れてたらすぐに動物病院へ
犬の震えは寒さやストレスなどだけでなく、病気が原因の場合もあります。気になる震えの症状や全体的に元気がないといった不調を確認したら、できるだけ早く動物病院に行って診てもらいましょう。大きな病気が隠れている恐れもあるので、犬の健康を維持するためにも専門医に診てもらう必要があります。
早めに動物病院を受診したり、定期的に健康診断を受けておくことで、犬の震えやその他の症状から考えられる病気の予防と早期発見につながります。犬は言葉で伝えることができないので、そばにいる私たち人間が健康状態をチェックしてあげましょう。
愛犬の体を守るために日々の健康チェックを行なおう
犬は、大切な家族の一員です。そして、私たち飼い主が早く異変に気づくことで、病気の予防ができ、長生きさせてあげることが可能です。震えが起きているとき、大きな病気の可能性もあるため、過信せずに様子を見てあげましょう。そして、早めの病院受診を心がけて、愛犬の体を守ってあげましょう。