猫の発情期| 知ればストレスも減らせる!期間や特徴・対処法

かわいい愛猫がいつもとは違う大きな声で鳴いたり、普段とは違う行動をしはじめたら、それは発情期かもしれません。特に猫を飼いはじめて間もない場合だと不安になってしまうこともありますよね。発情期の時期や行動の特徴、そして対処法など、事前に知っておけば、ストレスを和らげることができるはずです。

猫の発情期はいつから始まる?メスとオスの違いは?

メス猫の発情期|時期と周期

短毛種と長毛種での違い

長毛種に比べ短毛種の猫は性成熟する時期が早く、生後6〜9ヶ月齢で発情期がはじまります。

メス猫が初めて発情期を迎える目安

  • 短毛種:生後6〜10ヶ月齢
  • 長毛種:生後12〜18ヶ月齢

なおメス猫が初めて発情するタイミングは生活場所、季節、天候、オス猫の存在などで異なります。条件が揃えば早ければ4ヶ月齢ほどで初めての発情期を迎えるメス猫もいます。

発情期の季節

メス猫の発情は日照時間や気温などで誘発されます。発情期のピークは2〜4月頃と6〜9月頃になる傾向が高いですが、これは子猫の生存率が高まる、暖かく、餌も豊富にとれる時期だからです。しかし、室内飼いの猫の場合は照明に長時間あたり、暖房によって暖かい環境で過ごしているため、季節は関係なく冬にも発情します。

メス猫の発情期|特徴

メス猫の発情は大きく4段階に分かれています。

発情前期:1〜5日間

  • 活発になり、落ち着きがなくなる
  • 飼い主にすり寄る
  • 食欲が減ってくる
  • おしっこの回数が増える
  • 交尾は拒絶する

交尾をした場合は約4日間で、交尾をしていない場合は約5〜14日間程度発情が続きます。

発情期:4〜14日間

  • 普段とは違う声で鳴く
  • 身の回りのものに顔や首、体をこすりつける。
  • おしっこの回数が増える
  • おしっこの臭いが強くなる
  • 壁などに向かって立ったまま尿をするようになる(スプレー行為)
  • 前かがみの姿勢をとり、オスを誘うようなしぐさをする
  • オス猫を受け入れるようになる

発情期後期:1日

オス猫に覆いかぶされたり、首を噛まれて動けなくされたりする行為は許しても、交尾は拒絶するようになります。

発情休止期

オス猫に関心を持たなくなります。逆にオス猫を威嚇することもあります。

オス猫の発情期|時期と周期

オス猫には基本的に決まった発情期はありません。発情中のメス猫が大きな声で鳴いたりなどの特異な行動や臭気によってオス猫の発情が引き起こされます。なお3ヶ月齢以降には陰茎の発育がはじまり、ほかの猫の首元に噛み付いたり、腰にのるような交尾に使われる行為をするようにもなります。

順調に成長がすすめば早い猫で5ヶ月齢、遅い猫でも8ヶ月齢までには精巣内精子がつくられるようになります。そして9~12ヶ月齢には性成熟したオス猫になるといわれており、本格的な交尾が可能となります。またオス猫の陰茎には細かく小さなトゲが生えます。

このトゲで交尾刺激を強くして、メス猫の排卵を確実に促す仕組み(交尾排卵)になっています。これにより猫の妊娠確率はとても高いものとなっているのです。

オス猫の発情期|特徴

  • 普段とは違う鳴き方をする
  • 鳴き声が大きい
  • おしっこの臭いが強くなる
  • 壁などに向かって立ったままするようになる(スプレー行為)
  • 攻撃的になる
  • 落ち着きがなく、外に出たがる

発情すると噛み付いたり引っ掻いたりと攻撃的になります。ほかの猫と喧嘩をして怪我をしたり、逆に怪我をさせてしまったりすることもありますので、注意してください。

また落ち着きながく、やたらと外に出たがるようにもなります。一旦外に出てしまうと、しばらく戻って来なかったりする場合もあるので、窓の鍵をかけておくなど対策をしておいた方がいいですが、猫のストレスがたまる原因にもなりますので、その点は注意が必要です。

猫の発情期の鳴き声|うるさい時の対処法は?

発情期の鳴き声の特徴

発情期の猫は、性別の違いや個体差の違いもありますが、「ぬあーん」や「ぎゅあーん」といったような普段とは全く違う鳴き声になります。何度も繰り返し、声が大きくもなるので、うるさく感じてしまうこともあるでしょう。

特に猫は夜行性のため、夜に大きな声で鳴くことも多くなります。メス猫もオス猫も交尾をするために自分の存在を相手に知らせる大事な行為ですので、発情中はずっと続きます。

鳴き声がうるさい時の対処

基本的に発情期の鳴き声をやめさせることは難しいです。子孫を残す為の自然な行為ですので、発情期が過ぎるのを待つしかありません。うるさいからといって、叱りつけたり、防音のケージに閉じ込めたりすると愛猫にストレスをかけてしまうことになるので避けた方がいいでしょう。

しかし、ご近所の迷惑になったり、飼い主のストレスが溜まってしまうこともありますので、猫にストレスをかけ過ぎず、比較的効果のある方法をご紹介します。

エサやマタタビをあげる

エサを食べている最中や、マタタビをあげて恍惚状態にあるときは鳴きやみます。ただ、あげ過ぎると猫の健康によくないので、一時的な手段といえます。

メス猫を綿棒で刺激する

綿棒でメス猫の膣を刺激することによって静かにできることがあります。これは猫が交尾排卵であることを利用した方法になります。犬などの自然排卵の動物とは違い、猫は交尾をおこなった際の刺激で排卵が起きる、交尾排卵の動物です。

ですので、交尾をするまでは排卵が起きませんし、排卵が起こらない間は発情が続きます。それを綿棒で人工的な刺激を与えることにより、オス猫と交尾をしたと勘違いさせるのです。

具体的なやり方としては、綿棒の先を水で湿らせ、メス猫の膣内に1〜2センチほど入れ、膣壁をこするようにゆっくりと綿棒を回転させます。うまくいけば数日で発情が治まり、しばらくは大きな声で鳴かないこともあります。

しかし、この方法もあくまで一時的なものであることに加え、メス猫の膣を傷つけてしまうことにもなりかねないので、動物病院でも勧められている方法ではありません。近所からクレームが来たときなど、どうしてもやむを得ない場合にのみお試しください。

ペットホテルに預ける

無理に愛猫を鳴きやませることもできないし、かといって、朝夜関係なくずっと大きな声で鳴き続けらると、ご近所にも迷惑がかかるし、飼い主自身もストレスが溜まる…そういう場合は思い切ってペットホテルに預けてしまうのも一つの方法かもしれません。

去勢・避妊手術をする

愛猫の子猫を望まない場合は去勢・避妊手術をおすすめします。また初めての発情期がくる前の子猫の段階で手術をすると、その後、発情期特有の行為が起きない可能性が非常に高いです。そもそも発情自体がストレスをともなった行為でもありますし、飼い主が繁殖を望まないのであれば、発情期のストレスを軽減させてあげることにも繋がるといわれています。

猫のスプレー行動や対策

スプレー行動とは?

スプレー行動とはマーキングの一種です。壁や家具などのいつもよりは高い位置におしっこをかけたり、自分の存在を他の猫に知らせるための行為でもあるので、いつより臭いの強いおしっこになります。発情期にスプレー行動を取ることが多いですが、縄張りを主張するものでもありますので、発情期に限った行為ではありません。

スプレー行動の対策

スプレー行動は猫にとって自然な行為です。しつけてやめさせることは難しいです。ごく当たり前の行為としてやっているだけなので、叱りつけたりすることはやめましょう。ただ、特定の場所でしなくなったり、頻度を減らしたりすることはできます。愛猫にストレスがかからない程度に試してみてください。

去勢・避妊手術

スプレー行動は発情期に特に多くみられるので、去勢・避妊手術をすることでスプレーの頻度を減らすことができます。

スプレーした場所をすぐに掃除する

スプレー行動でマーキングをした場所には再度スプレーすることが多いです。臭いが残ったままだと何度もその場所ですることになるので、臭いを消すことが重要です。
臭いを消す方法としては、以下のような方法があります

  • 熱湯で流す
  • クエン酸、酢、ミョウバンなど酸性のもので中和
  • 市販の猫用消臭スプレー
  • 塩素系漂白剤

ただ、掃除する場所によって素材を痛めてしまうこともありますのでご注意ください。

スプレーする場所にトイレをおく

特定のスプレーをする場所があればそこにトイレをおいてしまうのもひとつの方法です。ただ、猫は一箇所にしかスプレーをしないとは限らないので、全ての場所に対応することは難しいものです。

このようにひとつの方法で完全にスプレー行動をやめさせたりすることはできません。色々な方法を組み合わせながら、愛猫に合ったストレスのかからない方法を試してみてください。

発情期の猫の体調

発情期の食欲

猫は発情期に食欲が落ちることがあります。一概には言えませんが、発情はとてもストレスのかかる行為でもあり、その為、食欲が落ちるともいわれています。食欲がなくなるため痩せてしまい、加えて抜け毛が酷くなることもあります。

発情期では仕方なのないことではありますが、あまりにも酷いと感じられる場合は念のため動物病院に連れていき検診を受けさせることも考えた方がいいかもしれません。ちなみに、食欲が落ちるのは特にメス猫で、オス猫で食欲が落ちる猫は少ない傾向にあります。

発情期の下痢や嘔吐

猫は発情期に下痢になったり、嘔吐したりすることもあるようです。しかし、体の異常を知らせるサインでもあります。下痢や嘔吐が数日続く場合は動物病院に一度相談することをおすすめします。

猫の生理出血

猫に生理はありません。これは犬などのように自然排卵ではなく、猫が交尾排卵であるためです。ですので、メス猫の陰部に血がついていたり汚れていたりする場合は子宮の病気であるおそれも高いです。命に関わる重大な病気である確率も高いため、そのような状態をみつけたらすぐに動物病院に連れていきましょう。

猫の避妊手術と去勢

メスの避妊手術

避妊手術をすることにより発情を抑える、もしくはなくすことができ、大きな声で鳴いたり、性的なストレスを軽減することもできます。また避妊手術では、乳がん、子宮内膜炎、子宮蓄膿症などの発生率を抑えることができ、くわえて卵巣自体を取り除く為、卵巣に起きる病気を予防することもできます。

オスの去勢手術

去勢手術によりメス猫と同様に発情を抑える、もしくはなくすことができます。メス猫よりもオス猫に多くみられるスプレー行動が少なくなる傾向にもあります。発情期特有の鳴き声やメス猫をおさえつけるような行動(マウント行為)も抑えることができます。

そして去勢手術によって精巣を取り除く為、精巣にできる腫瘍を予防することができるうえに、前立腺肥大などの発生率を下げることもできます。また攻撃性もおさまる為、他のオス猫とケンカをすることが少なくなったりもします。

避妊・去勢後の再発情

避妊手術、去勢手術をすることで発情を抑えられる効果は高いですが完璧ではありません。手術後も発情状態が続く場合は再度動物病院に相談してみましょう。

避妊・去勢手術のデメリット

手術では全身麻酔をかけるため、麻酔のリスクがあることを意識しておく必要があります。また発情が起きないためにエネルギー消費が低くなり、太りやすくなる傾向があります。

愛猫のために最善の方法を

発情期は生きている動物にとって自然な行為です。発情期は悩みも多くなる期間ではありますが、無理に抑えつけることはせず、ストレスがかからない方法を愛猫にあわせて選択することが重要です。