猫は冬に弱いというイメージがありますが、寒い日はこたつの中で丸くなっているという歌の歌詞の影響もあるのではないでしょうか。猫は冬が近づくと身体の毛が夏毛から冬毛に生え変わり、冬の寒さに備えます。今回は猫の冬の寒さ対策について解説していきます。
猫は冬の寒さに弱いの?
猫の祖先は砂漠出身のリビアヤマネコです。暑い地域で暮らしていたリビアヤマネコは、水の少ない環境で生きていたため、乾燥に強く寒さに弱い身体をしています。
そしてもうひとつ、猫が寒さに弱いのは人間や犬と比較すると筋肉量が少ないからです。猫は普段は寝ている時間が多く運動量が少ないため、筋肉がつきにくいので寒さに弱いのです。
猫が適温と感じるのは室温は何度くらい?
猫が心地よいと感じる温度は18~26度くらいです。この適温は個体差があるので、必ずしも18度になったからといって寒さを感じるとは限りません。猫の様子を見て、寒く感じているようだったら寒さ対策をするようにしましょう。
冬になると猫はどういう行動をするの?
寝ている時間が増える
猫は寒くなると寝ている時間が増えますが、これは消費カロリーを抑えるためです。身体を温めるためにはエネルギーが必要なため、エネルギーを他に使わないように寝て過ごすのです。
そして、猫の寝相は夏と冬では変わってきます。夏の暑い時期は、身体を伸ばして冷たい床に横になってお腹を外気にさらし身体の熱を放出して寝ます。
猫は1日の大半を寝て過ごしますが、成猫は約14時間、子猫や老猫は約20時間程も寝るので、冬にこのように長い時間寝ていると身体の表面から熱が放出されて冷えてしまいます。そのため、冬は身体から熱が奪われないようにお腹を守るように身体を丸めて寝ることが多くなります。
頭をお腹の中に入れるようにして、手足を頭の上で合わせるようにする猫の寝姿を、「アンモニャイト」と呼ぶことがありますが、この寝相は自分の吐いた息でお腹を温めることができるため、冬はこのような寝方をすることが多くなります。
食欲が増して食事量が多くなる
猫は夏に比べると、冬の食事量が増えてきます。これは、冬に向けて脂肪を蓄えて脂肪を燃焼するエネルギーで身体を温めようとすることが理由です。寝ている時間が多い猫は、このようにして自分の身体の保温をしようとしています。
そして、普段から水をあまり飲まない猫ですが、冬は特に水を飲む量が減っていきます。
人や猫同士でくっつく
猫を飼っている人にとっては冬は至福の季節です。というのも、冬は暖をとるために飼い主さんや同居猫にぴったり身体をくっつけてきます。
暑い夏は飼い主さんや同居猫にはくっついてこない猫が、気温が低くなってきたら膝に乗ってきたり抱っこをせがんでくるようになります。そして、多頭飼いの場合は猫同士がくっついて眠る姿が見れるようになります。
暖かい場所を求めて日向ぼっこをする
冬になると猫は暖かい場所を探して日光浴をするようになります。夏は日陰で床に身体を伸ばして寝ていることが多いのですが、冬は日が当たる場所で日向ぼっこをして過ごします。
猫の冬の寒さ対策と冬用の寝床
冬は暖房は必要?
猫は寒さに弱い動物なので、暖まれる場所を用意してあげる必要があります。必ず暖房をつけなければならないことはありませんが、猫用のベッドやペット用のカーペットなど、猫が寒くなったら自分で暖かい場所に行けるようにしてあげましょう。
猫は自分で過ごしやすい場所を探すため、昼間は陽の当たる窓際で日向ぼっこして、夕方に日が落ちると飼い主さんが用意したベッドや毛布で寝るのです。
冬用のベッドを用意してあげる
猫用のベッドは季節に合わせたものがあります。冬におすすめなのはフリースや毛布のような生地でできたドーム型ベッドです。ドーム型ベッドなら、中に潜り込んで眠ることができるので猫が安心できる空間になります。そして、まわりを囲まれているので風が遮られるため暖かい空気が中にこもって快適です。
猫用こたつを置いてあげる
猫を飼っている人の間で人気なのは、猫用のこたつです。人間のこたつのような形をしていてこたつの上に専用の布団をかけてあげると、中に潜って暖まれます。
人間用のこたつは暖かくて快適ですが、猫には温度が高すぎるので低温やけどの恐れがあります。一方、猫用のこたつは、猫の目に安心な赤外線ランプを使っていて、温度は20度に設定されているので低温やけどの心配がありません。
ペット用ヒーターを使用する
猫用のベッドやこたつのほかに、ペット用ヒーターもおすすめの寒さ対策グッズです。たくさんあるペット用ヒーターの中でも、おすすめなのは裏と表で温度が違うものです。
片方の面は高めの38~39℃で、もう片方は低温の32℃程度の温度なのでシーンに合わせて使い分けることができます。ペット用のヒーターは猫用のベッドの底に入れたり、単独で使うことができます。
人間用の毛布やひざ掛けを置いておく
猫用の寒さ対策グッズは可愛いものがたくさんありますが、人間が使う毛布やひざ掛けをソファーの上に置いておくだけでも充分寒さ対策になります。
毛布をたたんで部屋に置いておくと、猫はその上でくつろいで暖まることができます。また、飼い主さんがひざ掛けを使って座っているとその上に乗ってくることがあります。
猫の毛は夏毛と冬毛があるのはなぜ?
冬毛の生え変わり時期とは
猫の毛は夏毛と冬毛があり、夏毛から冬毛に生え換わる時期は、10月から11月頃です。そして、3月頃になるとだんだん冬毛から夏毛へと抜け替わります。
猫は自分で毛づくろいをして身体をきれいにする習性がありますが、換毛期は毛づくろいのときに毛が抜けて猫が抜けた毛を飲み込んでしまうことがあります。
もふもふの冬毛で寒さ対策をする
猫の毛はオーバーコートとアンダーコートという2層の毛が生えています。オーバーコートとは、外側の毛で長く太く水を弾いたり紫外線を遮断する役割をしています。アンダーコートは内側の毛で、柔らかくふわふわした細い毛のことをいいます。
猫の身体の毛は夏毛と冬毛がありますが、夏毛は冬毛に比べると硬くて密度が低く、冬毛は柔らかく密度が高いのが特徴です。冬毛は寒さから身体を守り保温性を高めるように、アンダーコートが増えてふわふわな毛になります。
なぜ、このように猫の毛は生え換わるのかというと、猫の身体には汗腺がないため人間のように汗をかいて体温調整ができないためです。猫は身体の毛を生え変わらせることによって季節に合わせて対応できるようにしています。ふわふわしたアンダーコートで体全体を覆い、寒さから身体を守るのです。
夏毛を取るためブラッシングをこまめにする
ブラッシングは猫が抜け毛を飲み込むのを予防するだけではく、寒さ対策にも有効です。ブラッシングをすることで、毛玉を防ぎ毛と毛の間に空気を入れて暖かさを保つことができます。
猫のことで冬に注意するべきこと
冬の寒い日に飼い主さんが出かける時、暖房を切ってしまうと室温が下がってしまいます。留守番をする猫のためには、寒さ対策が必要ですが猫の寒さ対策で注意しなければならないことがいくつかありますので、ご紹介いたします。
留守の時は室温を20度ほどにしておく
真冬の寒さが厳しい時期は、暖房を消して出かけてしまうと部屋の中がとても寒くなってしまいます。エアコンの温度を18~20度くらいに設定して出かけるといいでしょう。また、ペットヒーターやホットカーペットを低めの温度にして出かけるのもおすすめです。
暖房器具のやけどに注意
部屋を暖かくするためにストーブやヒーターを使う方が多いと思いますが、その場合は猫が触ってやけどしないようにしなければなりません。ガードをして猫が吹き出し口に触らないようにするなど、対策を取りましょう。
留守をするときは飼い主さんが見ていない時に何があるかわかりませんので、消していったほうがいいでしょう。留守中の寒さ対策は、ホットカーペットやペットヒーターで充分です。
ホットカーペットなどの低温やけどに注意
飼い主さんが留守にするときや夜は、ストーブではなくペットヒーターやホットカーペットを使ったほうがいいのですが、このときは低温やけどに注意が必要です。湯たんぽも低温やけどの恐れがあるので、使用する時は湯たんぽを毛布やタオルに包みましょう。
ペット用のヒーターは元々低温やけどしないように設定されていますので、安心して使うことができます。
乾燥対策をとる
留守中にエアコンを使用する場合は、部屋の乾燥に注意が必要です。乾燥がひどいと脱水症状を引き起こす恐れがありますので、加湿器などを使用して部屋の湿度を50~60%に保ちましょう。
普段から猫は水分をとらないのですが、水分補給を促すように水が入った器を部屋の数ヶ所に置いておきましょう。加湿器を利用するほかに濡れタオルを部屋に干しておくのもおすすめです。
ベッドは部屋のいろいろな場所に置く
前述しましたが、猫は快適な場所を探す名人です。自分で快適な温度を見つけて移動しますので、寒いからといって日向の場所だけにベッドを置かず、さまざまな場所に置きましょう。窓際や日の当たらない場所にも置くことで、暑くなったら場所を移動します。
食事量を少し増やして水分不足に注意する
一般的に猫は冬になると食事量が増えます。それは、体温調整するためにはエネルギーを使うためです。だからといって、ご飯を与えすぎると肥満になってしまうので、普段より少し多めにする程度にしましょう。
車に乗る前にボンネットを叩く「猫バンバン」
猫を飼っている人なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、「猫バンバン」とは車のエンジンルームに猫が入り込んでいるかもしれないので、エンジンをかける前にボンネットを叩くという運動のことです。
冬の寒い時期、野良猫は暖かい場所を寝床にしようと暖まったエンジンルームに入り込んでしまうことがあります。エンジンルームは冷たい風や外敵から身を守れるため、夜の間に入り込んでしまうのです。
車に乗るときにボンネットを叩くのは冬だけでなく、どの季節でも必要です。夏は車の下が日陰になって涼しいので、そこで寝ていることがあります。春や秋でも狭い所が好きな猫は車のエンジンルームに入り込んでしまうことがあるのです。そのため、季節に関わらず車のボンネットを叩きましょう。
ただし、やみくもにボンネットを叩くと警戒心が強い野良猫は驚いて出てこない場合があります。そのため、はじめは手の平でボンネットを優しく叩き、そのあとボンネットに耳を当てて音がしないか確認します。物音や猫の鳴き声がしたら、ボンネットを開けて確認しましょう。また、猫は車のボディーとタイヤの間に入り込んでいることもあるため、注意しましょう。
猫の寒さ対策をしかりとって冬を乗り切ろう
冬の寒さは人間も猫もこたえるものです。猫は冬毛になったり丸くなったりして寒さから自分の身を守ろうとしますが、飼い主さんはペットヒーターやベッドを用意して猫を寒さから守ってあげることが必要です。
飼い主さんが留守にするときにヒーターのコードを噛むなどのいたずらを予防することも必要なことですので、しっかり対策をして事故を防ぎましょう。
冬の寒さは辛いと感じる人もいるでしょうが、冬こそ猫とべったりくっついて過ごせる季節です。愛猫との触れ合いを楽しんで冬を乗り切りましょう。