モモンガは、その愛くるしい姿からペットとしても人気を集めています。モモンガの習性を考えて環境づくりをしていかなければならないため、飼育が難しい動物だと思っている人も多いでしょう。しかし、正しい飼い方を理解しておけば、モモンガを飼うのは決して難しくはありません。これからモモンガを飼おうと思っている人に向け、必要なものや餌など、飼い方を基礎から解説します。
目次
日本で飼育可能な2種類のモモンガとは?
モモンガには数多くの種類があり、昔の日本で飼育されていたのは、フクロモモンガ、アメリカモモンガ、タイリクモモンガの3種類でした。
しかし、タイリクモモンガが特定外来生物に指定されたことで、日本での飼育ができなくなり、ペットとして飼育できるのは残りの2種となっています。
では、現在もペットとして飼うことができるフクロモモンガとアメリカモモンガは、どのような動物かをそれぞれ解説します。
参考:日本の外来種対策
フクロモモンガ
フクロモモンガ科フクロモモンガ属に分類されます。モモンガと言えば、と言われるほどメジャーな種類です。
特徴
大きさは、体長16~20cm、体重90~150g程度が一般的です。全体的な被毛の色はグレーやクリーム色で、鼻筋から背中にかけて黒いラインが伸びています。
オーストラリアやインドネシア東部など、比較的暖かい地域で生息しており、地域によって亜種も存在します。メスは腹部に育児嚢と呼ばれる袋を持ち、カンガルーのようにお腹の袋で赤ちゃんを育てます。
ペットとして飼う場合の平均寿命は、約8~12年です。
性格
信頼した相手にはよく懐くため、ペットとして人気が高い種類です。群れを成し、協調性もあります。
しかし、縄張り意識が強いことから、警戒心を解くまでに時間がかかる傾向があるため、飼い始めは威嚇されることも多いでしょう。
習性
夜行性なので、日が暮れてから活動し始めます。また、1匹のオスのリーダーに、5匹のメスや幼獣が群がってグループを構成しているため、メンバーが死亡したとき以外でそれ以上の仲間づくりをしません。
オスは、グループの仲間という証として、メスや幼獣にマーキングをします。多頭飼いを考えている人は、この習性を理解しておいた方が良いでしょう。
値段
約10,000~20,000円で購入可能です。繁殖数が安定しているからこそ、この値段で購入が可能なのでしょう。
しかし、まれに色変種が販売されることがあり、希少性が高いことから20万円以上の値がつくこともあります。
アメリカモモンガ
リス科アメリカモモンガ属に分類されます。ペットショップなどで見かけることが少ないため、フクロモモンガほどメジャーではありません。
特徴
大きさは、体長14~15cm、体重50~80g程度が一般的です。フクロモモンガよりやや小柄で、見た目がリスに似ています。
主な生息地はアメリカやカナダ、メキシコなどです。育児嚢を持たないため、フクロモモンガのように袋の中で赤ちゃんを育てることをしません。ペットとしての平均寿命は、約8~12年です。
性格
神経質で野性味が強いため、最初はコミュニケーションを取るのが難しいでしょう。慣れてくれれば、自分から寄ってくることもあるようなので、辛抱強くコミュニケーションを取っていくことが大切です。
習性
単独行動が基本で、群れることを好みません。そのため、多頭飼いには不向きな種類と言えるでしょう。
しかし、寒い冬や子育て期間中は、ひとつの巣穴に何匹も群がって暖をとりながら過ごす、という姿も見られるようです。
他の子と相性が良ければ、多頭飼いも可能かもしれませんが、単独飼育の方がトラブルも少ないため、初めての人は単独飼育をおすすめします。
値段
約10,000~30,000円程度です。日本での流通量が少ないため、フクロモモンガより少しだけ相場が高くなる傾向があります。
また、ペットショップで購入するというよりは、専門店やブリーダー経由での購入が一般的なようです。
モモンガを飼うための環境づくりをしよう
モモンガの飼育を始めるのであれば、迎え入れるための準備が必要です。基本的な準備としてポイントとなるのは、温度管理とケージの2つです。
温度管理
モモンガの快適温度は、種類によって異なります。そのため、どちらの飼育をするのかを明確にしたうえで、温度管理を行なっていきましょう。
フクロモモンガ
快適温度は23~28℃で、比較的暖かい環境を好みます。これは、暖かい地域に生息していることで、暑さに強い性質を持つためです。
しかし、その反面寒さへの耐性があまりないため、気温が20℃以下になると、体調不良を起こす可能性があります。冬場の温度管理には、特に気をつけてあげましょう。
アメリカモモンガ
快適温度は20~26℃で、比較的涼しい環境を好みます。これは、カナダなどの寒い地域に生息していることで、寒さに強い性質を持つためです。
しかし、15℃を下回るほど寒い日が続くと、体調不良を起こす可能性があります。暑さに弱いからと、ケージの周辺を冷やしすぎると逆効果となる場合があるので、注意が必要です。
ケージ
ケージは、モモンガにとってのお家です。できるだけ住み心地が良くなるよう、考えて用意してあげる必要があります。
モモンガは夜になると活発に動き回りますが、ほとんど地面には下りません。木の上にいたり、手足を広げて飛び回ったりと、動きが立体的になるため、それに合わせたサイズのケージを選ぶ必要があります。
また、モモンガがケージ内で快適に過ごせるようにするためのアイテムとして、以下の4つを紹介します。
登り木
ケージ内を自由に動き回れるよう、登り木を用意してあげてください。ある程度の太さと長さがあれば、なんでもかまいません。
小動物用に販売されているもの、インテリアとして販売されているもの、あるいは道端に落ちているものでも大丈夫です。爪の伸びすぎ防止にもなるので、しっかり掴まることができるような、硬いものを選んであげると安心ですね。
巣箱
主に木の上で活動するため、巣箱はできるだけ高い位置に設置するのがおすすめです。自然に近い状態を作り出すことで、早くお家に慣れてくれるでしょう。大きなものではなく、小動物用の小さな巣箱で十分です。
木製や布製など様々なタイプがありますが、モモンガは巣箱でも排泄をするため、掃除しやすいもの、あるいは定期的に新しいものに替えられるよう安価なものを選ぶことをおすすめします。
ステップ
モモンガの休憩場所として、ステップを置いてあげましょう。そこで毛づくろいをしたり、餌を食べたりするだけでなく、リラックスして昼寝をする姿も見られるかもしれませんよ。
ペットシーツ
モモンガは、犬や猫のようにトイレを覚える動物ではありません。また、縄張り意識が強いことから、習慣的にマーキングを行ないます。
そのため、小まめな掃除が必要となるでしょう。できるだけ掃除を簡略化させるため、ケージの中にペットシーツを敷いておくことをおすすめします。汚れたら新しいものに取り替えるだけなので、掃除も簡単でニオイも残りにくくなりますよ。
ただし、吸収ポリマーが入っているため誤飲すると危険です。しばらくは様子をみながらお世話をしてあげてください。
ケージ内のグッズについて紹介してきましたが、快適温度のことを考え、ケージの配置場所にも気を配らなければなりません。
例えば、寒さに弱いフクロモモンガを飼うのに、窓際の冷気が入りやすい場所にケージを配置すると、寒くて凍えてしまう可能性があります。より快適に過ごせるよう、室内の空気の流れや、エアコンの当たり方を確認しておくことも大切です。
モモンガの餌を用意しよう
モモンガは、種類によって食べるものが微妙に違います。それぞれ何を与えたら良いのか、明確に理解しておきましょう。
主食
モモンガの種類によって、食性が微妙に異なります。与え方を間違えると、健康を害する恐れがあるため、必ず種類に合わせたものを選ぶようにしましょう。
フクロモモンガ
ペットとして人気が高いことから、専用フードが販売されています。栄養バランスが良く、主食として最適です。
しかし、甘いものが好きな傾向があるため、副食の野菜や果物は食べるけれど、主食を食べようとしない子が出てくる可能性があります。偏食を許すと、栄養バランスを整えるのが難しくなるため、必ず主食の後に副食を与えるようにしましょう。
アメリカモモンガ
食性がリスに似ているため、リス用の餌をあげると良いでしょう。間違えてフクロモモンガ専用フードを与えると、体調を崩す可能性があります。
なぜなら、フクロモモンガ専用フードには、たくさんの動物性たんぱく質が含まれているからです。
アメリカモモンガも昆虫などから動物性たんぱく質を摂取しますが、基本的に植物食を好む種類だということを忘れてはなりません。
おやつ
副食で、足りない栄養を補うことが大切です。与えられるものと、与えてはならないものをそれぞれ解説します。
野菜や果物がメイン
基本的に、副食にするのは野菜や果物です。モモンガは雑食なので、食べられるものがたくさんあります。一般的にスーパーでも簡単に手に入れられる、副食に適した食材は以下のとおりです。
- りんご
- バナナ
- さつまいも
- にんじん etc
人工物は与えない
おやつだからと言って、人間用のおやつを与えるのは厳禁です。砂糖や添加物は、モモンガの体に害を与える可能性があります。飼い主が食べているところを見て、興味を持って寄ってくる子がいるかもしれませんが、絶対に与えないよう注意してください。
水
モモンガの体は小さいため、一度にたくさんの量を飲むことができません。だからと言って、お皿にたくさん水を入れた状態で放置していると、徐々に水が傷んできてしまいます。
お皿や給水器に入れる水は少量にし、小まめに取り替えて、いつでも新鮮な水をあげられるようにしてください。
モモンガもお風呂が必要!正しい入浴方法
モモンガの被毛は、一度濡れると乾きにくい性質があります。そのため、野生のモモンガは水浴びをする習性がありません。
しかし、ペットとして飼っていると、どうしてもそのニオイが気になってしまいますよね。掃除をしているのに、ニオイがきつくて耐えられない、と思ったときは、お風呂に入れてあげましょう。
お風呂の入れ方
水浴びの習性がないモモンガにとって、お風呂は大きなストレスの原因となります。そのため、素早く済ませることが大切です。
では、どのようにしてお風呂に入れたら良いのか、その手順を解説します。
お湯で皮脂汚れが落ちるため、シャンプーを使わなくても大丈夫です。とにかく素早く洗うこと、そして上がったらしっかり乾かしてあげることを意識してください。生乾き状態だと、逆にニオイがきつくなる可能性があるので、注意が必要です。
臭いときは消臭スプレーを使おう
モモンガのお風呂には賛否両論があります。ニオイがきつければ入れた方が良いという意見もあれば、絶対に入浴させてはいけないという意見もあるため、初めて飼う人は混乱してしまうでしょう。
しかし、お風呂に入れたらモモンガが死んでしまうわけではないため、正しい入浴方法を守れば、お風呂に入れても問題ありません。ただ、被毛が乾きにくかったり、ストレスを与えてしまうリスクがあるため、飼っている子の様子を見て、入浴させるかどうかを決めてください。
嫌がる子には、蒸しタオルで拭いてあげたり、消臭スプレーを使ったりするのがおすすめです。ペット用消臭スプレーは、舐めても害がないものや、ペットが嫌がらないよう無臭で作られたものがあります。体に直接吹きかけて良いものであれば、一吹きするだけで体のケアが可能です。
それと同時に、ケージ内の消臭も可能なので、一石二鳥ですね。
モモンガとの絆を深めるコツ3つ
モモンガが懐いて寄ってきてくれると、とても可愛らしいですよね。しかし、そうなるまでには、しっかりコミュニケーションを取り、絆を深める必要があります。では、どうすればモモンガと仲良くなることができるのか、そのコツを3つ紹介します。
飼い主のニオイを覚えさせよう
不要になった服の切れ端を、巣箱の中に置いてみてください。飼い主のニオイがする巣箱の中で眠ることで、モモンガは安心できるニオイだと覚えてくれるでしょう。
次第に、自分の方から寄ってきたり、飼い主のそばで寝てくれたりするようになるかもしれませんね。
たくさん話かけよう
積極的に名前を呼んだり、話しかけたりしてあげましょう。自分の名前と飼い主の声を覚え、コミュニケーションが取りやすくなります。
寂しがり屋なモモンガは、飼い主に構ってもらえることで安心感を抱き、早く慣れてくれるようになるでしょう。
正しい触り方を心がけよう
警戒心が強いため、触り方を間違えると、それ以降近寄ってくれなくなる可能性があります。「攻撃するつもりはありませんよ」と伝えるために、必ずモモンガの視界に入るよう、正面から手を差し伸べましょう。そして、自分から寄ってくるのを待ちます。
犬や猫を撫でるときのように、体の上から触ろうとしたり、シッポを引っ張ったりするのは厳禁です。
赤ちゃんモモンガはどう育てる?
モモンガとの絆を深めるためには、赤ちゃん時代から育てるのが一番効果的です。そのため、赤ちゃんモモンガを育てたいと思っている人も多いでしょう。
しかし、まだ体ができあがっていない赤ちゃんモモンガは、非常にデリケートです。小さな体を病気から守り、健康的に育てるためには、それなりの知識と覚悟が必要ですが、どのような飼育を心がけていけば良いのでしょうか?
ここでは、赤ちゃんモモンガの飼育に挑戦したい人に向けて、飼い方のポイントを紹介します。
授乳をしよう
人間の赤ちゃんと同じように、モモンガの赤ちゃんにも授乳が必要です。健康のためだけでなく、飼い主との重要なスキンシップとなるため、しっかり行ないたいですね。
授乳時間は、大体3~4時間おきです。なかなか飲んでくれない子や、特に体が小さい子であれば、2~3時間おきとなることもあるでしょう。体が少しずつ大きくなり、たくさんのミルクが飲めるようになるまでは、授乳時間が短いためお世話が大変です。
しかし、ミルクを飲む量が増えたり、授乳時間を延ばせるようになったりすると、目に見える成長に喜びを感じられるでしょう。
少しずつ固形の食べ物に挑戦させよう
赤ちゃんはまだ歯がそろっていないため、ミルクからのスタートとなります。牛乳はお腹を壊す可能性があるので、必ず小動物用の粉ミルクを選んであげてください。
また、ミルクの他にりんごやにんじんなどを与えても大丈夫です。まだ噛んで飲み込むことはできませんが、汁を飲んだり、噛もうとする仕草が見られたりしますよ。
生後2ヶ月くらいになると、徐々に固形のものが食べられるようになります。パン粥や柔らかい果物、殻をむいた木の実などを、少しずつ与えてみましょう。
様子を見ながら量を増やしたり、新しいものに挑戦させたりして離乳食の完了を目指します。
温度と湿度に注意
デリケートな赤ちゃんは、成体以上に温度管理に気をつけてあげなければなりません。静かで暖かい環境で育てることが大切なので、最初は巣箱でなく、昆虫用ケースや水槽などの容器で飼うのがおすすめです。
容器内は、温度が30℃前後、湿度は50%前後になるよう調整しましょう。
便の状態を確認しよう
便は健康のバロメーターなので、必ず毎日チェックしましょう。コロコロとした状態であれば、健康な証拠です。軟らかすぎると下痢を起こしている可能性があります。
もし、数日間軟便が続いているようであれば、病院で診てもらってください。
日光浴をさせよう
夜行性ですが、1日1回は日光浴をさせてください。なぜなら、光を浴びないと、摂取したカルシウムが体内で分解できないからです。ひどい場合だと、くる病(骨格異常)になる可能性があります。
長時間でなくて良いので、モモンガを入れた容器ごと光が当たる場所に置いておきましょう。
モモンガとの上手な付き合い方が分かる本3選
モモンガの飼い方が分かる本が1冊でも家にあれば、いざというときにすぐ調べられて安心ですよね。ここでは、モモンガの飼育をサポートしてくれる本を3冊紹介します。
ザ・モモンガ
モモンガに関するあらゆる知識が詰め込まれた本です。これから飼いたいと思っている人や、すでに飼っているけれど飼育書が欲しいと思っている人におすすめです。
フクロモモンガとアメリカモモンガの情報を中心に掲載しているため、どちらを飼っている人でも対応できる本だと言えるでしょう。
フクロモモンガの時間
まるで写真集のような印象がありますが、意外にも内容が濃いため、飼育書として役立つでしょう。フクロモモンガの目線になって、どう育ててあげれば良いかを知ることができます。飼育していない人でも、十分楽しめる1冊です。
フクロモモンガ―小動物ビギナーズガイド
モモンガの飼育が初めての人でも分かりやすいようまとめられた本です。モモンガに対する知識だけでなく、実際に飼育している人のエピソードなども記載されているため、実用的な本だと言えるのではないでしょうか。
モモンガの飼育に役立つ動画2選
ペットとして人気を集めているモモンガですが、犬や猫などに比べると、その情報量はまだまだ少ない傾向があります。
そのため、自分に合った飼育書が見つからない、どう飼育していけば良いか分からないと悩んでいる人も多いでしょう。そんな人に向け、動画で飼い方を紹介している人もいます。
文章や写真だけでは分かりにくい部分も、動画にすることでより理解しやすくなりますよ。今回は、飼育方法をしっかり教えてくれる動画を紹介します。
フクロモモンガの飼い方
フクロモモンガを飼ううえで、どういった環境づくりが必要かを紹介しています。実際に、飼い主が用意したアクリルケージを映して紹介しているため、とても分かりやすく、参考になりますね。
飼ってみたからこそ分かる便利アイテムや、どういったポイントを押さえてアイテムを選ぶと良いかも教えてくれますよ。これからモモンガのためにいろんなアイテムを買い揃えようと思っている人は、一度参考にしてみてください。
フクロモモンガを飼いたい方必見!この動画で全て分かるぞ! / So Cute Sugar Glider !
フクロモモンガの特徴や性格の紹介から始まります。警戒しているときの声なども収録されており、本からでは分からない情報を得ることができます。
また、飼育するときのポイントなども教えてくれますよ。まるで、ペットショップの店員から説明を受けているような感覚で見える動画です。
正しい方法が分かればモモンガの飼育は難しくない
可愛いけれど飼育が難しそう、と思われることの多いモモンガですが、正しい飼い方が分かれば、それほど難しくありません。
大切なポイントは、環境と餌の2つです。どんな環境で育ててあげれば良いのか、また餌は何を与えたら良いのかが分かれば、モモンガの飼育はできます。より飼育を楽しみたいのであれば、どれだけコミュニケーションが取れるか、というところも重要になってきます。
警戒心が強いモモンガは、懐いてくれるまでに時間がかかることがほとんどです。飼い主が安全な存在であることをきちんと示せば、モモンガもそれを理解してくれるでしょう。根気強くコミュニケーションを取っていくことで、飼い主の呼びかけに応じて飛んできてくれるようになるかもしれませんね。