メス犬には生理があると知っていても、突然の出血にびっくりしてしまうこともあるでしょう。犬の生理は、人間とは異なる点があります。そのため、生理中に注意しなければいけないことがあったり、出血が終わっても発情期は終わっていないため、散歩にも気をつけなければならないことがあります。今回は、犬の生理について期間や周期、生理と間違えやすい病気などについてお話します。
目次
犬の生理について
避妊手術をしていないメスの犬には生理があり、一般的に「ヒート」と呼ばれています。犬の生理は人間の生理と同じく病気ではありませんので安心してください。ペットシーツや犬の身体、床やソファなどに血がついて初めて「生理が来た」と知る飼い主さんも多いと思います。事前に犬の生理について知っておくことで、実際に生理が来たときに驚かず対応することができるでしょう。
犬と人間の生理の違い
犬にも人間と同じ生理が訪れますが、生理の仕組みが異なります。人間の生理は排卵後、妊娠に至らなかった場合に子宮内膜が剥がれ落ち出血が起こります。しかし、犬は排卵の前に子宮内膜が充血することで出血し生理が訪れるのです。そのため、妊娠が可能な時期に入ったサインでもあります。
人間には閉経がありますが、犬に閉経はありません。卵巣機能が寿命まで働き続けるので、生涯妊娠出産をすることが可能です。
生後どのくらいから?
犬の生理はいつから始まるの?
避妊前の仔犬を迎えた場合、生理の時期や見分けかたを知っておくと、準備やケアをすることができます。犬の体格や種類によって異なりますが、下記を目安にぜひ参考にしてください。
一般的には生後6〜10ヶ月頃から生理が始まると言われていますが、1年を過ぎてからの場合もあります。超小型犬や小型犬は4ヶ月から始まることもいます。中型犬や大型犬は8〜12ヶ月頃に来ることが多いようです。このように、生理が始まる時期には早かったり遅かったりと個体差があります。
生理の見分けかた
小型犬の場合、出血量が少なく生理出血を自分で舐めてしまっていることもあります。お尻を気にして外陰部(おしっこが出る部分)をよく舐めている場合は確認してみましょう。外陰部がプクッと腫れている状態であれば、生理がきているサインです。通常よりも大きく腫れて驚くこともあると思いますが、病気ではありませんので心配しなくてかまいません。他の症状は、落ち着きがなくなったり乳腺の腫れや頻尿、食欲がなくなったりなどの症状がみられます。食欲が落ちてしまいますが、無理やり食べさせなくても大丈夫です。
生理周期について
犬の生理は一般的に大型犬は年に1〜2回、小型は年に2〜3回の周期で訪れると言われています。しかし、年を重ねることで減ってしまうこともあります。生理周期には個体差がありますが、生理が終わってから6〜10ヶ月後に次の生理がきます。間隔が開いてしまっても、規則正しくきていれば心配ないでしょう。例えば、年に1回しか生理がこないことがあっても、年に1回必ず来ていれば規則正しく生理がきていますので心配ありません。
周期を把握することは健康を守るためにも大切ですので、生理が来た時期をチェックしておきましょう。周期が大幅にずれてしまっている場合や不定期な生理は、人間と同じで体調に何か変化があるときかもしれません。獣医師に相談することをおすすめします。
生理の期間や出血量はどのくらい?
犬の発情期は発情前期、発情期、発情休止期(発情後期)、無発情期の4つに分かれます。生理出血は発情前期から始まり、1〜2週間で出血が終わると言われています。しかし、発情期に入っても生理出血が続くこともいるため、1ヶ月程続くこともあるでしょう。出血量は個体差によりますが、大型犬になるほど多くなる傾向にあります。6〜7歳を越えると周期が乱れ始める傾向にあり、生理はなくなることはありませんが、出血がなくなる場合もあります。
この時期に出す尿には強いフェロモンが含まれているため、オスを引き寄せます。発情前期はオスを許容する段階ではないため、メス犬は興奮しやすい時期です。
しかし、フェロモンによってオス犬が追いかけ回してしまうこともありますので、注意が必要です。
前後5日間が妊娠が可能と言われている期間です。排卵日が近くなると、普段はオス犬に嫌悪感を示しているメス犬も寛容になるなど、変化が見られる時期です。
また、出血がなくなってしまうこともあるため、発情期が終わったと勘違いしてしまうこともあります。妊娠を望まないのであれば、最も注意が必要な時期です。
妊娠を希望する場合、最初の生理では1歳にも満たないことが多く、身体も未熟なためその時期は避けたほうがいいでしょう。仔犬の状態で赤ちゃんを産んでも育児放棄などの恐れもあるため、犬自身が心身ともに成長してからが望ましいです。
通常、哺乳類は妊娠しなかった場合、黄体機能の低下により黄体ホルモン(女性ホルモン)の分泌も止まります。しかし、犬は妊娠していなくても黄体ホルモンの分泌が長期に渡ります。そのため、偽妊娠(想像妊娠)が起こりやすくなるのです。主に、巣を作る行動や、ぬいぐるみを抱えて離さなくなるような行動、乳腺の発達などが見られます。
偽妊娠は自然に終わることが多いですが、母乳が出てくることもあります。母乳を舐めることで乳腺炎になってしまうことも考えられますので、偽妊娠を疑う症状が出たときは獣医師に相談しましょう。
犬の生理が始まったときに注意すること7つ
オス犬との接触に気をつけよう
妊娠を希望しない場合、出血が始まってから1ヶ月程度は去勢していないオス犬は近づけないようにしましょう。多頭飼いをしているのであれば、生理が始まったら隔離することをおすすめします。
生理になったら外で飼っている犬も室内へ
発情期になると行動力がすごく、首輪を抜けて脱走してしまうこともあります。また、生理の臭いは2km四方までわかると言われています。そのため、オス犬が臭いを嗅ぎつけ塀を乗り越えて侵入することもあります。外で飼っている愛犬が生理になったら、その期間は家の中で飼うなど工夫をしましょう。
犬は妊娠しやすいため、生理期間中に散歩をお休みしても、庭のフェンス越しや柵越しで妊娠してしまうこともあります。無計画な妊娠は犬にも飼い主にも負担になってしまいますので、万全な対策を整えることが大切です。
散歩は他の犬が少ない時間に行こう
生理中の臭いは他の犬を興奮させてしまいます。そのため、散歩中に周りの犬に執拗に付きまとわれたり、外陰部を舐められたりする恐れがあります。また、生理中のメス犬は、他の犬を寄せ付けたくない時期もあり、喧嘩につながってしまうことも考えられます。飼い犬だけではなく、周りの犬にもいいことではありませんので、生理中に散歩に行く場合は他の犬がいない時間帯を選びましょう。また、生理中は倦怠感を感じる犬も多いので「散歩に行きたくなさそうだな」と感じたら、無理せずお休みしましょう。
後尾が始まってしまったら無理やり引き離さないで!
オス犬が交尾体勢に入ってしまった場合、オス犬は性器にロックをかけ、人間の力では離せないほどになります。無理に引き離そうとすると、大怪我につながってしまいますので人間の意志で離そうとするのはやめましょう。
生理中は体調を崩しやすいので注意しよう
犬に生理痛はないと言われていますが、体調不良が2週間程続くこともあります。
貧血気味になったり疲れやすくなることもあります。また、ホルモンバランスの影響でイライラすることもあります。イライラしていると感じた場合は、興奮する遊びを控えるようにしましょう。また、食欲がなく嘔吐してしまうこともありますが、少しでも食べられる状態であれば、様子を見てあげてください。生理期間中の下痢や頻尿なども、飼い主が神経質にならずストレスを加えないように安心させてあげることが大切です。
症状がひどい場合や長期的に続くようであれば、獣医師に相談しましょう。
血尿と間違えないように!
生理出血は鮮血ではなく赤黒いのが特徴です。そのため、他の色の出血が見られた場合は血尿も考えられますので、注意しましょう。
- 膀胱炎
- 尿路結石
- 膀胱結石
- 子宮蓄膿症
尿道が短いメス犬は、膀胱炎になりやすいです。
地面に近い位置で排尿するため、細菌が侵入しやすく感染に至ると考えられます。膀胱炎になると外陰部を舐め頻尿になり、さらに血尿も出るので生理と勘違いしてしまうこともあります。しかし、排尿時に痛みで鳴いていたり、尿の色が濃い黄色や赤茶色になっていると生理とは違います。血尿以外にも血の塊が出てくることもありますので、よく観察しましょう。
尿に含まれるミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)が結晶化し、結石になったものを尿路結石と言います。尿路結石になると、血尿が出たり排尿時に痛みが伴うこともあります。また、再発しやすいのも尿路結石の特徴です。
結石が尿路に詰まってしまうと、命の危険性もありますので、疑わしい場合は獣医師に相談しましょう。
膀胱に結石ができると、血尿や頻尿、発熱、尿の色(濃い、濁りなど)、尿の臭いがきつくなるなどの症状が出ます。結石には、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石、尿酸塩結石、シスチン結石、シリカ結石など、さまざまな種類があり原因や治療法も異なります。そのため、生理とは違うと感じたらすぐに獣医師に相談することをおすすめします。
子宮の内膜が腫れ細菌感染することで、子宮内部に膿が溜まってしまう病気を子宮蓄膿症と言います。避妊手術を行なっていなかったり、何年も出産をしていない高齢の犬に起こりやすいと言われていますが、1歳程の若い犬でも発症してしまうこともあります。
初期症状は無症状のことが多いですが、悪化すると外陰部から膿や血の混じった膿が出たり、水をガブ飲みしたり、おしっこの量が多くなったり、外陰部を舐めたり、食欲減退したりなどの症状が出ます。また、子宮内に膿が溜まるため腹部が膨らんで見えたりする場合もあります。子宮蓄膿症は症状が出始めたら進行していることが多いです。最悪の場合は死に至ってしまうこともありますので、症状が出たら早急に動物病院へ行きましょう。
避妊手術のメリットとデメリット
避妊手術を行うことは、発情期のさまざまな問題を回避するために有効な手段です。また、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症のリスクを軽減することができるというように病気を予防するメリットもあると言われています。その反面、避妊手術は全身麻酔で行うため100%安全であると言い切ることができないのが現状です。術後、傷口を舐めてしまうことで炎症や化膿などの合併症を起こしてしまう可能性もあります。手術中に使用する糸に反応し「糸アレルギー」を起こしてしまうことがあります。避妊手術をする際は、メリット・デメリットをしっかりと理解し、納得するまで獣医師と相談し決断しましょう。
避妊手術を行う時期として推奨されている時期は、生後5ヶ月頃と言われていますが、犬の状態や獣医師によっても異なりますので、相談して決めましょう。
犬の生理に使えるおすすめ用品7選!
生理出血が始まったら家の中のさまざまな所に付着してしまうことが考えられますので、オムツやパンツなどで対応してあげましょう。大型犬は出血量も多いためおすすめです。オムツやパンツを好まないこともありますので、様子を見ながら使用しましょう。
オムツ
使い捨てタイプのオムツです。おもらし対策としても使用されていることが多く、ずれにくさや漏れないこと、動きやすさに重視して作られているのが特徴です。
P.oneマナーおむつ ジャンボパック SSサイズ 56枚
生理中の犬にもおもらしをしてしまう高齢犬にも使用のできるオムツです。おしっこをしたら色が変わるおしっこお知らせサインが付いているため、替え時もわかりやすいでしょう。足回りがすっきりした形状なので動きやすさを考えて作られています。SSS〜LLまで展開されているので、愛犬にあったサイズを選ぶことができるでしょう。サイズに迷ったら胴回りのサイズ表を参考にしましょう。
マナーウェア SSサイズ 38枚
花柄の可愛いデザインなので、洋服感覚で着用できます。尻尾のサイズに合わせて調節ができるため、おしっこ漏れを防ぐことができます。柔らかくスリムフィット形状と伸びるフィットギャザー設計なので動き回ることが好きな犬にも安心です。通気性のいいシートで作られているので、蒸れを防止することができるでしょう。SSS〜Lまでのサイズ展開です。
生理用パンツ
洗い替えができるタイプのパンツです。柄やデザインも豊富にあるため、洋服感覚で替える事もできます。好みの生理用パンツを見つけたら、マナーパッドを敷いて履かせてあげましょう。生理用パンツの選ぶポイントは、ずれにくく漏れないことです。整理中でも快適に過ごすことのできるパンツを見つけてあげましょう。
マナーパッド
おしっこや生理出血を吸収し、消臭シートと抗菌ポリマーの力でニオイ対策をすることができます。ずれ防止のため、長めのテープが付いています。また、通気性にも優れているため蒸れずに安心です。生理用パンツに装着し使用しましょう。
WENGSHILIN安心パンツ
100%コットンでできているため、肌にも優しく吸湿性と換気性に優れています。静電気を防止するので、つけていても毛を傷めません。ブルーとレッドの2色あり、マリンボーダーなのでどちらのカラーも可愛く着こなすことができるでしょう。S〜XXLまでのサイズ展開があります。
CuteBoneおむつカバー 3枚セット
3枚セットなので洗い替えに便利です。中はマイクロファイバーを使用しているため肌に優しいのが特徴です。無地のカラーセットと、ポップなカラーの骨柄セットの2種類があります。
PETBABAマナーパンツ 3枚セット
中型犬から大型犬向けの生理用パンツです。ソフトコットン素材なので通気性に優れ、生地が柔らかく肌に優しいのが魅力的です。伸縮性もありますので、活発な犬の動きにも対応することができま
す。マジックテープで着脱がしやすくずれにくいため、漏れの心配がありません。
オムツはこまめに取り替えよう
オムツを長時間つけていると不衛生ですし、蒸れてかぶれてしまうこともあります。膀胱炎や皮膚炎、オムツかぶれに繋がってしまう事もありますのでこまめに変えてあげましょう。
犬の生理が始まったらストレスをかけないようにしよう
犬には痛みを伴う生理痛はありませんが、精神的な面での変化はあります。いつも元気な愛犬が、怠そうにしていたら心配になると思います。しかし、神経質にならず「うちの愛犬にも生理が来たんだな」ぐらいの気持ちで接しましょう。飼い主が気にしすぎてしまうと、犬もストレスを感じやすくなります。無理強いせずゆったりと過ごせる環境を整えてあげましょう。犬の生理を知ることで、焦らずに適切な対処ができるでしょう。