犬の歯石除去はどうしてる?自宅でできるグッズを使った方法とプロに頼む場合の費用

犬 歯石

愛犬の歯磨きaをこまめにしていますか?愛犬の口の臭いが気になるようなことがあったら歯石がついているかもしれません。犬の歯に歯石がついてしまったらどうしたらいいのでしょうか。歯石を自宅で除去するときに使用するグッズと使い方などを解説していきます。

歯垢と歯石の違い

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歯の汚れについて「歯垢」や「歯石」という単語を聞くことがありますが、これらはどのようものなのでしょうか。愛犬の歯の健康を守るためには、まずこの違いを理解しておきましょう。

歯垢とはどんなもの?

歯についた食べ物のカスを歯垢だと思っている人が多いのですが、歯垢とは口の中の細菌のかたまりのことをいいます。口内の細菌は、食べ物から摂取された糖分を栄養にして増殖して、唾液で歯に付着します。犬の場合、これが3~5日程度で歯石になっていきます。

歯石とはどんなもの?

歯に付着した歯垢をそのままにしておくと、唾液の中に含まれているミネラル物質と一緒に硬くなり、やがて歯石になります。

歯の表面にザラザラしたものが付着していたらそれが歯石です。歯石は一度付着してしまうと、その表面にさらに歯石が付くので、歯磨きだけでは落とすことができなくなります。

犬の歯石を除去したほうがいい理由

なぜ歯石はたまるの?

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前述したように、歯石というと食べ物のカスが歯に付着して固まったものと勘違いされている人が多いのですが、細菌に食べ物のカスが付いて固くなりできるものです。歯石は見た目が黄色っぽく、リン酸カルシウムが80%、食べ物のカスと水分はそれぞれ10%ずつでできています。

MEMO
歯石がたまるのは、食事をしたあとに歯磨きをしないためです。毎回歯磨きをするのは大変ですので、食事のあとに水を飲ませることで食べ物のカスが口内にとどまるのを防ぐことができます。

歯石をとらないと歯周病になる

歯石は口内の細菌に食べ物のカスが付着して固くなったものだと解説しましたが、この歯石をそのままにしておくと歯石に細菌が付着して歯肉が炎症を起こす恐れがあります。

ひどくなると最終的に歯周病などの病気になることがあります。歯周病になると、口臭がしたり歯肉からの出血が見られる場合があります。
犬が食事を摂るのを嫌がったり、口を気にしてこするなどの様子がみられたら歯周病にかかっているかもしれません。

歯周病は悪化すると歯茎が膿んでしまうなど重症になる恐れがあり、ひどくなると下顎の歯を支えている骨が溶けてしまい、下顎が骨折することもあります。

注意
歯周病の細菌が身体の中に入り、内臓の病気になるリスクがありますので、歯石がついたら早めに除去するようにしましょう。

犬が虫歯になりにくい理由3つ

犬の口内がアルカリ性だから

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犬の歯は虫歯になりにくいといわれていますが、その理由のひとつに人間と犬の口内環境の差であるpHの違いが挙げられます。

MEMO
pHとは物質の酸性・アルカリ性の度合いを示す数値です。人間の口の中のpHは6.5~7.0で弱酸性で、犬の口の中のpHは8.5~9.0でアルカリ性です。

虫歯ができるメカニズムは、酸性の環境の中で虫歯菌が代謝し、糖から酸ができてその酸が歯の表面を溶かしてしまうものです。このように虫歯ができやすいのは酸性の環境なのですが、人間の口の中は弱酸性なので虫歯菌が糖を作りやすい環境といえます。

一方で、犬の口の中はアルカリ性なので、口の中で虫歯菌が繁殖しにくい環境なのです。

犬の唾液には虫歯のもとになる酵素が含まれていない

人間の口の中は弱酸性で虫歯になりやすい環境であるとともに、唾液の中に炭水化物を糖に分解する消化酵素である「アミラーゼ」が含まれています。これが虫歯の原因になるのですが、犬の口の中にはこの分解酵素が存在しません。

虫歯にならないようにするには、口の中にできるだけ糖を残さないようにすることが重要となります。

歯の形状の違い

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次に、犬が虫歯になりにくい要素として「歯の形状」があります。人間の歯はさまざまな形をしていて、特に奥歯は臼の形をしている「臼歯」と呼ばれています。臼歯は歯の表面に溝があるため食べ物のカスが溜まりやすい形をしています。

一方、犬の歯は溝がほとんどなく薄く尖った形をしているので食べ物が付着しにくく虫歯菌が溜まりにくいのです。このように、犬は人間と違った歯の形状をしているので虫歯になりにくいのです。

自宅でできるグッズを使った犬の歯石の取り方

スプレー

歯周病を予防するためには犬の歯に歯石をつけないことが重要となります。しかし、気づかないうちに歯石ができてしまっていた場合、市販されている歯石除去グッズを使って歯石を取りましょう。

手軽にできるものとして、歯石予防と除去ができるスプレーがあります。これは、犬の歯に毎日スプレーするだけで予防と除去ができるものです。

もし犬がスプレーされるのを嫌がったら、お気に入りのおもちゃにスプレーしましょう。おもちゃを噛んで遊ぶときに、そのスプレーが口の中に入り、効果が期待できます。スプレーのニオイで警戒しておもちゃで遊ばなくなってしまう場合は、ガーゼにスプレーして歯を拭いてあげるようにしましょう。

歯石除去スプレーはすぐに効果がで出るものではなく、毎日繰り返し使うことで徐々に歯石が除去されていくものです。個体差がありますが3~4ヶ月ほどで効果が出てきます。

スプレータイプの歯石除去グッズは、器具を使わないので犬の口の中を傷つけるものではないのがメリットです。しかし、ニオイがきついものもあるので使用する際は注意が必要です。

スケーラーを使った歯石の取り方

歯石の除去方法に、スケーラーという器具を使用した方法があります。これは、人間の歯科医院で使っているものと同じような形状で、金属でできた先が少し曲がったものです。

スケーラーは市販されていますが、先端が尖っていますので慣れていない人が使うと犬の口の中を傷つけてしまう恐れがあります。また、犬が怖がって暴れることもありますので使用を考えている場合は獣医師に相談してください。

そして使う時は1人でなく、2人で行うといいでしょう。1人が犬の頭を抑えてもう1人がスケーラーで歯石を取るようにするとスムーズに行えます。

ジェル

犬の歯石取りには手軽に使えるジェルタイプもあります。このジェルタイプは、犬の歯の表面につけて、エナメル質をなめらかにして歯石を浮かすものです。そして、の細菌を除去して口臭予防も期待できます。

ジェルは手軽に使えますが、犬が慣れていないと嫌がることが多いので、まずは口の中に歯ブラシを入れることに慣れさせて、徐々にジェルをつけた歯ブラシを使えるようにしていきましょう。

歯石取りペンチ

歯石除去用のペンチがあり、これはスケーラーのように歯石を削って取り除くものではなく挟んで落とします。歯石取りペンチは先が尖ったスケーラーのように口の中を傷つける危険がありません。

歯石取りペンチで挟んで削ぎ落としてから取り切れなかった歯石をスケーラーで取るといいでしょう。しかし、口の中を触らわれるのが嫌で暴れる犬もいるので注意が必要です。

プロに歯石除去を頼んだら費用はどのくらい?

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犬の歯石を取るのは簡単なことではありません。慣れていない人が歯石を取ろうとしたら犬の口の中を傷つけてしまう恐れがあるので、プロに歯石取りを任せるほうが安心です。

トリミングサロンで歯石取りしたときの料金

トリミングサロンに歯石取りを頼むことができますが、トリマーさんにお願いするときは麻酔を使うことができないので「麻酔なし」の歯石除去になります。

犬によっては口の中を触られるのが嫌いで暴れる子がいますが、その場合は断られる場合があります。

トリミングサロンに頼むときの費用はだいたい1,000~3,000円程度です。

動物病院で歯石除去したときの料金相場

歯石除去は動物病院に頼むこともできます。動物病院では「麻酔あり」と「麻酔なし」を選ぶことができます。

それによって費用が異なりますが、麻酔なしの倍は3,000~10,000円程度、麻酔ありの場合は、麻酔の費用や血液検査やレントゲン検査などの費用を含めて2~5万円程度が目安です。

麻酔と無麻酔の違いを理解する

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歯石除去のときには、麻酔ありとなしが選べます。歯石を取るときに麻酔を使うかどうかは獣医師とよく相談して納得して選ぶといいでしょう。

小動物歯科研究会は「無麻酔での歯石取りの危険性」を指摘しています。

■参照:「小動物歯科研究会」

無麻酔で歯石除去をすることのデメリット

歯石が取りきれない

歯石の除去は麻酔をしていたとしても、難しく大変なことです。麻酔をしていない状態では犬が動かないように抑えながら歯石取りを行うため、完璧な処置をすることができません。しっかり歯石を取るためには麻酔が必要です。

押さえつけられる犬へのストレス

多くの動物は口の中に手を入れられるのを嫌がりますが、犬も同じです。

歯石を取り除くために麻酔をしない状態では犬を無理やり抑えて処置しなければなりません。犬も病院側もケガのリスクがあることと、嫌がることをされたことで犬が病院嫌いになることがあります。

誤嚥性肺炎の可能性

歯石には細菌が多く付着していますが、その菌を含んだ汚れた水を飲み込んでしまうことで体調を崩す恐れがあります。

また、汚れた水が気管に入ってしまい肺炎を引き起こすこともあるので、歯石取りには麻酔を使ったほうがいいと考えられます。

日頃の歯磨きで愛犬の歯石を予防しよう

犬の歯の健康を守るためには子犬からの歯磨きの習慣づけが重要です。犬は口内環境や歯の形状から虫歯になりにくい歯をしていますが、歯磨きをしなくていいわけではありません。

犬の口の中はミネラルが多いアルカリ性なので、歯石が付きやすい環境なのです。歯磨きをしないで歯垢をそのままにしておくと、約3~5日程度で歯石になってしまうといわれています。

歯石がついてしまうと、さまざまな病気を引き起こす恐れがありますので、犬の健康維持のためにも普段から歯磨きをすることが大切なのです。