こうもんしぼりは犬や猫に必要?コツを掴んでお尻トラブルから守ろう!

犬や猫にこうもんしぼりは必要?コツを掴んでお尻トラブルから守ろう!

愛犬・愛猫にこうもんしぼりをしたことはありますか?こんもんしぼりは少し難しいお手入れですが、肛門腺に分泌液が溜まってしまうため絞ってあげなければいけません。なぜ、肛門腺に分泌液が溜まるとよくないのでしょうか?こうもんしぼりを知ることで、愛犬・愛猫のお尻を清潔に保ち健康維持にもつながります。今回は、こうもんしぼりの方法や病気などについてお話します。

犬と猫のこうもんしぼりとは?

犬や猫にこうもんしぼりは必要?コツを掴んでお尻トラブルから守ろう!

犬や猫には肛門腺から分泌される液体があります。それを噴射することで外敵から身を守ったり、コミュニケーションとして使われていました。しかし、人間と生活を共にするようになってからは、守られる立場になったため肛門腺から液を分泌する機会がなくなりはじめました。

そのため、肛門腺周りの筋肉が弱まったことで、分泌液を排出しづらくなった言われています。中型犬〜大型犬は、驚いたときや排便をするときなどと一緒に出ることもありますが、肥満犬や小型犬・高齢犬は自力での排出は難しくなります。

さらに、肛門腺に分泌液をそのままにしておくと病気になってしまうこともありますので、排出させるためにこうもんしぼりが必要になってきます。お手入れの中でも、慣れるまで少し難しいこうもんしぼりについて下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

肛門腺

肛門腺とは、臭腺から出るくさい臭いのする分泌液のことです。分泌液は肛門嚢(におい袋)にたまり、臭いはそれぞれ異なります。犬がお尻の臭いを嗅ぎ合っているのを見たことはありませんか?それは、お互い臭いを嗅ぎ合うことで情報交換をしているためだったのです。

また、肛門腺には性格や縄張りなどたくさんの情報が入っていると言われています。そのため、気の弱い犬はお尻の臭いを嗅がれないように尻尾を下げていることもあります。

こうもんしぼりをする前の注意点

こうもんしぼりは定期的にした方がいいお手入れですが、間違った方法で行なってしまうと傷つけてしまう恐れがあります。注意点を知っておくことで適切な処置ができますので、覚えておくといいでしょう。

こうもんしぼりは臭いがきつい

肛門腺から分泌されるものは主に脂質です。他にもインドールや酪酸、スカトールなどの成分が含まれているため悪臭を放ちます。

臭いが異なる原因は餌の種類など、食生活の影響が多いです。おやつ、人間の食べ物、添加物が多い餌などを食べている場合は、ドロドロとした分泌液がたまりやすいです。高齢犬など脂質代謝が落ちている犬も、粘土状の分泌液が出やすい傾向にあります。

分泌液はとてもくさく、勢いよく飛び散る可能性もあります。そのため、ゴム手袋などを着用し、汚れてもいい服で行ないましょう。また、すぐに洗い流せるようにお風呂場などで行なうことをおすすめしますが、ティッシュで肛門をしっかり抑えて行ないましょう。犬や猫の状態に合った方法を選んであげくださいね。

無理やり絞らない

爪を立てたり強く押しすぎてしまうと痛がり、皮膚や肛門が赤くなってしまいます。力で押し出そうとせず、正しい位置を把握しゆっくり絞りましょう。また、こうもんしぼりは犬や猫が立ったままの状態で行ないます。

繰り返し行うのは控えよう

肛門腺の手入れをするときには、手早く丁寧に行ないましょう。嫌がってしまっていたり、何度も繰り返すと肛門周りが炎症を起こしてしまうこともあります。うまく行なうことができないときは、日を改めるか獣医師にお願いしましょう。

こうもんしぼりのやり方とポイント

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こうもんしぼりをするときは尻尾を真上に伸ばしておくと、肛門腺がよく見えしぼりやすくなります。尻尾を持たれることを嫌がったり気にしてしまう場合は、二人で行なうことをおすすめします。肛門腺の場所は肛門の上にある尻尾を12時としたときに、4時と8時の2ヶ所に肛門嚢があります。

  1. 尻尾を持ち上げ肛門腺の場所を確認する(肛門の形が縦に伸びるように持ち上げる)
  2. 親指と人差し指を4時と8時の位置に置く(膨らみを確認)
  3. 肛門より指一本分奥を指で挟む
  4. 軽く揉む(分泌液が出やすくなる)
  5. 指で肛門腺部分を肛門に向かって優しく下から袋を押し上げる
  6. 絞り終わったらお尻を洗うかウェットティッシュできれいに拭き取る(拭き残しがあると痒がることもある)

コリコリしていたらまだ残っていますが、肛門が柔らかくなっていたら絞りきったサインです。こうもんしぼりは慣れるまで難しいと感じる人もいると思います。

定期的にトリミングを行なっている場合は、サロンでこうもんしぼりを行なってくれますのでお願いしましょう。自信がない人は無理をせず動物病院に行き、獣医師にやり方を教わるのも方法のひとつです。

こうもんしぼりの頻度はどのくらい?

犬や猫によって個体差はありますが、定期的に行なうといいでしょう。2週間から月に1回程度が理想的です。

こうもんしぼりのサイン

お尻を床にすりつけたり、自分の尻尾を追いかけたり、肛門を舐めていたり、排便時に痛がったりしぶっていたりする行動が見られます。その場合は、肛門腺に分泌液が溜まっている可能性がありますので、チェックしてあげましょう。

こうもんしぼりの色や量の違い

こうもんしぼりをした際の色や量は個体によって異なります。分泌液が溜まっていれば量も多く、溜まっていなければ少量です。

定期的にこうもんしぼりをしていないのに分泌液が出ないときは排泄のときに一緒に出ていることもあります。状態もどろっとしたものからサラサラしたものまでさまざまです。

注意しなければいけないのは、分泌液の色です。絞って出た色が茶色や灰色なら正常ですが、鮮やかな赤や緑色の場合は炎症や膿んでいる可能性も考えられますので、早めに受診しましょう。

こうもんしぼりをしないとどうなるの?

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自力でこうもんしぼりができないため、放置しておくと病気のリスクを増しています。こうもんしぼりをしなかった場合、どのような病気になってしまうのでしょうか。下記にまとめました。

肛門腺炎(肛門嚢炎)

肛門腺の排出が困難になり、肛門嚢が細菌感染を起こします。肛門腺炎の症状は、肛門腺の分泌液が黄色っぽく血が混じっていたり、膿状になっている場合は悪臭を放ちます。

肛門腺に不快感があるため、お尻を床に擦り付けたり肛門を舐めたり噛んだりが激しくなります。そのため、肛門周りが炎症し皮膚炎を起こしてしまうこともあります。

また、排便時に痛がり鳴き声をあげることもありますので、症状に気づいたら早めに受診しましょう。

肛門腺炎の治療方法は、抗生物質の内服薬や1〜2週間毎にこうもんしぼりを繰り返し行い肛門嚢の中の洗浄を行ないます。

肛門嚢破裂

肛門腺炎(肛門嚢炎)が悪化した状態です。発熱を起こし肛門嚢が見てわかるほど大きく膨らみます。膨らんだ皮膚は赤くなり、さらに赤紫色から濃い紫色へと変化します。

腫れ上がり色が変化した部分の皮膚が破れて穴が空き、血が分泌液とともに流れ出てしまうのが肛門嚢破裂です。

肛門周辺の病気で最も多いとされているのが肛門嚢破裂です。特に、猫や小中型犬に多くチワワ、トイプードル、シーズー、ミニチュアダックスに見られます。

肛門嚢破裂の治療方法は、症状の程度により異なりますが、肛門嚢を生理食塩水で洗浄し、化膿止めの投与など炎症を防ぐ処置を行ないます。1〜2週間ほどで治ることが多いですが、比較的再発も多いです。

そのため、定期的なこうもんしぼりが大切になってきます。再発しやすい状態のときは校門嚢を摘出する手術を行なう場合もあります。

肛門嚢腺癌

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肛門嚢腺癌は、病気の中でも深刻と言われている病気のひとつです。肛門嚢にあるアポクリン汗腺が悪性化してしまい、腫瘍に変化してしまったものを肛門嚢腺癌と言います。発症年齢は10歳以上と高い傾向にありますが、転移も早いのが特徴です。

肛門嚢腺癌は、こうもんしぼりを行なわないことが原因で起こる病気ではありません。しかし、肛門腺に分泌液が溜まっているときのサイン(お尻を床に擦り付ける、肛門付近を舐める・噛む)や肛門嚢破裂のような症状(出血、排便時に痛がる、肛門付近の腫れ)があります。

早期発見が生存率を高めるため、お尻のチェックは日常的に行ないましょう。いつもと違うなと感じた場合は、早めに受診しましょう。

こうもんしぼりはペットによって差がある?

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こうもんしぼりは、大きさや種類によってやり方などは異なるのでしょうか?飼っているペットのこうもんしぼりをしたことがない人は不安になると思います。

小型犬は肛門線がたまりやすい

トイプードル・チワワ・パピヨン・ポメラニアンなど、小型犬は自力でこうもんしぼりができないため、飼い主が定期的に行なってあげましょう。そうすることで肛門周りの病気のリスクは軽減できます。

中・大型犬は肛門線が硬い

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中・大型犬(コーギーや柴犬など)は、肛門腺が硬く分泌液が出ないときがありまが、排便時に一緒に出てしまうことも多いです。しかし、お尻を床に擦り付けていたり気になっているような仕草をしたときは、肛門腺が詰まっている可能性もあります。その場合は、硬い肛門腺を無理に絞らず動物病院にお願いするといいでしょう。

猫のこうもんしぼりは動物病院がおすすめ

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猫は肛門を触られるのを嫌います。そのため、こうもんしぼりを行なおうとすると強く抵抗する猫が多いでしょう。その場合は、お互い怪我をしてしまうことも考えられますので獣医師に相談しましょう。

また、猫は一度嫌な思いをすると忘れないため、二度とお尻を触らせてくれなくなることもあります。さまざまなデメリットがありますので、猫のこうもんしぼりは動物病院が安全でしょう。

こうもんしぼりの料金は高い?

こうもんしぼりの料金は場所によってさまざまです。また、トリミングと一緒にこうもんしぼりをお願いした場合も、爪切りや耳掃除などと一緒にこうもんしぼりをしてくれることもあるそうです。

自分でこうもんしぼりができない場合や、しっかり絞れているか不安なときなど、かかりつけの動物病院やトリマーさんに相談してみるといいでしょう。

こうもんしぼりの金額に関しては種類によって異なることもありますので、問い合わせしてみることをおすすめします。

こうもんしぼりをしてお尻トラブルから回避!

こうもんしぼりは健康のために行なった方がいいお手入れです。しかし、苦手だったり、うまくできない場合は無理に自宅で行う必要はありません。

間違った方法で繰り返していると逆に傷つけてしまうこともあるからです。そのため、ベストな方法を選び肛門腺のお手入れをしてあげましょう。