出かけていた猫が帰ってくると顔のあちこちにすり傷ができていた、そんな経験はありませんか?猫は運動神経のよい動物ではありますが、猫同士のケンカや事故でケガをする場合があります。ここでは、猫のすり傷の処置方法や部位ごとの対処法を詳しく紹介します。
目次
猫の皮膚は薄い
元気いっぱいに走り回る猫ですが、実は皮膚が薄くなっています。そのため、爪で引っ掛かれると簡単にスパッと切れてしまうことがあります。「どうしてこんな傷が多いの?」と思うかもしれませんが、猫の皮膚の性質にも関係があったのです。
猫が擦り傷をつくる原因
猫はもともと運動神経がいい動物であるため、家の中で怪我をすることはほとんどありません。猫が傷を作ってくる場所は外です。では、運動神経のいい猫がどうしてすり傷を作るのか、原因を見ていきましょう。
猫同士のケンカ
猫のすり傷ができる原因として多いのは、猫同士のケンカです。ケンカをする理由として、次の2つが挙げられます。
- 縄張り争い
- メス猫の奪い合い
猫は自分の縄張りを荒らされるのを極端に嫌う動物です。しかし、オス猫は他の猫の縄張りに侵入し、力比べで縄張りを奪おうとすることがよくあります。そのため、他の猫とケンカをするたびに傷を作ってしまうのです。
発情期のオス猫は、メス猫をライバル猫から勝ち取ろうとして奪い合いを始めます。特に、発情期ホルモンの関係で他のオス猫に対する攻撃性が増すので、本能がケンカへと駆り立てます。
外での事故
外での事故は、交通事故がほとんどです。猫と一緒にいる時なら、すぐに病院へ連れていくことができますが、飼い主の知らないところで事故にあったときが怖いですよね。
残念ながらそのまま亡くなってしまう場合もありますが、出かけていて帰ってきた猫が身体中が傷だらけであったり、打撲のような跡がある状態であれば、車に轢かれた可能性があります。その場合は、必ずすぐに動物病院へ連れていくようにしてください。
猫の傷の特徴
猫の傷には次のような特徴があります。
- 傷ができる場所は、顔やお尻あたりが多い
- 傷ができたばかりは気付かないレベルでも、数日経って腫れることがある
- 膿がこもりやすいため、元気がなくなったり食欲不振で発熱や嘔吐を起こす時がある
- 膿がこもってどんどん膨れ、破裂した後に膿が外に出る
猫の爪や口には、さまざまな種類のばい菌が住んでいます。そのため、傷ができた状態で放っておくと、そこから感染し腫れてくることが多いでしょう。
なぜ顔やお尻に傷が多いの?
猫の顔とお尻、どちらに傷が多いかは猫の性格にもよります。強い猫は、ケンカをした時でも相手から逃げず向き合うので、顔付近に傷が多くできるのです。反対に、弱い猫は相手の猫から逃げ回るので、後ろから引っ掛かれるためお尻付近に傷が多くなります。
病院に連れていく目安は「膿」
猫はケンカした当日の傷は、軽くそこまで分からないほどです。しかし、数日経つと膿がこもって、腫れたり発熱したりします。膿が身体にこもってしまうと、身体全体をばい菌がめぐるため、急に具合が悪くなります。
そのままの状態で様子を見ると、膿が破れます。
その際に悪臭を放つため、飼い主も気づくことができるでしょう。膿が外に出ると一時的に具合が良くなることがありますが、またその膿が溜まって破れるということを繰り返してしまうので、膿の傷を見つけたら病院に連れていくようにしてください。
部位ごとの猫のすり傷について
鼻の擦り傷
猫は顔に傷を負いやすいと説明しましたが、特に鼻や耳は毛が少ない部分なので目立ちやすくなります。正面から相手猫に向かっていて受けた傷、ということです。
傷の程度にもよりますが、健康な猫の場合ちょっとしたすり傷であれば、数日程度で直っていきます。しかし、思ったより傷が深い場合には化膿し、悪化することも考えられます。その際には消毒をし、抗生物質での治療が必要となることがあるので、病院を受診するようにしましょう。
肉球の擦り傷
猫の靴代わりでもあるプニプニした肉球にすり傷がある場合は、出血があるかどうかを確認し、血が出ている場合には血管まで達する傷かどうかを確認しましょう。そして、出血している場所を探し、何か刺さっていないか確認します。
何もなければ、出血している場所をガーゼなどで強く押さえてください。これで出血が止まるのであれば大丈夫です。しかし、出血点から血がドクドク出ているようなら、早めに病院へ連れていき処置してあげましょう。
足の擦り傷
猫が足にすり傷を作った場合は、まず出血しているかどうか確認しましょう。猫の毛に血がついているかどうかで判断することもできます。出血していた場合には、出血している場所を探して止血します。
猫の擦り傷の処置の仕方
では、猫はすり傷を作った時の応急処置の方法を見ていきましょう。
猫が落ち着くのを待つ
ケンカをしたばかりの猫はとても興奮しているため、手当てをしようとする飼い主さんも攻撃する可能性があります。まずは、猫が落ち着くのを待ちましょう。傷が心配だからと、無理に抑えつけるようにしては、余計に猫を刺激することとなり、さらに反抗するので注意しましょう。
出血個所を見つける
猫が落ち着いたら、傷口から出血している場所を探します。毛でおおわれているので、分かりにくい場合にはかき分けながら探してください。
傷口を洗う
出血個所を見つけたら、傷口をぬるま湯で洗い流すなどケアしましょう。洗い流せない場合には、ぬるま湯で湿らせたガーゼや脱脂綿で優しく拭いてもかまいません。ペット用の消毒液があるなら、それを使って傷口を消毒してください。
止血する
出血がひどくない場合には、傷口にガーゼをあてて止血してください。血が止まったら、再度傷口が開かないように包帯を巻いてください。包帯を巻く時は、猫がとってしまわないようにきつめに巻くようにしましょう。
動物病院に連れていく
猫が興奮したり、触られるのを嫌がって応急処置ができない場合や出血がひどい場合、猫がぐったりしている場合には、すぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。診察の際には、猫がケガをした状況、応急処置で行なったことを詳しく伝えてください。
動物病院での処置
ちょっとしたかすり傷、すり傷であれば、消毒をしてケアをします。必要ならば、抗生物質も処方されます。
しかし、すり傷から膿がでているような場合には、一般的に手術で切り取り縫い合わせる処置を取るでしょう。手術をする方が早く治りますが、猫の状態によっては麻酔ができない場合もあります。
その場合には、傷を修復するゼリーや包帯を使用して様子を見ましょう。完治まではかなり時間がかかりますし、飼い主さんのこまめなケアも必要となります。処置方法はケガの程度によって変わってきますので、獣医師の相談しながら治療を行なってください。
もしかして癌?猫の鼻にできる傷を注意深く観察しよう
猫ができる傷の多くは、ケンカした時にできるものですが、場合によってが腫瘍(がん)が疑われることもあります。猫の鼻や鼻の周囲に傷のようなものができ、いつまで経っても治らずにさらに悪化していくようなら、皮膚にできる悪性腫瘍(がん)の可能性があります。
もし、鼻の傷がなかなか治らず悪化していくようなら、すぐに病院で診察を受けるようにしてくださいね。
猫のすり傷に人間用の薬は使用しない
猫のすり傷に、人間用の薬を使用した経験がある方もいるかもしれません。しかし、人間用の薬はあくまで人間に合わせて作られているため、猫に効くとは限りませんし、傷の状態をさらに悪化させる可能性もあります。
猫用の傷薬も販売されているので、そちらを購入して使用するようにしてください。
改善しないようなら迷わず動物病院へ行こう
愛猫の傷となると、ちょっとしたものでも心配になりますよね。すぐに手当てしないと、病院へ行かないとと思いますが、ちょっとしたすり傷なら自分で治す力も持っています。心配な場合には、ケガが治るまで自宅で過ごすなど近くで見守ってあげてくださいね。