犬が吐く原因は胃が関係している?緊急事態になる前にしっかり対処しよう

犬 吐く

愛犬がいきなり吐いたとき、驚いて心配になる飼い主は多いでしょう。犬が吐く原因は様々です。心配がいらない吐き方と、すぐに動物病院へ連れて行くべき吐き方には違いがあります。今回は、犬が吐く原因と自宅でできるケア、病院に連れて行くときの見極め方について解説します。

犬が吐くときの原因は様々

犬はよく吐くことのある動物です。原因は、口と胃が近いことにあります。健康な時でも吐き出しやすいため、吐いたからと言って心配する必要はない場合が多いのです。

しかし、ときには重大な病気のサインであることもあります。普段とは違う異変にすぐ気が付けるように、吐き出したものの状態やその前後の体調を観察しましょう。

犬が吐いた物の色は?

犬が吐いた物のから、吐いた理由を予測しましょう。

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白色

白色の液体は、胃液である可能性が高いです。こちらは、胃酸過多や胃液の逆流によって起こります。胃液が過剰に分泌される主な原因は、空腹です。寝起きに白色の液体を吐くようであれば、寝ている間にお腹が空き過ぎてしまっているため、寝る前に少しだけ食事を与えてから寝かせてあげましょう。

また、胃が空っぽのときに激しい運動をすると、胃液の逆流が起こりやすくなります。日課である散歩の途中や直後に白色の液体を吐くようであれば、散歩前に食事を与えてあげましょう。

黄色

黄色い嘔吐物は、逆流性胃炎(胆汁嘔吐症候群)のサインです。こちらは、胃腸の動きや消化の悪さが原因で起こっています。

食事の内容を消化に良いものにして、食事回数を寝る前に1回増やしてみましょう。3日ほど続けると多くの場合は改善します。胃の動きを改善する薬を飲ませるのも対策のひとつです。

緑色

緑色の嘔吐物は、黄色いときと同じ原因で胆汁の逆流によるものです。同様の対策をして改善を目指しましょう。

赤色

薄い赤色の液体は、少量の血が混ざった状態です。食道の炎症が起こっている可能性があるので、吐く回数や頻度の様子を見て、病院へ連れていきましょう。

濃い赤色の液体は、胃にできた潰瘍や腫瘍から出血している可能性が高いです。急いで動物病院へ連れて行き獣医師の診察を受けましょう。

黒茶色

身体を震わせて苦しみながら、黒茶色悪臭を放つ液体を吐いた場合は、命に係わる危険な状態です。胃の粘膜から出血し、時間が経って酸化している可能性があります。すぐに動物病院へ駆け込みましょう。

犬が吐く前後の状況は?

犬が吐く前後にとった行動や様子から、吐いた原因を予測しましょう。

吐いた後に元気でピンピンしているのと、元気がなくぐったりしていたり、苦しんでいるのとでは、大きな違いがあります。

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草を食べて吐く

犬は、調子が悪い時に吐いて、コンディションを取り戻していることがあります。食べ過ぎや胸やけによって胃酸が多くなっているときによくあるのは、草を胃のなかに取り入れて、胃酸と一緒に吐き出すという行動です。

吐く前に草を食べているときは、意識的に行なった行動だと考えて、特に心配する必要はありません。

ただし、複数回繰り返しているようであれば、別の理由が隠れている可能性があるので、回数に注意しましょう。

吐き出したものを食べる

犬は、食べた物をすぐに吐き出し、それを再び食べることがあります。一見不安になる行動ですが、特に問題はありません。早食いで一気に飲み込んでしまったものの、消化しきれなかったために一旦吐き出し、もう一度食べ直していると考えましょう。

また、親犬が子犬の離乳食をつくるために、食べた物を柔らかくして吐き出すこともあります。

水をガブガブ飲んで吐く

水をあわてて一気に飲み、そのはずみで吐き出すことがあります。吐いた前後が元気で、嘔吐物に血が混ざったりしていなければ、特に気に留める必要はありません。

ただし、水を飲んで吐く行為を何度も繰り返している場合は、急性胃炎の可能性があります。吐いた後に苦しんでいたり、嘔吐物に血が混ざっていたりするようであれば、すぐに病院へ連れて行きましょう。

食べ過ぎて吐く

犬は、与えられた食事の分だけ食べてしまう動物です。元気にたくさん食べた後に吐いている場合は、食べ過ぎが原因で苦しくなり、吐き出していることが考えられます。

吐いた後に、すっきりした様子で元気になっていたら、そのままで大丈夫です。以降は与える食事の量を少なめに調整して、適切な量を与えてあげることが肝心です。

乗り物に酔って吐く

人間と同じように、犬も乗り物酔いをすることがあります。車での移動中や、移動直後の嘔吐は、乗り物酔いによるものだと考えてよいでしょう。

対策として、車の運転は揺れをできるだけ抑えるように気を付けたり、こまめに休憩を挟んだりして、愛犬の体調を気遣ってあげましょう。

愛犬が車に乗ることを嫌がったり、吠えたりしているようであれば、車酔いがトラウマになっている可能性があります。無理に車に乗せるのは、愛犬にとって大きな負担となるため注意が必要です。

新しい食べ物が合わずに吐く

愛犬が新しいドッグフードを食べて吐き出しているときは、2つの可能性があります。

ひとつは、食べ慣れない味にびっくりして吐き出しているパターンです。食べた直後に吐く場合は、こちらの可能性が高いです。食べ慣れたドッグフードと混ぜながら、少しずつ切り替えてあげましょう。そうすることで、吐かずに食べられるようになることが多いですよ。

もうひとつは、アレルギー反応を起こして嘔吐しているパターンです。アレルギーの症状として、身体のかゆみやフケ、脱毛、湿疹、下痢などを併発することがあります。「アレルギーかな?」と思ったら、最近始めたドッグフードを一旦やめて、獣医師に相談するとよいでしょう。

また、与えているドッグフードの原産国や原材料にはチェックが必要です。添加物が多かったり、品質の低さによって吐き気をもよおしている可能性もゼロではありませんよ。

震えながら吐いているときの原因は?

犬が吐く前後に震えているときは、恐ろしい病気が隠れていることがあります。命に関わることも少なくないため、慎重に判断して、必要な時はすぐに病院へ連れて行きましょう。

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ストレスによるもの

犬に大きなストレスがかかったとき、「震える」や「吐く」といった症状が現れることがあります。

ストレスの要因に心当たりがある場合は、要因を早く取り除き、安心できる場所や時間をつくってあげましょう。長引くと、愛犬が心の病気になってしまうかもしれません。

食中毒によるもの

人間にとって無害な食べ物であっても、犬の身体にとっては毒となる食べ物があるのを知っていますか?

食べた量や犬の体質によっては、食中毒を起こして「吐く」「震える」「下痢をする」「意識がもうろうとする」などの症状が現れます。最悪の場合はに至ることもあり、とても危険です。

食品によって、症状が出るまでのタイムラグがあります。誤って以下のものを食べさせてしまったときは、自分で判断せずに急いで動物病院へ電話しましょう。

    犬に与えてはいけない食べ物

  • チョコレート
  • たまねぎ
  • ナッツ
  • アボカド
  • レーズン
  • キシリトール
  • アルコール など

また、散歩中の拾い食い食中毒の原因となります。飼い主が十分に注意してあげることで、未然に防いであげましょう。

食べ物以外でも中毒症状を起こすことがあります。身体に害のあるものを、犬の手の届くところに配置しないよう注意しましょう。

    犬の手の届くところに置いてはいけない物

  • 殺虫剤
  • 農薬
  • 除草剤
  • 医薬品 など

消化器系の病気によるもの

後天性の消化器系の病気は、肥満早食い誤飲などによって誘発されます。食事でできる体調管理には気を付けて、消化器系の病気を予防しましょう。

  • 胃捻転…胃がねじれる病気です。処置が遅れると死に至ることもあります。
  • 症状:震え、吐きたいけれど吐けずに苦しむ など

  • 急性胃炎…誤飲した異物によって胃に炎症が起こる病気です。
  • 症状:うずくまって震える、水を飲んでは嘔吐する など

  • 胃潰瘍…胃の粘膜に穴が開き、激痛がします。
  • 症状:食欲不振、震え、嘔吐、吐血 など

  • 急性膵炎…自分の膵液によって膵臓を消化してしまう病気です。
  • 症状:腹痛、下痢、嘔吐、ショック症状 など

泌尿器系の病気によるもの

泌尿器系の病気は気が付きにくく、危険な病気のひとつです。発見したときには重症化していることが多いと言われています。嘔吐物だけでなく、おしっこの状態を日頃からチェックしておくことが大切です。

  • 膀胱炎…膀胱の粘膜の炎症により起こる病気です。
  • 症状:おしっこの出が悪い、頻尿、血尿、残尿感、腹痛、結石 など

  • 腎不全…腎臓の働きが低下する病気です。膀胱炎の炎症が悪化して起こることもあります。
  • 症状:食欲不振、震え、嘔吐、下痢、頻尿、尿が出ない、体重減少、水をたくさん飲む など

  • 腎炎…腎臓の炎症により、タンパク尿や血尿が出る病気です。
  • 症状:食欲不振、尿量の減少、尿の色が濃くなる、口からアンモニア臭がする、タンパク尿、血尿、むくみ など

  • 尿毒症…腎臓機能がほとんどすべて失われた、危険な状態です。
  • 症状:食欲不振、嘔吐、下痢、脱水症状、口からアンモニア臭がする、口から血が出る、低体温、けいれん、昏睡 など

感染症によるもの

犬が吐いた前後に震えている原因のなかには、感染症によるものがあります。感染症は死亡する恐れのある恐ろしい病気です。以下の感染症にかかってしまわなよう、年に一度は必ずワクチンを接種させて予防しましょう。

  • ジステンパー
  • 高熱が出た後、嘔吐、下痢、肺炎などが起こります。進行すると、震えやけいれんが起こります。特に免疫力の低い犬に感染しやすい感染症です。

  • コロナウイルス感染症
  • 腸炎を起こし、嘔吐、下痢の症状が起こります。子犬の場合は、脱水症状をおこすこともあります。

  • 犬パルボウイルス感染症
  • 腸粘膜がただれ、激しい嘔吐や下痢を起こす病気です。脱水症状を起こしやすく、感染力がとても強いことが特徴です。

  • 犬伝染性肝炎
  • 犬アデノウイルスによる病気です。初期は肝臓の炎症から始まります。次第に、高熱や食欲低下、震え、嘔吐、下痢、むくみ、扁桃腺の腫れなどが起こることがあります。無症状の場合もあります。

犬が吐いた物や吐くときの様子によっては病院に連れて行こう

愛犬が吐くときには様々な原因があります。病院で診察を受けるべきか様子を見るだけで良いかは、愛犬の吐いた物と、前後の様子で判断することができます。

「繰り返し吐く」「吐いた後に元気がない」「吐いた物に血液や異物が混ざっている」「吐いたものから悪臭がする」といった場合には、急いで動物病院へ連れて行きましょう。

病気とまではいかない場合でも、犬の身体にとって「吐く」という行為は大きな負担となります。食事などで気を付けて、なるべく吐かないでいい生活をさせてあげましょう。

対策をしても良くならない場合は、かかりつけの動物病院で診察を受けて、専門家からのアドバイスをもらうのもいいでしょう。

愛犬の行動から危険な病気のサインにいち早く気付き、愛犬を守ることができるのは飼い主だけです。ぜひ普段の生活から、こまめな観察と体調管理を行なってみてくださいね。