猫の手足は細いため、気づいたら骨折していたというケースも多々あります。そのことに飼い主が気づいてあげるために、言葉が話せない猫に代わって、彼らの様子から異変を察知するしか方法はありません。それ以前に猫の骨折を防ぐためにも、原因や症状、対策について解説します。
目次
猫が骨折する原因5つ
猫が骨折する原因は様々です。そのため「こんなことが原因です」と一概には言えませんが、骨折する原因として多いものを5つ紹介します。
高所からの落下
棚の上やキャットタワーなど、高いところからジャンプして飛び降りる行動は、猫として当たり前のようにしているため、落下での骨折はしないと思っている人もいるのではないでしょうか。
確かに、6~7m程度の高さであれば、ケガをすることなく着地できる猫もいます。しかし、8m以上の高所になると、ケガのリスクが高まるだけではなく、最悪の場合は命を落とす可能性もあります。
「猫は高いところが好きだから大丈夫」と油断していると、大ケガを招くことになるため環境作りには注意が必要です。
不自然に手足を曲げる
猫は狭いところが大好きです。ふと見ると、家具と壁のわずかな隙間や、少しだけ開いた窓から出入りして遊んでいる姿が目に留まることもあるでしょう。
しかし、狭いところに入り込んでしまうことで、手足が不自然に曲がって骨折するケースがあります。
また、ドアを閉めた瞬間に猫の手足や尻尾が挟まったり、飼い主が歩いているときに尻尾を踏んでしまったりすることで骨折する場合もあるため、飼い主側も自分の不注意で猫を骨折させないように注意しなければなりません。
骨がもろい
栄養不足や老化などにより、骨や関節が弱くなることで骨折しやすくなります。場合によっては、ちょっとした段差につまづいたり、ジャンプをしたりなどの軽い衝撃で骨折する可能性もあります。
肥満
肥満によって体が重くなると、それを支えるために細い手足に大きな負荷がかかってしまいます。その負荷に耐えられなくなり、骨折や脱臼を招くのです。
飼い猫が肥満気味であれば、ダイエットフードに切り替えるなど骨折しないように配慮して見てあげましょう。
交通事故
瞬発力に長けている猫は、危険を察知して交通事故を回避できることもありますが、なかには間に合わずにケガをしてしまう猫もいます。
流血をするような大ケガをしていなくても、車や自転車などにぶつかった拍子にバランスを崩し、手足を骨折することがあるため、外出から帰った際は、特にしっかり様子をうかがってあげる必要があります。
猫が骨折したときに見られる症状
猫は、言葉にして「骨折した」と伝えることができないため、飼い主が異変に気づいてあげなければなりません。
骨折したときに見られる症状を5つ紹介するので、これらの症状が見られた場合は、骨折を疑って病院で診てもらいましょう。
歩き方が不自然になる
手足を骨折している場合、歩き方が不自然になります。なんとなくヨタヨタと歩いているように見えたり、高いところが好きな子なのに登ろうとしなかったりなど、普段の様子とは違うと感じたら、それは猫が骨折をしている可能性が高いと言えます。
軽度であれば、猫自身が気づかない間に自然治癒をする場合もありますが、歩くたびに痛みを感じるレベルであれば、だんだんと足を引きずって歩くようになります。
動くのが億劫になる
今まで活発に動いていたにもかかわらず、急に動こうとしない姿を見ると、心配になってしまう人もいるでしょう。ただのんびり過ごしたいだけなのかもしれませんが、明らかに運動量が減った場合は、何らかの異変を訴えているとも考えられます。
骨折の可能性もあるため、足が腫れていたり、不自然に曲がっていないかなどを見てあげましょう。
患部の変形
一見分からないような骨折もありますが、不自然な方向に手足が曲がっていたり、大きく腫れあがっているなどの症状が見られることがあります。
重症だと骨が飛び出ていることもあるため、患部が変形してしまうほどの骨折であれば、すぐに病院で治療してもらいましょう。
口を閉じられない
顎や顔の骨を骨折している場合、口を閉じることができず開きっぱなしになってしまいます。
また、軽度骨折の場合は口を閉じることができる猫もいるため、骨折に気づけない飼い主もいるでしょう。
しかし、元気がなかったり、ご飯を食べようとしなかったりするのも骨折から影響を受けた症状のひとつなので、これらの様子が見られたら骨折を疑ってみてください。
排泄がコントロールできない
尻尾を骨折したときに、多く見られる症状です。骨折をしたことで周囲の神経に障害が生じ、後ろ足がうまく動かせなくなったり、排泄をコントロールできなくなったりします。
骨折が尻尾の付け根に近ければ近いほど、神経に影響を及ぼしている可能性が高くなるため、トイレの失敗が目立つときには骨折をしていないかチェックしてあげましょう。
猫が骨折してしまったら?飼い主がとるべき行動の手順
猫が骨折した姿を見て、慌てふためいてしまう人もいるでしょう。しかし、こんなときこそ飼い主が冷静になって対処してあげることが大切です。具体的にどのような行動をとれば良いのか、その手順を解説します。
応急処置をしよう
骨折をしていると、抱き上げたときや移動中のちょっとした揺れでも痛みを感じる可能性があります。少しでも患部を安定させて痛みを和らげるために、簡単な応急処置を行ないましょう。
やり方は、骨折箇所にガーゼと副木を当て、包帯を巻いて固定するだけです。副木がないという場合は、新聞紙などの固定できるものならなんでも代用が可能です。
なかには、痛みで猫が暴れ出してしまい、応急処置に手こずる人もいるでしょう。暴れることで骨折が重症化することも考えられまる。
病院で治療してもらおう
骨折の程度を見極めてもらうため、また正しい処置をしてもらうために病院を受診しましょう。レントゲンなどの検査を行ない、軽度であればそのまま様子見となる可能性がありますし、場合によっては手術と入院をしなければならない可能性もあります。
自宅で安静にさせよう
骨折を完治させるには時間がかかります。どんなに軽度の骨折であっても、その後に無理をして動き回っていると、状態を悪化させたり骨が正常な位置に戻らない可能性もでてしまう可能性があります。
今後の生活のためにも、治るまでは安静にさせることに努め、医師の指示通りに対処して回復を目指しましょう。
猫の骨折を未然に防ぐための対策3つ
猫が骨折する原因は身近なところにあります。それらを回避することで猫の健康を守ることができるのですが、飼い主ができる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。骨折を未然に防ぐ効果的な対策を解説します。
栄養バランスのとれたキャットフードを選ぼう
猫はもともと体が柔らかく、強靭な筋肉を持っているため、ちょっとしたことでは骨折しにくいと考えられます。
しかし、体を支える骨自体がもろければ、どんなに筋肉がしっかりしていても、体にかかる負荷に耐えられない可能性があります。
骨折を始めとし、様々なケガや病気から体を守るためには、栄養バランスのとれた食事をしっかり食べることが大切です。次に、数あるキャットフードの中でも、特に栄養価が高いと好評なものを3つ紹介します。
カナガン キャットフード
イギリス産のグレインフリーキャットフードです。穀物を一切使用しておらず、チキンや野菜、ハーブなどで構成されています。
人口添加物を一切使用していないため、安心して食べさせてあげられるでしょう。全ライフステージに対応でき、その栄養価の高さは獣医たちも評価しています。
モグニャン キャットフード
カナガンキャットフードのスタッフが開発した商品です。栄養バランスや食いつきの良さを考えるだけではなく、使用する原材料や粒の固さ調整にもこだわっています。
タンパク源となる白身魚を63%も使っており、袋を開けた瞬間に香ってくる魚の香りが猫の食欲をそそります。
また、カナガンキャットフードと同様にグレインフリーで、全ライフステージに対応できるというのも嬉しいですね。
オリジン ドライ・キャットフード
オリジンのドライ・キャットフードには5種類の商品があります。チキンをベースにしているものや、魚をベースにしているものなど様々ですが、すべての商品がグレインフリーで、全ライフステージに対応しています。
動物性食品と野菜類などのバランスが商品ごとに異なるため、猫の好みにあわせて選んであげると良いでしょう。
家の外に出さないようにしよう
外には危険がたくさんあります。何かの拍子に高いところから落下する可能性もあれば、車や自転車などにぶつかってしまう可能性もあります。
できるだけ危険を回避するためには、家の外に出さないという選択が有効な対策といえるでしょう。外に出ないように窓を閉めていても、猫が自分で開けて飛び出してしまうことも考えられるため、必ず鍵をかけるようにしてください。
定期的に骨折チェックをしよう
飼い主だけではなく、猫自身が骨折に気づいていない場合もあります。それが徐々に悪化することも考えられるため、骨折をしていないかを定期的にチェックしましょう。チェックするポイントは以下5つのようなものがあります。
- 食欲が落ちていないか
- 触ると嫌がったり、すぐに引っ込めたりする部分があるか
- トイレの失敗がないか
- 動きに不自然な点が見られないか
- 口が開きっぱなしになっていないか
これらを日頃からチェックしておくことで、万が一骨折をしていたとしても、すぐに異変に気付いて対処してあげられるでしょう。
骨折の治療費は高額になることも!ペット保険で万が一に備えよう
ペットのケガは、人間のように公的保険がないため、多額の医療費を請求される恐れがあります。特に骨折は、程度によってかかる金額が変わります。ペットのための保険に加入しておくことで、いざというときに安心して対処できるでしょう。
では、ペット保険とは具体的にどんなものなのかを紹介します。
猫の骨折でかかる費用とは?
猫が骨折して病院にかかった場合、必ずケガの程度を見極めるために検査が行なわれます。レントゲンや血液検査など内容は様々ですが、これらの結果から今後の治療方針を決めていきます。
軽度の骨折で、そのまま自宅で安静にしていても良いと言われた場合、通院を求められない限りはそれ以上の費用はかかりません。
しかし、手術や入院が必要となった場合は、その費用だけではなく、通院費や薬代なども必要となります。そのため、骨折した際にかかる費用はピンキリで、数千円で済む場合もあれば、完治するまでに100万円近くかかる場合もあります。
病院によって値段設定も様々なので一概には言えませんが、高額な費用を請求される可能性があると思っておいた方が良いでしょう。
ペット保険に加入しよう
突然、高額な医療費を請求さることは、愛猫のためとはいえ戸惑ってしまうでしょう。貯金ではまかないきれず、借入をしなければならない状況に追い込まれてしまう人もいます。
そうならないようにするためにも、万が一に備えておくことが大切です。ペットの保険サービスを提供してくれるところはいくつかあるのですが、どんなところを選んだら良いのか分からないという人もいるでしょう。そんな人のために、ペット保険を選ぶ際に見ておきたいポイントを3つ紹介します。
手軽に始められるもの
ペットの保険はかけすてであることがほとんどです。そのため、高い保険料を支払うのは気が引けるという人は、最低限の補償をしてくれる手軽なプランの保険がおすすめです。
医療費が高額になりやすい手術や入院にだけ備えるプランにすることで、保険料も安く抑えられます。
顧客満足度が高いもの
実際に加入したことがある人たちの口コミが良かったり、加入者の満足度が高かい保険は信頼できると判断して良いでしょう。いざというときに頼ることになるため、信頼して任せられるところに加入すれば安心です。
補償内容と保険料のバランスが良いもの
手厚い補償内容なのに保険料が著しく安かったり、逆に補償が手薄なのに保険料が高かったりすると、そのバランスの悪さから本当に任せても良いのかと不安になってしまう人もいるでしょう。
補償内容に対して適切な価格設定となっているかどうかを見極め、バランスが良いと感じるものを選ぶことが大切です。
猫は知らない間に骨折していることも!飼い主が異変に気付いてあげることが大切
猫の骨折は、身近にあるあらゆるものが原因で起こると考えられます。一度骨折したら二度と骨折の心配がないというわけではありませんし、なかには、治療が終わってからすぐに新たな骨折が発覚するというケースもあります。
そのたびに適切な対処ができるよう、飼い主が前もって骨折の症状や応急処置の仕方などを理解しておくことが大切です。また、度重なる骨折で医療費が高額になる可能性もあるため、いざというときのための備えも検討しておくことをおすすめします。