動物を飼う時にまず最初に行うのがトイレのしつけではないでしょうか。犬の場合、しつけをするイメージがありますが、猫をしつけるイメージを持っている方は少ないでしょう。猫にトイレを教えるのはどうしたらいいのでしょうか。今回は猫のトイレについて、しつけとおすすめのトイレを解説していきます。
目次
猫のトイレのしつけはいつからするの?
猫を迎えたら最初にすることはトイレトレーニングです。猫を飼ったことがない方は、猫にトイレを覚えさせるのは難しそうと思われる方は多いのではないでしょうか。
しかし、猫のトイレのしつけは比較的簡単です。それは、猫に「トイレは砂の上にして、排泄物は砂で隠す」という行動が遺伝子に組み込まれているからです。そのため、人が少し手助けしてあげればすぐに覚えてくれます。トイレのしつけは、猫を家に迎えたその日からスタートです。
拾ってきた子猫にトイレを覚えさせる方法
母猫は子猫が生後1ヶ月くらいまでは、排泄を促すためにお尻を舐めて刺激して排泄させます。母猫がいない場合は、飼い主さんが親猫の代わりになって子猫にトイレを教えてあげなければなりません。
ティッシュを水で濡らし、子猫のお尻をポンポンと優しく刺激してあげてください。それを猫のトイレの上で行います。子猫のお尻を刺激するタイミングは、ミルクをあげる前がいいでしょう。
ミルクを飲ませる前に、排泄させることでお腹がすっきりしてミルクの飲みがよくなることがあります。もしもミルクを飲む前に出なかったらミルクを飲ませた後に行ってみてください。排泄が終わったら新しいティッシュでお尻を拭いてあげましょう。
タイミングを見てトイレに入れる
生後1ヶ月までは飼い主さんが排泄を促してあげますが、身体がしっかりしてきたらお尻を刺激した後トイレの中に立たせてみましょう。トイレで排泄できたら優しく声をかけて褒めてあげてください。「トイレの中で排泄すること」を覚えさせることが大切です。
生後1ヶ月を過ぎてくると子猫の動きも活発になってきて、身体もだんだんしっかりしてきます。排泄したくなったら自分でトイレに入るようになるために、飼い主さんの観察力が大切になってきます。
- 子猫が食事の後にうろうろして落ち着かない様子をしている
- 床のニオイを嗅いだり、床をカキカキして砂を掘るような仕草をしている
- お尻をむずむず動かしている
優しくそっと持ち上げてさりげなくトイレに入れるのが重要です。成功したらたくさん褒めて撫でてあげましょう。猫はトイレに成功すると、優しい声をかけてもらえて撫でてもらえることで喜びを感じます。
猫の遺伝子の働きで、猫はスムーズにトイレを覚えるので、トイレの中で3~4回ほど成功したらもう完璧に覚えたと言ってもいいでしょう。その後は自分で排泄したくなったらトイレに入っていくでしょう。
先住猫がいる場合はしつけは簡単
猫を家に迎えた時に、先住猫がいた場合は飼い主さんがサポートする期間は短くてすむでしょう。子猫は先住猫がトイレを使うのを見て自然に覚えます。砂のかけ方も他の猫の行動を見て勉強するのです。
トイレができるようになった猫を迎えるとき
トイレができるようになっている猫を家に迎えるときは、その猫のおしっこのニオイがついた砂を少し分けてもらいましょう。猫はニオイに敏感な動物です。
新しいトイレに自分のニオイがないと不安になり、トイレを我慢してしまうことがあります。そのため、自分のニオイがついたトイレの砂を新しいトイレの中に入れて混ぜておくと安心するのです。
猫のトイレについて
猫のトイレを置く場所
猫のトイレを置く場所は、静かでニオイがこもらない場所がいいでしょう。猫は大きな音が嫌いなので、洗濯機がある脱衣所などでは落ち着いて用が足せません。また、玄関先など人の出入りが多い場所でも落ち着けませんし、トイレのニオイが気になるでしょう。
人の目につかない場所に置くといいという意見もありますが、猫は泌尿系の病気にかかりやすい動物なので、排泄の様子を観察することはとても大切です。また多頭飼いの場合は、どの猫が用を足したのか確認して、おしっこやうんちの状態を毎日チェックしておくことが大切です。そのため、人が見ていても用を足せるように子猫のうちから慣れさせておくといいでしょう。
トレイの数で最適なのは
トイレの数は飼っている頭数プラス1台が理想です。神経質な猫の場合、他の猫が用を足したトイレを使いたがらないことがあります。そうなるとトイレを我慢して膀胱炎などの病気になってしまうことがあります。また、粗相を防ぐためにも多めに設置してあげましょう。
猫のトイレを洗う頻度
トイレの掃除(おしっこやうんちを取る)は、排泄したらすぐに取ってあげるのが理想です。きれい好きな猫は排泄物があるとトイレを使わない子もいます。飼い主さんがトイレの掃除をしたらすぐにトイレに入る猫もいるほどです。
そのため、常にトイレをきれいにしておいてあげるのがいいのですが、仕事をしていたり出かけるときなどは難しいでしょう。ですので、朝起きてすぐ、仕事から帰ってきたらすぐ、寝る前の3回掃除してあげましょう。どうしても難しいのであれば、最低1日1回は掃除してあげてください。
砂を替える頻度は明確に決まっていませんので、減ったら足すようにします。そして、砂の全交換についても決まった期間はありませんが、砂の状態を確認して交換時期を見極めましょう。砂の種類によりますが、砂自体が細かくボロボロになってきたら交換が必要です。
目安としては1~2週間に1回程がいいのではないでしょうか。そして、トイレの丸洗いは月に1回は行いましょう。丸洗いの手順は以下の通りです。
- トイレにこびりついている汚れはウェットティッシュなどを使って取っておきます。
- お湯をかけながらスポンジを使ってトイレを洗います。洗剤は使用しません。
- 洗い終わったらトイレに水を張って、クエン酸を入れて10分ほど置きます。
- 中の水を捨てて、熱湯を全体にかけます。
- 乾いた布や紙で水分をしっかり拭いたら終わりです。水分をそのままにしておくと雑菌がついてしまうことがあるので、水分はすぐ拭き取るようにしましょう。
猫のトイレの選び方
トイレの選び方は、猫の年齢に合わせましょう。子猫や老猫は高さがあるトイレだと、中に入るためにまたぐのが大変です。浅くて、中に入りやすいものにしてあげましょう。
成猫になれば多少高さがあっても中に入れますので、猫が使いやすく人間が掃除しやすいタイプのものを選ぶといいでしょう。最近ではトイレにもさまざまな種類がありますので、次の項目で詳しくご紹介いたします。
おしゃれなものもある!猫のトイレの種類おすすめ5種
平置き型
猫のトイレで一番オーソドックスなタイプなのが、この箱型の平置きのものでしょう。平たい箱型で(最近ではおしゃれな丸形もあります)猫がまたいで中に入りやすいのが特徴です。
子猫や老猫には使いやすいので、このタイプがおすすめです。また、トイレの掃除がしやすいのも良いポイントです。ただ、トイレを済ませた猫が砂をかくときに外に砂をこぼしてしまうことがあるので、砂が部屋に散らばるというデメリットもあります。
ハーフドーム型
平置き型のトイレのまわりが高くなって、覆いができたような形のトイレをハーフドーム型と言います。このタイプのトイレは、猫が砂をかいても外に飛び散りにくく掃除の手間が省けるところと、完全に覆われているわけではないので掃除のしやすさもあります。
ドーム型
ドーム型のトイレは、トイレの上がドームのようにカバーで覆われています。正面に入り口がついていて、そこから猫が中に入って用を足します。神経質で人に見られるのを嫌がる猫には向いているでしょう。
また、覆われていて砂が外に飛び散らないので、砂の掃除をしなくてよいのですが、中の掃除をする時にドーム部分を外す手間があります。
上から入るタイプ
最近人気が出てきているのは、上に穴が空いていて猫が上から中に入り用を足すタイプのトイレです。大きなバケツのような形をしていて、上にフタがついています。
このタイプのトイレもドーム型と同じように、まわりが覆われている中で用を足すことができるので、猫が落ち着いてトイレを済ませることができます。また、砂が飛び散らないのも人気につながっているようです。
システムトイレ
トイレ自体が二層になっていて、上の部分のすのこ状の所に特殊な砂(ひのきチップなど)を乗せます。下は抗菌シートやマットを敷いておくと、猫がおしっこをするとすのこからおしっこが下に落ちてシートやマットが吸収します。
上の特殊な砂には消臭加工がされているため、おしっこのニオイを吸収しないようになっています。シートやマットは猫が1匹の場合は2週間程で交換します。多頭飼いの場合は1週間ほどで交換したほうがいい場合もあります。
上の砂は月に1回の交換が必要で、うんちのときはその都度すくって捨てますので、砂が減ったらその分足しましょう。このタイプのトイレのメリットは、おしっこのときの掃除の回数が減ることでしょう。
一方、砂やシートは他のトイレに比べたら割高になることと、丸洗いのときのパーツが増えることがデメリットとして挙げられます。
消臭タイプもおすすめ 猫のトイレの砂の種類
紙砂系
軽くて持ち運びしやすいのがメリットですが、その反面軽いからこそ飛び散らかってしまうことがあります。埃が舞ってしまうものがあるため、掃除が面倒だという人もいるようです。掃除する時に分かりやすいように、おしっこするとそこの色が変化するものも売られています。
鉱物系
自然の砂に近い感触の鉱物系の猫砂は、外で用を足す感覚とそっくりなためか好む猫が多いです。この砂の特徴は、吸水性に優れているのでおしっこのときにしっかり固まります。掃除は楽ですが、砂が細かいため埃がたちやすいことと散らばりやすい、砂自体が重いので持ち運びが大変だという面があります。
おから
おからを原料として作られた猫砂です。最近ではおからのニオイがしないようになっているものが売られていて、持ち運びが軽いため人気が出てきています。諸原料が食品なので、万が一猫が口に入れてしまっても安心です。
処理する時にトイレに流せるので後始末が楽です。ただし、トイレの構造によっては流したら詰まってしまうことがあるので、確認が必要です。
木製(ひのき・チップ)
リサイクルの木材が使用されていることが多いので、環境に優しい猫砂と言えます。また、ひのきの木のいい香りは消臭効果もあるため、システムトイレの猫砂にはひのきチップが使われています。軽くて持ち運びしやすいメリットもあります。
猫がトイレに入らない・失敗する原因
もしも猫がトイレを失敗してしまった場合、決して叱ってはいけません。今までちゃんとトイレでできていたのに、床でしてしまうなど粗相をするようになったら何か原因があるのです。その原因を見極めて改善することが必要です。
砂が好みではない
今まで使用していた砂を急に変えた場合、砂が気に入らないのかもしれません。トイレの砂を変えたい場合は、最初の頃は今まで使っていた砂と新しい砂を混ぜて置いてあげましょう。
少しずつ新しい砂を増やしていって、慣れてきたら新しい砂に交換するようにしてあげてください。もし、新しい砂を嫌がって使わなかったら元の砂に戻してあげましょう。
トイレが汚れている
猫はとてもきれい好きなので、排泄物がトイレに残ったままだとそのトイレを使わないことがあります。そのため、猫のトイレは常に清潔にしてあげるのが大切です。仕事や外出中でまめに掃除ができない場合はトイレの台数を増やしてあげましょう。
トイレのサイズが合っていない
猫のトイレは身体の大きさに合わせてあげなければなりません。子猫の時に使用していたものをそのまま使っていると、猫が中に入るのが窮屈になって使いにくくなります。猫は大きめのトイレを好むので、身体の全長の1.5倍以上のものを置いてあげるのが理想的です。
泌尿系の病気
猫は泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。もしもトイレの失敗が続くようでしたら膀胱炎などの病気にかかっている可能性があります。
何度もトイレに入るのにおしっこが出ていない、色がおかしいなどの変化があったらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
猫がトイレを使う時は観察しよう
猫のトイレについて解説してきましたが、いかがでしたか。猫にトイレをしつけるのが案外簡単なことや、いろいろなトイレや砂があること、ご理解いただけたでしょうか。
人間と同じように、猫もトイレで健康状態が把握できます。普段から猫がどのくらいの回数トイレに行くか、おしっこやうんちの状態はどうか観察しておくことが大切です。
平均的なトイレの回数は、おしっこは1日2~3回、うんちは1日1~2回です。ただ、うんちの場合は2日に1回であっても、定期的に出ていればあまり心配することはないと言われています。そして、まめな掃除や砂交換など、飼い主ができることをしっかりして愛猫の健康を守ってあげましょう。