愛犬の考えていることが、表情やしぐさから伝わってくることは多くあると思います。でも愛犬が感じている、と人間が思っていることは本当にそうでしょうか。言葉が話せないからこそ、愛犬のしぐさや表情、小さな変化から読み取ることはとても大切です。時にはその変化に気づくことで、病気の早期発見につながることもあります。今回は、犬の「あくび」に注目し、「あくび」からわかる愛犬の気持ちや状態についてまとめました。愛犬とより楽しい生活を送るのヒントにしてみてください。
目次
犬のあくびは人間を試している?
愛犬が見せる寝る前や寝起きの大きなあくびは、ほほえましい光景ですね。しかし「なぜ今?」という時に、あくびをする姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
例えば嫌いなお風呂に入っているとき、叱られているとき、相性の悪い犬と散歩中に出会ってしまったときなどです。急な眠気に襲われているとは思えない状態でのあくびは、一体なぜなのでしょう。
叱られているときのあくびは、人間のルールで考えるととても失礼にあたります。叱っている人間をバカにしているようにすら思われるでしょう。まさか、犬も同じように人間の忍耐力を試しているのでしょうか。
今回、犬の「あくび」が何を表しているのか解説します。どうやら人間の「あくび」とは違った意味合いも持っているようです。さっそく犬が「あくび」をする理由についてみていきましょう。
犬があくびをする6つの理由とは
寝起き
【画像】:ポペットフレンズのレアくん、リノちゃん、ミリちゃん
犬は寝起きにあくびをします。これは人間も同じですね。まだ頭がぼんやりとしているときに、体を大きく伸ばしながらあくびをするとすっきりと目が覚めます。日中の活動前にしっかり覚醒しようとしているようです。
眠気覚まし
あくびと聞いて、多くの人が最初に思いつく理由のひとつかもしれません。犬も眠気を感じた時に眠気覚ましとしてあくびをしているようです。
犬もあくびをすることで、より多くの酸素を脳に送っています。脳に多くの酸素を送ることで目を覚まそうとしている、と考えられています。
怒られているとき
怒られているときに、あくびをする姿も見受けられます。まさか「またご主人のお小言か、飽きちゃったな。」と退屈であくびをしているのでしょうか。
実は怒られているときのあくびは退屈さではなく、敵意がないことを表しているそうです。飼い主を試しているわけではなく、怒っている人間に対して敵意がないことを示し、落ち着いてほしい、という気持ちを表すサインなのです。
お風呂
お風呂に入っている時、あくびをするのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。とくにお風呂が苦手犬の場合、お風呂であくびをすることが多いようです。
嫌いな物事に耐えているとき、犬は自分を落ち着かせるためにあくびをすることがあります。お風呂中にあくびをするようであれば犬がストレスを感じている可能性が高いので、可能な限り手早くお風呂を済ませてあげられるよう心がけましょう。
緊張や不安を感じた時
散歩中に相性の悪い犬に会ったときや、子どもに無理やり抱きしめられているときにあくびをすることもあります。
こういった場合もお風呂と同様、ストレスを感じていると考えられます。ストレスを感じている犬が自分を落ち着けるためにあくびをしているのです。
嫌がっている対象から距離を取ってあげるなど、飼い主にできることがあれば対応し、少しでもストレスを緩和してあげましょう。
カーミングシグナル
カーミングシグナル(Calming Signal)という言葉を知っていますか。カーミングシグナルとは犬が自分自身や相手を落ち着かせたり、敵意がないことを示すためのサインを指しています。
実は、あくびはカーミングシグナルのひとつと考えられています。人間から見るとただのあくびですが、犬はあくびを使って自分の意思を伝え、コミュニケーションを取っているのです。
言葉が通じないからこそ、コミュニケーションを取るためにはこういったサインを理解することがとても大切です。単なる眠気覚まし以外の意味合いもあることを理解して、より犬の気持ちに寄り添えると良いですね。
カーミングシグナルはあくびの他、鼻を舐める仕種など、いくつかあるようです。この機会に調べてみるのも面白いかもしれませんよ。
犬のあくびは病気やストレスが原因?
急にあくびが増えたと感じたら
犬のあくびには、眠気が原因のほかに、様々なメッセージが隠されていることがわかりました。では、最近急にあくびが増えたな、と感じた時に飼い主が注意することは何かあるのでしょうか。
環境変化など思い当たることはないか
先に確認したように、犬は何かしらのストレスがかかり、自分自身や相手を落ち着かせたいときにあくびをする場合があります。最近、犬の周りで変わったことはないでしょうか?もしかしたらその変化が犬にとって大きなストレスとなっている可能性があります。
心当たりがあり、その変化を取り除くことができれば、一度その変化を元に戻して様子を見てみるのが良いかもしれません。あくびがピタッと止まるようであれば、その変化からストレスを感じていたことが分かります。
もし変化を取り除けない場合、神経質になる必要はありませんが、しばらくの間は愛犬の様子を注意深く観察してあげましょう。
その場合、あくび以外の行動にも注意して、何かに怯えたり威嚇したりする仕草がないかも確認すると、あくびの原因が特定できるかもしれません。
飼い犬は自身で環境を選んだり変えられない場合が多いといえます。飼い主は犬の様子を気遣い、ストレスがあるようであればその原因を取り除くよう努力してあげたいものですね。
あくびをして顎を痛がっている場合
また、まれにあくびをすると同時に痛がる様子を見せる場合があるようです。このような場合、まずは獣医の診察を受けることをおすすめします。
顎関節症の他にも、骨や歯、歯茎に問題がある場合があります。重症化させないためにも可能な限り早く受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
あくびで口臭が発生することも
犬があくびをした時に口臭が気になることがあるかもしれません。人間同様、口内環境が不衛生だと悪臭がします。歯磨きシートやガムなど、犬用の歯磨きグッズも数多く販売されています。
愛犬に合った使いやすい道具を探し、定期的にケアをしてあげるようにしましょう。朝昼晩、毎日歯磨きをする必要はありませんが、あまりに不衛生なまま放置すると虫歯や歯茎の病気に発展してしまう可能性もあり寿命にも影響してきます。
歯磨きグッズの他、口臭予防効果のあるドッグフードも販売されています。一度試してみるのも良いかもしれませんね。
口内のほか、胃腸の不調から口臭が発生している可能性もあります。口内ケアを行なっているにもかかわらず、口臭がきつくなった、と感じたらやはり獣医の診察を受けるのが安心ですね。
心配であれば病院へ
あくびに限ったことではありませんが、犬の様子がいつもと違い心配な点があれば早めに動物病院に連れて行きましょう。病気や異常を早期に発見できれば、それだけ完治の可能性も高まるといえます。
飼い主の責任として、日ごろから様子を観察し、異変に気付ける努力をしたいものですね。
犬があくびをしてもいつも通りにふれあおう!
叱っているときの犬のあくびは、人間を試しているわけではないとわかり一安心ですね。
ただの「あくび」ですが、犬からの様々なメッセージが込められていることが分かりました。このあくびによる、愛犬からの大切なサインを見落とさずに感じることができれば、仲もより一層深まるのではないでしょうか。
1回1回のあくびに過敏になることなく、愛犬の気持ちを知るひとつのヒントとしてあくびを活用しましょう。