猫と赤ちゃんが安心して同居するために注意すべきことと仲良くなれる方法

猫 赤ちゃん

猫を飼っている家庭に赤ちゃんが生まれる、赤ちゃんがいる家庭に猫を迎える。そういう状況のときに、猫と赤ちゃんの同居について不安になることがあるのではないでしょうか。そもそも猫と赤ちゃんが同居するのは可能なのか、どのような点に注意したらいいのか気になることがたくさんあるでしょう。今回は猫と赤ちゃんの同居について解説いたします。

目次

赤ちゃんが生まれるなら猫は手放したほうがいいと言われる理由

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猫と赤ちゃんの同居について、まわりから「猫を手放したほうがいい」または「猫を飼わないほうがいい」とアドバイスされたことがある方がいらっしゃるかもしれません。

そう言われる理由にはいくつかあります。次項で同居しないほうがいいのではないかと言われる理由を挙げて、ひとつひとつの理由について後の項で詳しく説明していきます。

トキソプラズマ感染の恐れ

猫と赤ちゃんを同居させないほうがいいといわれる原因のひとつに、トキソプラズマ感染の恐れが挙げられます。

注意
トキソプラズマは猫の体内に生息することがあり、飼い主さんが妊娠したときに感染してしまうとお腹の赤ちゃんも感染し、生まれてから先天性トキソプラズマ症を発症する場合があります。

猫からの病気の感染の恐れ

猫などの動物から人間へ感染する病気は、人畜共通感染症などがあります。猫から人間へ感染する病気が存在するということで、猫と赤ちゃんの同居を心配されることがあるのです。

赤ちゃんが猫アレルギーを発症しないか

猫が赤ちゃんと一緒に暮らす上で心配なことのひとつに、赤ちゃんが猫アレルギーを発症するのではないかということでしょう。もちろん、すべての赤ちゃんが猫アレルギーを発症するわけではありませんが、赤ちゃんが猫アレルギーにならないように対策が必要になります。

猫が嫉妬して赤ちゃんを攻撃するのではないか

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猫は自分のテリトリーを強く意識する動物です。そのため、自分の縄張りに知らない赤ちゃんが入り込んできたら戸惑います。

そして、今まで自分のお世話をしてくれた飼い主さんが自分以外の存在にヤキモチを妬くかもしれません。そうならないように妊娠が分かったときから生活を見直して行く必要があります。

猫が赤ちゃん返りして心が不安定になるのではないか

今まで自分を可愛がってくれていた飼い主さんの関心が赤ちゃんに向いてしまい、猫は飼い主さんをとられたように感じて心が不安定になることがあります。その不安からトイレの失敗や無駄鳴きをする場合があるのです。

トキソプラズマ症ってなに?

トキソプラズマ症とは何か

トキソプラズマ症とは、動物から人間に感染する病気のひとつで寄生虫の中で最も小さい原虫です。トキソプラズマ原虫は、人間や猫、豚、羊、鳥類やネズミなどに感染しやすいのですが、犬は感染しにくいことで知られています。

しかしトキソプラズマは猫から感染するよりも、生の肉や土、ゴキブリなどからの感染が多いといわれています。現在では成人の約20~60%がすでにトキソプラズマに感染したことがあるとされています。

注意
しかし、感染したことがない人が妊娠中にトキソプラズマに感染すると、お腹の中の赤ちゃんにも胎盤を通じて感染し、胎児の流産や死産、新生児水頭症を引き起こす恐れがあるのです。

妊娠中に検査をする

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前述したように、妊娠中にトキソプラズマに感染するとお腹の中の赤ちゃんが流産したり、死産の原因になります。また、赤ちゃんの脳や目に障害が起こる恐れもあります。

そうならないためにも、妊娠したらトキソプラズマ抗体価検査を受けることが大切です。結果が陽性だった場合は、トキソプラズマ感染症の抗体があるのであまり心配することはありません。しかし、結果が陰性だった場合は感染する恐れがあるので毎日の生活に注意が必要になります。

猫のトイレ掃除を素手でしない

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妊婦さんが猫からトキソプラズマ症に感染する経路として、トキソプラズマに感染している猫がした便に触れた手を口に入れてしまった場合です。

注意
猫の便は24時間以内に片付ければ直接感染することはありませんが、便をすぐ片付けないで放置してしまった場合に感染の可能性が高くなります。

この感染を防ぐためには、家族に猫のトイレの掃除をお願いするのがいいでしょう。家族が掃除する場合も使い捨ての手袋やマスクをして片付けるようにしましょう。トキソプラズマは猫の便を介して、人の口や目の粘膜から体内に入り感染するのでトイレ掃除をしているときは妊婦さんは他の部屋へ移動しましょう。

トキソプラズマの感染の可能性に関わらず、猫のトイレ掃除はこまめに行う必要があります。これは人間だけでなく猫のためでもあります。猫はきれい好きな動物なのでトイレが汚れているとストレスを感じて、トイレ以外のところで用を足してしまうことがあります。お互いのためにも猫のトイレ掃除は早めに行いましょう。

生肉を食べない

トキソプラズマは豚や牛、鶏の生肉に含まれていることがあるので、生肉を食べないように注意しなければなりません。

肉を食べる場合は内部の温度が70℃以上になるまで加熱して食べましょう。また、生肉を扱った包丁やまな板などの調理器具は熱湯で消毒しましょう。

猫を外に出さない

猫がトキソプラズマに感染しないようにするためには、猫を完全室内飼育にして外に出さないことです。トキソプラズマに感染したネズミや、トキソプラズマのいる土などに触れて猫が感染してしまうのを防ぐためです。

猫からの病気を感染させないために

猫からの病気とはどんなものがあるの?

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猫から人間へ感染する病気はいくつかありますが、中でも代表的なのは猫ひっかき病といわれている「パスツレラ症」という病気です。

この病気は猫に噛まれたりひっかかれることで、傷口がひどく腫れて高熱がでたりリンパ節が腫れる症状が出ます。

注意
猫の排泄物から下痢や腹痛を引き起こすサルモネラ症や、風邪のような症状を引き起こすトキソプラズマ症に感染することがあります。

感染予防のために猫にワクチンを打つ

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猫が病気に感染しないためには、猫に予防接種を受けさせることが重要となります。室内飼いの猫でも病気にかからないわけではありませんので、予防接種は大切です。猫の予防接種は1歳前だと年に2回程度で、2歳以降になると年1回です。

猫を触ったらよく手を洗う

猫を触ったらその後に石鹸を使ってよく手洗いをするのも予防に重要なことです。猫を撫でたり世話をした後に、手を洗わないで赤ちゃんや赤ちゃんが使うものを触ると、病原菌が赤ちゃんの口に入る恐れがあります。

猫と赤ちゃんだけにしない

猫から病気が感染する経路は、猫に噛まれたり引っかかれることです。赤ちゃんは猫に興味を持って触ると思いますが、触るときに強く叩いたり猫の尻尾を引っ張ってしまうことがあるかもしれません。それに対して猫が嫌がって噛んだり引っかいたりすると赤ちゃんに病気が感染してしまう恐れがあります。猫と赤ちゃんだけにするのはやめましょう。

猫アレルギーから赤ちゃんを守るためにできること

猫アレルギーの原因になるアレルゲンは大変細かい粒子なので、空気中に舞い上がりやすく長時間部屋に舞っていることがあります。

それまでアレルギーがでなかったのに、アレルゲンに長い時間接することで急に猫アレルギーを発症する場合があります。赤ちゃんが猫アレルギーにならないように普段からの対策が必要になります。

猫のブラッシングやシャンプーをこまめにする

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猫アレルギーの原因は猫のフケや抜け毛、唾液です。私たちの身体は免疫機能によって、病気にかからないように病原菌や異物を排除しようとしています。この免疫機能が猫に対して過剰に反応し、くしゃみや鼻水などの症状が出ることがあります。

MEMO
赤ちゃんが猫アレルギーにならないようにするためには、普段から猫のブラッシングやシャンプーをまめにしておくことです。アレルギーは最初ひどくても猫との同居生活を続けていくうちに、症状が軽減していき症状がでなくなる場合もあります。

部屋に空気清浄機を置く

猫アレルギー対策として、空気清浄機を使用することは有効です。猫と赤ちゃんの居住スペースを分けたとしても、アレルゲンの原因となる猫の毛やフケは空気中に舞ってしまうため完全に取り除くことができません。家の中に空気清浄機を置くことでアレルギー対策になります。

カーペットは使わずこまめに掃除をする

猫を飼っている家では抜け毛対策に頭を悩ませている家庭が多いでしょう。特に換毛期は床に抜け毛がたくさん落ちています。この毛がカーペットの上に落ち、カーペットの間にフケが入り込むことがあるので床にはカーペットを敷かない方がいいでしょう。そして、アレルギーの原因になる抜け毛やフケを掃除機で吸って取り除くことが大切です

赤ちゃんは高さがあるベビーベッドで寝かせる

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猫と赤ちゃんが同居するには、赤ちゃんを寝かせるときに高さがあるベビーベッドを使用することをおすすめします。猫の抜け毛やフケは床に落ちるため、床に布団を敷いて寝かせていると赤ちゃんがフケなどを吸い込みやすくなってしまいます。また、赤ちゃんが高い場所にいることで知らないうちに猫が赤ちゃんに触ったりするのを防げます。

猫と一緒に寝るのは控える

猫と寝ている飼い主さんなら、赤ちゃんが生まれる前に別々に寝るようにすることが大切です。同じ寝室で寝ていると、ベッドに猫の抜け毛やフケが落ちて赤ちゃんが吸い込んでしまう恐れがあります。

猫が赤ちゃんを威嚇・噛む・引っかくのを避けるためにできること

赤ちゃんが生まれたら、猫が赤ちゃんを噛んだり引っかくのではないかと心配する方もいるでしょう。しかし、猫は知らない人に対して警戒するので、自分から相手に近づいて攻撃することはまずありません。

注意
猫が知らない相手に威嚇するのは、「それ以上近寄らないで」という意味があるので、近づいたら引っかくよ!とのサインなのです。

猫に赤ちゃんの匂いや声に慣れさせる

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猫は縄張り意識が強い動物で、環境の変化に弱い性質があります。そのため、今までいなかった赤ちゃんが急に自分のテリトリーに入ってきたら驚き、ストレスを感じることがあります。

MEMO
猫はニオイで相手の存在を確認するので、家に帰ってくる前にまず赤ちゃんのニオイがついたタオルを猫に嗅がせて、赤ちゃんの存在に慣れさせておきましょう。

また、赤ちゃんの鳴き声を録音して猫に聞かせるのも効果的です。そして、事前に赤ちゃんと同じ大きさの人形を飼い主さんが抱っこして、お世話するときの動作に慣れさせておくのもいいでしょう。このような工夫をすることで、猫が徐々に赤ちゃんの存在に慣れていくようにしてあげましょう。

赤ちゃんが生まれたら猫と対面するときは徐々に距離を縮める

赤ちゃんと猫を初対面させるときは、急に猫に対面させるのはやめましょう。はじめは赤ちゃんの存在を感じる程度に、できれば違う部屋に赤ちゃんを寝かせてニオイや声で赤ちゃんを認識できるような環境を作ります。

そして、猫が赤ちゃんの存在に慣れた頃に、高さのあるベビーベッドに赤ちゃんを寝かせて猫を赤ちゃんがいる部屋に入れてみます。このときも決して猫を赤ちゃんに急に近づけることはしないでください。猫自身が自分から興味を持って赤ちゃんのベッドに近づいたりニオイを嗅ぐようになるまで待ちましょう。

今までいなかった赤ちゃんが家に来て、時には大声で泣いて手足をバタバタさせる様子は猫にとっては怖いかもしれません。はじめのうちは威嚇するかもしれませんが、飼い主さんがそばで見守ってあげましょう。だんだんと猫も赤ちゃんの存在に慣れて威嚇しなくなります。

猫が安心できる場所を用意しておく

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猫は基本的に警戒心が強移動物です。個体によりますが、赤ちゃんがいることに慣れるのに時間がかかる猫もいます。

猫は狭くて暗い場所が安心するので心の安定を保つためにも猫が隠れられる場所を用意してあげましょう。猫にとって隠れ家はストレス軽減になるため、赤ちゃんの存在を抜きにしても猫を飼うことになったら必要です。

隔離できる部屋を用意する

赤ちゃんが動けるようになると、なんでも手に取って口に入れてしまいます。猫のご飯やトイレの砂も赤ちゃんが口に入れてしまうため、赤ちゃんと猫の居住スペースを別にしましょう。猫は縄張りを意識して生活する動物なので、赤ちゃんがいる部屋は赤ちゃんの縄張りとして認識します。

猫の心を不安にさせないためにできること

赤ちゃんが生まれる前に生活を見直し慣れてもらう

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猫を飼うことになったときは、普段から猫の爪切りやシャンプーに慣れさせて清潔を保つように心がけましょう。事故や病気感染を防ぐためにも完全室内飼いにして、猫を外に出さないようにします。

爪切りやシャンプーは猫自身のためにも必要です。赤ちゃんが生まれたらアレルギー対策のためにも猫を清潔にしておかなければなりません。また、猫のトイレを常に清潔にしておくことは、きれい好きな猫のためにも飼い主や赤ちゃんへの病気感染を防ぐためにも大切なことです。

赤ちゃんが生まれるにあたって、ベビーベッドを置いたりと赤ちゃんのものが増えていくでしょう。赤ちゃんが猫のトイレを触らないようにするため、猫のトイレを移動したり、まわりに柵を置いたりと猫にとっては今までと環境が変わるのです。

注意
猫は環境の変化に敏感な動物で、急激な変化にストレスを感じるので、赤ちゃんが生まれるまでに少しずつ変えていくようにしましょう。

猫へのスキンシップや声がけは以前と変わらずに行う

猫は人に懐かない、気まぐれだなどといわれることがありますが、飼い主さんのことが大好きで飼い主さんが行く先々についていくことをする子もいます。

今まで飼い主さんを独り占めしてきた猫にとって、赤ちゃんは嫉妬の対象になるでしょう。猫がヤキモチを妬いて赤ちゃんに敵対心を抱かないように、飼い主さんのケアが重要になります。

赤ちゃんが生まれても猫への接し方を変えず、ストレスを感じさせないように気を配ってあげましょう。できるだけ猫の気持ちに寄り添って、猫との時間を大事にしてあげることが重要です。

猫が赤ちゃんに近寄っても叱らない

猫は急に家にやってきた赤ちゃんに興味を持ち、徐々に近づいてニオイを嗅いで赤ちゃんの存在を確かめようとします。猫なりに赤ちゃんの存在を認めようとドキドキしながらも受け入れようとしているのです。

そんなときに、猫を叱ったりしないでください。赤ちゃんに近づくと叱られると思って、赤ちゃんの存在を受け入れなくなってしまう恐れがあります。そして、猫が一生懸命に赤ちゃんを受け入れようとしている気持ちを大事にしてあげましょう。

猫と赤ちゃんの同居のメリット

子育てのストレスを猫が軽減してくれる

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猫と赤ちゃんの同居について、注意点を解説してきましたが猫と暮らすことで多くのメリットがあります。そのひとつに、猫が飼い主さんのストレスを軽減してくれることです。猫を撫でると心拍数や血圧が安定するといわれるほど、猫は飼い主さんの癒やしになってくれます。

妊娠中につわりで辛い時や、赤ちゃんの世話で精神的に参っている時に猫が飼い主さんの心を支えてくれることでしょう。赤ちゃんが生まれる前から猫を飼っている場合は特に、猫と飼い主さんの絆が飼い主さんの癒やしになり、子育ての励みになるのではないでしょうか。

赤ちゃんに兄弟ができたようになる

猫と赤ちゃんが同居することで、赤ちゃんに兄弟ができたようになります。赤ちゃんにとっていつもそばにいる猫は、自分にとって兄弟のような友人のようないい相棒になることでしょう。赤ちゃんがだんだん成長して、身体が大きくなると自分よりも小さな猫に対して優しさや思いやりを感じるようになり、豊かな心を育ててくれるのです。

子どもが命の尊さを学ぶ

子どもが猫と暮らすことで、人間とは違う「命」があることを知り、自分より弱い存在を慈しみ、いたわる心を身につけることができます。

ペットは人間よりも寿命が短いため、いつかは別れがやってきます。また、病気をしたり歳を取って動けなくなることもあります。いつもそばにいた愛おしい猫が弱っていく姿を見るのは辛いことですが、命の尊さを学ぶことができます。

猫の世話を通して子どもが責任感を学ぶ

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猫と赤ちゃんが同居することで「責任感」が生まれます。猫は自分で食事の支度をしてトイレ掃除することができません。飼い主さんが猫の世話をしている姿を見て子どもも猫の世話をしたがるでしょう。

はじめは水の交換など子どもができる世話をさせましょう。そういう経験を通じて、子どもは自分よりも小さなものへの責任感を学べます。また、動物は必ずしも飼い主の思い通りにはなりません。子どもにとってはなんでも思い通りにはならないということを経験できるのは良いことです。

猫と赤ちゃんが仲良く一緒に暮らすためには飼い主さんのケアが一番大切

猫と赤ちゃんが同居するためには飼い主さんが常に気を配っておく必要があります。普段から猫のブラッシングや爪切りをして清潔にしておくことと、室内飼いを徹底するのは赤ちゃんがいなくても重要なことですが、赤ちゃんが生まれたら特に注意がつようです。部屋をこまめに掃除することはもちろん、掃除だけではなく猫の気持ちに寄り添うことも大切です。

猫と赤ちゃんが一緒に暮らすために注意しなければならないことを理解してれば、妊娠中から猫との同居は問題ありません。飼い主さんにとっては愛する赤ちゃんと猫との毎日は幸せでかけがえない時間になるでしょう。