寒い季節になると、こたつと一緒にみかんが欲しくなりますよね。甘くて美味しいみかんを食べていると、愛犬が物欲しそうな目で見つめてくることもあるでしょう。そんな姿を見ると、ついあげたくなってしまいますよね。しかし、犬にみかんを与える際は、いくつか気を付けなければならないことがあります。愛犬と美味しいみかんを楽しむためにはどうすれば良いのか解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
みかんの栄養素と犬にもたらすメリット
こたつにみかん、鏡餅にみかんなど、いわば冬の風物詩のひとつとも言えるみかんですが、犬にはどういったメリットがあるのでしょうか。
たっぷりの果汁で水分補給が可能
みかんは約87%が水分で構成されています。冬は空気が乾燥しているため、愛犬の水分補給にはうってつけの食品です。
エネルギー源となる炭水化物が含まれる
炭水化物というと、ご飯やパンなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、みかんにも炭水化物が含まれます。みかんは、甘く水分が多いため、食欲がなくてもみかんなら食べられる、という子も多いでしょう。
その際、効率よくエネルギー摂取もできるため、体調不良の子にもうってつけの食品といえます。
ビタミン類が豊富でバランスが良い
みかんには、様々なビタミン類が含まれます。これらは、体の調子を整えるのに必要な栄養素です。しかし、ビタミンの種類によっては、熱や水に弱い性質を持つものがあります。
そのため、加工過程で損失することも多く、日常的な食生活では不足しやすいと言われています。しかし、みかんは生食が基本なので、ビタミンを壊すことなく摂取できるのが大きな魅力です。
また、ビタミン類のバランスも良く、様々な栄養を同時に摂取できるのが嬉しいですね。そのなかでも、特に注目したいビタミンを2種類紹介します。
- ビタミンA(βカロテン)
- ビタミンC
βカロテンとは、赤橙色の色素のことを指します。みかんの他に、人参などの赤く色づいた野菜に多く含まれています。
このβカロテンは、小腸で吸収された後、必要に応じてビタミンAに変換されます。
βカロテンやビタミンAは、抗酸化力が高いため、全身のアンチエイジングに効果があります。また、ガンの発症リスクを低減させたり、白内障などの目の病気を予防するなど、健康を維持するうえで様々な効果を発揮します。
美容成分として知られるビタミンCには、犬の毛並みや皮膚にハリを与えるだけでなく、免疫力アップの効果もあります。ビタミンCがたっぷり含まれているみかんを食べることで、美味しく体を丈夫にすることができるのです。
食物繊維でお腹の調子も整う
水溶性食物繊維のペクチンが含まれます。そのため、腸内にたまった老廃物を柔らかくし、排出しやすい状態にすることができます。
寒くなると、夏に比べて水を飲まない子も多いでしょう。
体内の水分が不足することで、乾燥するだけでなく、便も硬くなる傾向があります。そんなときにみかんを食べれば、お腹の調子が整い、便秘改善の効果が期待できますよ。
「犬や猫に柑橘類はNG」と言われるのはなぜ?
上述したように様々なメリットがあるみかんですが、犬をはじめ、猫に対しても「柑橘類は与えない方が良い」と言われることがあります。
健康に良い成分が多いにもかかわらず、なぜこのように言われてしまうのでしょうか。それは、以下のような問題点が原因だと考えられます。
過剰摂取による弊害
健康に良い栄養素が豊富だと言っても、摂りすぎてしまっては逆効果となる場合があります。人間と同じような感覚で与えないよう注意しましょう。
具体的に考えられる懸念は、以下の3つです。
ビタミンA中毒
目や皮膚などの健康を守り、免疫力アップにも効果があるビタミンAですが、過剰摂取すると中毒を起こす可能性があります。
症状は、食欲不振、赤血球数の減少、自然骨折など様々です。欠乏症を危惧して与えすぎると、逆に過剰症となる可能性があるため、みかんを与える量には気を付けましょう。
肥満
みかんの、カロリーと糖質は、以下のとおりです。
-
【100gあたり】
- カロリー:約45kcal
- 糖質:約11g
バナナや柿などの果物と比較しても、みかんはヘルシーな果物なので、ダイエット食品としても注目を集めています。
しかし、どんなにカロリーや糖質が少ないと言っても、食べ過ぎると過剰摂取になります。一口でパクパクと食べられるみかんは、その美味しさと食べやすさに、つい食べ過ぎてしまう子も多いでしょう。
「ヘルシーだから大丈夫」と油断していると、肥満になる可能性があります。
消化不良
水分が多いため、食べ過ぎるとお腹を冷やして下痢をする可能性があります。また、みかんの薄皮や白いすじなどは、あまり消化に良くないため、未消化のまま排泄されます。
便秘解消に効果があると思う人もいるかもしれませんが、消化されないまま出てくるものは、腸に負担をかける恐れがあります。
そのため、与える量だけでなく、与え方にも注意しなければなりません。
柑橘類のニオイが苦手
みかんの皮をはじめ、柑橘類の皮にはオイルが含まれています。このオイルを活用した洗剤やシャンプーなどがありますが、犬や猫はこのニオイが苦手なようです。
そのため、自分から皮付きのみかんに寄っていくことはないかもしれませんが、万が一皮ごと誤食してしまった場合、消化不良などの様々な弊害が見られる可能性があります。
犬にみかんを与えるときの注意点
犬にとって嬉しい栄養が豊富なみかんですが、与える際には注意が必要です。具体的にどういった点に気を付ければ良いのかを解説します。
みかんアレルギーに注意
なかには、みかんにアレルギーを持つ子がいます。アレルギー症状は、以下のようなものがあります。
- 湿疹
- 目の充血
- 下痢
- 嘔吐
- 元気がなくなる etc
初めてみかんを食べさせる場合は、急にアレルギーを発症することも考えられます。そのため、様子を見ながら少しずつ与えるようにしましょう。
また、アレルギー症状が見られたら、無理に吐かせるのではなく、動物病院に連絡をして必ず指示を仰いでください。
適量を与える
犬に食べさせても良い量は、体重や1日に必要なカロリーによって異なります。1日に必要なカロリーの10~20%程度がおやつのカロリーと言われているため、それを目安に愛犬に適した量を算出してください。
また、肥満傾向にある子や、お腹が緩い子は、体調に合わせて調整してあげましょう。
食べやすい状態で与える
犬は、自分でみかんの皮をむくことができません。元々食べ物を丸のみしてきた習性もあるため、小ぶりなみかんを一口で食べてしまう恐れもあります。
誤食は思わぬ事故を招くリスクがあるため、飼い主がきちんと食べやすい状態にして与えることが大切です。
みかんの皮やスジ、薄皮は取り除く
みかんを与える際は、果肉のみにするのが基本です。皮やスジ、薄皮は消化不良を招く恐れがあるため、必ず取り除いてあげましょう。
お腹を冷やさないよう常温で
冷蔵庫で冷やしたみかんや、シャリシャリとした食感が楽しい冷凍みかんなど、みかんはいろんな食べ方ができますよね。
しかし、冷えすぎたものを与えると、お腹を壊してしまう恐れがあります。そのため、できるだけ常温で与えましょう。
ちなみに、寒い日は常温でも冷蔵庫で冷やしたような冷たさになってしまうことがありますよね。そんなときは、焼きみかんを作ることをおすすめします。
皮ごと焼くことで、果肉のビタミン類が壊れにくくなるだけでなく、甘味も増します。また、みかんの食物繊維であるペクチンも、加熱をすることで吸収率がアップするので、より効率よく栄養を摂取することができますよ。
トースターなどでみかんを焼き、皮やなどを取れば、愛犬とともに甘く温かいみかんを楽しむことができますよ。
缶詰みかんは与えない
缶詰みかんは、薄皮や白いスジが取れているため、安心して与えられそうだと思いがちですよね。しかし、缶詰のシロップにたくさんの砂糖が入っているので、犬に与えるのはNGです。
「シロップを飲ませなければ良い」と思う人もいるかもしれませんが、シロップの味が果肉の方に浸透しているので、みかん自体も非常に甘くなっています。
フレッシュなみかんよりカロリーを過剰に摂取する恐れがあるため、犬には与えないのが無難です。
オレンジジュースは原材料を見て選ぶ
犬にオレンジジュースを飲ませることも可能ですが、その際に注意しなければならないのが、オレンジジュースの原材料です。
「果汁100%ジュース」という言葉を見ると、そのまま与えても大丈夫と思ってしまいますよね。しかし、実際のジュースは、果汁のみで構成されているものばかりではありません。
そのなかには香料や保存料などが添加されたものもあり、純粋な果汁だけの飲料ではないものも多いのです。愛犬にオレンジジュースを飲ませてあげたいのであれば、原材料に果物以外のものが書かれていないジュースを選びましょう。
人間用のゼリーを与えるときは量に注意
スーパーなどに販売されているゼリーも、犬に食べさせて大丈夫です。しかし、砂糖などの糖分が多く含まれているため、たくさん与えると肥満につながります。
つるんとした食感で美味しいですが、与える量には充分注意してください。その他、誤飲で問題になったこんにゃくゼリーについては、避けることをおすすめします。
愛犬に食べさせたい手作りみかん料理アイディア
フレッシュなみかんをそのまま食べさせても良いですが、たまには少しアレンジしたものを食べさせてあげたいですよね。
そこで、犬でも安心して食べられるようなアレンジ方法をいくつか紹介します。
薄皮ごとミキサーにかけた「みかんスープ」
薄皮や白いスジには、ポリフェノールの一種であるビタミンPが含まれます。ビタミンCの働きをサポートする役割があり、効率よく栄養を摂取することができるでしょう。
また、毛細血管の正常な働きを維持させ、高血圧予防や中性脂肪の分解も行ないます。そのため、できるだけ薄皮と白いスジも摂取した方が良いのですが、犬に与えると消化不良を起こす危険性があります。
そこで、なるべく腸に負担をかけないよう、ミキサーにかけて細かくしましょう。
茹でた人参も加えれば、栄養たっぷりのみかんスープになります。
ちなみに、人参にはビタミンAが含まれます。ビタミンAは、加熱することで吸収率がアップするため、人参を茹でて加えるというのがポイントです。
みかんにもビタミンAが含まれますが、果肉を加熱するとビタミンCの損失につながるため、フレッシュなまま調理することをおすすめします。
りんごとみかんを添えたドッグフードを与えるのもおすすめ
毎日同じドッグフードでは、愛犬も飽きてしまうでしょう。そんなときは、ドッグフードのうえに刻んだりんごとみかんを乗せてあげてはいかがでしょうか。
フルーティーな香りと甘味がプラスされ、食欲が増すかもしれませんよ。
デザートにほんのり甘いみかんゼリー
みかんはそれだけで十分な甘みがあるので、わざわざ砂糖を入れる必要はありません。みかんの甘みだけで作ったゼリーは、ヘルシーで犬にとって最適なおやつとなるでしょう。
みかんのみのゼリーに飽きたら、桃やりんごなど、別のフルーツを少し加えてみるのも良いかもしれませんね。
犬はみかん以外の柑橘類も食べて良い?
柑橘類は、みかん他にも様々な種類があります。それらは犬に食べさせても良いのでしょか。
ネーブルオレンジ
みかんと同じように、秋から春の寒い時期に出回るのが「ネーブル」という品種です。種がないため食べやすいですが、絞った果汁は、時間が経つと徐々に苦味が出てきます。
そのため、ジュースに加工するには不向きなオレンジです。犬もネーブルを食べても大丈夫ですが、食べさせるなら生の方が良いでしょう。
はっさく
はっさくも犬が食べても大丈夫な柑橘類です。しかし、みかんに比べて皮が厚く、種があるものが多いため、食べやすい状態にするのが少々大変かもしれませんね。
また、はっさくには独特の苦みがあります。かすかな苦味がはっさくの美味しさでもありますが、犬は甘味を好む動物なので、苦味があると知って嫌う子もいるかもしれませんね。
グレープフルーツ
グレープフルーツも食べられますが、はっさく同様厚い皮があるため、食べやすくしてあげる必要があります。
また、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」という成分は、薬との相性が悪いため、投薬中の犬には食べさせないようにしましょう。
キンカン
キンカンは、木から落ちて道に転がっていることも多いですよね。それをおもちゃにしたり、かじって少しずつ食べたりする子もいるでしょう。
犬がキンカンを食べるのは問題ありませんが、なかにはたくさんの種があります。生のまま食べると、消化不良や丸飲みの危険性があるため、できるだけ食べやすいよう加工してあげてください。
キンカンを半分に割り、種を取り出して少量の砂糖や蜂蜜で炊いてあげると、甘さ控えめの甘露煮ができますよ。
ライム
犬がライムを食べるのは問題ありませんが、酸味が強いので好んでたくさん食べる子はいないでしょう。
果肉をかじらせるより、水に果汁を少し絞り、爽快感のある水を飲ませてあげる方が良いかもしれませんね。
このように基本的には、犬に柑橘類を与えても大丈夫です。しかし、必ず食べやすい状態にして皮やスジごと与えないよう注意してあげてください。
また、スーパーでよく出回っている柑橘類のなかには、輸入品も多く見かけます。それらは、表面に防カビ剤が撒かれた状態で販売されているため、人間も同様ですが、そのまま食べると体に悪影響を及ぼす危険性があります。
果肉だけを食べさせるとしても、加工中に手についた少量の薬品が、果肉にもつく可能性があるため、皮をむく前に必ずよく洗いましょう。
実際のところ犬はみかんが好きなの?
甘くて美味しいみかんですが、実際に犬はみかんが好きな動物なのでしょうか。
みかん自体を嫌う子も多い
前述したように、みかんのニオイが苦手な子もたくさんいます。そのため、こたつの上にみかんを置いていても、寄り付こうともしない子もいるでしょう。
味は好きな子が多い
みかんの皮は、爽やかで柑橘類独特の香りがするため、苦手な子も多いですが、果肉の味は好きだという子もたくさんいます。
そのため、飼い主が食べている姿を見て、興味を持って寄ってくる子も多いでしょう。
みかんの味を覚えた子であれば、皮付きのみかんに対しても興味を持って寄ってくるかもしれませんね。
ゆるキャラのみかん犬は「犬=みかん好き」が由来ではない
愛媛県に「みきゃん」というゆるキャラがいます。みかんと犬をかけあわせた愛らしい姿から注目を集め、ゆるキャラグランプリでは上位に君臨するほどの人気があります。
グッズ販売もされ、全国的に知名度の高いゆるキャラですが、なぜみかんと犬の組み合わせなのかが気になりますよね。みきゃんのデザインは以下の2つが由来となっています。
・愛媛県の特産品がみかんであり、方言が「〇〇やけん」ということから、犬をかけている
・愛媛県の形が走る犬の姿に似ている
つまり、犬とみかんが密接な関係にあるからみきゃんが生まれた、というわけではないようです。
正しい量や与え方を守って愛犬と一緒に美味しいみかんを堪能しよう
甘くて美味しいみかんは、食べ始めるとついたくさん食べてしまいますよね。それと同じように、犬もその美味しさについ欲しがり続けてしまうことがあります。
しかし、みかんを食べるメリットがあるように、過剰摂取によるデメリットもあるため、飼い主は与える量をきちんと管理してあげることが大切です。
また、美味しいみかんを楽しむためには、与え方にもコツがあります。正しい与え方を守り、家族みんなで美味しいみかんを楽しみながら、冬の寒さに負けない体を作りましょう。