愛犬に日々のマッサージをすることで、こりをほぐしながら癒してあげることが健康維持に繋がります。しかし、犬の体の構造は人間と異なるため、どうマッサージをしたら良いか分からない人も多いですよねう。今回は、自宅でできる簡単なマッサージ法を紹介するとともに、より効果的にマッサージができるおすすめグッズも紹介します。
目次
部位別のマッサージ法
ツボや筋肉の関係などから、どこをマッサージするかで効果が表れる部分が異なります。ここでは、部位別のマッサージ法と、それによりどんな効果が期待できるのかを解説します。
今回参考にさせて頂いたのは、後ほど「おすすめのマッサージ本3選」でもご紹介するこちらです
頭部・首
【画像】ポペットフレンズのまなとくん
犬は鎖骨が退化しているため、頭を動かすとき、前足や背中などの筋肉も使います。そのため、それらの筋肉が密接になっている首の後ろが非常にこりやすく、疲れを感じている犬も多いといえます。
特に、頭が重い大型犬や、体が小さい小型犬は酷使している可能性が高いと言えるでしょう。
そこで、日々のスキンシップとしてマッサージをしてあげるのにおすすめの部位として頭部や首の疲れを取るマッサージを紹介します。
よりリラックスできるよう、耳や顔などのマッサージも紹介するので、ぜひ試してみてください。
参考書籍:メンテナンスドッグマッサージ<p46~59>
首の後ろ
首の後ろはご飯を食べる際や飼い主を見上げる場合など日常的にこりやすいため、しっかりほぐしてあげることでリラックスできるでしょう。
そこで、おすすめなのが以下の2つのマッサージです。慣れるまでは、少々大変かもしれませんが毎日実施することで愛犬の表情からきもちいいポイントが分かってくるようになりますよ。
- 料理で包丁を握るとき、添える手は丸めて「猫の手」にしますよね?それと同じような形の手を作り、犬の後頭部あたりをほぐします。
指先でギザギザの線を書くように動かしながらほぐすのがポイントです。
- お座りをさせた状態で犬の片肘を持ちあげ、肩甲骨の谷間を指圧します。できるだけ肩甲骨のきわを指圧するのが大切です。
- 第7胸椎と第8胸椎を指圧します。肩甲骨の背中側に第5胸椎が当たるので、そこから背骨をたどって2つ目と3つ目の骨です。
次のマッサージは、中・大型犬向きのマッサージです。頭部が重いことから疲労がたまりやすいので、しっかりほぐしてあげましょう。
- 頭部と首の骨の間に「環椎(かんつい)」と呼ばれる骨があります。そこから第8胸椎を目がけて片手でさすります。
- 首筋に両掌を当て、ゆっくりさすります。その辺りに板状筋と呼ばれる筋肉があるので、そこを伸ばすように意識すると良いですよ。
首の前
首の前側は、リードの衝撃によって筋肉が傷つき、疲労しやすい場所です。また、首周辺の筋肉は前足を動かす筋肉とつながっているため、首の疲労は歩行にも悪影響が出ます。そこで、首の前側の疲労を取るマッサージを紹介します。
【鎖骨頭筋(さこつとうきん)のマッサージ】
鎖骨頭筋は、上腕に近い部分にある筋肉です。
- 後頭部から胸骨柄(左右の上腕の間)までを、手の甲で優しく撫でます。
- 背後から両掌を顔に、親指は後頭骨稜(耳の付け根辺り)に添えます。しっかり犬の顔を包み込んだら、2秒に1回の速さで計3回、頭を後ろ側に倒します。
あまり角度をつけなくても、30°程度で大丈夫です。これで、首の前側の筋肉が伸ばせます。
- 前足の付け根内側を指で押さえ、2秒に1回の速さで肘を屈伸させます。3回くらい行なうと良いでしょう。
【胸骨舌骨筋(きょうこつぜっこつきん)のマッサージ】
胸骨舌骨筋は、首の前側中央にある筋肉です。
- 片手で犬の顎を支え、もう片手で上腕の間あたりにある胸骨柄(きょうこつへい)を確認します。
ポコッと突起しているので、触ると分かるでしょう。
- 胸骨柄の周りを、指先で円を描くようにしてほぐします。このとき、円の描き方を最後まで統一させるのがポイントです。
途中で逆方向に描くのはやめましょう。
- 下顎のくぼみを指先でつまむようにして押さえ、そこにある胸骨舌骨筋をもみほぐします。
小型犬向けの首マッサージ
様々な犬種のなかでも飼い主を見上げる動作が多いため、小型犬は首がこりやすくなります。そのため、日頃からマッサージをしてほぐしてあげることが大切です。
- 首前のときと同様に、胸骨柄の位置を確認し、指先で円を描くようにしてマッサージします。
- 胸骨柄のへりを、指先でなぞるようにして指圧します。
- 胸骨舌骨筋を指でつまむようにしてもみほぐします。
- 耳の付け根辺りに筋肉をほぐすツボが2つあるので、そこを指圧します。
耳
犬は聴力が発達しているため、音がする方に耳を傾けようとします。頻繁に耳を動かすことで、その周辺の筋肉が疲労するため、しっかりほぐしてあげましょう。
- 耳の付け根辺りに、2つのツボがあります。ひとつは、耳の穴の前にあるくぼみで、
もうひとつは、耳の付け根すぐ下にある頬骨耳介筋(きょうこつじかいきん)、頸耳介筋(けいじかいきん)、
耳下腺耳介筋(じかせんじかいきん)の3つが交わっている部分です。それぞれを1~5秒ほど指圧します。
- 耳をしっかり持って引っ張ります。最初は上に、次に尾の方向、前、横という風に、様々な方向に引っ張ることで、耳のストレッチができます。
目
眼精疲労に効くツボが4つあり、それらを刺激することで首や腰にも効果があります。
- 眉毛の目頭側に攅竹(さんちく)と呼ばれるツボがあります。そこを、骨に向かって軽く指圧します。
- 目頭の少し内側に、骨がくぼんだところがあります。そこが晴明(せいめい)と呼ばれるツボで、両目頭を押さえるようにして3秒揉みます。
鼻涙管の詰まりを改善できるため、涙が出やすい子や、鼻が乾きやすい子にもおすすめのツボです。
- 黒目の真下にある承泣(しょうきゅう)と呼ばれるツボを、骨に向かって指圧します。
- 眉間にある印堂(いんどう)を指圧します。
顔全体
硬いものを食べたり、噛み応えのあるおもちゃで遊んだりすると、顔の筋肉が疲労します。そんなときは、以下のマッサージを試してみてください。
- 頬骨の下に膨らみがあるので、そこを指3本でゆっくりストロークします。
- 耳の付け根と目の間くらいに側頭筋があるので、3~10秒指圧します。
腰・背中
腰やお尻のあたりは、こりに気づきにくいことから、様々なトラブルに発展しやすい場所です。
なかには、皮膚をつまんでも伸びないくらいガチガチになっている子もたくさんいます。
健康な皮膚は適度に柔軟性があるため、皮膚の伸縮状態をチェックしながら病気やケガを防ぐため、しっかりこりを取ってあげましょう。
参考書籍:メンテナンスドッグマッサージ<p60~61>
- 尻尾の付け根あたりに中殿筋(ちゅうでんきん)という筋肉があります。そこを腸骨からはがすようなイメージで、4本の指をスライドさせます。
- 後足の付け根になる大転子から、筋肉をはがすように親指をスライドさせます。
- 中殿筋と腸骨の付着部に指を置き、そのまま後足を3回屈伸させます。2秒に1回くらいの速さで行ないましょう。
- 尻尾付近にある浅殿筋に指を置き、2秒に1回の速さで屈伸させます
股間
未去勢や去勢が遅かったオス犬は、陰茎骨と呼ばれる骨が発達します。そのため、骨がどんどん下に下にと重くなり、股間周辺の筋肉がこるので、オス犬を飼っている人はマッサージをしてあげてください。
参考書籍:メンテナンスドッグマッサージ<p64>
- 陰茎部付け根左右をさすります。
- 陰茎部、陰嚢の付け根左右を軽く指圧します。
膝
体が重い大型犬や、筋力が衰えてくるシニア犬などは、膝のトラブルも多発しやすい傾向があります。
そのため、ちょっとしたこりや疲労が、大怪我のもとになる可能性もあるのです。愛犬の健康を守るため、ぜひ実践してほしいマッサージ法を紹介します。
- 恥骨付近にある腹直筋を3秒ほど指圧します。
- みぞおちや横隔膜のラインをさすります。
- 肋骨に向かって4本の指を添え、3秒ほど指圧します。
- 恥骨と後足付け根の間くらいにある内転筋を軽く指圧し、マッサージします。
- 「腰・背中」で紹介した中殿筋と浅殿筋のマッサージを行ないます。
- つま先を屈伸させたり、指を1本ずつウェーブさせるようにひねり、つま先全体をほぐします。
- 足の甲の腱を横切るようにマッサージします。軽い圧力で、足の甲と裏を、それぞれ10回ずつ行ないます。
- 膝蓋骨あたりの腱をつまんだり、指でさすったりしてマッサージします。
- 膝上の腱を指で押さえながら屈伸させます。
工程が多いので少々大変ですが、このマッサージを行なうことで膝のこりだけでなく、慢性的な痛みなどの改善も期待できますよ。
参考書籍:メンテナンスドッグマッサージ<p66~68>
肩
肩は、リードによるこりがきっかけになりやすい特徴があります。
そのため、立ち姿が変になったり、気づかないうちに肩を脱臼したりなどの事態に発展する恐れがあるため、マッサージでしっかりこりをほぐしてあげましょう。
- 前足の片方を持ち、付け根にある筋肉を指圧します。
- 上腕骨内側に指先を当て、軽く圧をかけます。
肩周辺は筋肉の種類が多く、それぞれをほぐそうと思うと大変です。
しかし、この方法であれば、肩甲下筋、広背筋、大円筋、新胸筋の4つを一気に緩ませることができるので、ほぐすというよりさすったり圧をかけるくらいのところからぜひ試してみてください。
参考書籍:メンテナンスドッグマッサージ<p73>
指先
手のマッサージは、上腕や肘だけでなく、指先や足裏の肉球など、様々なマッサージポイントがあります。今回は、以下の3ヶ所に分けてマッサージ法を紹介します。
参考書籍:メンテナンスドッグマッサージ<p76~81>
前肢
- 前足を軽く曲げ、肘関節を軽くマッサージします。
- 肘と足裏の間くらいにある副手根骨の付け根を、軽く指圧したりこすったりして緩めます。
- 肉球と肉球の間に、軽く圧をかけてマッサージします。
後肢
- 後足の甲を、小さな円を描くようにマッサージします。
- かかと部分から肉球に向かって、ジグザグの線を描くようにマッサージします。
- かかとの辺りにある腱をつまみます。
爪
- 爪の根元を1本ずつつまむようにして揉みます。
- 指を軽く引っ張ったり、曲げ伸ばしたりして柔軟にします。
毎日のお散歩後に足を拭いてあげる際に、少しスキンシップの時間をとって指先のマッサージをしてあげるのもおすすめです。
愛犬がとろけるようなアロマテラピーができるおすすめマッサージオイル3選
マッサージの際にマッサージオイルを使用すると、香りによってリラックスできるだけでなく、保湿効果も得られます。
愛犬を入念にマッサージするときに使いたい、という人のために、おすすめのマッサージオイルを3つ紹介します。
ニームアロマクリーン(ラベンダー)
お風呂が苦手な子や体臭が気になるときなど、簡単にお手入れできる商品です。爽やかなラベンダーの香りが、不安や緊張などでストレスを感じている子の心も和らげてくれるでしょう。
マッサージ前に体に吹きかけ、体になじませるようにマッサージしてあげれば、あまりの気持ち良さに眠ってしまうかもしれませんね。
動物用アロマオイルIM-02
犬だけでなく、猫やうさぎなどにも使用できるアロマオイルです。ストレス緩和や食欲減退の改善、免疫力アップなどに効果があります。
少量を手に取り、オイルを温めてマッサージを行なってあげてください。
ティーツリーケア
天然ハーブを使用しており、ノミやダニなどの皮膚トラブルにも効果があります。ハーブの香りがしっかり感じられるため、ニオイが気になる小屋などに軽く吹きかけてみるのもおすすめです。
マッサージ前に愛犬の体にプッシュし、なじませるようにマッサージしましょう。
愛犬のマッサージ前に読んでおきたいおすすめのマッサージ本3選
マッサージ本が1冊あれば、その日の気分でどんなマッサージをするかを選べたり、やり方を確認したりできますよね。
そこで、内容が分かりやすいおすすめのマッサージ本を3冊紹介します。
イヌなで
初心者向けのマッサージ本です。犬の可愛い写真とともに、マッサージのやり方が分かりやすく解説されています。
著者はドッグセラピストのプロazi(あぢ)さんです。プロにマッサージをされているような気持ち良さを、自宅でも体感させてあげたい、という人にはうってつけの本ですね。
バランス・ドッグマッサージ・ハンディテキスト
マッサージで癒しを与えるだけでなく、トレーニングでも直すのが大変な噛み癖なども改善させてしまう、魔法のようなマッサージ方法が書かれています。
イラストでの説明が分かりやすいと人気の1冊です。体だけでなく、心にも効くマッサージを行なうことで、愛犬との関係も良いものになりそうですね。
愛犬に困った癖がある、という人には、ぜひ手に取ってほしいおすすめの本です。
メンテナンスドッグマッサージ
文頭でもご紹介したこちらは、ドッグセラピストやアロマテラピーインストラクターなどの資格を持つ櫻井裕子さん著書のマッサージ本です。
ドッグマッサージの登録商標は日本初で、彼女が開くメッテナンスドッグマッサージは、全国から受講者が集まるほど人気です。
写真やイラスト付きで非常に分かりやすく、基本的なマッサージ法に加え、より効果的な裏技も紹介されているため、マッサージが初めての人でも挑戦しやすいでしょう。
愛犬が喜ぶマッサージ法が分かるおすすめ動画5選
マッサージで癒されている犬の様子は、無防備でとても愛らしいですよね。なかには、見ているだけで癒される、という人もいるのではないでしょうか。
そんな人におすすめの犬動画を、5つ紹介します。
パパのマッサージが大好きな姉チワワのチョッピと唯一出来る芸3連発w
飼い主にかまってもらってすっかりリラックスムードのチワワの動画です。最初はお座りをしていたにもかかわらず、突然寝転んで飼い主に甘えます。
まるで「もっとマッサージをして!」と訴えているようですね。リラックスしつつ、飼い主から出される芸の指示をしっかり聞いているところも、とても癒されます。
寝るほどリラックス ペットマッサージ
最初は落ち着きのない様子でしたが、マッサージを始めて3分後には、目がうとうとし始めます。このギャップがなんとも可愛らしいですね。
よほどマッサージが気持ち良かったのでしょう。こんなに気持ちよさそうな姿が見られるのであれば、愛犬にマッサージをしてあげたい気持ちがより強くなりますね。
柴犬小春 【ムニムニ脱力系】足裏クリームで肉球マッサージにメロメロ^^
マッサージクリームを使った肉球マッサージの動画です。飼い主に寄りかかってリラックスしている姿が、とても可愛らしいですね。
寝る前のマッサージにうっとり
毎日おばあさんにマッサージをしてもらってから寝るのが日課なようです。軽くストレッチをした後、首回りのマッサージをしています。
マッサージ後も、まだやってほしそうに寝転がったままでいる姿が、とても可愛らしく印象的です。
きっと、マッサージだけでなく、おばあさんの手の感触や声も心地良かったのでしょう。犬からおばあさんが大好きな気持ちが伝わってくるようです。
パパのマッサージ機でマッサージされる柴犬
パパのマッサージ機でマッサージされる我が家の最低な犬をお納めください。 pic.twitter.com/ewBEuQcwDj
— Hinako (@sunny_smile__) May 28, 2017
枕型のマッサージ機に頭を乗せている柴犬の動画です。よほど気持ち良かったのでしょう、今にも寝落ちしそうな目をしていますね。
マッサージ機を開発したメーカーも、犬がマッサージ機を使って、至福のひと時を感じているとは予想しなかったことでしょう。
可愛いけれど、思わず笑ってしまいますね。
マッサージをして愛犬とスキンシップを取ろう
マッサージは、犬にとって癒しになるだけでなく、体の不調も取り除いてくれる効果があります。
そのため、適切な部位をマッサージすることで、今まで見られていた不調が改善することも期待できます。
また、マッサージで愛犬に触れ合うことでスキンシップが図れるので、愛犬だけでなく飼い主にもリラックス効果があり双方がリフレッシュするのにも役立ちます。
このように、マッサージにはたくさんのメリットがあるので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。