糖尿病といえば私たち人間における生活習慣病のひとつというイメージがありますが、近年では糖尿病を発症する犬も増えているといいます。人との生活のなかで食べ物が変化してきており、運動量も大きく影響していると考えられます。今回は、そんな犬の糖尿病について原因や症状、検査方法や治療方法などについて詳しく見てみましょう。糖尿病対策におすすめのサプリやおやつもチェックしてみます。
目次
犬の糖尿病、原因と症状は?
犬の糖尿病、考えられる原因には何があるのでしょうか?また、糖尿病によって現れる症状についても紹介しましょう。
糖尿病の原因は主に5つ
犬の糖尿病、原因は主に5つが挙げられます。
インスリンの分泌低下
尿に糖が出てきてしまう糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの低下によって起きると考えられています。このインスリンの状態が、減少していくのか働きにくくなるかという違いから、Ⅰ型とⅡ型の糖尿病に分けることができます。
インスリンの分泌が減少していくⅠ型糖尿病の犬が多く、その場合は、一生涯に渡ってインスリンの投与が必要になるため身体面での負担が大きくなると言えるでしょう。一方のⅡ型糖尿病に関しては、膵臓でインスリンが分泌されていても体の反応が鈍くなることで、うまく機能しなくなります。
このように、糖尿病における原因の多くはインスリンの存在に影響されているのです。
遺伝性の場合もある
糖尿病の原因には、遺伝が関係している場合もあります。遺伝という点から見ると、犬種においてはプードルやダックスフンド、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードなどがかかりやすくなっています。
また、犬種だけでなく、性別によっても糖尿病を発症する確率は異なります。オスよりもメスの方が糖尿病にかかりやすいという傾向も見られています。
高齢になるとかかりやすくなる
年を重ねていくなかで、一般的に病気を発症する確率は高まりますが、糖尿病もそのひとつと言えます。実際に糖尿病にかかっている犬の年齢を見てみると、高齢になるほど確率が高くなっています。
特に、8歳前後という年齢が、糖尿病を発症しやすいとされています。ただ、高齢な犬だけではなく、若くても発症する可能性はあるので、糖尿病の原因のひとつとして高齢も当てはまるということを理解しておきましょう。
肥満体型も危険
人間でも肥満は様々な病気を招くとされていますが、犬においても肥満は糖尿病にかかる確率が高まります。実際に糖尿病を発症する犬の多くは、肥満体型が当てはまるとも言えます。糖質や炭水化物を多く摂取していると、高血糖な状態が続くことになり、糖尿病の症状も悪化していきます。
体が重たくなってくると運動不足にもなるため、肥満体型は早めに対策を取っておかないと症状を進行させるばかりといえるでしょう。愛犬を可愛がるあまり、おやつや食事をたっぷり与えたくなりますが、愛犬の健康を思って体重管理をしてあげる必要があるのです。
ストレスも糖尿病の原因に
ストレスは、様々な病気を引き起こします。そのひとつに糖尿病も含まれており、ストレスを多く抱えている犬は、ストレスを感じていない犬に比べて糖尿病を発症しやすくなっています。
ストレスを受けているとホルモンバランスにも乱れが生じるため、糖尿病の症状も進行しやすいです。ストレスが蓄積されると血糖値が上昇し、高血糖な状態が続くことから糖尿病の発症や進行を招きます。目に見えないストレスは、日頃から溜めないように心がけたいですね。
糖尿病によって現れる症状とは?
糖尿病の原因は、生活習慣病といわれるその名の通り、日常生活に潜んでいる部分が多いです。では、糖尿病にかかると、どのような症状が現れるのでしょうか?症状についての知識も深め、愛犬が糖尿病になっていないか確認してみましょう。
多飲多尿
糖尿病の症状のひとつに、多飲多尿が挙げられます。多飲多尿は糖尿病における初期症状となっており、水を多く飲み、尿の回数も多いことはよいことのように思えるため、飼い主も糖尿病になっていると気づきにくいようです。
また、水をよく飲むという症状からは、糖尿病以外にアレルギーや消化器疾患などが原因の場合もあります。糖尿病における初期症状である多飲多尿に関しては、愛犬の様子をまめに確認しながら、心当たりがある場合は早めに医師に相談するとよいでしょう。
食欲はあるが体重が減る
多飲多尿という症状と同じ時期に起こりやすいとされているものに、食欲はあるのに体重が減るという症状があります。体重を頻繁に測ることがなければ気づくのは難しく、食欲があるのは健康の証とも思えるため、発見が遅くなりがちです。
早く愛犬の糖尿病に気づくためには、健康チェックを兼ねて定期的に体重を計っておくのもよいでしょう。明らかに体重が減っているときは、早めに動物病院で相談することをおすすめします。
食欲や気力がなくなる
食欲や気力がなくなり、日中もだるそうに過ごしていることが増えたら、糖尿病の症状が進行していると考えられます。糖尿病の症状が進行することで、血液中にケトン体という有害物質が増えます。ここからケトアシドーシスという状態に陥り、食欲や気力がなくなっていきます。
糖尿病が明らかに進行しているサインであるため、このような症状が見られたら早めに獣医師に相談しましょう。
嘔吐や下痢
食欲や気力がなくなると同時に、嘔吐や下痢の症状が見られるケースもあります。嘔吐や下痢といった症状が見られると、飼い主としても愛犬の様子がおかしいと気づくことができるでしょう。
しかし、この段階で気づいたときには糖尿病の症状が進行している状態のため、すぐに診察を受けて、今後の対策法についての指示を仰ぐ必要があります。
重症になると神経障害を引き起こすことも
糖尿病による症状が重症になると、神経障害を引き起こすこともあります。昏睡状態に陥ることもあり、最悪の場合は死に至ります。神経障害には、歩行障害や反射の低下、つま先を引きずるようにして歩くなどの異変があります。糖尿病と長く付き合っていくなかで見られる症状となっており、神経障害に対する有効な治療法はまだありません。
神経障害の他に白内障や他の臓器の疾患を招く場合もあるので、糖尿病かなと感じる症状に心当たりがある飼い主は、専門家の判断を仰ぎましょう。そのうち治るかなと安易に見過ごしてしまうのは危険です。
犬の糖尿病を検査するキットや費用とは?
犬の糖尿病は早期発見が重要と言えるなかで、自宅で気軽に検査ができるキットが登場しています。病院嫌いで連れて行くことができない場合にも、この検査キットがあれば健康チェックを行なうことができます。
自宅で糖尿病の検査ができる「愛犬健康チェッカー」
「愛犬健康チェッカー」と呼ばれる検査キットを使うと、糖尿病の検査ができます。犬のおしっこから検査ができるキットになっており、糖尿病だけでなくガンにかかっていないかといったチェックもできるすぐれ物です。
採尿したものをポストへ投函してから、2週間ほどで手元に検査結果が届くという仕組みになっています。ガンや炎症のマーカーとなる「アセスミン」をチェックすることで、どのような病気にかかっているのかを突き止めることができます。
キットのセット内容として、スポイトや採尿カップ、ビニール袋などが一通り揃っているので、これさえあれば愛犬の健康チェックを気軽に実践できるでしょう。
糖尿病検査にかかる費用はどれぐらい?
糖尿病をはじめとした様々な病気の検査が気軽にできるキットは、通販で購入できます。価格は、15,000円ほどとなっています。
では、病院で糖尿病の検査を受ける場合には、どれぐらいの費用がかかるのでしょうか?
手軽に受けられる血液検査については、検査を行なう項目の数にもよりますが、1,000円前後で受けられる場合が多いようです。
ただし、最初の検査のときには細かい部分も確認するため、もう少し費用は発生すると思ってよいでしょう。
価格の差は歴然ですが、愛犬の状態や性格によって病院を受診するか、検査キットを利用するか判断してもいいでしょう。
犬の糖尿病ではどのような治療方法がある?
愛犬が糖尿病を発症しているというとき、少しでも早く症状を改善してあげたいと考える飼い主は多いでしょう。そこで、犬の糖尿病の治療法について、解説します。
食事療法
人の糖尿病治療においても用いられる食事療法は、犬の糖尿病にとっても有効です。犬にとっての食事療法とは、フードの選択と見直しになります。
フードを選ぶ上で重要となるのが、食後の血糖値の変動をできるだけ抑えることです。食後の血糖値は炭水化物にとって上昇するため、炭水化物の割合が少なめのフードを選んだり、消化をスムーズにしてくれる種類の炭水化物を選ぶことがおすすめです。また、食物繊維をしっかり摂取して、消化・吸収の速度を緩やかにするという方法もよいでしょう。
また、フードによっては炭水化物の量を抑えているだけでなく、脂肪も減らしてあるものがあるので、食事療法に活用してみましょう。
最近では、糖尿病の管理に特化したドッグフードなども手軽に購入することが出来ます。例えば、糖尿病用ドッグフードとして、以下のような商品があります。
- プリスクリプション・ダイエット 療法食 WD小粒
画像引用:Amazon
低脂肪・低カロリーにこだわり、豊富な食物繊維で満腹感も得ながら糖尿病の管理ができるドッグフードになります。脂肪の代謝アップや筋肉量を維持するために、L-カルニチンも配合されています。
獣医師の指導のもと、適切な量を与えることで糖尿病の改善を図ることができる商品となっています。
運動療法
糖尿病では、食事療法だけでは症状が改善されません。食事療法と合わせて、運動療法を行なう必要もあります。犬は、毎日の散歩が必要で、体を動かすことが大好きな動物です。
しかし、糖尿病の症状が進行すると、肥満体型になってしまったり体を動かすことを億劫に感じてしまうことがあります。ここから運動不足になってしまう恐れがあるため、飼い主が意識して愛犬の運動量を増やしてあげることが大切になるでしょう。
いつもの散歩を10分増やしてみる、休日には公園へ行き活発に遊ぶといったように、愛犬の運動量を少しずつ増やしていけると糖尿病における運動療法が順調に進みます。毎日の生活のなかで少しずつ体を動かす機会を作り、愛犬の糖尿病治療が進められるとよいでしょう。
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糖尿病治療において行なう食事療法や運動療法は定番となっていますが、症状が進行してくるとインスリンの投与が始まります。血糖値をインスリンによってコントロールする必要が出てくる段階まで来ているということでもあり、愛犬の体調面ではいつも気をつけておく必
要も出てきます。
インスリンの投与は、犬の糖尿病の状態によって量を決定します。尿検査と血液検査によって投与量を決定したら、病院に通いながらまたは数日間入院をして治療を受けます。
高くなっている血糖値を抑えるために行なわれるインスリン注射は、犬の体調面を考慮しながら進めていくので、しばらくの間は通院することになるという点を覚えておきましょう。
インスリン注射は病院によって費用は異なるものの、平均すると毎月20,000~30,000円かかる計算になります。一度糖尿病を発症したらインスリン注射は続ける必要があるため、治療費にはまとまった費用が必要であることも理解できるでしょう。病院で治療内容についての説明を受ける際に、費用に関しても尋ねておくと安心です。
また、こういったリスクに備えて最近では愛犬の保険に入っている飼い主も増えています。
犬の保険に加入するタイミングは?おすすめ6会社の特徴をそれぞれ見てみよう犬の糖尿病に有効なサプリメントやおやつ6選
犬の糖尿病では、食事療法や運動療法、インスリン投与といった治療が欠かせなくなります。そのなかでも美味しく食べながら症状を改善できるとよりよいでしょう。そこで、糖尿病への効果が期待できるサプリメントやおやつを紹介します。
犬用イヌリン・サプリ
画像引用:楽天市場
今、糖尿病改善には、イヌリンという成分が有効と話題になっています。糖質や脂質を摂り過ぎて太ってしまった犬にもおすすめのサプリメントです。
無農薬栽培された菊芋を使用しているため、毎日安心して与えることができるでしょう。腸内環境を整えてくれたり、年齢とともに衰えていく体を若々しく健康的に保ってくれる効果も期待できます。
こちらのサプリメントは、使用方法も簡単なのでおすすめです。いつものフードに混ぜたり、直接口のなかに入れたり、細かく砕いてフードにかけたりといったように、愛犬が喜んで摂取してくれるように配慮されているのです。腸内環境が改善されて老廃物もすっきり排出できるようになるので、糖尿病の症状も悪化させずに済むでしょう。
B・S・L 犬猫用サプリメント
画像引用:Amazon
犬と猫の両方におすすめの糖尿病対策サプリメントが、こちらのB・S・Lです。継続して摂取することで、インスリンの注射を減らすことができるかもしれないと言われているサプリメントです。
粉末タイプのサプリメントなので、愛犬に与える際にはフードにふりかけるとよいでしょう。ふりかける量は、体重5kgに対してティースプーン一杯弱となっています。粉末タイプは、量をきちんと測った上で利用するようにしましょう。
B・S・Lには、愛犬の糖尿病の症状を改善してくれる有効成分もたっぷりと入っています。オイスターや朝鮮人参、食物繊維、マッシュルームエキス、ビタミンB群などと、成分のひとつひとつが糖尿病にしっかりと働きかけてくれるでしょう。定期的に血糖値を図りながら、状態がどのように変わっているか確認しておくと安心です。
ビガープラス for Dogs プレミアムアルファ
画像引用:ビガープラス公式サイト
犬のあらゆる生活習慣病に働きかけてくれるサプリメントが、「ビガープラス for Dogs プレミアムアルファ」です。プロポリスとアガリクスを配合し、愛犬の免疫力を高めてくれます。主にがん治療のために有効と紹介されているサプリメントですが、体の免疫力を高めて状態を整えてくれるという点から、糖尿病にも効果が期待できます。
プロポリスに含まれる数種類のフラノボイドや、アガリクスに含まれるβグルカンが弱っている体をしっかりサポートしてくれます。プロポリスとアガリクス以外には、ムラサキイモや米粉、ビール酵母、チキンエキスなども配合されているので、毎日のフードにかけるだけで若々しい体へ導いてくれるでしょう。
ビガープラス for Dogs プレミアムアルファをふりかける量は体重によって異なるため、愛犬の体重をチェックした上で正しい量を使用するようにしましょう。
おやつは糖尿病対策ができるものを
愛犬の糖尿病対策を行なっていくうえで、おやつは厳禁と思ってしまいがちですよね。しかし、たまには愛犬におやつの楽しみを体験させてあげたい、美味しいものを食べさせたいと願う飼い主も多いはずです。そこで、おやつを選ぶ際にも糖尿病対策ができるものに注目してみましょう。
肥満対策にもおすすめのメタボリックス ビスケット
画像引用:Amazon
病気や一人ひとりの体調などを考慮して様々なフードを展開しているヒルズから、肥満や糖尿病対策のときにも安心して食べられるおやつが登場しました。それが、「メタボリックス ビスケット」です。
体重の減量と体脂肪率を健康的に保つために開発されたビスケットであり、糖尿病の症状改善にも効果が期待できます。食物繊維をたっぷりと配合してあるので、少量でも満腹感を得られるようになっているのがポイントです。原材料にこだわり低カロリーに仕上がったビスケットですが、犬が喜ぶ美味しさにも仕上がっています。美味しく食べながら体重のコントロールができる、素晴らしいおやつと言えるでしょう。
糖質の少ない野菜もおやつにおすすめ
糖尿病でもたまには愛犬におやつを与えたいというとき、市販の犬用おやつを探すだけでなく、身近な野菜をおやつとして与えることも可能です。ポイントは、水分を多く含み、糖質の少ない野菜を選ぶことです。おやつに向いている野菜と向いていない野菜を、一部挙げてみましょう。
おやつに向いている野菜
- きゅうり
- キャベツ
- ブロッコリーなど
おやつに向いていない野菜
- かぼちゃ
- じゃがいも
- さつまいもなど
野菜なら安心して犬に与えられるので、糖尿病でも食べられる種類を選んでおやつに利用してみましょう。
美味しく糖尿病対策を!フラボノジャーキー5
画像引用:JA芸南公式サイト
JA芸南と近畿大学の共同開発によって誕生した、犬用おやつのジャーキーです。近年、肥満や糖尿病を発症する犬が増えていることから、犬の健康を守るために地元の特産品であるレモンの果皮を使って作られました。
レモンの果皮にはフラノボイドというポリフェノールの一種が含まれており、継続して摂取することで新陳代謝アップが期待できます。老廃物をすっきりと排出し、体の機能を高めてくれる働きがあります。
肥満対策になるだけでなく、便臭や体臭の改善にも有効とされています。レモンをたっぷり使っていますが、ジャーキー自体には酸味やレモンの香りは感じられません。そのため、愛犬もおやつにジャーキーを食べられると、喜んでくれるでしょう。
犬の糖尿病と付き合っていくために押さえておきたいポイント
犬の糖尿病と付き合っていくためには、飼い主が糖尿病の知識を深め、愛犬の健康状態をきちんと把握しておくことが大切です。まずは、以下の2点を押さえながら糖尿病対策を始めましょう。
食事内容の見直しは必須
糖尿病と付き合っていくうえで、食事内容の見直しは必須です。今のフードを見直したり、量は適量か、原材料は安心できるかといった点に注目してみましょう。炭水化物や脂質の割合に注目するだけでも、毎日の食事で糖尿病対策が実践できます。
運動量を増やすことも始めよう
運動療法という治療法がありますが、日頃から運動量を増やしておくのもよいでしょう。室内犬の場合は、家のなかを自由に歩けるようにしてあげたり、公園に積極的に出かけるなどの方法を取ることで、日頃の運動不足を解消できるでしょう。
意識して運動量を増やすことで、糖尿病の悪化を予防できます。
日々の対策を続けながら愛犬の糖尿病予防を!
愛犬が糖尿病になってしまったら、それを改善させたり対処してあげられるのは飼い主のみです。フードの見直しや運動療法、具体的な治療内容などを理解し、愛犬と一緒になって糖尿病と闘うことになります。
糖尿病は日常生活の見直しが最も重要とされていおり、人間だけでなく犬の食生活にも多くのリスクが潜んでいます。まだ未病段階のうちに、これまでの生活を振り返って明日以降の日常に役立ててみましょう。