街で時折目にする補助犬、障害のある人の隣にぴったりと寄り添ってサポートしている姿は胸を打たれます。お互いがよきパートナー同士である様子も伝わってきます。その補助犬について、みなさんはどんなことを知っていますか?ここでは補助犬について、種類や仕事内容などを詳しく紹介します。補助犬についての知識を深め、自分にできることについても考えてみてはいかがでしょうか。
目次
補助犬ってどんな犬?
補助犬とはどんな犬のことでしょうか?補助犬の種類や訓練内容について見てみましょう。
補助犬には3つの種類がある
補助犬というと、3つの種類があるのをご存知ですか?
視覚障害者を安全な生活へと導く盲導犬
視覚に障害のある方をいつもそばでサポートしてくれるのは、盲導犬です。目が見えない人にとっては、健常者のように普通の生活を送ること自体がとても大変です。
まして外出するとなると、周りから聞こえてくる音のみを頼りにしながらなので、恐怖と不安でいっぱいになるでしょう。
そんな方たちをいつも隣で支えてくれるのが盲導犬なのです。段差があるときには事前に止まるなどして教えてくれ、信号待ちや障害物があるときには、ぶつかってしまわないように助けてくれます。目の不自由な人と一緒にバスや電車などの公共の乗り物に乗ることもあります。
肢体不自由者の手足として活動する介助犬
介助犬とは、体が不自由な方の生活をサポートしてくれる犬のことを指します。落としたものを拾ったり、指示されたものを持ってきたり、思うように身体を動かせない人のためにいろんなことを手伝ってくれます。
介助犬の指示語は英語になっており、動詞は約60語、名詞は約30語あります。介助犬になるために訓練している犬たちは、言葉とその意味をしっかり理解して行動するように訓練されています。
聴覚障害者へ音を知らせる聴導犬
聴覚に障害をお持ちの方のサポートをする補助犬は、聴導犬と呼ばれます。耳の不自由な人に音を知らせるため、ボディタッチをするなど動作を使って知らせます。
玄関のチャイムの音、電話の音、目覚まし時計の音など、毎日の生活の中で溢れている音が、どこから聞こえているのかを誘導して伝えてくれます。
音が聞こえないと、自分の周りに起きている危険に気づくのも遅れてしまいます。そのような事態が起きないように、常に聴導犬がそばにいて助けてくれるのです。
補助犬に選ばれる犬種とは
補助犬には盲導犬、介助犬、聴導犬と3種類あることをお話しましたが、このように人に寄り添ってサポートできる補助犬として選ばれる犬種は決まっています。以下の犬種が、補助犬として選ばれます。
- 盲導犬に向いている犬種
- 介助犬に向いている犬種
- 聴導犬に向いている犬種
ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリーバー、ラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリバーのミックス犬
犬種は決まっていないもののラブラドールレトリーバーが圧倒的に多いです。しかし、健康的で穏やか、集中力のある犬なら、どんな犬種でも介助犬になることができます。
聴導犬も介助犬と同じように、犬種は決まっていません。音によく反応し、人懐っこい犬であれば訓練をして、聴導犬になることができます。聴導犬として活躍している犬は大型犬から小型犬まで幅広いです。
補助犬はどんな訓練を受けている?
補助犬の訓練は、4段階で進んでいきます。
日々学びながら、使用者と一緒に生活をするといった形態になります。また、定期的に使用者から報告を受け、さらに訓練や指導を行なう場合もあります。使用者と一緒に生活をしながら、補助犬としてさらに成長するため努力を重ねるのです。
補助犬の仕事内容とは
補助犬は一定期間、しっかりと訓練を受け、必要としている人のそばで共に生活をします。そんな補助犬の仕事内容は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
日常生活のあらゆることをサポートしてくれる
補助犬は、身体が不自由な人の目や耳となり、そばで支えてくれる存在です。よって、サポートする内容も多岐に渡ります。日常生活全般となるので、朝起きてから夜寝るまで使用者と一緒に過ごします。
道路を一緒に歩き、公共の交通機関なども利用しますし、買い物や施設に入る際にも同伴します。片時もそばを離れずに手助けをするというのが、補助犬の仕事です。
こうして仕事内容を理解していくと、補助犬たちの仕事は幅広いだけでなく長時間に渡ることも理解できるでしょう。
緊急時にもしっかり対応できる
補助犬は、緊急時にもしっかり対応できるよう訓練されています。緊急事態が発生した際に電話を持ってきたり、障害のある人を誘導して安全な場所へ連れて行くなど、いつもと違う状態でもすぐに対応できるように鍛えられています。
いざというときにも人の助けとなるよう、常に努力を重ねているのが補助犬なのです。
補助犬に関する法律や決まりごとについて
補助犬法
補助犬法という法律があり、お店や病院などの施設において補助犬たちの同伴受け入れを義務付けるという内容になっています。実際に犬が入ることのできない場所もあるため、身体の不自由な人にとっては常に補助犬が必要であることを理解してもらうために制定されました。
今では補助犬を受け入れている施設やお店も多くなりましたが、障害のある人が快適に生活をしようと思ったら、まだまだ補助犬法を浸透させる必要はあります。
人々に理解してもらうために必要な補助犬マーク
補助犬マークは、補助犬法の啓発のために作られたマークです。公共施設や交通機関、スーパーやホテル、デパートといった場所では、補助犬の同伴を受け入れる必要があります。補助犬であると理解してもらうためにも、補助犬マークは役立っています。
より多くの人が補助犬の存在と活躍を知るためにも、補助犬マークはとても大切なのです。
補助犬情報センターではさまざまな活動を実施中
補助犬に関する設備として、補助犬情報センターも設立されました。補助犬に関するさまざまな情報を収集しており、補助犬への理解を深めてもらうために作られました。
補助犬をより多くの人に知ってもらうため、日々さまざまな活動を実施しています。
補助犬、現実に起きている問題点について
補助犬は身体に障害のある人にとって、いつもそばで支えてくれるかけがえのない存在です。補助犬がいなければ生きていくことができないという状況の中で、現実には下記のような問題も起きています。
飲食店によっては入店拒否をされることがある
補助犬マークをつけていたり、補助犬法の制定により、身体の不自由な人が入れる場所も増えてきました。
しかし、中にはまだ入店拒否をされてしまうという問題点も発生しています。入店を拒否されてしまう場所は、主に飲食店です。飲食店側としては、衛生面に配慮しながら営業しているため、動物が店内に入るのは避けたいという思いがあります。
しかし、身体の自由が利かず補助犬なしでは生活できない人たちにとっては、この飲食店に入ることができなくなってしまいます。食べたいと思うものがあっても、入店を断られてしまうケースもあるのです。
賛否両論ある補助犬の飲食店への入店ですが、身体の不自由な人がより自由に生きられる世の中にするためにも見直す必要があるでしょう。
施設によっても補助犬が入れないところがある
飲食店だけでなく、施設によっても補助犬が入れないことがあります。例を挙げると、ホテルや温泉旅館といった宿泊施設で同伴ができないと断られるケースがあります。その他、娯楽施設やスポーツ施設など、入店できない場所があります。
身体の不自由な人にとっては補助犬が欠かせない存在であることをより多くの人が理解し、少しでも多く利用できる飲食店や施設が増え、多くの人が快適に過ごせる世の中になるといいですよね。
補助犬ステッカーを見かけたらあなたができる手助けも
補助犬ステッカーを見かけたら、補助犬がパートナーのために一生懸命仕事をしているときだと理解して、集中してお仕事ができるよう騒がずに見守ってあげましょう。頑張っているしかわいいからといって、話しかけたり食べ物を与えたりするのは絶対に止めてください。
もしも、使用者さんが困っているようであれば、補助犬ではなく使用者さん本人にお声がけをしましょう。あなたにできる手助けを、ぜひ積極的に行なってみてくださいね。
厳しい訓練を受け補助犬となった犬たちは、パートナーのために常に全力です。身体の不自由な方にとっても、より住みやすい世の中になるように、一人でも多くの人が補助犬を理解してみんなが気持ちよく共存できる世界にしていきたいですね。