猫のしっぽが短い理由は?代表的な5つの種類とそれぞれの特徴

猫のしっぽといえば、歩くたびにユラユラと優雅に揺れる長いしっぽを思い浮かべる方が多いと思われますが、半分くらいの長さの短いしっぽをもつ猫やパンダのように丸いしっぽの猫もいます。今回は、しっぽが短い猫が生まれてくる理由と特徴や種類について紹介します。

しっぽが短い猫はなぜ生まれるの?

しっぽが短い猫について知りたい!種類や特徴を紹介

しっぽが短い猫を見かけると、「猫同士のケンカや不意の事故でしっぽが切れてしまったのかな?」と心配になることはありませんか?実は、しっぽが短い猫の多くは、遺伝や種類による生まれつきであるといわれています。

猫のしっぽが短い理由

猫のしっぽが短い理由は、しっぽの長さが親猫からの遺伝子によって決まるためです。短いしっぽが「優性遺伝子」で、長いしっぽが「劣性遺伝子」となっています。

遺伝子は「優性遺伝子」の影響が大きいため、短いしっぽと長いしっぽの両親から生まれた子猫のしっぽは、短くなる傾向にあります。

日本にしっぽの短い猫が多い理由

日本には、しっぽの短い猫が多く見られます。この理由のひとつとして、江戸時代に空前の猫ブームが到来するのですが、当時しっぽの長い猫が年を重ねるとしっぽが二股に割れた「猫又」という妖怪になるという迷信が広まったため、しっぽの短い猫を意識的に繁殖させたようです。その血統が今日の日本の猫に受け継がれているためと考えられます。

また、長崎ではしっぽが途中で折れ曲がっている「鍵しっぽ」の雑種の猫が70%以上いるといわれています。

これは、鎖国していた江戸時代に、長崎の出島でのみ東南アジアと貿易をしていたことに原因があるようです。荷物をかじるネズミ対策として猫が船に乗せられていたのですが、東南アジアは「鍵しっぽ」の猫が多く、それらの猫が長崎で居つくようになり繁殖したと考えられます。

猫のしっぽの役割とは?

しっぽが短い猫について知りたい!種類や特徴を紹介

猫のしっぽは短くても長くても大事な役割を持っています。ここでは猫のしっぽの3つの役割について説明します。

バランスを保つ

猫は塀などの高くて幅の狭いところをよく好んで歩きますが、不安定な場所でもしっぽでバランスを保つことにより、素早く移動することができます。バランスが崩れそうになるとしっぽを素早く振り、骨盤の位置を調整して体勢を安定させます。しっぽの短い猫は、長い猫に比べてバランス感覚が劣るようです。

マーキングをする

猫は身体の至るところに「臭腺」という自分の臭いを発する器官があるのですが、そのひとつがしっぽにもあるといわれています。マーキングをするときには、しっぽをこすりつけて臭いをつけることが多いようです。

防寒をする

寒さが苦手な猫は寒くなると、体を丸めてしっぽをマフラーのようにクルンと体に巻きつけて寒さを和らげるようにします。当然ながら、しっぽが短い猫には防寒ができません。

しっぽが短い猫の特徴

しっぽが短い猫の性格

しっぽが短い猫について知りたい!種類や特徴を紹介

しっぽが短い猫は、臆病で警戒心が強く、飼い主さん以外には懐かないという意見が多く見受けられます。しかし、猫の性格としっぽの長さの関係性については、科学的に証明されているわけではないので、参考程度にとどめておいてください。

しっぽが短い猫はどうやってバランスを取っている?

猫はしっぽを使って身体のバランスをとっているのですが、短いしっぽの猫はどうしているのでしょうか?

短いしっぽの猫はしっぽでバランスを取ることができないので、後ろ足で踏ん張りを利かせてバランスを取っています。そのため、前足と比べて後ろ足が長く、筋肉が発達しているのが特徴です。

しっぽが短い猫の種類

しっぽが短い猫の純血種は、現在では5種類が認められています。島出身の猫種が多いのですが、この理由としては、しっぽの突然変異が狭い島などの限られた環境で誕生すると、淘汰されずに遺伝子が残りやすいためと考えられています。

ジャパニーズボブテイル

しっぽの長さは5㎝~7㎝ほどで、ポンポンのような短く丸い形をしています。筋肉質でスラリとした体躯で、首からしっぽの付け根までと肩から前足までが垂直で、横から見ると長方形のプロポーションをしています。

明治時代にアメリカ人が日本猫を母国に連れて帰り、日本猫同士を交配させて繁殖させたのが始まりです。1976年にアメリカの猫の血統登録団体CFAによって正式に猫種として認められました。社交的で、順応性が高く賢い性格であり、身体が丈夫なため海外では人気の猫種です。

アメリカンボブテイル

個体によって真っ直ぐなしっぽであったり、巻きしっぽであったりと形が違います。

大型猫メインクーンのように大きく成長する猫もいる大型猫です。見た目はとてもワイルドで、筋肉質でがっちりとした骨格をしています。

アメリカで見つけられた曲がったしっぽを持つ猫と長毛種を交配させて誕生しました。1989年に世界最大の血統登録機関TICAに登録されることになった比較的新しい猫種と言えます。

温厚な性格で、しつこく構われても怒ることがなく優しい心の持ち主です。アメリカでは動物介在療法(アニマル・セラピー)としても活躍しており、「猫界のゴールデンレトリーバー」と呼ばれています。

クリルアイランドボブテイル

短くねじれたしっぽをしています。座っている後ろ姿はウサギのように見えるといわれています。長毛種で、野性味あふれる筋肉質のがっちりとした体格です。

千島列島が起源の突然変異で産まれた猫種で、18世紀頃から生息しています。自然発生種として1995年にWCFに登録されました。ヨーロッパを中心に愛好家がいますが、アメリカではあまり知られておらず、2012年になってTICAに登録されることになりました。

自立心が強いですが、社交的でもあり猫では珍しい性格をしています。

マンクス

完全にしっぽがないタイプ(ランピー)から、ごく短いしっぽが折れたりねじれたりしているタイプ(スタンピー)、ボブテイルよりもやや短いしっぽのタイプ(ロンギ―)など様々なしっぽを持っています。

ダブルコートの短毛で、顔も手足も胴体も丸いのが特徴です。ウサギのようにぴょんぴょんと跳ねるように歩くので「ラビットキャット」と呼ばれることもあります。イギリスのマン島を原産とした自然発生的に突然変異で産まれた猫種です。

特有の遺伝病があり、致死率も高く繁殖が難しいため、あまり目にすることがありません。性格は温厚で優しく、賢く自立心があります。繊細な神経の持ち主で引っ込み思案のため、飼い主以外には人見知りをします。

キムリック

カナダが原産のマンクスの長毛種になります。イギリスのウェールズ地方でとくに人気があるため、キムリックと名づけられました。

キムリックはマンクスと他の長毛種との交雑を経ているのですが、交雑がなくても一定の割合で長毛種が産まれるので、別の猫種としては認めない血統団体も多いです。また、マンクス原産のイギリスでは別の猫種として認めていません。

長毛種が産まれる確率は25%と低く、マンクスよりも入手が困難になります。しっぽが完全にないタイプ(ランピー)になると更に少なくなるので、大変希少価値が高くなります。

短くてもしっぽで感情を表現している

猫のしっぽの役割は、バランスを保ったり、マーキングをしたり、防寒をするほかにも感情を表現する役割があります。短いしっぽの猫も、長いしっぽの猫と同様にしっぽの状態や動かし方でちゃんと感情を表現しているのですが、しっぽが短いため飼い主さんは分かりにくいかもしれません。

普段からしっぽの動きをよく観察するようにして、短いしっぽの猫の気持ちを汲み取り、コミュニケーションを深めるようにしてください。